ワン・フォー・オール(僕のヒーローアカデミア)

ページ名:ワン_フォー_オール_僕のヒーローアカデミア_

登録日:2018/09/07 Fri 12:30:00
更新日:2024/03/22 Fri 12:43:47NEW!
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僕のヒーローアカデミア ワン・フォー・オール 個性 歪んだ愛情の産物 レベルを上げて物理で殴ればいい オールマイト 緑谷出久 自滅因子 コメント欄ログ化項目 ofa 世界七大不思議 一人は皆の為に ヴァロリー




これは受け売りだが 最初から運良く授かったものと 認められ譲渡されたものではその本質が違う!


肝に銘じておきな これは君自身が勝ち取った力だ






「ワン・フォー・オール」とは『僕のヒーローアカデミア』に登場する個性の一つである。略称はOFA。




【能力】

「世界七大不思議」とも言われるオールマイトの“個性”。
巷では「ブースト」とも「怪力」とも言われているが、正確には「超パワー」「超スピード」を兼ね備えた「超すごい身体能力」である。


効果は至極単純、劇中でオールマイトが見せているように地を駆け、空を跳躍し、拳の一撃でぶっ飛ばす。
たったこれだけ。
だがその出力はそこらの個性とは比較にならない程強大で、その脚はビル街をも軽々と飛び越え、全力の拳は天候すら変えてしまう。
どんな状況も物ともせず、力技で正面突破する…まさしく最強のヒーローに相応しい個性である。


ただし、“ワン・フォー・オール”はあくまでも「身体能力」を付与するものであって、巨大化や怪物化のようにそれを発揮させる「肉体」を形成するものではない。
つまりそのパフォーマンスを発揮できるかどうかは持ち主の身体能力に大きく依存している。
オールマイトが超人的な活躍を見せているのは、あくまで彼自身が個性を受け止めるだけの強い肉体と体を操るセンスを持っているためである。


それ以外に、仮に高出力を無理なく発揮できてもその強すぎるパワーによって自分以外に被害が及びかねないというデメリットがある。
具体的には最大出力の僅か15%を超えた段階で挙動に「突風」「風圧」が付属してしまう。
そのため単純にヴィランを倒すことだけを目的とするならともかく、周りを傷つけないように立ち回るならかなり繊細なコントロールを必要とする*1




●目次


【正体】

“ワン・フォー・オール”の本質は上の能力ではなく、「“個性“の譲渡」と「代を重ねるごとに出力が増していく」という他の個性には見られない特異な性質である。


  • “個性“の譲渡

この“個性”は所有者が自分のDNA情報を含む何か(髪の毛等)を、他人に体内に取り入れさせることによって譲渡することができる。


譲渡条件は現所有者側の譲渡する意思だけであり、それさえあれば渡す人間の「人種」「性別」「年齢」「個性の有無」などは一切関係ない。
…とはいえ、分不相応な者が譲渡されても良くて「名刀を拾った素人」であり、悪ければ体が壊れて障害が残りかねない上、何よりOFAの存在理由を考えると、所有者は後継となる人間を慎重に選ぶ必要がある。
また、「ある程度育った人体に後天的に付与される身体機能」という性質上、継承者は器の強化と同時に制御感覚を一から把握する必要があるのだが、上述の通りOFAは使い方を誤ると自身の身体を崩壊させかねない超パワーであるため、トレーニングは慎重に行わねばならない。


出久の成長ペースを考えると、「体格並」「センス並」「運動経験0」の中学生でも、きちんとした指導者の下、2年間必死にトレーニングすれば、出力30%までであれば負担なく扱え、45%を発揮しても壊れない器と感覚を持つレベルまでは到達可能なようだ。



