登録日:2020/01/31 (Fri) 23:52:15
更新日:2024/05/16 Thu 12:31:26NEW!
所要時間:約 12 分で読めます
▽タグ一覧
きかんしゃトーマス 長編 映画 劇場版 魔法の線路 不遇の名作 豪華声優陣 特撮 レディー 渡辺満里奈 神bgm 並行世界 溶鉱炉 ブリット・オールクロフト ディーゼル10 尾崎紀世彦 シャイニングタイム・ステーション 安心と信頼のココア きかんしゃトーマス 魔法の線路
見たことのない、あたらしい世界へ!
『きかんしゃトーマス 魔法の線路』 (英題:THOMAS and The Magic Railroad) は、『きかんしゃトーマス』初の長編シリーズもとい劇場版作品である。
監督・脚本・製作総指揮担当は、TVシリーズの初代プロデューサーでもあるブリット・オールクロフト。
2000年に各国で上映され、イギリスでは2000年7月14日、アメリカでは7月26日、日本では9月9日といった順に公開された。
全世界での興行収入は1970万ドル。
【概要】
TVシリーズの成功を受けて、その人気に乗じる形でハリウッドに進出し、生身の俳優と機関車達が共演する劇場長編映画として制作、公開された。
本作制作当時にTVシリーズのアメリカ版にてナレーターを務めていたアレック・ボールドウィンを主演に起用するなど著名俳優を起用した。
…さて、この作品だがトーマスシリーズの歴史を語るうえで決して避けられない作品となっている。
元々企画が持ち上がったのは1994年頃だったが、1995年に映画化計画そのものが1度廃止されており、その後復活して再度製作が始まったものの、脚本は2転3転し、撮影・制作のトラブルもしばしば発生し難航していた。
その理由はいくつかあるが、特に以下のような点が挙げられる。
- ハリウッド向けにするために、無理に生身の人間を出演させたためか、実写とミニチュアのそれぞれのシーンの繋がりに違和感が出た。
- キャラクターごとに声優が当てられている日本ではあまり違和感がないかもしれないが、当時はイギリスをはじめ他国ではナレーションによる一人語りが主流だったので受け入れられなかった。
- 脚本を何度も書き直した影響でかなり難解なストーリーとなり、加えて説明不足によりメイン層である子供達が置いてけぼりとなった。
- 本作のもう一つの舞台であるシャイニングタイム・ステーションなどの設定・世界観は、アメリカでの番組『シャイニングタイム・ステーション』から流用したものだった為、同番組の放映実績がなかったイギリスでは視聴者がその設定を受け入れることが難しかった。
- 登場予定のあったキャラクター達が、模型の紛失や尺の都合といった理由で存在を省かれている。エドワードと彼のファンは泣いていい。
こうした理由から海外では興行的に振るわず失敗扱いとなってしまい、評価も辛辣なものとなってしまった。オールクロフトは本作の失敗の責任をとり「ブリット・オールクロフト社(現:ガレイン社)」社長の座を降り、トーマスシリーズの版権は、ヒット・エンターテイメントに買収される事になった。
こうして不遇な扱いを受けることとなった本作だが、一方で日本では公開期間が延長されるほどの大ヒットを果たし、サントラも販売された。海外と異なり元々キャラクターごとに声優が振り分けられていたことなど、文化的な享受性の違いなどが要因かもしれない。そりゃあ仏壇のある家でもクリスマスを祝って初詣に神社にいくような国ですし。
長編次回作では、日本語版制作会社の変更に伴い声優が変更されたため、本作は戸田恵子をはじめとするフジテレビ制作時代の旧声優陣が起用された最初で最後の長編作品である。
また、壮麗な音楽など見所もあり、これらを評価する声もある。
【あらすじ】
ある日トップハム・ハット卿が休暇でしばらくソドー島を離れることになり、もう一つの世界であるマッフルマウンテンのシャイニングタイム・ステーションに務める車掌ミスター・コンダクターが代理として島へ来ることになった。
しかし時を同じくして、凶悪なディーゼル10もかつて取り逃がした「消えた機関車」を探しにソドー島に戻ってきていた…。
【作中の設定・世界観等の解説】
- ソドー島
ご存じトーマスシリーズの舞台。
ただし本作では、『意志を持った機関車達の暮らす島』という点のみが共通しており、「現実世界とは隔絶され魔法の線路のみで行き来できる、ミニチュアサイズの機関車たちが魔法の力で無人のまま自由に動き回り、生身の人間はほとんど存在しない世界」といった描かれ方をしている。
時系列は第5期と第6期の間にあたる。
