エンドレスエイト

ページ名:エンドレスエイト

登録日:2009/07/20(月) 10:59:07
更新日:2023/08/17 Thu 20:03:54NEW!
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涼宮ハルヒの憂鬱 みんなのトラウマ 短編 無限ループ 苦痛 終わらない夏休み 時をかける少女 夏休み 夏が来れば思い出す 終わらない8月 エンドレスエイト 挑戦 賛否両論 ∞8 むしろ長編 長かった 六百年の宇宙人 終わりがないのが「終わり」それがエンドレスエイト 「何かおかしい」



涼宮ハルヒシリーズのエピソードの一つ。ザ・スニーカー2003年12月号に掲載された短編。


溜息にまみれた映画撮影以前、高校がまだ夏の長期休暇中での話。
設問を何一つ解くことなく遊びほうけた日数だけがカレンダー上に刻まれて、いつの間にやら8月も半ばを過ぎようとしていた頃……。
それは人知れず始まっていた……らしい。


8月17日~8月31日の間を『涼宮ハルヒが夏休みの最後に何かやり残していると思ってしまった』ために、何度もループしていた。


原作では15498回目にループを脱出した。
そこに行き着くまでの内訳は、
盆踊りに行かなかった 2回
盆踊りに行ったが金魚すくいをしなかった 437回
プールに行く 毎回
アルバイトをした 9025回
その内容は風船配り・荷物運び・レジ打ち・ビラ配り・電話番・モデル撮影会の6つ
風船配り 6011回
2種類以上重複 360回
異変に気づいた 8769回
長門が買ったお面の金額 プライスレス


17日~31日の15日間で、
15498回×15日=約637年。
これらは登場人物達の中で唯一異常に最初から最後まで、その全てを観測している長門(情報統合思念体)がカウントした数である。
だがまあ、原作だけならよくあるショートエピソードなのだが……。


問題はアニメ版にある。
2009年4月から時系列順に再構成、かつ新作を追加して放送の『涼宮ハルヒの憂鬱』のアニメ2期新作2~9本目として放送され、原作の回数を越える15532回目でようやく脱出した。
(15532×15日間=約638年)


つまり、エンドレスエイトだからほぼ同じ内容を8週放送という余りにも挑戦的な事をアニメ版はやってしまったのだ。
ちなみにタイトル名は8月が終わらないというだけなので8週(8回)放送との関係は無い。
無論ダブルミーニングにはなるし設定とも矛盾はしないのだが、当時の大半の視聴者にとってはだから何?という話にしかならなかった。
8を横にすると∞となりエンドレスというキン肉マンみたいな意味も込めているのかもしれないが、やはり当時の大半の視聴者からはだから何?という話にしかならなかった。


ちなみに内1回は全く異変に気づかず(明確な描写が無いためループ開始前の1週目だった可能性もある)、6回は異変に気づくが何もできずループした。
そのループもイベントごとの作画や演出は見事なぐらいに違うが、内容はほぼ同じ。
最終シークエンスですら、前半は割り振りが短いだけで内容は同じ。
ループ物は数あれど、ここまでほぼ同じ内容をTVアニメで執拗に流したことは確かに前代未聞である。
誰もが考えてもやらなかっただけの話であり、当時の評価は別の話だが。




しかもこの時公式は情報をロクに出しておらず、人気の高いエピソードである『消失』関連のネタを繰り出し、それを引っ張り続けるということぐらいしかしていなかった。
更に次回予告すらなかったため、とことんいつ終わるのか分からなかった。




このせいで京都アニメーションの評判は傾き、株主総会なんかでもヤバかったらしい。
ちなみに一期製作に携わった元社員のヤマカンによると、エンドレスエイトの複数話構成案は一期製作時点からあったらしい。
ヤマカン自身は「幾ら何でも同じ内容で放送するのは3週が限界。8週なんておかしい」と言う趣旨で反対していたとか。