  • 代を重ねるごとに出力が増していく

“ワン・フォー・オール”には「力を蓄える」という機能がある。


継承者は譲り受けた力に満足せずさらに鍛錬を重ね、より大きくなった力を次の継承者に譲渡する。
次の継承者もまた、受け取った力をさらに大きくして次の誰かに…
そうして密かに、連綿と受け継がれてきたのがこの“ワン・フォー・オール”であり、主人公の出久はその九代目継承者となる。
すなわち、出久が受け継いだ時点で、以前の8人の継承者たちの弛まぬ鍛錬で培われた「力の結晶」だったのである。
そんな力を全力で行使すれば、そりゃ骨は折れるし肉も爆ぜる。
その性質上、継承者は「現状に満足せず、さらに高みを求めて努力する」という性格の持ち主であることが必要不可欠となり、OFA保持者が新たに後継者を探す際には、そういった資質を持つ者を見出すことが求められる。


ただ与えられた“才能”とは違う、求め努力する者のみに許される“勝ち取る力”。
それこそが“ワン・フォー・オール”。
“平和の象徴”に相応しき者に聖火の如く受け継がれる“個性”である。


これらの詳細は歴代継承者のみに知らされており、次代継承者以外には漏らしてはいけない最重要機密として扱われている。
そのため、出久は自身の個性を対外的には「超パワー」と呼んでおり、オールマイトの個性と同一であることももちろん伏せている。
「世界七大不思議」になっている通り、オールマイトはマスコミはもちろん、知れば命の危険があるために家族や親友にも一切明かしておらず、後継者の出久が勝己に話してしまった時には、その時の相手は戯言としか捉えてなかったが「これっきりにしてくれよ」と秘密にするように釘を刺している*2


なお、八代目のオールマイト、九代目の緑谷出久が共に無個性だったために、『OFAは無個性の者にしか譲渡出来ない』と勘違いする読者も見られたが、上述の通り、継承に必要なのは現所有者の継承の意志だけであり、元々自分の個性を持つ者に譲渡することも可能。
この場合、継承者は個性を二つ持つことになるが、本来持っていた個性も身体機能の一部であるため、譲渡されたワン・フォー・オールの影響を受けてさらに出力が強化される。
例えば、勝己がこの個性を継承した場合、身体能力のみならず爆発の規模と威力も普段とは桁違いに増幅されるが、その分(当然ながら)勝己の腕にかかる負担も一気に跳ね上がる。


しかし、オールマイトが調査したところによると、元々の個性に加えてワン・フォー・オールを持つことは、それだけで命を削るということが判明。
その根拠となったのは、四代目継承者である四ノ森避影。
彼の病歴・解剖結果などを調べると、その死因は老衰と結論付けるしかなかったが、彼の享年は40歳であり、40代での老衰死は明らかに異常だった*3
そしてオールマイトは、四ノ森と自らとの違いを調べ、その異常な若さでの老衰死の要因に思い至った。
OFAを受け継ぐ前は無個性だった自分とは違い、彼は受け継ぐ前から元々自分の個性を持っていた。
つまり、既に個性を持つ身体にOFAを継承すると、身体の許容量を超え、持ち続けるだけで寿命を削ってしまうのである。



出久やオールマイトのように、元々無個性の継承者であれば身体の許容量に収まってこのリスクは無効化されるので、継承後に発生し得るリスクを排除するという意味では、OFAを継承する人物は無個性であることが望ましいということになる。


しかし、出久が継承した時点で世界総人口のおよそ八割が何らかの個性を有し、無個性の人間は希少といえる状態になっている以上、出久が自身の次の後継者を定める頃には無個性の人間がいなくなっていてもおかしくはない。


また、出久はOFAの継承に備えてオールマイトの指導の下みっちりトレーニングを積んだ上、雄英高校入学後も授業とトレーニングに勤しんだ結果、自身の爆発に耐える為の強靭な肉体を先天的に有し、さらに鍛え上げているという設定の爆豪と同程度の耐久力にまで体が鍛え上げられていることが見て取れる描写があり、かつてのオールマイトのように先天的にOFAを扱えるほどの肉体を持っておらずとも、出久のように鍛錬する意思・熱意を持っており、適切な訓練環境があれば問題ないと思われるが、上述の世界情勢から、肉体や精神以前に無個性の若者を見つけるということ自体が非常に困難になっている可能性が高い。