- シャイニングタイム・ステーション
トーマス達の世界とは別にあるマッフルマウンテンの麓にある駅。
一見現実世界に見えるが、妖精や魔法といった要素が存在している並行世界。
元となったのはアメリカでのトーマスのTVシリーズを1コーナーとして放映していた親番組『シャイニングタイム・ステーション』(日本でいうポンキッキだと考えるとわかりやすいかもしれない)。
俳優を使用したロケシーンはトロント、オンタリオ州、ペンシルベニア州とイギリスのマン島で行われた。
- 魔法の線路
『ソドー島』と『もう一つの世界』を結ぶ線路。
後述の『魔法の粉』と共に、2つの世界の魔法の力の源にもなっていたようで、魔法の力が完全に失われることになれば二つの世界は壊滅的な被害を受ける事になるらしい。
- 魔法の粉
本作のキーアイテム。
魔法の力のこもった結晶のようなもので、空間を転移したり魔法の線路を通行する事が出来る。
魔法の線路が消えこれもすべて無くなってしまえば、魔法の力が失われ両方の世界は崩壊し、ミスター・コンダクター達も存在できなくなってしまう。
【レギュラー陣】
- トーマス
本作の機関車サイドの主人公で、ナレーションや挿入歌の歌詞で「僕らの1番のヒーロー」、「ナンバーワンの機関車」、「世界一の機関車」と称される通り、魔法の線路を通ってマッフルマウンテンへ渡るなど、機関車の中で最も多く活躍の場が与えられている。
良くも悪くも平常運転といったところ。
終盤のレイルチェイスでは見事にディーゼル10を振り切る。
- ヘンリー
消えた機関車の伝説について仲間達に話す。
その後体調が悪くなり、トーマスに質のいい石炭の貨車を持ってきてもらうが、この時消えた一台の貨車がレディーを呼び覚ますきっかけとなる。
- ゴードン
冒頭で「時間に正確」という掟があるのに対し、トーマスが8秒遅刻したのを咎める。
流石に敵わないのかディーゼル10相手には震えていた。
- ジェームス
本編前に何かやらかしたのか冒頭では機関庫で謹慎していた。
ディーゼル10から「赤は疲れる色」と言われ少し気落ちしていたが、ミスターコンダクターからは「元気が出る色」と言われ調子を取り戻した。
終盤に製錬所で働いていた時、ディーゼル10にジュニアと共に追い詰められて溶鉱炉に落とされかけるが、ジュニアが最後の魔法の粉を使った事で脱出に成功する。
- パーシー
普段はあほの子だが、今回は魔法の線路や車止めの関係に気づくなど、かなり頭がさえる場面が多い。
ちなみに、原語版でパーシー役が女性(=ショタ声)だったのは本作だけだそうな。
- トビー
ディーゼル10からは屑扱いされて見向きもされないらしい。
しかし、ディーゼル達の悪巧みを盗み聞きし、それを邪魔するべく自身のベルを鳴らしてディーゼルを驚かせ一泡吹かせ、自滅を誘って面白がった。
- バーティー
いつものようにトーマスに競争しようと誘ったが、今回は事態が重大なだけにすぐに断られた。
その後トーマスが6台繋いだはずの石炭の貨車が1台消えているのを目撃し、この事をパーシーにも伝えた。
- ハロルド
定期パトロールのために機関庫の上空に現れるが、ディーゼル10がばらまいたくしゃみの出る粉を巻き上げ、トーマスどころかスプラッターとドッヂまで巻き込み真っ白にした。
【オリジナルキャラクター】
※キャラクター名 配役/吹き替え声優
- ミスター・コンダクター アレック・ボールドウィン/江原正士
トップハム・ハット卿に変わりトーマス達の世話をする車掌。
シャイニング・タイムでは小さい体をしているが、ソドー島ではちょうどいい大きさである。
ディーゼル10を唯一抑えられる存在だったが、魔法の粉が尽きてしまい、シャイニング・タイムに帰れなくなった上に、粉を探し回る内に力が弱まってしまう。
最後は、リリー達の協力によってレディーが復活し、魔法の粉も無事に手に入れ、シャイニング・タイムへ帰還した。
元ネタは、先述の「シャイニングタイム・ステーション」に登場していた人物で、番組内では「きかんしゃトーマス」の物語を語るナレーターを務めているという設定である。
吹き替えを担当した江原氏は、テレビ東京版以降のトーマスシリーズでジェームス役を担当しており、いわば新旧ジェームスの共演にもなっている。また、今作以降すべての長編作品に出演している。
- バーネット・ストーン ピーター・フォンダ/小川真司、浅野まゆみ(少年時代)
マッフル・マウンテンの洞窟で、動かなくなったレディーをたった1人で守っている男。
