裁玖須子/ヒーラ

ページ名:牡鹿

 

 

あの人はとっても非道い人だから。

きっと独りになるのも受け入れてしまうでしょう?

■現実の設定

名前:裁 玖須子

年齢:

身長:171

性別:女性

瞳の色:黒

髪の色:茶

所属:一般人-潜在的ダイバー

キャラクター設定:裁 桐春の妻。旧姓牡鹿。検査に掛からない程度の極めて弱いダイバー適性を保有していたが、現在えは幾度かの被災経験から限定的条件では完全に機能する水準まで発達している。

気性穏やかで対立を好まず、他者の感情に敏感かつ聡明で、対外的には極めて大人しい。気遣いに長け、気心の知れていない人物からは修道女のような印象を受けたり、その延長線で完璧超人に見られがちだが、一皮剥けると人並には人間としてズボラでだらしがないところがある。掃除は心掛けるが、細かいところは目に付いたとしても大掃除までは粘ってみたり、あとは特に酒癖がそうで、甘え上戸。資格勉強疲れで参ったときに大学生以降封印していたストロングゼロを開けて泥酔した挙句、当時付き合っていた桐春に抱き着いて行動不能にした後、そのままま寝ゲロをかました黒歴史がある。

どうかあのときのことは忘れてください……裁玖須子

ははは、人間アピールのエピソードの一つや二つ持つのも悪くないんじゃないか?‐裁桐春

絶対に嫌です!!意地悪言わないでください!‐裁玖須子

夫である桐春との出会いは夢現災害の被災で、また彼に向ける感情はとても複雑。颯爽と自分を救助し、励まし、自らの命を賭して立ち向かう様に半分一目惚れするものの、彼女のことを非ダイバーであると認識している彼はその事実を無いものとして扱っており、単に災害現場に居合わせた消防員として誤魔化すように振舞うのを見て脈がないものだと落胆。追及することなくそこで話が終わるところまでがファーストインプレッション。

その後、殆ど巻き込まれはしなかったものの、再び桐春と同じ夢現災害の現場に出くわし、自分と同じ体験が繰り返されているところを見て、「誰に対しても誠実だけど、誰に対しても誠実じゃない」と、初めて裏切られたような怒りに近い蟠りを覚える。それ以後はその後大規模戦闘に巻き込まれ死の淵に瀕するまで自身のダイバー適性をひた隠しにし、他者からの評価やイメージを最大限その持前の知性を以て利用しのらりくらり躱されながらも積極的に関わりを持ち始めるようになった。

 

「屋内で遭難しそうになるとは……初めての体験かもしれませんね」

「お前ゴミ屋敷に入ったことなかったっけ?」

「この規模はあまり」

ショッピングモールに窒素と酸素の雪が降る。トロメアと呼ばれるローグは卓越した冷却能力者だった。

急速な冷却は気圧の低下を生み、気圧の変化は気流の渦となってより多くの空気を巻き込む。

冷やされ続けた酸素は液化し、大気は密度を失うからより気圧の低下傾向を進めていく。

……らしい。学者連中はコリオリ力がどうとか何とか言ってたが、興味がなかったしもう忘れてしまった。

俺にとって重要なのはそれが閉鎖空間で機能する能力で、酸素マスクと耐冷装備が必要なことくらいだったから。

吹雪が容赦なく瓦礫を巻き上げていく様はまあ、確かにいつもより多少過酷な戦場だったが、内垣も居合わせている。

それ自体は取るに足らない仕事だった。クソ野郎がよく冷えるように穴ぼこを幾つか新設してやって終わり。

戦後処理も任せて、一服ついでに携帯端末を覗く。未読通知が何件か溜まっていた。

 

「仁藤モールまで買い物いきますけど、夕食のリクエストはありますか?」

酸素の無い白銀世界ではライターの火も灯らなかった。

 
 