加えて出久は、エンデヴァーに師事して以降は個性の並列処理や出力調整の技術を「稀代の天才」である轟や爆豪に見劣りしないスピードで修得しており、オールマイトを師事したグラントリノや、OFAに宿る歴代の意思がその呑み込みの早さに感嘆する場面も度々見られ、精神面では非凡であることが窺える。
確かにオールマイトには及ばずとも、出久もまたOFAの継承者としては高い適性・才能を持っていたと言っても過言ではなく、耐久力の面だけでなく複数個性の並列処理において、出久以上に高い素質を持つ人材を見出すのもまた困難と思われる。


そして万歩譲って、無個性ながら恵まれた肉体を持っている、あるいは将来性が見込める若者をなんとか見つけられたとしても、当該人物がOFAを継承するに相応しい人格の持ち主でなければ何の意味も無いため、そういう意味ではオールマイトよりも後継者探しは難航するであろう。


件のリスクも、40歳でこの世を去った四ノ森のときよりもOFAは確実に出力を増している以上、それに比例して重くなっていると考えてほぼ間違いなく、出久がもしも元々個性を持つ人間に譲渡したなら、その後継者は四ノ森より若くして亡くなってしまう可能性が高い。
それは直接の譲渡者たる出久はもちろん、歴代継承者たちも望まない未来であろう。


そういった現状を鑑みると、出久が最後の無個性の継承者、つまりはOFAを長く強く使える最後のOFA所有者となる可能性も決して低くない。
故に、出久が自身の代で決着を付けるのが望ましいと言える。



  • 残り火

OFAは次代の継承者に譲渡が完了しても、継承元の人間からその時点で綺麗に消えてしまうわけではなく、徐々に消えていく。
完全に消えるまでの間であれば継承元の人間もOFAは引き続き使用でき、これが「残り火」である。


明確なタイムリミットがあるわけではないが、大本は既に次の継承者に渡っているため、過度に「残り火」を使用すれば当然使用可能時間は短くなっていく。



【オリジン】

実はOFAは元々誰かの個性として生まれたものではなく、ある種の突然変異で生まれた個性であり、ある兄弟の歪んだ愛情の産物でもある。


劇中世界において、出久が産まれるよりもっと前、個性は異能と呼ばれ、それを持たない人間がまだ多数派を占めていた時代では、異能を持つ少数の者と、持たない大勢の者は激しく対立していた(『X-MEN』のように人間がミュータントを差別していた感じに近い)。
そんな時、とある男が自らの個性(異能)を利用して増加の一途を辿る個性を持った人間たちを纏め上げ、日本を本拠地として裏社会に君臨した。


"オール・フォー・ワン"
他人の個性を奪い取り、更に他人に個性を与えることが出来る個性を持ったその男は、悪行の限りを尽くした。
彼は個性を活かして一世紀を優に超える間君臨し続け、その悪名と影響は日本に限らず世界中に及び、人々を恐怖と畏怖の念で支配下に置いていた。
そんな彼には、ひ弱だが正義の心を持った弟、与一がいた。
彼は兄の所業に心を痛め、自分を取り込もうとする兄に必死に抗ったが、一方のオール・フォー・ワン(以下AFO)はそんな弟に歪んだ愛情を抱いており、自害を試みるほど自身を拒絶する弟に、AFOは強制的にとある個性を与えた。
「力を蓄えることのできる」個性を。


しかし与一には、兄はおろか本人すら知らなかった個性が存在していた。
それは「個性を与える」個性。


単体では何の意味もないその個性は、与えられた「力を蓄える」個性と混ざり合ったことで変貌を遂げる。
そう、「“個性“の譲渡」と「代を重ねるごとに出力が増していく」という特性を持った個性へと…


自分が駄目なら同じ志を持つ誰かが、届かなければ自分の力を上乗せし次の誰かに…。
そうして、AFOを止めるために世代を超え脈々と受け継がれてきた力。
数多の人間から奪った個性を複合させるAFOに対抗すべく、単純な一だけを増大させ極めた個性。
それこそが"ワン・フォー・オール"のオリジンである。


