花合わせ(花札)

ページ名:花合わせ_花札_

登録日:2021/08/19 Thu 22:57:57
更新日:2024/06/03 Mon 13:41:57NEW!
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花札 花見で一杯 駆け引き 月見で一杯 ゲーム ローカルルール多数 花合わせ



「花合わせ」とは花札のゲームの一種。
言葉自体は江戸時代より存在していたとされているが、その頃の意味は花札事態を指していたとされており、その頃からゲーム自体は存在していたとされているが一部のルールが今と異なり、役などが設定されていなかったために「馬鹿っ花」と呼ばれており、今でも名残でそう呼ばれることもある。
基本的なルールの進行は「こいこい」と似ているが、2人で行うこいこいと違い、花合わせは一般的に3人で行う。(一応2人や4人以上でもルール調整すれば可能。)
そのため、この項目では基本的には3人で遊ぶことを前提として話を進めていく。




ルール


注意!
この項目内ではWikipediaを主な引用先にしてルールを記載するが、「花合わせ」にはローカルルール等が多数存在する為、実際にゲームを行う際には相手とルールの事前確認を行った上でゲームを進めることを推奨する。



親決め



競技前に何らかの方法で親を決定する。
決め方は全員で札を引いて、最も早い月の札を引いたプレイヤーを親とする方法でもいいし、それが面倒ならばジャンケンでもよい。
残りは親の右隣りから順に「胴二」「ビキ」と呼ばれる。


ゲーム内の札出しの進行は親→胴二→ビキの順番でローテーションを行い、1ラウンドが終わるたびに親を決め直し、それを3 ~ 5ラウンドほど繰り返す。







ゲームの流れ



場に札6枚、そして全員の手札が7枚になる様に、山札からカードを配ってゲームを開始。
(ただし、同じ月の札が4枚全て場札に来てしまった場合は配り直しをすることも。)


この状態を「手七の場六」と呼ぶのだが、3人以外の場合は以下を適用する。


2人…手十の場八(手札10枚・場札8枚)
4人…手五の場八(手札5枚・場札8枚)
5人…手四の場八(手札4枚・場札8枚)
6人…手三の場十二(手札3枚・場札12枚)
7人…手三の場六(手札3枚・場札6枚)


(8人以上も可能だが、手札が2枚以下になり、役作りが容易でなくなるのであまり行われない。)


ゲーム開始後、以下の2つの工程を親→胴二→ビキの順で行う。


①:手札1枚を場に出す。
この時場に同じ月の札があれば、1枚選択して手札から出した1枚と共に自分の持ち札にする。ない時は出した手札を新たな場の札とする。


②:山札から1枚引いて場に出す。
この時場に同じ月の札があれば1枚選択して引いた1枚と共に自分の手札とする。ない時は引いた札を新たな場の札とする。


①・②共に札があった場合は必ず取り、次の行程へと進む。
この部分の処理はこいこいとよく似ているが、役ができてもその時点で上がりが成立するわけではない、即ち更なる役を狙っていけるので、札出しの駆け引きなどはこいこいと若干変わってくる。


これを全員の手札が尽きるまで繰り返す。(花札は全48枚、そして場札6枚に手札7枚×3人なので残る山札は21枚。即ち7巡でゲームを終了する。)



点数計算及び勝利条件



花合わせは獲得した札や組み合わせで点数を決定し、その数値を競うゲームだが、それらは「獲得した札の点数」と「成立した役の点数」を元に数値を決定する。


まず「獲得した札の点数」だが、こちらは単純で、「光札を1枚につき20点、タネ札10点、短冊札5点、カス札1点」であるとして、各札の枚数で決定する。


「成立した役の点数」についてだが、予め決められた役を成立させた場合、その役に応じた点数を獲得することが出来る。(役については後述。)




最終的な点数は以下の公式で算出。



(獲得した札の点数) – 88 + (自分が成立させた役の点数の合計) × 2 – (自分以外の2人が出した役の点数の合計)



この88と言うのは「基準点」であり、花札48枚の点数の合計は264点で、それを人数である3で割って88という数字を割り出している。



3人以外の基準点は以下の通り、


2人…132点
4人…64点
5人…53点(※)
6人…44点
7人…38点(※)


(※) … 基準点を264点から割り切る形で出せないので、割った後の端数を四捨五入して出している。



計算方法は少々面倒だが、計算用紙や点数収支用のチップがあれば、ある程度処理が簡単になる。


この時に最も多くの点数を獲得した人物が次の親となり、次のゲームに移る。
場札を優先的に取れる親が有利なゲームなので、積極的に勝ちに行く事が大事になってくる。
そして一回ごとに獲得した点数を累積していき、規定回数分の試合がすべて終了した時点で最も多くの点数を獲得したプレイヤーが勝者となる。







