登録日:2019/07/30(火) 03:30:00
更新日:2024/04/19 Fri 10:56:37NEW!
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リンカーン レース 京都府 京都競馬場 競馬 逃げ切り勝ち 逃げ馬 天皇賞 g1 イングランディーレ ネオユニヴァース 四強 四強対決 名レース 四強対決…あれ? 大波乱 横山典弘 共倒れ
場内がどよめいている!
イングランディーレの大逃げだ!
2004年5月2日に京都競馬場で行われた第129回天皇賞・春はイングランディーレが勝ったレースである。
・出走馬・騎手・人気
1 ザッツザプレンティ・安藤勝己・3番人気
2 ナリタセンチュリー・吉田稔・13番人気
3 ダービーレグノ・幸英明・15番人気
4 ウインブレイズ・木幡初広・16番人気
5 サンライズジェガー・福永祐一・8番人気
6 イングランディーレ・横山典弘・10番人気
7 ウインジェネラーレ・蛯名正義・6番人気
8 シルクフェイマス・四位洋文・5番人気
9 チャクラ・後藤浩輝・9番人気
10 ファストタテヤマ・安田康彦・7番人気
11 ネオユニヴァース・ミルコ・デムーロ・2番人気
12 マーブルチーフ・池添謙一・18番人気
13 ナムラサンクス・渡辺薫彦・12番人気
14 リンカーン・武豊・1番人気
15 カンファーベスト・藤田伸二・11番人気
16 ゼンノロブロイ・ダミアン・オリヴァー・4番人気
17 ヴィータローザ・岩田康誠・14番人気
18 アマノブレイブリー・小牧太・17番人気
・レース前
薄曇りの天候の下、昨年の二冠馬や菊花賞馬などが集まり、戦前は4強対決として盛り上がっていた。
1番人気は昨年の菊花賞と有馬記念で2着になり前走阪神大章典を勝った武豊騎乗のリンカーン。
2番人気は昨年の二冠馬(皐月賞・ダービー)で前走大阪杯勝ち、まだJRAの騎手免許を取っていない頃のMデムーロ騎乗のネオユニヴァース。
3番人気は昨年の菊花賞馬で前走阪神大章典2着で昨年JRAに移籍したばかりの安藤勝己騎乗のザッツザプレンティ。
4番人気は昨年のダービー2着馬で前走日経賞2着のゼンノロブロイ。当時オーストラリアから短期免許で来日していたダミアン・オリヴァー騎手が鞍上だった。
と、この4頭が単勝10倍を切って人気が集まっていた。
4強はいずれも4歳馬であり、5歳以上の出走馬にはG1ホースはいなかった。
前哨戦の阪神大章典、日経賞、大阪杯は全て4歳馬が勝ち、大阪杯以外は2着も4歳馬であったため、4歳馬が強いと評価されていた。
・レース本番
レースはまずまずのスタートを切ったイングランディーレが素早く先頭に立った。
ザッツザプレンディが行くそぶりを見せたが、ヴィータローザ、シルクフェイマスがかわしイングランディーレの後に続いた。
1周目のホームストレッチ、イングランディーレがあいかわらず先頭、アマノブレイブリーが2番手にあがり、人気の中ではゼンノロブロイが5番手に上がっていた。
2コーナーを回ると、イングランディーレと2番手の差はどんどん広がり10馬身差以上にもなろうとしていた。
向こう正面でもその差はじわじわと広がっていく。
しかし10番人気のこの馬がいつかスタミナが切れてしまうだろうと誰もが思っていた。
3コーナーがやってきてもまだその差は縮まらない。20馬身はあろうかという差がついていた。
4強がそれぞれ警戒し合って仕掛けどころを探り合っている間にイングランディーレはどんどん逃げていった。
4コーナー、場内のどよめきとともにイングランディーレ1頭だけが悠然と直線に向いた。
ゼンノロブロイが2番手に上がるももう時すでに遅し。
しかし先頭はまだイングランディーレ!
この馬はスタミナがあるぞ!
イングランディーレの刻んだペースにつかまり、後続は思ったよりも伸びてこない。
残り200mを切っても逃げた馬との差は縮めることすらできなかった。
これは逃げ切る、逃げ切る!
なんと4歳四強もすべて退けて、イングランディーレの一人旅!