オチとしてはこの夏休みを満喫して8月30日を迎え、集まってはいたものの昼になったのでハルヒが立ち去ろうとした時に、
やり残したことを考えていたキョンが唐突に「俺の宿題は終わってねぇ!」と叫んだ(※素で宿題を忘れていた)。
そして8月31日にSOS団勉強会を行い、無事9月1日を迎えることとなる。



頭が良く、苦労もなくとっくに宿題を終わらせているハルヒは「夏休みの宿題を友達と一緒にやる」という概念がなく、思い付きもしなかったが、
それが何処か心残りとして残っていたようだ。



散々長引かせたアニメも原作と同じく結局このオチで終結。
キョン曰く「過去の俺達が経験したおかげで、最後に気付けたから無駄ではない」


アニメの紙飛行機とか関係なかった。
白ワンピースハルヒは可愛かった。


そしてその直後の、ハルヒがキョンの胸をツンツンして「あたしも行くからね!」と叫ぶシーンはハルヒ可愛いと評判である。






この話がこんな事になってしまったのは当初は2期のエピソードとして消失が予定していたのだが、消失を劇場版に回すためだったと言う説がある


更に言えば作画や収録などの労力は一回一回かかっているわけで、お金や手が足らずにこうなったという訳ではないだろう*1
ちなみにこのアニメ2期は、あえて時系列をミックスしていた1期アニメの再放送と新作を時系列順に再構成するという形を取っていたのだが、新作として放送されたのはこのエンドレスエイト、笹の葉ラプソディ、溜息のみであった。


笹の葉ラプソディはシリーズとしては非常に重要なエピソードで評価も高いのだが、
溜息は原作2巻でシリーズ化としての作風がまだ固まり切ってなかった関係などから元々ハルヒファンからの評価が低めのエピソードであり、そこにこのエンドレスエイトによって圧迫され、他のエピソードが新たにアニメ化されなかったことに対する不満も大きい。


さらに、このほとんど内容の変わらない8回を、やはりと言うか2話ずつDVDに収録された




余談になるが回が進むにつれてキョン役の杉田智和のアドリブが激しくなっていく。
少しでもアフレコを面白くしようとしたということもあるだろうが。
ちなみにハルヒに関してはループに気づくことが一度として無いという公式設定のせいで、迂闊にアドリブすらつけられない。


さらなる余談だが新作を加えるとアニメは合計28話である。
基本1クール13話なので、2クールピッタリの26話どころか2話オーバーしてます。
本当に(ry



この時期のハルヒは新刊となる「驚愕」の発売が遅れに遅れており、人気に陰りを見せ初めていた。
これはそれに拍車をかけたと言われている。
そして翌年の劇場版消失の公開、驚愕の発売である程度持ち直すものの、
2015年の『長門有希ちゃんの消失』のアニメ化までハルヒというコンテンツはほぼ完全に停止してしまった。


ついでにこの一件のせいで『エンドレスエイト』というタイトルが凄まじくショックを与えた&悪名高いものになってしまったため、
人によってはこの字面を見ただけで不快に感じる人も出ることになった。
原作の方は最終ループのみの描写であり、普通のラノベだったのだが……。



なお、『長門有希ちゃんの消失』では、原作ではいなかったある人物の介入によってエンドレスエイトは阻止された。
SF要素の無い世界観なので、そもそもループが発生するはずは無いのだが。
なお、『長門有希ちゃんの消失 北高文芸部ラジオ支部』ではリスナーから「悪夢のエンドレスフラグ」と言われていた。




と、ここまでは大勢の評価を述べてきたが、当時から評価していた人も少なからずいた。エンタメとして面白いかはともかく、斬新な試みである事は否めず、更に作画面では先述したように一切の作画の使い回しもない為、同じ脚本でも各話の変化の違いを見るという点では打ってつけである。


例えば、中盤の花火の描写は


2話 それぞれの遊びを見せる(ノスタルジックな音楽)
3話 それぞれの遊びを見せる(明るい音楽)
4話 白黒映画を観る、若干退屈そう
5話 風景と明るい音楽、回る遊具を使う(回る=ループの暗示)
6話 それぞれの遊びを見せる(明るい音楽)
7話 入道雲の色を朝日から夕日に変える
8話 雨の中の時間経過、ノスタルジックな印象


