忠武公李舜臣級駆逐艦

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登録日:2012/09/14 Fri 00:57:23
更新日:2024/03/13 Tue 01:23:30NEW!
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忠武公李舜臣級駆逐艦とは、当初韓国海軍の主力艦艇として9隻計画されていたが、欠陥により3隻で建造が打ち切られたKDX-I広開土大王級駆逐艦に続いて建造された韓国海軍の主力艦である。


忠武公李舜臣級駆逐艦

諸元

基準排水量 4400t
満載排水量 5500t?
全長 1544m
全幅 169m
喫水 4.3m
速力 29ノット+
航続距離 17ノットで12000km
乗員 300人


兵装

Mk.45Mod4 62口径5インチ単装砲 1基
Mk.41VLS 32セル
ゴールキーパー30mmCIWS 1基
Mk.49 21連装発射管 1基
4連装対艦ミサイル発射管 2基
Mk.32 3連装魚雷発射管 2基


レーダー及び電子機器類

AN/SPS-49(v)5
MW-08
AN/SPS-95K(航海レーダー) 1基
DSQS-21BZバウ・ソナー
SQR-220K曳航ソナー
STIR-240(FCS)
SLQ-200(v)5K SONATA電子戦装置
KDAGAIE Mk.2チャフ発射管 4基


機関

GE LM2500ガスタービンエンジン 2基
MTU 20Vジーゼルエンジン 2基


艦載能力

スーパーリンクス哨戒ヘリコプター 2機



解説

本級の艦体は独IABG社の協力を得て設計され、基本的な艦型や兵装などの配置は広開土大王級駆逐艦を踏襲している。
しかし余裕の無い小さい艦体とそれを補う為大型化した上構によりトップヘビー気味となった同級を踏まえ艦体は拡大されている。
また艦橋から煙突格納庫までを一体化した構造とし、艦橋を1甲板分増やすなど艦内スペースの拡大が図られている。


広開土大王級駆逐艦と比較し、ステルス性向上に対する配慮が各所に見られる。
レーダーに対するステルス対策として、船体及び船体上の構造物は側面に傾斜を持たせ、艦橋や格納庫は両舷一杯までとし船体と一体となったデザインとしている。
マストも広開土大王級駆逐艦のトラス構造のマストから平面構成の塔型マストへ変更され、船体外板にはレーダー波吸収塗料(RAM)が使用されていると見られる。
各種対策の結果本級のレーダー反射断面積(RCS)は、排水量1200tの浦項級コルベットよりも小さい値を示したと言われている。


船体が過小であることから余裕が無いと見られた広開土大王級駆逐級と比較し、
長さで約20m、排水量で1500t以上増加し、さらに韓国海軍で初めて艦隊防空ミサイルを搭載した。
当初計画数は6隻で、KDX-I 6隻と組み合わせる計画であったが、世宗大王級駆逐艦建造に伴い、一時3隻に縮小することも検討された。
しかし再度6隻の建造計画となり、2008年9月に6番艦が就役した。


艦のサイズ自体は海上自衛隊の主力艦むらさめ型護衛艦とほぼ同規模だが、
上部構造物にアルミ合金が多用されているため喫水は浅く、満載排水量はやや小さいとみられる。


武装

忠武公李舜臣級駆逐艦の前期タイプ3隻は艦橋前の32セルのVLSにスタンダードSM-2対空ミサイルだけ装備していたが、
後期タイプ3隻はVLSを64セルまで拡張し国産の巡航ミサイル「天龍」と対潜ミサイル「赤鮫」を追加装備する予定。


VLSの左側32セルはスタンダード用のMk41で、右側に増設される32セルのVLSは「赤鮫」のコールド・ランチに対応する新型が装備される。
「天龍」は射程約500kmの対地精密誘導巡航ミサイル。「赤鮫」はK745「青鮫」短魚雷にロケット・ブースターを装着したもので、投射距離は約10km。
1番艦と2番艦はハープーン対艦ミサイルを使用しているが、3番艦からは国産のSSM-700K「海星」が搭載される。短魚雷も国産のK745「青鮫」になるものと思われる。



問題点

武装

上で紹介した強力な武装。実はほとんどが開発中or欠陥品である。


まず巡航ミサイル「天竜」は開発中。
対潜魚雷の「赤鮫」は標的を外す欠陥品。
対艦ミサイル「海星」はハープーンを参考にしたくせにハープーンより大きく、よく燃料漏れを起こす。
そのため現在燃料漏れを起こさない改良型を開発中。


主砲砲身の破裂

2007年5月。射撃訓練中のDDH-976 文武大王で、砲弾が爆発して砲身が破裂する事故が発生。
韓国海軍の調査では運用上の問題は無かったという。
砲弾を製造した伊シメル社はこの事故について「砲弾の設計及び生産に全く問題は無く砲弾保管中に発生したサビが砲身内自爆の原因である」と、
暗に韓国海軍の運用・管理能力の低さを指摘。
またBAE社も砲身の開発・製造に問題は無かったと発表している。


因みにこの発表に対し韓国側は第3者機関に公正な分析と調査を依頼するとしている。
事故を起こした文武大王は8億ウォンをかけて6月に裂けた砲身を交換し、現在は通常通り任務に就いている。


整備

2011年9月現在、運用開始10年未満にもかかわらず、
部品の共食い整備により運用可能な艦は6隻中1隻だけであることが韓国国会国防委員会のソン・ヨンソン議員の指摘により判明した。



余談

アルミ合金

フォークランド紛争の戦訓等から艦の抗堪性を重視するようになった現在の海上自衛隊の護衛艦では、
艦の重量化を承知で艦体や艦橋構造物へのアルミ合金使用を避けている。*1
なぜなら、アルミ合金は高温にさらされると強度が低下するため、火災に対する脆弱性が懸念されているから。


実際イギリス海軍はフォークランド紛争において、船体にアルミ合金を使用していた艦艇が大きな被害を受けた*2
また熱伝導性の問題から、電子機器に対して悪影響を及ぼすともされている。


もっとも、分厚い装甲に被われていた太平洋戦争時代の軍艦に比べ、現代の軍艦は装甲が薄いため、対艦ミサイル、127mm砲弾の一発で致命傷になる






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*1 「はつゆき」型護衛艦の7番艦までは上部構造物にアルミ合金も使用していた。
*2 有名なところではアルゼンチン空軍が発射したエグゾセミサイルを被弾し、不発だったものの大火災を起こした42型駆逐艦「シェフィールド」が挙げられる。こちらは船体・上部構造物ともに全鋼製だったが、船体内の隔壁や通風トランクなどがアルミ合金製で延焼を速めた上、消火設備の不備やダメージコントロール時の電源喪失などの不運が重なった結果、艦全体の3分の2が全焼するという大惨事となった。なお「シェフィールド」は鎮火後、曳航途中の荒天で沈没している。

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