セブルス・スネイプ

ページ名:セブルス_スネイプ

登録日:2009/07/01 Wed 22:04:56
更新日:2023/08/11 Fri 16:49:58NEW!
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―凡庸、父親と同じく傲慢、規則破りの常習犯、

有名であることを鼻にかけ、目立ちたがり屋で、生意気で―



ハリー・ポッターシリーズの登場人物。
演:アラン・リックマン
吹き替え:土師孝也


概要

ホグワーツ魔法魔術学校で魔法薬学教授、及びスリザリンの寮監を務める魔法使い。
実は「闇の魔術に対する防衛術」の講師になることを毎年志望しているが、受理されていない。
以前に死喰い人として活動していたが、ヴォルデモート卿失脚前に魔法界側に寝返った為、アズカバン送りは免れている。


魔法使いとしての実力は申し分なく、作中でも上位クラス。ハリー・ポッターが放った数種の魔法を余裕で相殺したことも。
魔法薬については学生時代から卓越しており、
教科書の間違いや効率の悪さを見抜いて、教科書の余白に大量のメモとして訂正やより効果の出る方法を書き残していた。



ホグワーツにおけるハリーや彼の味方であるロンハーマイオニーたち、グリフィンドール生の天敵的な存在であり、
担当寮のスリザリン(特にマルフォイ)を優遇する一方でハリー、ハーマイオニー、ネビルといったグリフィンドール生には理不尽な対応をすることもしばしば。
そんな態度が災いしてか、ハリー達(特にロン)から校内の騒動の容疑者として疑われることも。
同僚のミネルバ・マクゴナガルにも寮対抗杯の件で嫌味を言うなど教員としても問題もある。
もっとも「教科書に書いてあること」を言うだけのハーマイオニーの回答は、その教科書のミスを見抜いている彼からすれば「不正解」なのは間違いない。
それを自分だけの秘密にしているあたり教員として問題があるのだが。
また魔法薬学に関しては上述のとおり天才だが、危険な魔法生物に関しては教科書以下の知識を信じ込んでいる様子。水棲生物の河童が水資源に乏しいモンゴルに多いというのは日本人なら噴き出すであろう。




ホグワーツ出身で学生時代はスリザリン寮だった。
ハリーのであるリリーとは幼馴染みの関係でそれなりに仲が良かったが、ある一件を境に口も利かなくなってしまった。
逆にハリーの父であるジェームズ・ポッターとは一目見た時から壊滅的に仲が悪く、ジェームズの友人グループ、
特にジェームズとシリウス・ブラックとは互いに呪いを掛け合うほど仲が悪かった。


もっとも当時のスネイプでは学園主席と次席の天才であるジェームズとシリウスには全く太刀打ち出来ず、
ジェームズがリリーを口説いてる最中にスネイプが背後から攻撃してもかすり傷しか付けられないなど、傍から見れば一方的な虐めに見えるほど実力差があり、
スネイプは必死かつ真剣に彼らを憎んでいたが、ジェームズたちからは面白半分で呪いを掛けられており、
スネイプが対ジェームズに開発した釣り上げ呪文をパクられて逆に自分が釣り上げられたりもしている。


また、自分たちにつきまとうスネイプを鬱陶しいと考えたシリウスによって、狼人間と化したリーマス・ルーピンに鉢合わせさせられそうになったこともある。
その時にはシリウスからそのことを聞いたジェームズがスネイプを助けたことで事なきを得たが、
スネイプはジェームズは自分たちの保身のためにやったこととして感謝の念を持っていない。*1
ただ、この一件でルーピンが狼人間であることを知りながらも在学期間中はそのことを暴露して彼を退学に追い込んだりはしていないことから、一応の筋は通した模様。
とはいえ、スネイプは卒業後もずっとその事を根に持っている(プライドの高さゆえか自分にも非があったとは考えていない)ようで、
ジェームズの息子であり、瞳以外はほぼ生き写しであるハリーに、教員の立場を利用して些細なことでも言いがかりを付けるなどして嫌がらせレベルの罰則を課しているため、彼からは非常に憎まれている。
またスネイプはルーピンへの鉢合わせ計画を「ジェームズとシリウスとルーピン三人全員が共謀して計画したが、寸前でジェームズが日和って止めた」と間違って認識しており*2、ハリーに対して「ジェームズの人物像をまるで理解していない」という発言もしているが、彼も100%理解しているわけではない。