返信にも、電話にも一向に反応は帰ってこない。

だが通知は小1時間は前のことだ、もうとっくに買物は済んでいて、単に帰りしなに出られないだけじゃないのか。

「……はい、そのように。裁さん、どうかしましたか?」

「裁さん。……ズールーシザー!」

積雪から僅かに顔を出す手や足、仄かに滲む赤い染みを辿り、電熱線はその輪郭を融いてゆく。

掘り起こしたその誰もが生気ある人間の顔をしていなかった。中には吹き飛んだ衝撃か、形を留めていないものまで。

顔もわからないそれが黒い髪をしていたことにどこか安堵を覚えた自分が居る。

それが一室の半分を超えたところで、目立つ瓦礫の一つに行き当たる。

俺が埋もれた彼女を掘り起こし顔を覗くよりも早く、覚えのある電子音が耳に響いた。

凍り付くような寒さは流れ出る血を塞ぎ堰き止める役割も果たしていたのだろう。

瓦礫に貫かれてさえいなければ、彼女の瞳に未だ生気が宿っていたのではとすら思えてくるほど、美しいままだった。

抱きかかえても装備越しにはその温度もわからない。ぐんにゃり曲がる彼女の背と胸。

腕に力を込め過ぎて、押し出された空気は潰れた肺胞のまだ赤いままの血を伴って咳き込まれた。

「裁さん。……彼女を暖かい所へ」

「あぁ」

影響範囲を抜けた適当なベンチの上。寝心地は悪いだろうが、体勢を変えてゆっくりと降ろそうとしたとき。

不意に。

不意に、その背に細腕を回してひっしと力が込められた。

「ごめんなさい。ずっと……ずっと言えないでいて。」

「でも……それはお互い様ですよね?」

 

 

 

 

 

 

「そういうことをする、優しいあなただからこそ好きになった」は彼女の言だが、そういう内訳から見える通り文字通りの意味だけではない。あえて具体的に言及するとすれば、そこまで頭を回すことができる彼はそう居ないほど聡い人間であり、そういう(酷い)人である桐春をここまで意固地になって捕まえようとするのは自分しか居ないし、そして何よりそういうことをして生きている以上孤独をいずれ当然のように受け入れてしまうだろう、などなど。特に一番最後が占める部分が大きい。

 

 

 

 

「君がそういう力を持っているから、俺は先に元凶に対処できる。一度ならず二度も三度も君を苦しめなくて済む。」

「信頼してくださっているんですね。でも、その後三度蘇る事になったとしても、一番最初に顔を見せて欲しいです」

「それは桐春さんを困らせない範囲で、ですけど」

「ハハハ……。いや、もう参ってる。」

■夢の姿の設定

名前:ヒーラ

固有形質:夢体の急速再生

外見:変わらない

夢の姿の設定:夢現災害にてまだ死にたくないという願望と迫りくる死という恐怖から発現したもの。類似例は枚挙に暇がなく、決してそう珍しいものではないが、それらと明確に違うのは裂傷のみならず欠損をも補填する再生能の高さ、及び再生に伴う肉や神経を引き延ばされる嘔吐や意識障害を伴う壮絶な苦痛。このような差異が出たのは、痛みを伴うからこそ生への執着が高められ、より純度の高い再生が生じているのではという仮説がある。

再生するとしても、死ぬよりも痛いんです‐裁玖須子

本人と裁の意志の問題、銃の生成が危うい想像力、意識が保てない再生が相まって戦闘員としては勘定されず、殆どダイバーの世界に関与していない。

ダイバーネームは「hela細胞」と呼ばれる子宮頸がん細胞より。1950年代に世界で初めて培養に成功したヒト細胞として知られ、生理学の研究を飛躍的に進める切欠となった。当人はその病にて既に亡くなっているが、2022年現在でも世界中に株分けされた細胞が研究対象やシンボルとして培養され続けている。

命名者は夫妻のどちらでもなく、便宜上の一括命名者である奇書院研究員のもの。

 

 

 

人物相関

裁 桐春

帰るところがあるのはどうして、悪くない気分だ。

誠実でなくとも、素敵で善良な人。好きで嫌いなところも両面貼り合わせの存在。

ただ、1人死んでいくのはあまりにも寂しすぎる。

裁水花/ゲイズ

ズルい、けど、私にはどうしようもない。

ほの黒い感情には気付いてはいるものの、それを指摘し和解しようとすること自体が深く自尊心を傷つけかねないので保留している。

 大霧氷生/ウェンディゴ

サシは絶対勘弁してほしいというか、極力旦那とセットで来て欲しい。

騙されていることを悟り、かつ受け入れているところにシンパシーがあり、かなり積極的に応援している方。

鈴木 七海/シナスタジア

……全部が本当なんですか?

基本的に「自分が狡いことしてるな」の自覚はあれども、演技はしておらず全てに本心で振舞っている。

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