OFAの後継者には、強力な個性以上に

  • 強い肉体
  • 体を操るセンス
  • それらを維持・増強する日々の鍛錬
  • AFOと戦う宿命を担う覚悟

が求められ、OFA保持者は先代から受け継いだAFO打倒の他に、自分と同程度かあるいはそれ以上にOFAを継ぐに相応しい後継者を見つけ出す使命も課せられているのである。



【歴代の継承者】

  • 初代:死柄木しがらき与一よいち

個性:"個性"付与
CV:保志総一朗
オール・フォー・ワンの実弟。
白っぽい髪、痩せた顔、穏やかだが強く優しい意志をたたえたタレ目の青年。
熱い正義の心を秘めた人物で、兄AFOの所業に心を傷め、反逆し続けていた。
一方でその正義感はやや独善的で、社会の中で苦しみAFOに救いを求める者たちを非難するばかりで、別の解決策や自分で救うといった行動は行わなかった。
元から病弱だった上にAFOに反発して自律的拒食症に飛び込んでいたため、身体も痩せこけていたという。


「個性を譲り渡す」という単体では何の意味もない個性だったため自他共に長らく「無個性」と思われていたが、AFOに強引に押し付けられた「力を蓄える」という個性と混ざり合ったことで彼の内で生まれたのが、ワン・フォー・オール。
いつかAFOを打倒するための牙、その始まりであった。


弔と出久の戦いの後にOFAの意識の中で歴代の継承者らと共に出久と会話する。
出久が出した「死柄木を救けたい」という答えに納得し、OFAがオールマイトや出久達に渡ってよかったと喜び、終始無言で壁の方を向いていた二代目と三代目に力の全開放をする為の協力を呼びかけ、彼らを説得した。
押しは弱いが正義感と思いやりと共感が強く、人柄の近い9代目デクにかなり贔屓をしている。
そのため、初代として他人格とデクとの仲介役を担っている。
またその生まれのためにAFOの心身の急変を感じ取る感覚を持っており、AFOの異常事態をヒーロー達に伝えるセンサー役も担っている。


なお、劇中でAFOは自身の苗字を「死柄木」だとしているが、この言葉が真実であれば、弟である彼のフルネームは「死柄木与一」と考えられる。


  • 二代目:駆藤くどう

個性:変速
CV:小野大輔
赤系の髪で顔に大きな傷のある男性。
与一からは三代目と同じく「マイヒーロー」と呼ばれている。
オールマイトも名前や個性を把握しておらず、意識の世界で登場したときも、何も言わずに壁の方を向いていた。
かつては初代と同じ時代、つまり肉体的全盛のAFOが支配をひたすらに拡げていた最も過酷な時代を生き抜いており、支配される者達が支配されている事すら気づかないという状況から未来を危惧し、後の三代目を始めとした仲間を率いてAFO打倒のために戦い続けていた。
その過程で当時兄のAFOに軟禁状態に置かれていた与一を救出し、彼から力を受け継いだ(ちなみに初代を助けた時には顔には傷は無かった)。


当時の情勢の過酷さを痛いほど理解していたことと、AFO打倒のために多くの仲間を犠牲にしてきたことで、「戦いの果てにあるのは生きるか死ぬかだけ」という考えに至った彼は、敵であるはずの死柄木を救おうとする出久の考えを「イカれた幻想」と断じ、さらには自分たち歴代の継承者の積み重ねて来たOFAを出久に託すことにも否定的であったが、かつて宿敵の弟と知りつつ自身を助けたことを引き合いに出した与一の説得で、出久に協力姿勢を示した。


二代目の"個性"「変速」は、OFAの力の蓄積を受けて相当危ない形で変異している。
二代目本人曰く「極めて特異な力へと変貌した」「嘗ての使い方ではもう扱える代物じゃない」「使えば一発でお前が大怪我、それでは後が続かない」とのことで、出久には自身の個性を最後の選択肢として取っておくように忠告している。