花合わせは時代が非常に長いゲームのため、ローカルルールやローカル役も数多く存在し、それらの中には成立系で出来る出来役以外にも手札の状態で成立する手役なども存在するため、知名度の高いローカル役等がある場合は追記されたし。
「柳の札が妙に冷遇されている」などと考えてはいけない。



括弧内の点数は対象の札に割り当てられた点数の合計。



出来役



  • 五光

点数:200点 (100点)


光札5枚をすべて集めることで成立する役。
こいこいでも有名な役だが、花合わせでは成立させられれば驚異の200点を獲得できる。(もっとも、その成立が容易ではないのだが。)



  • 四光

点数:60点 (80点)


柳に小野道風以外の光札4枚(松に鶴・桜に幕・芒に月・桐に鳳凰)を集めることで成立する役。
花合わせでは「雨入り四光」は、(少なくとも正式な役とは)認められていないので五光を狙わない場合、役作りの面では柳に小野道風は後述する雨島以外ではお役御免になってしまう。(光札で20点取れるので無価値という訳ではないが。)



  • 赤短

点数:40点 (15点)


文字の書かれた赤い短冊札(松に赤短・梅に赤短・桜に赤短)の3枚を集めることで成立する役。
花合わせでは他の名前として「裏菅原」と言う名前も持っている。
対応する月には松に鶴、桜に幕の2枚の光札がある為、これらも取れれば40点が追加、更に梅に鶯も取れれば後述する「表菅原」も成立する。



  • 青短

点数:40点 (15点)


紫の短冊札(牡丹に青短・菊に青短・紅葉に青短)の3枚を集めることで成立する役。
基本的には赤短と似た扱いになるが、対応する月に光札が含まれていない、即ちペアとなる札の点数が少ないため、優先度で言うと少し下。
(猪鹿蝶が出来そうな場合などは話は別だが、花合わせでの猪鹿蝶はあまり点が高くない点に注意。)



  • 七短

点数:40点 (35点)


短冊札を7枚以上集めることで成立。
ただし柳の短冊札以外の9枚から7枚を集めなければならない。
苦労に見合っていないように見えるが、くさと複合すれば60点、青短や赤短のどちらかと複合できれば80点、両方なら120点まで上乗せできる。



  • 六短

点数:30点 (30点)


短冊札を6枚以上集めることで成立。
こちらも柳の短冊札以外の9枚から探す。
基本的には七短と同じ様な処理をする。
赤短・青短と複合できれば高得点を期待できるのも同じだが、対象の札が6枚しか取れないという事なので、複合難易度は少し上がる。



  • 表菅原

点数:30点 (50点)


松に鶴・梅に鶯・桜に幕の3枚で成立する役。
上述した赤短 (=裏菅原)に対応する光札・タネ札で成立している。
名前の由来は歌舞伎「菅原伝授手習鑑」に登場する三つ子の名前、「王丸」「王丸」「丸」の名から来ているとされる。



  • のみ

点数:30点 (50点)


桜に幕・芒に月・菊に盃の3枚で成立する役。「鉄砲」とも。
見ての通り花見で一杯・月見で一杯を内蔵しているので実質的に70点の役になっている。



  • 三光

点数:20点 (60点)


柳に小野道風・桜に幕以外の光札3枚(松に鶴・芒に月・桐に鳳凰)を集めることで成立する役。
柳に小野道風以外の光札から3枚とればよかったこいこいの三光と違い、この形しか認められていない。
ちなみにそれぞれの札の対応月の内容を取って「松桐坊主*1」と呼ばれることもある。



  • 猪鹿蝶

点数:20点 (30点)


萩に猪・紅葉に鹿・牡丹に蝶の3枚を集めることで成立する役。
知名度の高い役だが、花合わせでの点数ランクは(役の中では)低い方になる。
ただ青の短冊札が2つ取れれば青短にリーチがかかるので、狙いに行くメリットはある。



  • 花見で一杯

点数:20点 (30点)


桜に幕・菊に盃の2枚を集めることで成立する役。
狙いやすい役であり、桜に幕を要求する他の役とも複合が狙える。
ただこいこいと違い桜に幕は三光には使えないので注意。



  • 月見で一杯

点数:20点 (30点)