一方、スネイプも在学中に「セクタムセンプラ」なる「命中した相手をズタズタに切り刻む呪文」という殺意むき出しの闇の魔術独自開発しており、決して「真面目な学生が一方的に卒業までイジメられた」という話ではない
ルーピンはこの技を「スネイプの十八番」と言っており、それぐらい使ったということでもある。


とはいえ、この魔法が開発され記されていたのは上級魔法薬学というN.E.W.T.レベルの魔法薬のクラスで上級生が使う教科書であり、またこの教科書内でもセクタムセンプラまでは非殺傷魔法が開発され記されていたため、治療法も用意しているとは言え嫌がらせの領分を超えた殺傷目的の魔法をどの時期に開発して多用するようになったかの経緯などは不明瞭である。
以下、上級魔法薬学の教科書に記されていたスネイプが独自に開発したと思われる魔法

  • 足の爪が驚くほど速く伸びる呪詛

呪文名は不明。ハリーはクラッブに試して使って面白がった父親とそっくりだなポッター!

  • 舌を口蓋に張り付けてしまう呪い

同じく呪文名は不明。ハリーはフィルチに試して使って喝采を浴びた父親とそっくりだなポッター!

  • マフリアート

耳塞ぎ魔法。近くにいるものに正体不明の雑音を聞かせて盗み聞きを防ぐ魔法。
ハリーは授業中に私語をする目的で使ったためハーマイオニーから顰蹙を買った。

  • レビコーパス

吊り上げ魔法。釣り鈎で踝を引っ掛けられたように相手を空中に持ち上げる魔法。「リベラコーパス」で解除できる。
無言呪文として開発されており、何度も書き直されているなど開発は難航した模様。
さほど無言呪文が得意ではないハリーがなんとなくロンに向けて行って見たところ成功してしまい、同室のシェマースやディーンには大ウケだったがハリーは流石に反省した。
スネイプ開発だがルーピンによると五年生の時に、数ヶ月の間大流行したらしい。ハリーはこの呪文の開発者である「プリンス」の正体を探れるか尋ねたが流行していたとしか分からず、ルーピン視点では誰が使い始めたどころかどの寮から流行したかも特定不可能なほど流行っていた模様。
スネイプ本人すらジェームズに釣り上げられて嬲られており、「我輩の発明したものを、汚わしいおまえの父親と同じに、この我輩に向けようというのか?」と語っているため、ジェームズに呪文をパクられたのかもしれない。

  • セクタムセンプラ

切り裂き呪文。プリンスの教科書の中にはあった呪文の中で唯一「敵に対して」という見出し、なぐり書きで記されているなど異色の気配があったため、ハリーの興味を引いていた。作中で登場した限りでは珍しい相手を直接傷つける魔法。「闇の魔術」であり受けた傷は通常の治療法では治らないこともあるが、スネイプは「歌うような呪文」でセクタムセンプラで作られた傷を直すことができる。
ハリーが咄嗟に使用した際はマルフォイが結構な深手を受けた*3が、過去の記憶でこれらしき呪文をスネイプがジェームズに不意打ちで使用した際は切り傷は付いたがジェームズは気にする様子のない浅い傷だった。当時のスネイプの魔力が弱かったのが、呪文が未完成だったのかは不明。



ハリーに対する陰湿な攻撃は、結局のところ「ジェームズの息子なんだから報復して当然だ」というものでしかない。
なにせ第一巻の初対面時、まだハリーがスネイプに対して何もしていない段階から、いきなり徹底的に罵倒して減点処分までしている。
要するに「ハリーとスネイプの対立」は、ハリーの行動から起こったのではなく、スネイプが先に仕掛けた。ハリーがスネイプを嫌悪するのは、そうした積み重ねがあったためである*4
さらにハリーに限らずネビル・ロングボトムも普段から陰湿に威圧しているが、これに対してはそこに至る理由さえない。
ひどい時には「ネビルが調合した魔法薬をになっているに違いないと確信しながらネビルのペットに呑ませる公開処刑を行い、それが毒にならず所定の効果を発揮すれば、いきなり『グレンジャーが入れ知恵をしたに違いない』と証拠もなく断定*5して減点」、と理屈もなにもない振舞いに及んでいた。
スネイプの身に起きたこと全てが彼のせいではないが、彼のせいで起きた部分も非常に多くを占めているのである。