  • 三代目:ブルース

個性:発勁
CV:鈴木崚汰
水色のポニーテールでヘアバンドを付けた若い男性。
二代目同様にオールマイトも名前や個性を把握できておらず、意識の世界で登場したときも、何も言わずに壁の方を向いていた。
与一や二代目とは同じ時代を生き抜いており、かつて二代目の仲間としてAFOと戦い、その最中に二代目と共に与一を助けた。
それ故に二代目を「リーダー」と呼んでいる。
最も過酷な時代を生きた故に二代目と同じく、出久の考えには否定的であったが、初代の説得により二代目と共に出久に協力姿勢を示す。
個性の「発勁」は、力を溜め、それを少ない動きで発することができるというもので、堀越先生は個性の名前を「充電」と「発勁」のどちらにするかギリギリまで悩んだとか。


  • 四代目:四ノ森しのもり避影ひかげ

個性:危機感知
CV:森川智之
グレー系の薄い金髪で顔の左半分に大きなヒビがある。
万縄曰く「俗世に嫌気がさして仙人みたいな生活をしてた変人」とのことだが、本人は自身が生きてた頃を「酷い時代」「私以外が変人だった」と語っている。
アニメで描写された回想シーンでは黒帯の道着を着ていたことから生前は武道家だったと思われる。
OFAの所持期間はオールマイトに次ぐ18年間で、自身ではAFOに到底勝てないと悟ったため、自分のOFA保持者としての役割は力を培うことだと悟り、AFOから逃げ続けひたすら力を蓄えることに専念した。
しかし複数個性の所持によって命を縮め、晩年に身体にヒビが入ってしまい、わずか40歳でありながら老衰で他界してしまった。
つまり、3人の継承者が鍛えたものを受け継いだ彼の時点で、元々個性を持つ人間がOFAを新たに受け継ぎ、複数個性の持ち主となることは、例え彼のように力を使わず、蓄えることに専念したとしても、寿命を削ってしまうほどの負担が身体にかかるということを示している。


  • 五代目:万縄ばんじょう大悟郎だいごろう/ラリアット

個性:黒鞭
CV:安元洋貴
スキンヘッドにゴーグル、革ジャンと『MADWORLD』のジャックほぼまんまのビジュアルが特徴。
黒い紐状のエネルギーを出す「黒鞭」を駆使して、捕縛と空中機動を得意としたヒーローだった。
生前、AFOによるOFA強奪を阻止したという。
出久の意識に最初に出現し、“特異点”を過ぎたワン・フォー・オールの真の力を明かし、同時に彼に心を制することを伝えた。
明るく豪放で物怖じしない人柄で、どの人格ともストレートにコミュニケーションが出来る。
初代とともに、デクと各人格との仲介役を引き受けている。


  • 六代目:エン

個性:煙幕
CV:柿原徹也
フルネームは不明。
口元を覆い隠す赤い服を着た黒い髪の男性で、志村菜奈の師匠。
万縄のことは「先輩」と呼んでいる。
万縄と同様、AFOによるOFA強奪を阻止した。
初代を連想させる優しい態度の青年で、デクに継承個性をレクチャーする際も苦笑交じりのソフトな言葉遣いだった。
コントロール困難な“個性”の扱いに難儀するデクに、共感する所があったのだろうか。


  • 七代目:志村しむら菜奈なな

個性:浮遊
CV:園崎未恵
オールマイトの師匠でグラントリノの盟友のヒーロー、継承者の紅一点。
弧太朗という一人息子がいたが、AFOの魔の手が迫る前に戸籍を書き変え、里子へと出した。
オールマイトが18歳の時、AFOとの戦いに敗れ殺害されてしまった。
OFAとは別に「浮遊」の個性を所持していたが、どういったメカニズムで飛行を可能としているか等の詳細は不明である。
OFAの意識の世界で出久に死柄木が自身の孫である事を伝え、出久が助けを求めてると思っている死柄木を殺してでも止められるのかと出久へ覚悟を問いかけた。
出久の答えを聞くと、自分達の選択は誤っていたが自分たちは弟子には恵まれたと涙を流し、出久へグラントリノへの伝言を頼んだ。
女傑とも言える彼女だが、元から泣き上戸だったらしい。


