『演習詳解_力学_第二版』_第3章_非線形振動

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目次

3-4 放物面を転がる質点の運動[]

放物面上の運動です。といっても y {\displaystyle y} {\displaystyle y}方向には運動しないので、実質的には2次元上を考えればよい問題です。(a) 「エネルギー保存+放物面上に運動が固定されていることによる拘束条件の考慮」で解けます。

(b)加速度を求めるには、(i)の両辺を微分します。すると加速度のx成分が出てきます。明らかにy成分は0です。z成分は、 d z d t = x a d x d t {\displaystyle {\frac {dz}{dt}}={\frac {x}{a}}{\frac {dx}{dt}}} を使って計算します。曲面の抗力はx成分は m x ¨ {\displaystyle m{\ddot {x}}} {\displaystyle m{\ddot {x}}}でいいのですが、z成分は m z ¨ + m g {\displaystyle m{\ddot {z}}+mg} となることに注意します。

すると抗力のx成分:z成分の比が − x : a {\displaystyle -x:a} {\displaystyle -x:a}となるのでこれが曲面に垂直であると分かります。

ちなみに(この問題では実質2次元なのですぐわかりますが)曲面の法線ベクトルは g ( x , y , z ) = 1 2 a ( x 2 + y 2 ) − z {\displaystyle g(x,y,z)={\frac {1}{2a}}(x^{2}+y^{2})-z}

として ∇ g {\displaystyle \nabla g} {\displaystyle \nabla g}となります。

(c) 加速度が求まったので運動方程式を立てます。問題文の通りに近似を施すとお馴染みの単振動の方程式が現れます。そこから周期が求まります。ちなみに解答では速度の式を直接積分していました。(d)はこの方法で解きます。

(d)速度の式がわかっているので、これを積分します。かなりごつい式です。変数変換は示すべき(iii)式の積分範囲をよく見れば気がつくでしょうか。。。といった具合ですが、楕円関数の積分は有名なやつなのでここで経験しておくといいんじゃないかと思います。

ここで出てくるのは第2種完全楕円積分です。

E ( k ) = ∫ 0 π 2 1 − k 2 sin 2 ⁡ θ d θ {\displaystyle E(k)=\int _{0}^{\frac {\pi }{2}}{\sqrt {1-k^{2}\sin ^{2}\theta }}d\theta }

単振り子の等時性は微小角じゃないと破れるよ、みたいな話題に出てくるのは第1種完全楕円積分の方です。 K ( k ) = ∫ 0 π 2 d θ 1 − k 2 sin 2 ⁡ θ {\displaystyle K(k)=\int _{0}^{\frac {\pi }{2}}{\frac {d\theta }{\sqrt {1-k^{2}\sin ^{2}\theta }}}} {\displaystyle K(k)=\int _{0}^{\frac {\pi }{2}}{\frac {d\theta }{\sqrt {1-k^{2}\sin ^{2}\theta }}}}

この2つの式ですが、積分の中身をテーラー展開することで近似値を求めることができます。また、これを推し進めると楕円積分を無限級数で展開することもできます。ここらへんの話題は色々な本やwebに載っているので調べてみると面白いと思います。

(Kohei.I @hybrid_rainb0w)

3-8 PLK法[]

非線形な微分方程式を取り扱うための近似法、PLK法についての問題です。この手法は2-15でも使っているので、なんだかここにきて帰ってきたのかって感じになりまね。
(a)指示通りに計算していったらそこまで困ることはないと思います。計算すると
θ 1 ¨ + ω 0 2 θ 1 = ( 2 A ω 0 ω 1 + 3 4 ω 0 3 A 3 ) cos ⁡ ω 0 t + 1 4 ω 0 2 A 3 cos ⁡ 3 ω 0 t {\displaystyle {\ddot {\theta _{1}}}+\omega _{0}^{2}\theta _{1}=\left(2A\omega _{0}\omega _{1}+{\frac {3}{4}}\omega _{0}^{3}A^{3}\right)\cos \omega _{0}t+{\frac {1}{4}}\omega _{0}^{2}A^{3}\cos 3\omega _{0}t}
という微分方程式が得られます。右辺の第1項(永年項と言います)が0でないと「共振が起こりθ_1はtとともに限りなく大きくなってしまい」と書いていますが、この「共振」といういい方はどういう意味でしょう?僕が思うに、「方程式の形が強制振動の運動方程式と同じになり、強制振動における共振と同じように方程式の解が発散してしまう」という意味なんだと思います。方程式が同じなら違う現象でも同じ名前で呼ぶのはなんだか物理の抽象化の姿勢が見えるようで面白いです。