母は純血魔法族で父はマグル。
両親は不仲で、幼少期から鬱屈した過程の中で過ごした反動か、混血であることがコンプレックスになり、魔法の力にのめり込む。
そして、より強大な魔法である「闇の魔術」や、魔法族を尊ぶ純血主義に入れ込むようになる(ペチュニアとはそれが理由で対立)が、
所詮コンプレックスの発露であるためか、幼馴染のリリーは例外にしているなど徹底したものではなかった。


学生時代は魔法族である母方の姓を取って“半純血のプリンス”を自称していた。
入学時点で大半の上級生より闇の魔術への知識は深かったらしく、この闇の魔術への入れ込みが後にジェームズに執拗に目をつけられる一因となった。
当時はヴォルデモート卿が全盛期の時代であり、死喰い人が猛威を振るい多数の犠牲者を生み英国魔法界において最も暗黒の時代と語られた時代である。
そんな時代の中で学生とはいえ闇の魔術や魔法使いの思想に没頭しているスネイプは、はっきり言って客観的には危険人物として見られても仕方がなく、いじめの被害者であるものの、スネイプにも悪目立ちしていた原因がないわけではないのは否定しようがない。


純血主義と闇の魔術を振りかざして横暴を極める同僚生(同期のマルシベールや先輩のルシウス・マルフォイなど)とも交流があり、更には上述のように対立していたジェームズに対しては在学時代から闇の魔術である自作魔法セクタム・センプラも混じえた衝突が起きていた。
ただし、作中でスネイプがジェームズ以外に呪いを行使していたという話は全く無い。
マルシベールが起こした、起こしかけた問題行動を庇い立てするなど、同類に見られても当然なことはしているが、スネイプ本人がそういったことをしたとは、ジェームズがスネイプを虐める原因を問い詰められた時や、スネイプがとある発言が原因でとある人物に見限られて絶交される時でさえ全く話題に出てこない。
後述のネタバレを考えると、本人なりにとある人物に完全に見限られない一線を守ろうとしていたと考えられる。
……逆に言えばその人物から絶交されたあとは一線を超えていない理由が無くなっているが。
また卒業後、死喰い人に正式に所属してからは同僚たちから「殺しのできない臆病者」などと言われていないあたりからも、死喰い人に相応しい行動をしていたことは間違いない模様。
なんせあのヴォルデモートから、とある敵対者の助命を懇願して聞き入れられるほどには評価されていたのだから。


以下ネタバレ











魔法界側に寝返ったのは、「不死鳥の騎士団」をスパイする任務を命じられた為。
4巻でヴォルデモートが復活した後は、これまで以上に重宝されている。











実は最初から最後まで、味方側の人物


より正確に言うならばハリーの物語においては、最初から最後まで味方であった人物。


スネイプ自身の視点で語るならば、闇に惹かれ一度は完全に堕ちてしまったが、大切な人の危機に際して表側に移りそのまま協力し続けた人物。



スネイプはホグワーツ入学前の幼い頃から、ずっとリリーに片思いしていた。
しかし寮が離れたことで、スネイプはスリザリンで純血主義や闇の魔術の影響を一層強く受け、リリーはグリフィンドールでそれらとは相反する価値観を育むなど、
互いの価値観のズレは次第に大きくなり、5学年に受けたOWL試験の後、ジェームズとシリウスの暇つぶしに攻撃されて晒し者にされる。
必死に抵抗するもかすり傷しか付けられず、ほとんど一方的に攻撃されていたスネイプはリリーに庇われるが、
屈辱と恥辱の興奮のあまりに自分を庇ってくれたリリーを「穢れた血」と呼んでしまい、これを機にリリーもスネイプを見限った。
スネイプは冷静になった後に寮まで出向いて謝罪するも、かねてから闇の魔術と純血主義に友人として警鐘を鳴らしていたリリーは謝罪を拒絶。
「私以外の人には平気で『穢れた血』と呼ぶのに、私だけは違うと言われてどうして信用できるというの?」と返されたスネイプも言葉に詰まり、これを機に絶交となった。


なお、晒し者にされた部分から「穢れた血」と呼ぶまでの前半部分は5巻で判明するが、
そのときの章タイトルは「スネイプの最悪の記憶」
ジェームズとシリウスによる過激な虐めこそが最悪だと初見では錯覚するが、後にリリーへの愛が判明すると「穢れた血」失言と絶交こそが「最悪」ということがわかるギミックになっている。


