血統の基本

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❖ サラブレッドの定義


サラブレッドは、1791年ジェネラルスタッドブックの創刊により基準が定められその歴史がスタートした。

ジェネラルスタッドブックは、サラブレッドの体系的な血統書の発刊を目指し、ジョッキークラブ事務局長のジェームズ・ウェザビーが甥で同名のジェームズ・ウェザビーに各牧場の私的な血統記録や、過去のレーシングカレンダーを集めさせ、それまでの活躍馬の血統とそれらの簡単な成績をまとめたジェネラルスタッドブック序巻を出版。

2年後の1793年。序巻の内容を補完したジェネラルスタッドブック第一巻を刊行した。

その後も、第2巻、第3巻と、以後のサラブレッドを収録しながら今日に至るまで刊行され続けている。
純血種(多少語弊があるが)としてのサラブレッドが定義づけられ、以後のサラブレッドの方向性に大きな影響を及ぼした。

 

サラブレッドには厳格な血統登録が管理され必ず血統書が存在している。

サラブレッドの前提となる原則として両親がサラブレッドでなければサラブレッドとは認められない。

では、そのサラブレッドと言うのはどういう存在か?

全てのサラブレッドは、父系(サイアーライン)を遡ると三大始祖に到達する。

 

❖ ゴドルフィンアラビアン


ゴルドフィンアラビアンは、1729年にイギリスに輸入されたとされているものの、その生涯について信頼できる資料は少なく、かなりの部分が謎に包まれている。

現時点で明確であるのは、1724年ごろの生まれ。猫好き。黒鹿毛馬で、チュニスからフランス経由でイギリスに渡る。種牡馬として成功し、おおよそ90頭の仔を残したのち、1753年に死亡。

墓は現在でもゴグマゴグ丘陵にある。元の呼び名は不明だが、いつのころからか、最後の所有者だったゴドルフィン伯フランシス・ゴドルフィンの名をとってゴドルフィンアラビアンと呼ばれるようになった程度である。
ジェネラルスタッドブック創刊次点では死後40年が経過しており創作も入っているようである。

現在でも父系子孫が残っており、サラブレッドに占める割合は18世紀中ごろは50パーセントを上回っていた時期もあった。

1850年以降常に10パーセントを下回っている。

父系に限定しない総合的な影響は、サラブレッド始祖の中でも抜けて高く、サラブレッドの遺伝子プールの13.8パーセントはゴドルフィンアラビアンに由来する。

 

❖ バイアリーターク


バイアリーターク(1679年 - 1705年)は、後世にサラブレッド三大始祖の一頭として記録される。

名前および品種について、ジェネラルスタッドブックはバイアリーターク (Byely Turk)、つまりターク種と記載しているが、残された絵画での特徴はアラブ種のもので、ターク種ではなく単にトルコ生まれのアラブ馬との説もある。

名前の綴りもByely Turkではなく、馬主であるロバート・バイアリー (Robert Byerley) から正しくはByerley Turkだったのではないかと考えられている。

父方直系子孫はそのヘロド (Herod) を通じて繁栄。

その子孫はヘドロ系としてエクリプス系やマッチェム系と共に三大父系の一つに数えられる。

現在のサラブレッドの遺伝子プールに占める割合も3.3パーセント程度と、三大始祖のほか2頭に比べ小さく世界的には縮小が激しくほとんど見ることが無い父系となっている。

しかし1964年に日本に輸入されたヘドロ系のパーソロンは、三冠馬シンボリルドルフ、天皇賞馬メジロアサマの成功によりその血を受け継ぎ、トウカイテイオー(日本ダービー、皐月賞)、メジロマックイーン(菊花賞、天皇賞・春)という2頭の内国産スターホースを産み出したことで現在もその血を伝えている。

 

❖ ダーレーアラビアン


ダーレーアラビアンは(1700年 - 1730年)はサラブレッド三大始祖の一頭で、玄孫のエクリプス (Eclipse) を通じて主流血統を築いた。

産駒より、6戦不敗、歴史的名馬フライングチルダーズを生み出した。

レース不出走ではあったが全弟のバートレットチルダーズ も種牡馬となり数多くの産駒を産み、そのひ孫に18世紀最強馬として名高いエクリプスを誕生させる。

エクリプスの直系子孫は19世紀に入ってからというもの他系統を凌駕し、結果的に全サラブレッドの90パーセント以上を占めるまでに拡大し今日のサラブレッドに対する影響が最も強い遺伝子となっている。


サラブレッドの定義は三大始祖より始まった。

三大始祖は当然にサラブレッドではなくそのルーツは純血アラブ種や現時点では出生の明確では無い馬も存在する。

サラブレッドは前述のように品種改良によって生み出された品種であり三大始祖を父系として発展させ、マッチェム系、ヘロド系、エクリプス系等、サラブレッドの発展を劇的に向上させる突然変異が繰り返し発生しその能力を向上させた。

その後に綿々と続くこれら変革の歴史が血統という文脈を形成しているという事を先ずは理解し勉強を始めたい。

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