個性:無個性
CV:三宅健太
その圧倒的な強さと存在感でヒーロー社会に君臨するNo.1ヒーローであり、存在そのものが犯罪の抑止力となる“平和の象徴”。
OFAを用いてそのような大々的な存在になったのは歴代継承者の中で彼が最初(もちろん個性は秘匿していたが)であり、さらに、AFOと互角に渡り合えるだけの力を有し、完全にとはいかなかったものの、一度AFOを倒すまでいったのも彼が最初である。


志村に接触を図ったのは中学在学時でOFAを継承したのは高校入学前。
継承してすぐの時点でなんとなくで100%を扱えてしまった逸材中の逸材。
自分自身の個性こそなかったものの*4、平和の象徴たらんとする志はもちろん、OFAを扱うセンスに適性の高い身体も持ち合わせた、まさにOFAを受け継ぐに相応しい、心技体揃った歴代最強の継承者だったと言えるだろう。


個性:無個性
CV:山下大輝
本編の主人公。
中学3年春にオールマイトに自身の後継者に見出され、高校入学前に継承した。
肉体面での素質は並レベルで、それまでの積み重ねも無いため、現状ではOFAを100%の出力で使用すると身体を激しく損傷させてしまう。
トレーニングによるOFAの許容出力向上・制御に四苦八苦しているが内面の資質は本物。
未だ発展途上の器といえる。
身体を傷付けずに使用し続けられる出力はフルカウル習得時点でわずか5%だった。
継承から丸1年が経つ頃には30%まで向上し、また無理をすれば45%まで発揮できるようになっている。
肉体面・身体操作能力で先代に遠く及ばないが頭脳面の資質は図抜けており、複数の個性を活用するには最も適した人格であると言える。




【覚醒】

雄英体育祭で心操人使と対戦し、洗脳を自力で解除した際、出久は歴代の後継者たちの姿を垣間見ている。
オールマイトは個性に染みついたただの面影だろうと考えていたが*5、1年秋のとある夜に夢で再度邂逅し、初代の面影は出久に語りかけてくるのだった。
伝えられた初代とオール・フォー・ワンの記憶、現状に対してあまりに力不足と言わざるを得ない後継者への危惧、「特異点は過ぎている」という謎めいた警告、そして「僕らがついている」という励まし…
夢から覚めたとき、出久の右腕にはそれまでなかった不可思議な紋様が顕れていた。


出久の代でOFAが急速に成長したことで時限ロックが解かれ新たに手に入れた力。
それは、


歴代の継承者たちが有していた個性を使えるようになる


という驚くべき能力だった。
OFAがストックする「力」は運動能力に限ったものではなかったのだ。
八竜の炎とは関係ない。


従来の身体能力強化に無数の手札が合わさることでオールマイトを遥かに凌ぐ戦闘能力を得られる見通しが立った。
だが、それももし完成できればの話・・・・・・・・・・
その時点で先代の20%の力がやっとの出久にとって、さらに6つの個性を操るなど遠く険しい道のりになる事は想像に難くない。


そして、最も厄介なのは、OFAが特異点を過ぎてしまった結果、その特性が変質し、

  • OFAによって身体能力だけでなく歴代継承者から受け継いだ個性も強化されるようになった点
  • 使用者(継承者)の僅かな感情の変化にもOFAが過敏に反応するようになった点

である。


万縄も「その力はもう雑念マシマシで使っていいものじゃない」と注意している。
歴代継承者の特徴すら掴めていない個性も存命時より大幅に強化されてしまっている上に制御は一層困難になっている。


この能力について、出久はゲームで例えるなら「たたかうコマンドだけでラスボスと張り合えるくらいになってから解禁される裏ダン用スキル」のごとく、「ワン・フォー・オールの出力100%の先にある(フルパワーで扱えるようになってから初めて満足に使える)力」と当初は勘違いしていた。
しかし、実際には、慣れさえすればAFO本体のように出力を制御できる程度に抑えてやりくりするといった融通は一応利くので、むしろ「出久の出力不足を補うためメタ的にはバトルスタイルをオールマイトと差別化するためのスキル」として活用出来る。


とはいえ、個性が違えば制御のノウハウも異なる上に、それらを同時に並列処理しなければならず、雑念が個性暴走に繋がる危険が生まれた。
そのため、出久は継承個性を使用する際には以前以上の注意が必要になり、制御の難易度はまた跳ね上がってしまった。