闇の魔術を極めて強大な魔法使いになればリリーがまた仲良くしてくれると勘違いしたスネイプは死喰い人を目指すようになり、実際に卒業後は死喰い人となった。
もともと思想的に傾倒していたことと、恩顧のあるルシウス・マルフォイたちの引き立てもあったであろう。
純血主義を基本方針とする死喰い人になっても、リリーへの愛は全く変わらなかったが、
ある時自分がヴォルデモートへ報告した情報によって、ジェームズ・リリー・ハリーが次のターゲットにされてしまう。
それを知ったスネイプはヴォルデモートに「リリーだけは助けてくれ」と懇願すると共に、極秘裏にアルバス・ダンブルドアに接触し、
両方の陣営のトップに働きかけてリリーを守ろうとする。
リリーの身の安全のことしか頭になく、リリーを見逃してくれるならジェームズとその赤ん坊は死んでも構わないとヴォルデモートに言ったことも素直に喋ったため、ダンブルドアに激怒されるが、
最終的にはポッター家3人の安全を確保してもらう代償として、ダンブルドアの為に二重スパイとして働くことを承諾する。


しかし、そんなスネイプの決死の行動も虚しく、『運命の日』にリリーはジェームズと共に殺されてしまった。
全てに絶望し、死を願うスネイプだったが、ダンブルドアに諭され、リリーの遺児であるハリーを守り続けることを誓った。
この際にジェームズの子供に感謝や哀れみを向けられるのは耐えられないと、自分がハリーを守ろうとしていることを誰にも知られないようにダンブルドアに頼み、死ぬまでその秘密は守られた。



恨みあるジェームズの生き写しであるハリーへの偏見や、ジェームズと重ねて恨みをぶつけていたのは事実であり、彼に情が移ったことは一度もなかった。
だがダンブルドアとの誓いの下、ただ最愛の女性の為だけに、全力を以て憎む男の息子を守り続けたのである。
リリーが自分の大嫌いな男と結婚しても、そして死んでしまった後も彼女だけを一途に愛し続け、
周りから誤解されようとも危険な二重スパイの任を全うしたその生き様と覚悟から、セブルス・スネイプはまさに作中最高のであると言えよう。



余談だが、彼が創り出す守護霊は「牝鹿」。
これはリリーも同じ。この点からもリリーの事をどれだけ想っていたかが伺い知れる*6
既に結婚し出産までした女性を死後何年も独身を貫いてまで愛するのはある意味スゴいが、
当初はリリーが助かるならハリーとジェームズは死んでもいいと思っていたり、リリーへのストーカーじみた行為を作中で幾度か披露しているなど、
その愛の形は少し歪んでいるとも言える。


……ストーカー「じみた」というか、手に入れた写真からリリーの部分だけを切り取る、他人への手紙に書かれた「リリーより愛をこめて」という他意のない挨拶文を切り取って保管する、など、いやまあ100%ストーカー気質の、思いっきり歪んだ愛であるが。


一見叶わぬ一方的なのように見えるが、作者曰く
「セブルスが闇の魔術に傾倒しておらず、マルシベールら純血主義のたちの悪い友人たちと手を切れば、リリーのセブルスへの友愛が恋愛感情に変化しただろう」と言われている。





各巻での活躍(ネタバレ注意)

作品としては7巻終盤に記憶の形で過去巻部分の行動が明らかになるが、本項目ではその点もある程度各巻の内容に織り込んで記載する。



1巻『賢者の石』
「賢者の石」を狙っている、と3人組に最後まで疑われていたが、実は真犯人であるクィリナス・クィレルの行動を妨害していた。
また、クィディッチの試合中にハリーの箒が呪いを掛けられた時は反対呪文を使って守った。



2巻『秘密の部屋』
をかっ飛ばして学校にやって来たハリーとロンを退学にしようとする。
また、ハーマイオニーは彼の材料棚からくすねた材料を使って“ポリジュース薬”を調合した。
決闘クラブでは後にハリーの十八番となり、様々な場面で活躍する武装解除呪文「エクスペリアームス」を作中初披露。
教授されたというより見て覚えたという感じであるが、後にヴォルデモートさえも破るこの呪文をハリーはスネイプから得た。