そしてそのままイングランディーレが逃げ切ってしまったのだった。
結果
1着 イングランディーレ
2着 ゼンノロブロイ
3着 シルクフェイマス
4着 チャクラ
5着 ナリタセンチュリー
6着 アマノブレイブリー
7着 ダービーレグノ
8着 サンライズジェガー
9着 カンファーベスト
10着 ネオユニヴァース
11着 ファストタテヤマ
12着 ヴィータローザ
13着 リンカーン
14着 ウインジェネラーレ
15着 ナムラサンクス
16着 ザッツザプレンディ
17着 ウインブレイズ
18着 マーブルチーフ
払い戻し
単勝:6番 7100円(10番人気)
複勝:6番 1930円(12番人気) 16番 320円(4番人気) 8番 500円(5番人気)
枠連:3-8 8960円(23番人気) 馬連:6-16 36680円(50番人気)
ワイド:6-16 9050円(54番人気) 6-8 10170円(59番人気) 8-16 2000円(18番人気)
馬単:6→16 75650円(89番人気) 三連複:6-8-16 211160円(206番人気)
勝ち時計、3分18秒4、上がり3F36秒1は決して早い時計ではなかった。しかしその脚を誰も止めることはできなかった。四強を始めとする他馬同士の警戒が仕掛けを遅れさせ、鞍上の横山騎手にイングランディーレのスタミナを残させるスローペースを許してしまったのである。
天皇賞春史上2位タイの7馬身差、1976年のエリモジョージ以来の逃げ切り勝ちであった。
そう言えば、エリモジョージが勝ったときも4強対決と盛り上がっていたのだった。
・出走馬のその後
イングランディーレは前年にもダイヤモンドSと日経賞の芝の長距離重賞を2連勝して、天皇賞・春に挑戦するも9着に敗れている。
その後ダートへと切り替え、前走はダイオライト記念(船橋・ダート2400m)2着だった。
後にも先にもこのようなローテーションで天皇賞春を制することはないだろう。
10番人気というのも前年の同レースでの大敗と近走で好走していたのはダート重賞であり所詮は芝で頭打ちになったダート馬がまた芝に挑みにきたという印象ゆえだろう。
しかも横山騎手はこれがテン乗りだった。
4月5日の池添謙一騎手の結婚式でオーナーから直接依頼されたものだったのだ。
そしてこの後、距離4000mに及ぶイギリスのゴールドカップに日本馬として最初の(そして2021年現在最後の)挑戦をすることになる。
ちなみに2006年に引退後は韓国に輸出され、コリアンダービー馬チグミスンガンを輩出。2020年にそのまま韓国の牧場で他界した。
他馬より早めに仕掛けてなんとか2着に入ったゼンノロブロイは善戦マンという役割が続いたまま次の宝塚記念に臨むが本格化したタップダンスシチーに手も足も出ず4着。
しかし、秋になりオリビエ・ペリエを鞍上とすると一変してG1を3連勝、テイエムオペラオー以来の秋古馬三冠(秋天・ジャパンカップ・有馬記念)を達成し、見事年度代表馬に輝くことになる。
残る「4歳4強」は軒並み二桁順位で、その後もロブロイとは明暗分かれることとなる。
1番人気のリンカーンはその後も善戦はするも、ロブロイや下の世代の台頭、さらには例の衝撃まで登場して、ついにG1は勝てずに引退することになる。
2番人気のネオユニヴァースはこの後宝塚記念に向けて調整中に屈腱炎を発症。このレースを最後に引退することになった。
3番人気のザッツザプレンティは宝塚記念に出走後に屈腱炎を発症。翌年復帰するもそっちの天皇賞・春がラストランになった。
つまりこの「4歳4強」が競う古馬G1はこのレースが最初で最後であり、結果「4強って言われてたけど……」という形で語り継がれるだけの看板になってしまったのであった。
余談
波乱を演出したイングランディーレだがこのレースが印象に残った少年がいた、その少年の名は横山和生。
彼は横山典弘の長男として生を受けて三男・武史*1と共に2023年時点で親子3人で中央の騎手として活躍している。
そんな彼が少年時代に普段レースに行く時もあまり口にしない父が「くるっと回ってくるわ」と発言し見事逃げ切ったこのレースを、父の中で1番印象に残っているレースとして挙げていた。
騎手となった彼はタイトルホルダーと共に春天に出走、大外からハナを奪うとそのまま逃げ切ってみせた。
これは彼にとって騎手生活苦節11年目で初めてのG1タイトルであり、それが父で一番印象に残ったレース、そして着差も父と同じ7馬身差で見事初G1を手にした。
逃げ馬を捕まえてから追記、修正をして下さい。
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▷ コメント欄
- 配当が知りたい。単勝いくら? -- 名無しさん (2019-07-30 06:22:57)
- 単勝71倍 -- 名無しさん (2019-07-30 13:38:31)
- リンカーンは2年後の天春であの馬さえいなければレコード勝ちの走破タイムで2着入線していたのに -- 名無しさん (2019-07-31 16:49:06)
- ↑2着はその馬がいたからの結果でいなければレコード勝ちしていたのに -- 名無しさん (2019-07-31 16:50:18)
- 牽制し合いのせいでノーマークの逃げ馬に逃げ切りを許される展開も稀にあるから競馬は面白い -- 名無しさん (2019-07-31 23:39:11)
- クイーンスプマンテとテイエムプリキュアの行った行ったを上がり32.9で追い上げるも時既に遅しのブエナビスタも似たような感じだった? -- 名無しさん (2019-08-03 21:37:04)
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