芒に月・菊に盃の2枚を集めることで成立する役。
役の特徴は花見で一杯と同じ。
こちらは三光の成立に使えるが、花合わせでは芒に月に絡んだ役が少ないので注意。



  • くさ

点数:20点 (15点)
藤・菖蒲・萩の短冊札を集めることで成立する役。
簡単に言うならば「(柳の短冊以外の)文字の書かれていない赤の短冊札」3枚を集めれば成立する。
赤短・青短と難易度は大きくは変わらないのに点数が低いなどと言ってはいけない。
余談だが上述した七短は成立条件である短冊札7枚の中に必ず赤短・青短・くさのいずれかのペアが最低1つ含まれる。(六短の場合は赤短の成立札、青短の成立札、くさの成立札が2枚ずつで6枚だった場合、いずれの役も成立しなくなる。)



  • 藤島

点数:20点 (17点)


藤の札(4月札)を全て取ると成立する。
役自体の点も札の点もあまり高くなく、他の役との絡みも薄いため、あまり積極的に狙う必要はなく、「作れたらラッキー」や「守りに行きつつ作る」程度の扱いでもいい…かもしれない。



  • 桐島

点数:20点 (23点)


桐の札(12月札)を全て取ると成立する。
藤島より点数は高いが、あまり大きい差とは言えない。



  • 雨島

点数:20点 (36点)


柳の札(11月札)を全て取ると成立する。
札側の点数が藤島、桐島より高く柳の札自体あまり他の役と絡みがないので、手札にある時にはあまり出し惜しみせずに出していくのがいいかもしれない。




特殊な役及び処理



ローカル役等が中心なので、必ずしもゲーム内にあるとは限らないので注意。
その他著名な役があった場合は追記されたし。



  • 七カス

点数:30点 (成立時点では未確定。)


配られた自分の札7枚が全てカス札だった場合に成立する。
ゲーム開始前に宣言し、手札全てを公開する。
要するに相手に手の内が見えてしまう代わりに点数を保証されるという事である。
ちなみにルールによっては公開した札を相手が取ってもいい場合もある。



  • 六カス

点数:20点 (成立時点では未確定。)


配られた自分の札7枚の内6枚がカス札だった場合に成立する。
七カス同様ゲーム開始前に宣言するが、公開するのはカス札6枚。



  • 親仲八丁ビキ十丁

点数:30点 (8点以上)


全員の札取りが終了した時に親・胴二なら自分の札が8枚以下、ビキなら10枚以下の場合に成立する。ビキの方が制約が緩い分若干有利。
ちなみに名前で察した人もいるだろうが、「仲」は胴二の別名。
札を取れる回数は手札→場札の7回と山札→場札の7回の計14回あり、それぞれで1回で2枚取れるため、役成立のために取れる回数が4回以下(ビキのみ5回以下)になるので、狙ってやるのは案外難しい。



  • 役流し

点数:なし (36点)


雨島と同じ札4枚を集めた場合に成立。(厳密には役ではない)
これ自体が点数になるわけではないが、これが成立すると、その回に成立した役がすべて消滅する。
この場合純粋な札の点数差で勝負をすることになるので、役狙いで札を集めている相手の狙いを外させることが出来る。
ちなみにゲーム開始前に成立する七カス、六カスも役流しになったが最後、無効になってしまう。
また役流しの性質を内包した特殊なローカル役に萩に猪・芒に雁・紅葉に鹿の3枚を集めて作る猪鹿蝶とよく似た役である「嵐」というものがある。(おいちょかぶのアラシとは別物なので注意。)



  • フケ

点数:なし (20点以下)


全員の札取りが終了した時に札の点数の合計が20点以下の者がいる場合に成立する。勘違いする人もいるかもしれないが、「基準点を引いた点」ではなく、「取った札の点数」を確認する。
こちらもこれ自体が点数になるわけではなく、その回自体が無効回になってしまう。
点数をたくさん取っているときにこれが成立してしまうと悲惨な事になってしまうので、ただ我武者羅に強い札を集めずに、相手の札がフケを狙っているかどうかなどに目を光らせる事も大事になる。






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  • そうだろうとは思ってたが自分がよく遊んでるルールはローカルルール満載だった……役どころかほぼゲームの進行手順以外、点数計算の仕方すらローカルルールだったとは。一方でローカルルールだと思ってた三光の作り方だけ一致してる点に驚くやら笑うやら -- 名無しさん (2021-08-19 23:21:04)

#comment(striction)

*1 8月の芒札は黒い山が描かれており、それが坊主頭に見えることから「坊主」の異名を持っている。

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