と同じ場面でもそれぞれ大きく異なる印象となっている。


回全体でも回毎のそれぞれの絵コンテ及び演出によって、実際には1話1話が全く違う話になっているのである(後ついでに主要キャラの水着や浴衣もそれぞれ八種類用意されており、その点ではサービス精神も忘れていない)。


この事から見ると、成否は兎も角、『けいおん!』をはじめとする京アニの当時の挑戦が浮き彫りになってくる。エンタメとしては禁忌であったかも知れないが、繰り返される日常と変化しない中での変化と脱却の表現という面では、よく言われる3話では足りず、8話を費やした意義はあったとも言えるのである。


現在では配信サービスなどで一気見出来る環境が整った事により、制作陣の意図が受け入れられやすくなり、このエンドレスエイトを再評価する意見や斬新な挑戦として肯定的に受け止める新規視聴者も一定数出て来ている。






【余談】


ハルヒとは全く関係ないが、エンドレスエイトを意識したと思われるものが後に起こっている。
それが、2018年に放送されたクソアニメ…もとい『ポプテピピック』の8話。
地上波やBSでの放送では普通に放送されただけだったが、Abema TVのアニメチャンネルでは何をトチ狂ったのか…


「8話だからエンドレスエイト!だから8回放送しよう!」


という意味の分からない暴挙に出た。
そして実際に8話を8回放送し、4時間もクソアニメの同じ回を流すという史上類を見ないカオスな事態となった。


ただし、こちらは無料アプリの放送枠かつ「クソアニメなら仕方ないな」という謎の理論でネタとして扱われ、炎上することは無かった。
エンドレスエイトの意味は相変わらず履き違えられてるけどな!


さらに、かつて週刊少年ジャンプで連載され、現在ジャンプ+で二部が連載されている漫画「チェンソーマン」では、一部の初期の話に登場した永遠の悪魔との戦いの話に、このエピソードがモチーフと思われるシーンがいくつかあり、その証拠に永遠の悪魔が登場した話のうちの一つのサブタイトルが『エンドレス8階』というタイトル名だった。
作者の藤本タツキ氏も、エンドレスエイトの回を見ていたのだろうか...?





ところで、今年の夏休みってこんなに長かったっけ……。
なんか8月17日に戻されてるような気がするけど……。


まぁ気のせいだよな! 冥殿ちゃん!





「どうせ明日になれば誰かが追記・修正してくれる。もうどうにでもなれだ」




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  • ハルヒの心残りは友達と一緒に宿題をするじゃなくて好きな男=キョンの家に遊びに行くことだったんじゃないかと思う -- 名無しさん (2023-05-31 20:45:49)
  • 意図とは違ってきちゃうだろうけど、エンドレスオーガストだったらこうはならなかったかもしれないのかな。あと、舞台だったらどうだったろうか。初日は何も無いままで、二日目以降は違和感に気付きつつも解決には至らず、千穐楽でやっとループから抜け出して大団円。日替わりゲスト召喚なんかもできるだろうし。 -- 名無しさん (2023-06-01 00:09:49)
  • 1回目気づかず、2回目気づくもループ脱出不可、3回目脱出と考えていた人は多そう。4〜7回目はもう少し面白い変化なら受け入れられたかもしれない -- 名無しさん (2023-06-01 00:48:04)
  • バックアップ見る限りログ化もしてないのにコメントばっさり削除されてるけど、これ明確な荒らし行為なんじゃないの? -- 名無しさん (2023-06-01 00:56:15)
  • ↑ 項目が項目だしそう思う 差し戻して貰うべきかも知れないね -- 名無しさん (2023-07-17 21:12:36)

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*1 作画・演出がアニメ制作の全てというわけではないので、脚本や舞台デザインなどを始めとする諸々の時間はかなり削れたと思われるが

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コメント

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名無し

当時は深夜の放送で同じ話を何回もやるから、途中途中で寝てたなぁ。原作は良かったのに。

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2024-09-18 17:33:03

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