3巻『アズカバンの囚人』
学生時代にジェームズ達と連んでいたルーピン教授に、狼男になっても理性を保てる非常に複雑で難しい魔法薬を煎じてあげていた。
終盤、スキャバーズの変身を解くというところで空気を読まず登場。散々に場を引っ掻き回した挙句、3人組の魔法でぶっ飛ばされてしまう。
もっともスネイプの事情から考えると、
ポッター家の「秘密の守人」であったが裏切りヴォルデモートのポッター家殺害成功の大きな要因だった(と表向きなっていた)シリウスは、
学生時代に殺されかかった恨みも合わせて殺しても飽きたらないほど憎い相手であるのは致し方ないと言える*7
シリウスが吸魂鬼キスから逃げおおせたことに激怒し、憂さ晴らしにルーピンの正体をばらして退職においこんだ。
但し実はホグワーツの闇の魔術に対する防衛術の教授職はヴォルデモートによって"一年以上在籍できない呪い"がかけられており、事実クィレルは死亡、ギルデロイ・ロックハート記憶喪失によって一年以上闇の魔術に対する防衛術の教授を続けられていない。この時点でスネイプはダンブルドアに与していたため敢えて退職するきっかけを作って最悪死亡する事態を起こさないよう呪いをコントロールしていたともとれる。
もっとも、退職にするだけなら普通に校長権限で辞令を出せばよい話(クビにしなくてもほかの役職に転任させる方法もある)なので、これは過剰弁護の域を出ないだろうが。何よりわざわざ「狼男」と暴露し彼のトラウマをえぐり経歴に傷をつける手段をとったのはスネイプの逆恨みと暴走でしかないだろう。


この件については後に作者執筆のエッセイ本「勇気と苦難と危険な道楽」で、暴露したのは腹いせなことだが、怒りの原因はルーピンが学校の敷地内で狼男に変身してしまったことだと明らかになった。
スネイプはダンブルドアに任されたこともあってか脱狼薬をすぐ飲むように注意したり、飲み忘れていることに気づいたならばわざわざ夜だろうと本人の部屋に持っていったりと気にかけていたような描写があり、シリウスやペティグリーのことを置いても、ルーピンのミスが招いた防げるはずの事故にプッツンきた、といったところか。


なお、映画ではルーピンが変身した際、自分と共に彼と鉢合わせした主人公3人組を守ろうとしてか、彼らを庇うように前に立つという教師らしい一面を見せている。
(原作ではこの時点で気絶したまま。とはいえ目覚めたあとは全員担架と魔法で運ぶなど教師としての義務はきちんと果たした)



4巻『炎のゴブレット』
第2の課題の為に「鰓昆布」を盗まれたり、バーテミウス・クラウチ・ジュニアから情報を吐かせる為に“真実薬”を用意させられる等、便利に使われる。
また、ヴォルデモートの力の増大を示す闇の印が濃くなってきたことをダンブルドアに報告していた。
シリウスの無罪も理解したため一応の和解となったが、互いに恨みは全く忘れておらず憎みあったまま。



5巻『不死鳥の騎士団』
不死鳥の騎士団としての活動開始と共に死喰い人としての二重スパイを開始する。
シリウスとの関係も険悪なままだが、ハリーに居場所を吐かせようとしたガマババァに偽の真実薬を渡したり、
ハリーが一縷の望みで叫んだ「パッドフット」が何を意味するのかに問い詰められた際はシラをきり、
アンブリッジをかわした後にハリーが言わんとした内容を見抜いて騎士団に連絡している。


また、ダンブルドアの依頼でヴォルデモートとの繋がりを強めていたハリーに閉心術の訓練を施すが、
ある時に訓練に備えて憂いの篩に避難させておいた*8「最悪の記憶」を覗かれてしまった。
リリーを「穢れた血」と罵って少しの場面でスネイプがハリーを篩から叩き出し、激怒したスネイプは以降の閉心術の訓練を打ち切った。
(ハリーとしては尊敬していた父ジェームズとシリウスがスネイプの言う通りの嫌な人物であったことに衝撃を受けており、スネイプの怒りには一切反抗しなかった。)



6巻『謎のプリンス』
念願叶って「闇の魔術に対する防衛術」の教授に就任。また、学生時代に使っていた魔法薬の教科書が登場し、ハリーの成績UPに貢献する。
終盤、襲撃してきた死喰い人達に加わってダンブルドアを殺害。
その後、追ってきたハリーの魔法を全て相殺する等格の違いを見せつけ、ホグワーツから姿を消した。


