デイヴィッドによる予知夢の多世界解釈論

ページ名:デイヴィッドによる予知夢の多世界解釈論

 

予知夢の存在は夢界の理解が進むまでの間「時系列を持たない夢界から流れ出した映像」であるとされていたが、これは予知夢による未来の改変パラドクスが説明できなかった。

先取りした未来に基づいて未来を書き換えたのなら、その映像は発生するはずのないものであるからだ。

先取りしたた未来と先取りによって改変した未来は同時に存在する必要があり、それらが夢界と繋げられている宇宙モデルが提唱された。これが「デイヴィッドの多世界解釈」である。

その後一部の生けるが直接的に観測したことでこれはほぼ証明された形となった。

 

並行世界と私達の基底宇宙は「重なりが近い分岐」同士では一見して比較さえできないほどに酷似するが、ある程度の「重なりが遠い分岐」であればユグドラシルによる観測が可能であり、いくつかの角度での重なり合った並行世界を分類してまとめ、その分岐点と特徴から識別する呼称が与えられるようになった。下記はそれらの記録である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


「洗浄された世界」

転換点:並行世界ごとに異なるが、殆どが21世紀内に起こる何等かの大悪夢による生物の一掃。

現在:いわゆるポストアポカリプスのような文明荒廃。一部の生ける夢やAIは現存しているが、人間に関しては不明。

ひとりぼっちのおふとんからおきあがって、きょうもおさんぽをする。

こっちのせかいはあっちとちがってほとんどなにもないけど、ただ、しらないがある。

しらないをさがしに、あしたもまたおさんぽをするんだ。

‐回収された手記Aより引用


「喜劇の世界」

転換点:不明。大部分が基底宇宙と重なり合った世界のため、起点の差異が捕捉できていない。

現在:基底宇宙とほぼ同様だが、なぜかコメディチックな事象が多発している。例えば雷に打たれて即死した次の瞬間に無傷で起き上がるなど、それらをごく自然な現象と認識して疑わない。

疑うべくもなく元々世界には理不尽が溢れていた。けれど、それでも違和感を感じ続けていた。

ああ、そうだ、いつからか理不尽を理不尽と認識しなくなっていったことが異常なのだ。

悪夢の巣窟となった蒐集家の家に掃除機担ぐ傍ら、俺はそう思った。

‐ある男の逡巡


「調律された世界」

転換点:狂信者派閥による夢神の誕生。

現在:真社会性動物のような個の性質が排斥された社会、夢神の意志を遂行する形で全ての調和が取られている。いわゆるディストピアに近い構造を持つ。

「主は決して狂うことはありません。」

「もしもあなたがそのような疑問を持ったのならば、既にあなたは狂気に冒されています」

 


 

 

 

 

 

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