まったくの余談ですが、「永年項」なんていうかっこいい名前、いったいどこからついたんでしょうかね?似たような名前の「永年方程式」も摂動論の用語で、もともとは天体の長期にわたる振る舞いを計算するためのものだったので「永年」と名前が付いたようですし、同じようなルーツかもしれませんね。

(b)なんと、「置き方を変えると永年項が消せない!」ということに気付かせてくれる出題です。なんでそうなるのかいろいろと考えてみましたが、なんだかよくわからないです(2017年3月16日現在)。一応近似の方法としては「振動数のずれを考慮する」というのが肝みたいなのでPLK法を使う際には注意しましょう。
ところで、この近似法怪しいと思うのは僕だけなのでしょうか…?計算しながら疑問に思ってしまうところが何点かあったんですが…計算上のテクニックと割り切ってしまえばそれまでなのかもしれませんがどの辺に数学的裏付けがあるのか、それともないのか気になるところです。疑問に思った点としては
・定数である1/6をλと置いて、それの1次の項を見たりしてるけど、もともと数字であることを考えるとn次の項という概念自体が無意味であるように感じられる
・ωやθを展開しているが、別にずれは微小でないからちょっと抵抗を感じる(もちろん微小じゃなくても、適切な次数まで展開すればよい話ではあるため致命的な弱点ではないが、なんだか少し気持ち悪い。また、次数の話をし始めると上の疑問点も響いてくる)
どなたかこの辺の計算をよく知っている方がいらっしゃいましたら加筆していただけると幸いですm(_ _)m
一応(a)で得た近似解(赤)と数値計算した解(青)の様子を貼っておきます(二つの違うグラフを無理やり重ねたので、めちゃくちゃ見にくいです) (roundd @haegiwa_kusege)

図2

3-8 解の様子














3-15 Ljapunov関数(力学系)[]

与えられる微分方程式(力学系)の原点(平衡点)における安定性をLjapunov関数を見つけることで示す問題です。問題自体はLjapunov関数の定義に従って計算を進めていくと簡単に求めることができます。

(補足1)Ljapunovの直接法の直観的な説明(厳密には正しくありません)[]座標平面においてLjapunov関数の「等位面」 V − 1 ( c i ) {\displaystyle V^{-1}(c_{i})} を考える。平衡点以外では V ˙ ≤ 0 {\displaystyle {\dot {V}}\leq 0} {\displaystyle {\dot {V}}\leq 0}であるから、時間を進めると解は V − 1 ( c j ) {\displaystyle V^{-1}(c_{j})} 上の点に移動する ( c i ≥ c j ) {\displaystyle (c_{i}\geq c_{j})} {\displaystyle (c_{i}\geq c_{j})}。つまり解は等位面上かまたはその内側に移動する。平衡点のLjapunov関数の値は0,つまり平衡点は V − 1 ( 0 ) {\displaystyle V^{-1}(0)} の点とみなせるので、ここで平衡点は安定である。[]

[参考:Hirsch,Smale,Devaney「力学系入門」(厳密な証明も載っています)]

(補足2) 双曲的安定性[]

実はこの問題はLjapunov関数を持ち出すまでもありません。問題の微分方程式を線形化した微分方程式の固有値を調べるとその実部が負になるため、そこからすぐに平衡点が安定であると結論づけることができるのです。

(Kohei.I @hybrid_rainb0w)



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