心から機関車や鉄道を愛している優しい人物だが、若い頃に、ソドー島でディーゼル10からレディーを逃がそうとするも守りきれなかった事へのショックや、後に妻・ターシャを亡くした事で元気をなくしてしまい、同時に「魔法とはどんなものか」が全くわからなくなってしまった事で、笑顔を失うほど心を閉ざしてしまった。
だが、バッチや孫のリリーの協力でレディーが復活したことで笑顔を取り戻し、ディーゼル10からレディーを守り切った。
- ターシャ ローラ・バウアー/白鳥由里
バーネットの幼馴染で妻。
子供の頃のバーネットが彼女にいつかソドー島へ連れて行くと約束するが、叶わずに生涯を全うした。
- リリー マーラ・ウィルソン/桑島法子
バーネットの孫娘。
シャイニング・タイムから汽車で数時間の大都会に両親と暮らしている。
シャイニング・タイム駅でジュニアと出会った事がきっかけでソドー島にやってくる。
それからというもの、知らず知らずのうちに魔法の粉を得る手掛かりを知り、ミスター・コンダクターやジュニア、バーネットを救った。
元々初期のプロットでは、大人になった彼女が物語の語り部を務める予定だった。
吹き替えを担当した桑島氏は、「やくにたつきかんしゃ」*1など今作の挿入歌もいくつか担当している。
- リリーのママ ロリ・ハリアー/戸田恵子
リリーの母親。
妊娠中のためリリーの旅には同行せず、駅で彼女を見送った。
吹き替えを担当した戸田氏は勿論、フジテレビ版のトーマス役である。このほかジェームス役の森功至氏も、駅のアナウンスの吹き替えという形で出演している。
- ジュニア マイケル・E・ロジャース/平田広明
ミスター・コンダクターの従兄弟。
根っからの遊び人で、バカンスが趣味。
サーフィンが好きだが、乗り物酔いなうえ牧草アレルギーらしい。
だが思いやりとユーモアに溢れた優しい所もあり、初対面のリリーに親身に接してくれたほか、ディーゼル10に追い詰められたジェームスを助け出した。
事件の解決後は役に立つ鉄道員になろうとミスター・コンダクターが紹介した南の国の鉄道へと旅立った。
- パッチ コディ・マクマインズ/保志総一朗
シャイニング・タイム駅で手伝いをしている少年。
バーネットしか知らない存在となっていたレディーのいる洞窟を見つけたことがきっかけで、彼も不思議な出来事を体験する。
- マット
パッチの飼い犬。
世界の異変に気付いたのか、ミスター・コンダクターに何かを伝えようとしたりリリーをシャイニングタイムに導く。
- ステイシー ディディ・コーン/安達 忍
本名は「ステイシー・ジョーンズ」。
シャイニング・タイム駅で働く女性駅長。
ミスター・コンダクターとは旧知の仲。
こちらもトーマスの親番組に登場した人物。
- ビリー ラッセル・ミーンズ/尾崎紀世彦
本名は「ビリー・トゥーフェッチャーズ」。
シャイニング・タイム駅のある鉄道路線で働く機関士。
ミスター・コンダクターやパッチの知り合い。
笑顔を保っていた昔のバーネットの事も知っている。
こちらもトーマスの親番組に登場した人物。
- レディー ブリット・オールクロフト/渡辺満里奈
マッフル・マウンテンに住む魔法の蒸気機関車。
きかんしゃトーマス史上初の女性蒸気機関車。
かつてソドー島で、彼女を壊そうと目を付けたディーゼル10から逃げたが、石炭が切れてしまった事で、ひどく痛めつけられてしまい、 どうにか修理されたが、その時から動く事が出来なくなってしまい、山の中で永い眠りにつき、バーネットによって匿われていた。
トーマスが手がかりになるかもと持って来ていたソドー島の石炭と、リリー達の力で見事復活し、再びソドー島にやってきた。
- ディーゼル10 ニール・クローン/松尾銀三
意地悪で暴れん坊の巨大なディーゼル機関車。
頭上に「ピンチー」と呼ばれる重機を備えており、蒸気機関車をスクラップにしようとする凶悪な性格。しかし「ピンチ―」を制御できていなかったりとかなり間抜けな面も。また、タンクの中に入れられたらエンジンが動かなくなるという理由から、一目見るだけで怯えるほど砂糖を嫌っている。
終盤、ソドー島に戻ってきたトーマスとレディーを壊そうと追い回すが、崩れかけたクロンク橋から落下し、下を通っていたクレーン船の引いていた艀に落ちて、そのままどこかへ運ばれて退場。
ちなみに後のシリーズで再登場するが、出てくるたびに性格が違う。
- スプラッター ニール・クローン/坂東尚樹 ドッヂ ケヴィン・フランク/岩崎ひろし
ディーゼル10の子分で、双子のディーゼル機関車。
車体の色が紫の方がスプラッターで、苔色の方がドッヂである。ディーゼル10からは2台まとめてスプロッヂとしか呼ばれない。
