筋萎縮性側索硬化症

ページ名:筋萎縮性側索硬化症

登録日:2011/07/20(水) 13:30:26
更新日:2023/10/20 Fri 13:09:53NEW!
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※ご自身の健康問題については、専門の医療機関に相談してください



筋萎縮性側索硬化症とは病名である。
「きんいしゅくせいそくさくこうかしょう」
と読む。
長いのでALS( Amyotrophic lateral sclerosis)と略して読むのが一般的。


この病気に罹患していた、1920年代後半から30年代にかけて全米的な人気を誇ったメジャーリーガーのルー・ゲーリッグにちなみ、「ルー・ゲーリッグ病」とも言われる*1



どんな病気かというと、我々の体内に存在する神経の中でも脳や脊髄からの命令や刺激を中継する末梢神経の中の、
特に運動神経に起こる病変である。
神経系については中学校理科レベルの話なので省略するが、運動神経というのは大ざっぱに言うと、脳や脊髄からの命令を筋肉に伝える役割を持つ神経を指す。


この運動神経がどういう訳か破壊されていくのがALSという病気である。
また不思議なことに基本的に運動神経のみが破壊され、その他の神経は影響を受けない。



もっと簡単に言うと、
だんだん体が動かなくなっていって、最終的には球麻痺症状*2、呼吸筋麻痺により死亡する病気である。


この病気、原因は不明で、発症は40〜60歳代に多い。
10万人に2〜6人の割合で発症し、性差は♂>♀となっている。
発症の家族性については、欧米で5〜10%ほどであるが、日本ではこれよりも低い。



<主な症状>


  • 体全体の筋萎縮、筋力低下
  • 筋繊維束性攣縮(fasciculation)
  • 意識した運動(随意的な運動)がスムーズに行えない
  • 構音障害。要は上手く喋れなくなる
  • 嚥下障害
  • 舌の運動障害
  • 舌の萎縮
  • 呼吸筋麻痺

である。


初期症状は、上肢から始まる症例50%。
下肢から始まる症例25%。
球麻痺から始まる症例25%。
となっている。


四肢の筋萎縮などの症状は、片側の遠位(指先側)から始まり次第に両側へ進行していく。
我々が無意識にしている呼吸も中枢神経からの命令によるものなので、最終的には呼吸さえ行えなくなる。



<治療法>


無し。
発症したが最後、後は緩やかに(3〜5年)死を待つのみとなります。
が、この病が発症してから9年以上生きている人もいる。


上記の通り根治させる治療法はない。しかし原因は確かに不明だが有力視される要素もあり、進行を遅らせる治療薬は発見されている。
また、症状改善のためのパワードスーツによるリハビリや、iPS細胞による治療の可能性も模索されている。
症状が進んで人工呼吸器を装着するため言葉が発せなくなっても、本人の思考はそのままであることが多いため、意思疎通の手段も様々な手法が開発されている。
従来は文字盤を介護者が指し示すなどの方法がとられていたが、近年はパソコンを視線入力できるシステムの向上が進んでおり、患者の社会参加の道の確保に大きな役割を果たしている。





現実世界や創作でも「突然体が動かなくなる難病」として時折取り上げられるため、略称であるALSと併せて知名度は低くない。


有名な所ではブラックホールの研究で著名な物理学者スティーブン・ホーキング博士は、長いことこの病に侵されていたが76歳まで生きた。
常に車椅子で会話を人工音声に頼らざるをえないなど、決して軽いものではなかったのだが…
日本国内での著名な患者はJ3リーグに所属するプロサッカーチームFC岐阜の前社長恩田聖敬氏や日本最大級の医療法人「徳洲会」の創設者である徳田虎雄氏、声優の津久井教生氏などが有名。


またハリー・ポッターシリーズ日本語版の出版で有名な静山社は、元々はALS関連の書籍を数多く出版する社会派の出版社として知られていた。
訳者兼会社代表の松岡佑子氏の夫が創業した会社だが、この病気の患者の書籍出版に関わって以降、社としてもALS関連本の出版に注力。
創業者個人としても患者団体の結成に関わったりしていた。彼ががんで亡くなって以後、佑子氏が跡を継いだが、その中でハリー・ポッターと謎のプリンスの翻訳権を射止めたのだ。


マーティ・フリードマンの相方であるギタリストのジェイソン・ベッカーもこの病気を発症し、
現在は目のみしか動かせなくなったが、コンピューターなどを使って音楽活動を続けている。



創作においては奇病難病がバーゲンセールな手塚治虫の漫画『ブラック・ジャック』にて、
末期のALS患者の男性がブラック・ジャックの探してきたツテで、未来に希望を託して院内で結ばれた別な持病持ちの恋人とともに冷凍睡眠に入る話がある。






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  • ホーキング博士が長生きしすぎて病気の説明にいまいち信憑性ががが -- 名無しさん (2014-05-14 10:02:12)
  • でも、本当におっかない病気だよなぁ……。体が動かなくなって、最後は呼吸もできなくなって死だもんなぁ……ガクブル -- 名無しさん (2017-06-12 15:56:01)
  • 似たようなのだと多系統委縮症なんてのもあったか。なんで自己修復出来ないんだろうなぁ -- 名無しさん (2017-06-14 00:43:10)
  • ホーキング博士のはALSではなく別の似た疾患では? とも言われてるね -- 名無しさん (2019-10-28 11:08:31)
  • 冒されるのが運動神経だけってことは意識や内臓には何の影響がないまま動かなくなるってことかな? -- 名無しさん (2019-10-28 12:08:16)
  • ↑内臓はともかく意識は運動神経関係ないからご想像通り「意識は正常のまま段々からだの自由が利かなくなる」病気です。この絶対的恐怖との負け戦もこの病気の恐ろしさの一つ -- 名無しさん (2019-10-28 12:15:44)
  • 津久井教生さんがこの病気になってんだよな -- 名無しさん (2019-10-28 12:23:42)
  • 編集した。 眼筋は生き残るから目でキーボード追って意思疎通するんだっけ -- 名無しさん (2019-10-28 13:12:45)
  • ↑目の動きとか瞬きの合わせ技だね。今はデジタルで眼球の動きを追えるけど、指し棒で、あ行、か行、さ行(瞬き)→さ、し、す(瞬き)と言った作業を繰り返して伝えるアナログな方法もある。 -- 名無しさん (2019-10-28 13:29:58)

#comment

*1 実は別の病気だったのではないかという説もある
*2 球麻痺とは延髄の麻痺のこと。延髄の見た目が球っぽいので球麻痺と言う

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