ちなみに、このダンブルドア殺害は前々から両者が示し合わせていたものである。
6巻開始少し前に分霊箱である指輪の呪いでダンブルドアは瀕死状態になっており、スネイプの治療により命を取り留めるも余命が一年程度となっていた。
それもあってダンブルドアは作戦に自分が殺されることを組み込んでおり、スネイプに介錯を頼んでいた。
この際に「マルフォイの魂は壊れてないから殺人させるのは忍びない。というわけでセブルスが殺ってくれ(意訳)」と語るダンブルドアに対して、
「今すぐにやりましょうか」と皮肉を言いつつも「私の魂は壊れていいんですか?」と拒もうとするなど、この時点で思想もに寄っていることがわかる。


なおヴォルデモートからは屋敷での助手としてよりによってワームテールを付けられた。
この時点でスネイプも「リリーの仇はワームテール」と知っており、それもあってか「数に入らん虫ケラ」「下僕」扱いするなどかなり塩対応をしている。
しかしもともと性根が卑しく死喰い人からも軽蔑されていたワームテールなので、誰からも違和感を抱かれなかった模様。



7巻『死の秘宝』
ダンブルドアを殺害したことでヴォルデモートから信頼され死食い人のNo.2になる。
もっとも、実際は騎士団員を錯乱させて沢山のポッター作戦を秘密裏に提案させると共に、同時にヴォルデモートにハリーが家を出る日時を教えるなど、
絵画として顕在するダンブルドアの指示の下、死喰い人としてヴォルデモートの信頼を得つつ彼の意図を挫くために秘密裏に活動する。
この際、ルーピンを守るために彼を狙って呪文を放とうとしていた死喰い人の腕に切り裂き呪文を放つが、ジョージの耳に誤爆するというポカをやらかしている*9


その後ヴォルデモートの権力の下、ホグワーツ校長として帰還。
悪政を敷いているように見せ掛けつつ、生徒達の最低限の安全を確保していた。
ハリー達の旅に嫌がらせを混ぜつつ内緒で支援したりもした。
なお、想い人と絶交になるきっかけとなったことから「穢れた血」という言葉を非常に嫌っており、フィニアス・ナイジェラスが報告時にハーマイオニーを穢れた血と読んだ際には叱咤した。



終盤、最終決戦の最中ヴォルデモートに呼び戻され、「ニワトコの杖」の所有権を手に入れる為に殺されてしまう。
最期は直後に現れたハリーに自分の記憶を託し、彼の外見で唯一リリーにそっくりな瞳を見つめながら「僕を……見て……くれ……」と囁き息を引き取った。
スネェェェェェイプ!




その後、ハリーは“憂いの篩”を使ってスネイプの記憶を垣間見る。
そこでこれから自分が辿らねばならない運命、そしてスネイプの真意と壮絶な人生を目の当たりにすることになる。


ハリーのの定めに衝撃を受けるスネイプに
「驚くことではない。これまで何人もの死を見てきたであろう。」と諭そうとするダンブルドアに、
「最近は、私が救えなかった者だけです」とスネイプは返しており、人を救う意思が見えるあたりにこの場面からもスネイプが光側に寄っていることが伺える。


またこの時、記憶の中でダンブルドアから、
「組み分け帽子は性急過ぎると感じる時がある(スネイプにはグリフィンドールに組み分けされるに足る勇気がある)」と言われて驚いていた。
とはいえスリザリンに入ることを熱望していたのは他ならぬスネイプ自身であり、組み分け帽子は彼の意志を尊重しただけなのだろうが。
スネイプ自身の性格も、スリザリンへの適性が非常に高いのは事実である。


これを契機にハリーはスネイプに対する自身の認識を改め、母を一途に愛してくれた人として尊敬の念を抱くようになった。





後年、ハリーは自分の次男にスネイプとダンブルドアの名をとって『アルバス・セブルス』と名付けている。
兄妹の中で一番ハリーに似ており、唯一リリーの目を受け継いだ。



その息子が「スリザリンに入ったらどうしよう」と不安がっている時、


「お前はホグワーツの2人の校長の名前をもらっている。その1人はスリザリンで、父さんが知っている中でも、おそらく一番勇気のある人だった」


と告げている。



また、スネイプの肖像画を歴代ホグワーツ校長の肖像画の中に加えるよう働きかけているらしい。



『呪いの子』
ハリーの次男・アルバス・セブルスとドラコの子・スコーピウスを主役とした後日談作品。
過去改変を題材とした当作品にも登場。
ハリーが死に、ヴォルデモートが権力を握ってしまった世界にて、ヴォルデモートへの抵抗軍の一員として登場。
死に際に、スコーピウスからアルバスの世界でのハリーから死後は敬意を払われていること、最も勇気ある人の一人と評されていることを教えられ、喜びのうちに息を引き取った。
スネイプがある意味最も救われた場面かもしれない。