だが、そんな彼に万縄はこういった。「頑張れば大概何とかなる。俺たちがついてる」と。
偉大な先人たちに見守られながら、出久はOFAの継承者としてこれからも努力を重ねていくことだろう。
尚OFAの時限ロックが解除されたことで、OFA内に有った継承者の意識は輪郭を帯びていって継承者同士でのコミュニケーションが取れる様になり、さらには死柄木との交戦によってAFOの力に引っ張られたことで、より出久の前に現れやすくなった。
死柄木との交戦以降は、出久が意識のある普段の状態でも、歴代の継承者達とコミュニケーションが取れる様になっている。更に歴代継承者達の協力が得られてワン・フォー・オールの力の全開放が行なわれたことで、出久の意思での歴代継承者達の個性の使用と個性の出力のコントロールが可能になった。


またほとんど問題になることはないが、彼らには継承者の行動・個性の使用を抑制する権限がない。
そのため、仮に継承者が悪の道に走ったり、または無為に自らを危険にさらすような真似をしても、せいぜい脳内で警告を告げる程度の抵抗しかできない。
なお以降の継承個性は、デクのモノローグで継承者の順番で呼ばれている事がある。
太字で表記する。


  • 変速へんそく

2nd
第二次決戦での死柄木弔戦で発現。
マニュアル車のギアチェンジのように、触れた物体の速度を段階的に操作することが出来る。
二代目自身がこの個性を扱っていた頃は、拳大の無機物一個に限り移動速度を上昇させるのが精々だったようで、腕に装着した大口径銃の銃弾の射出速度を上げていた模様。
だが、街一角を容易く変形、崩落させるAFOにとっては脅威足り得ず、かつては「ちんけな豆鉄砲」「足掻きと呼ぶことすら烏滸がましい」と二代目を見下して造作も無く仕留めていた。
だが、OFAの成長により付与の解釈が拡大されたことで、効力が増大したばかりか有機物の細胞一つ一つに同時に作用するようになった上に、蓄積された純粋な「力」と重なることで一変した。
世の理すら歪ませる」と称するその力は、音を置き去りにする超連打を可能にするだけでなく、最早ただの加減速を超えた慣性制御に近い。
ギアを落とせばそこで即座に遅くなるし、上げれば瞬時に最高速度となる。
余りにも異常な急制動なので、OFAに大分順応したデクでも対処が困難で、敵にカウンターで迎撃されかねず、自分の挙動と攻撃を合わせるのに苦労する。
しかし、デクは「危機感知」によってカウンターを察知して「煙幕」と「変速」による減速でタイミングを的確にずらして「浮遊」で回避し、「黒鞭」で敵を引き寄せてデクの都合の良い間合いに強引に敵を引き摺り込む。
超音速の連打と反復動作でエネルギーを蓄積する「発勁」との組み合わせは抜群で、さながら永久機関のようにフルチャージと加速を繰り返す。
その連撃でフルチャージされた「変速」の最終段階「五速(オーバードライブ)」はAFOと統合された死柄木をも貫く一撃となる。
体に多大な負荷がかかる所為で「変速」を前提とした全個性に一斉使用の制限時間は5分と短いが、この5分間に限りデクは全盛期オールマイトすら凌駕する力を発揮する。


  • 発勁はっけい

3rd
レディ・ナガンとの戦闘で初使用。
一定の動作を繰り返すことで、運動エネルギーを一時的に蓄積し任意のタイミングで放出出来る。
簡単に言えば、スクワットを繰り返せばジャンプ力が跳ね上がる能力である。
同じ動作を繰り返す必要があることから相手に次の行動を読まれ易く、特に足で使おうとすれば移動がままならない。
そのため、戦闘用として見れば強い個性とは言い難い。
「黒鞭」や「浮遊」で移動を代替しつつ「煙幕」や遮蔽物で動作を隠せるOFAであれば有効活用出来るが、複数個性の並列処理を前提とする都合上、運用の難易度は高い。そのため出久が習得訓練をしてなくぶっつけ本番で使用した時には、OFAの他の個性を連続使用したことで、個性の並列処理がおぼつかなく動きが止まってしまった。
最大出力45%時のデクでも、「黒鞭」の反動とOFA最大出力を上乗せして「発勁」を繰り出せば、一つの動作に限り全盛期オールマイトの挙動を疑似的に再現出来る。


