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屈指の牛鍋店「江知勝」さん。湯島切通坂を上り切ったあたりに、落ち着いただ住まいのお店が
人も知る牛鍋屋さん。個室でいただき、仲居さんが鍋の熱し具合、肉と野菜の食べごろを見て、いちばん美味しく楽しめる食事に案内してくれます。
有名な江知勝さんの割下は甘辛具合が関東風でキリッと立ってきます。女将が醤油に味醂をベースに、毎日翌日分を自ら手作りしているそうです。これが春菊、しらたき、長ネギ、焼どうふ、しいたけ、和牛のスライスにからんで熱せられると、厳選された食材に宿る旨さをぐんと引き出して、いただくと、う~ん、旨い、のひとことに尽きます。ご飯のおいしさも、もちろん飛びぬけています。
「江知勝」さんは、創業明治4年(1871)、越後屋勝太郎さんという初代から続くしにせで、“えちかつ”という店名は創業時の屋号と初代の名をとり、江戸でお店を始めたので越後の“え”に江戸の江を当てたのでしょう。すでに145年、六代にわたって味と素材のうまさを受け継いでいます。
現在の建物は戦災後、昭和27年(1952)に建てられたそうです。内装も含め、日本建築の技法がそこここに見られ、お店の入口から奥へと広がる庭の美しさと見事に調和して迎えてくれます。玄関と上がってすぐの広間には、見事な編目模様が見える「網代天井」や、萩やガマ芯、ヨシを使った数寄屋造り天井が見られます。いずれも茶席造り(数寄屋造りとも)と言われる造りで、現在では技術を継承する職人さんが見つからないそうです。
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