どこかのほほんとした性格で、常に2台で一緒に行動する。悪役列車チームの手下キャラにおとぼけ役を担わせるのは、同じくプラレールのタイアップ作品『電光超特急ヒカリアン』でも行われている(あちらは物語の最後まで親分を慕っていたが)。偶然の一致。
ディーゼル10に無茶な命令ばかり押し付けられ最終的に愛想を尽かす。
- P.T.ブーマー タグ・レノックス
夢のないねじ曲がった性格の老人。
ターシャに密かに思いを寄せていたが、当のターシャがバーネットを選んだことで嫉妬に狂い、レディーを壊し魔法の力が弱まる原因を作った。
マッフル・マウンテンに現れたトーマスを追って魔法の線路に迷い込み、ディーゼル10の屋根に飛び出しそのまま一緒に追跡するが、最後は一緒に橋から落ちた。
そんなキャラ記憶にない?実は当初のプロットに存在した人間サイドの悪役だったが、試写会でちびっ子達がビビりまくったため、キャラクターごと没設定となった。
日本語版特報に彼が登場するバージョンがあったり、一部のシーンに出番が残っている。
今では自分の 項目を持ち 陽気に追記・修正していくよ~♪
[#include(name=テンプレ2)]
この項目が面白かったなら……\ポチッと/
#vote3(time=600,8)
[#include(name=テンプレ3)]
▷ コメント欄
- これの撮影で模型を空輸したときにいくつか行方不明になっちゃった模型があるらしいね -- 名無しさん (2020-02-01 01:28:39)
- 子供のころ何回も見た好きな映画だったけど、まさかそんなハードな裏事情があるとは思わなんだ -- 名無しさん (2020-02-01 01:29:45)
- 自分も親にせがんで映画館に観に行って、VHSでも何度も見たわ。普段と違う雰囲気で心に残ったが、裏事情とかメタな関係があったんだなあ -- 名無しさん (2020-02-01 03:04:44)
- 確かに設定は難解で子供の頃はよく分からなかったけど、だからこそレディーや魔法の線路が神秘的に感じられてワクワクしたなあ -- 名無しさん (2020-02-01 05:33:15)
- これの漫画版持ってたわ -- 名無しさん (2020-02-01 08:46:24)
- ↑漫画版あるの!? 小説版は年齢に合わせて二種類あったのは覚えてるけど知らなかった -- 名無しさん (2020-02-01 12:27:26)
- ↑ちなみに描いたのは「ゴジラvsビオランテ」のコミカライズ版や円谷英二監督の伝記漫画を描いた小林たつよし先生 -- 名無しさん (2020-02-01 12:50:06)
- ↑↑トーマスたちはイラストのコピペで顔もテレビ本編の張り付けだったわ -- 名無しさん (2020-02-01 14:46:10)
- エドワードは模型紛失で登場できなかったらしい。作中の歌「やくにたつきかんしゃ」の歌手はエドワード役っぽい声だけど駒田はじめという人らしい。歌ってるのずっとエドワード役と思ってた・・・。 -- 名無しさん (2020-02-01 18:17:44)
- プロット段階ではスチームローラーのジョージも出る予定だったらしい。 -- 名無しさん (2020-02-01 18:24:28)
- 公開後にカププラで魔法の線路を題材にしたシリーズが出たり、03年と04年には年末に放送されたり、食玩のトーマスタウンでは公開から6年経つのに魔法の線路とレディー編が発売されてたあたり日本人気は凄かったんだな。 -- 名無しさん (2020-02-01 21:14:45)
- ↑↑↑エドワードの模型紛失はどうもデマのようなんですよね -- 名無しさん (2020-02-01 21:15:35)
- 一応、P.Tブーマーも本編には出てるけど(バーネットに道を聞くシーン) -- 名無しさん (2020-02-01 21:31:40)
- 原語版?のVHS持ってたなぁ、懐かしい -- 名無しさん (2020-02-02 10:12:27)
- 昔からディーゼル10ってどうやって自力で動いているんだろうと思っていたが、まさか運転手を洗脳とかしてないよね... -- 名無しさん (2021-09-09 02:10:01)
- 最近になって、撮影で使われたレディの模型(実写サイズ)が見つかったらしいんやが、、、 -- 名無しさん (2022-04-27 17:41:10)
- 残念ながらU-NEXTでは本作は配信されておりません。 -- 名無しさん (2023-02-08 19:38:15)
#comment
コメント
最新を表示する
NG表示方式
NGID一覧