映画版の余談

実写映画制作が始まった段階で原作小説は3巻まで出ていたものの、敵か味方か判断が難しいキャラクターに演者のアラン氏も悩んだ様子。
しかし1作目制作中の段階でアラン氏は作者のローリング氏からスネイプについていくつかヒントを与えられており、このことが先に助けになったと語っている。*10


アラン氏はスネイプを演じた感想として
「孤独感に満ちた役だ。彼がほかの誰と一緒にいるシーンでも、相手を探ろうとしているかのようだから」
「ほかの役者たちとのコミュニケーションはとらなければならないが、同時にある程度、自分の殻に閉じこもらなければならないところもあるということも常に意識していた」
と語っている。

ダンブルドア以外に真意を隠しながら、様々な人・陣営を渡り歩いて行動する多重スパイの難しさを演じるアラン氏も感じていた様子。


またアラン氏当人はユーモア溢れる上にドジっこ属性持ちで、自分のローブを踏んづけたり、マルフォイ役の役者に踏まれたりしている。
撮影時も「言動はシリアスなのに行動時の仕草が笑いを誘うスネイプ先生」像をアドリブで確立していた。




『作者からの評価』
作者からも「裏の主人公」と言われるほど重視されてはいるのだが、同時に作者は完全無欠の聖者ではないともしている。
曰く「どこまでもグレーな人物。聖人君子ではないが悪魔でもない」「欠陥だらけの英雄」とのこと。
(これはダンブルドアやハリーを筆頭として同作における他の「英雄」たちにも言える)
闇の魔術に没頭して、危険な呪詛を開発しては濫用した過去もあり、ベクトルこそ違えどジェームズやシリウス以上の危険性も描写されている。
「一方的にイジメられた魔術オタク」というような意味で判官贔屓的に親しむのもやはり違うのだろう。







「これほど追記・修正されてもか?」















「永遠に」


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*1 実際もしジェームズがスネイプを助けなければジェームズたちは間違いなく退学処分になり、を殺傷してしまったルーピンも深く傷ついていたはずである。
*2 この計画はシリウス単独の発案で、ジェームズは本当に止めただけ、ルーピンに至ってはむしろシリウスに利用されていた。それをスネイプが「三人の共謀に違いない」と認識していたことは本人が発言している。
*3 ただしこの場面のマルフォイはこともあろうにハリーに対して磔の呪文を使おうとしており、過剰とはいえ正当防衛な面もある。
*4 ハリーがスネイプに対して初めて攻撃的になったのは三巻中盤(父親を徹底的に罵倒し、いかにもその息子だと罵倒された際)で、それまでは敬遠する態度を取っていた。三巻序盤にルーピンに対して「スネイプはルーピンを害するつもりかもしれない」と思っても、発言にはためらい、迂遠的に進言するなど。むしろ当時スネイプを嫌悪していたのはロン。
*5 見かねたハーマイオニーが密かに助言したのは確かだが、スネイプはそれに気づいておらず(なにせ投薬寸前までウキウキしていたし)、当然証拠も全くない。
*6 守護霊の形には使い手の心情が反映される例がある。例えば、ルーピンに恋をしたトンクスは守護霊の形がに変化した。
*7 怒りと歓喜のあまりハリーたちのシリウスが無罪であるという話を聞かなかったのはスネイプの非だが。しかもそこで暴かれようとしていたのは、リリーの真の仇に関する情報である。
*8 盾の呪文で開心呪文が跳ね返りハリーに記憶を覗かれる場面があったため、この行動自体は正解だったと言える。この時は訓練開始直前にスネイプに呼び出しがあり、研究室で待つハリーが好奇心に駆られて篩に飛び込んでしまった。
*9 ルーピンは健在だったため結果的に守ることには成功した可能性はあるが
*10 なお、そのヒントについてはローリング氏との内緒という約束であったため後になっても語られず、アラン氏が逝去されたため完全に内緒なままとなってしまった。

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