  • 危機感知ききかんち

4th
蛇腔市での死柄木弔戦で発現。
OFAで強化された所為もあってか、出久自身が任意でON/OFF出来る個性ではないようで、自分を脅かし得る強敵が近くに潜んでいると「危機感知」が止まなくなってしまう。
ただし、名称こそ「危機感知」だが実質は「敵意センサー」であり、意志のない爆弾トラップはおろかデク本人ではなく所持品を狙った狙撃などにも反応しなかった。
出久は主に、強敵の所在の絞り込みや、攻撃を察知して回避の成功率を上げる補助に利用しているが、裏を返せば彼はオールマイトのような感覚を素で持っていないことを示す。
そのため「危機感知」の働かない敵意のない攻撃への対処は後手に回ってしまう。


  • 黒鞭クロムチ

5th
「掴みたい」という思いに呼応して発現した継承個性。
黒い触手のような物体を腕から伸ばすことができる。
20%以上のOFAと併用することで、複数台の自動車も瞬間的に持ち上げることが出来る程強靭になり、四肢に巻き付ければサスペンションのような衝撃緩和にも役立つ。
鞭と名付けられているがワイヤー移動系の個性で、その動作は例えばフリーダムウォーズの「荊」などに近い。
意識の世界で万縄が「最初に発動したのが俺で良かった」と言ったことから考えると、継承個性の中でも扱いやすい部類だと思われる。
実際、覚醒後のデクはほとんどこの5thが出っ放しである。


  • 煙幕えんまく

6th
マスキュラーとの再戦以降使用している。
煙系の個性使いの中には煙に指向性を持たせたり常時操作出来る者も居るが、この個性は猛烈な勢いで「煙幕」を噴出する以外は出来ず、むしろOFAで過剰に出力が増幅されている為に簡単に広範囲を煙で包み込んでしまい、更に自分も視界を失う(「危機感知」との併用である程度補える)ので、そこそこに不便。
敵の視界を限定して、行動の選択肢を誘導するのに利用している。


  • 浮遊ふゆう

7th
蛇腔市での死柄木弔戦で使用。
OFAで強化されたことによって、自身だけでなく周囲にいる複数の人物も浮かせることができる。
出久は「黒鞭」と同時使用する事で浮かせた人物を浮かせたそのままの状態にした。
マスキュラーとの再戦時には普通に使用していた。



【余談】

AFOを大本に生まれた個性だが、OFA自体にはアレとかコレのように大本を弱体化させたり相対した際に強化補正を得られるような特性は備わっていない。
そのため、AFOを倒すために必ずしもこの個性が必須というわけでもない。
だがAFOに対抗できる個性となれば、実質的に他の個性とは一線を画する出力を持つOFA(とそれを十全に扱える使い手)しかないのも事実。


元ネタはもちろん『三銃士』で有名な台詞「One for all, all for one(一人はみんなのために、みんなは一人のために)」。


「与『一』」「駆『藤(ふ、じ=二)』」「ブルー『ス(・リー)=三』」「『四』ノ森避影」「万縄大『悟(ご)』郎」「煙(け『む(=六)』り)」「志村『菜奈(なな)』」「『八』木俊典」「緑谷出『久(く)』」から、おそらくは継承者の名前には継承順位の数字が入っていると思われる。



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*1 ヴィランは倒せたが周辺は瓦礫と怪我人の山になりましたでは全く笑えない
*2 譲渡した時点で他言無用を厳命しておかなかったのは、まさか話すとは思わなかったからだろう。
*3 このためオールマイトは調査ノートからも四ノ森の死因についての記述を削除していた
*4 前述の元々自身の個性を持つ者が継承した際のリスクを考えれば、なかったからこそ40年も保持できたと言えるが。
*5 イメージそのものは彼も見ている

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