ユウナの良くわかる世界観(現在の世界が一つになれない理由)

ページ名:ユウナの良くわかる世界観(現在の世界が一つになれない理由)

はじめに[]

Ico-yuna-sad

ユウナ今回は、講座を始める前に言っておく事があるんだ。


ソラど、どうしちゃったんですかリーダー、暗いですよ?


Ico-yuna-sad

ユウナうん。正直、今回のテーマは重過ぎて僕自身も触れたくない位なんだ。でも、君にも知っておいてほしい事だからね。


ソラ……そんなに大変な事なんですか?


Ico-yuna-sad.jpg

ユウナはっきり言ってしまうと、現時点では解決策がないんだ。いや、下手をすると人が人である以上はどうしようもないのかもしれない。


ソラそんな事無いと思いますけど…みんなで頑張ればきっと方法は有るんじゃ無いですか?


Ico-yuna-sw.jpg

ユウナ……強いなぁ、ソラ君は。


対立する利害の渦巻く世界[]

ユウナさて、突然だけど飢えた親子がいるとしよう。そしてその手元には一食分の食料がある。この場合、どうするのが「正解」だと思う?


Ico-sola-q.jpg

ソラ「体力のある大人」が食べて、体力を回復させてから食料を探しに行く、ですか?


ユウナそう、それが「正解」。今統一地球圏連合が行っているのは正にそれなんだよ。


Ico-sola-o.jpg

ソラえ!?だってそれじゃリーダー達のしてる事って……


ユウナ但し。「人類全体の生存の為」と言う意味でだけどね。


Ico-sola-q.jpg

ソラそれじゃ駄目なんですか?


ユウナ想像してごらん。さっきの状況で、「もう体力の限界が来て幾ばくも無い」友人が目の前に居るとしよう。手持ちの食料を渡せば、もうちょっとだけ生命を繋ぐ事が出来るだろう。


Ico-sola-anger.jpg

ソラそれならその人にあげるべきです!生き延びるチャンスが増えるんですから!


ユウナけど、その結果共倒れになる可能性がとても大きくなるとしても?


Ico-sola-q.jpg

ソラそ、それは……


ユウナこの場合でも、やはり正解は「もっとも体力の有る者に渡す」事なんだ。自分が生き延びたければね。でも、その結果、目の前で親しい人が成す術なく死んでいく。人間はソレに耐えられる程強くないんだよ。


Ico-sola-m.jpg

ソラそんな……でも……


ユウナ現在、統一地球圏連合内部でも足並みが揃わないのもソレが原因なんだ。最終的に自分たちに還元されるのはわかった。けど、その為に、目の前の飢え死にしつつある友人からなけなしの食料を奪い、会った事もない人達に渡さなければならない。理性ではわかっても、感性は受け入れがたいと思うよ。


Ico-sola-sad.jpg

ソラ…………


ユウナ大西洋連合や大洋州他、余力が有る国にしてみれば、「今だってカツカツなのに何で他所の国を援助しなくちゃならないんだ」って思うだろうし、このガルナハンをはじめ、今だ困窮している国々は、「何で困っている私達を助けてくれないんだ」って思うわけだよ。


Ico-yuna-normal.jpg

ユウナで、僕達がしていることは、その「体力が有る人に食料を集中させる」枠組みを、地球全域から国家単位までスケールダウンする事なんだよ。


ソラえ?でも、それじゃ結局同じ事になるんじゃ…?


Ico-yuna-w.jpg

ユウナ忘れたかい?地域によって得意な事は違うんだよ。例えば、ここガルナハンの地熱プラントが完成して稼働を開始すれば、この辺りを賄ってお釣りが来るくらいだ。


ソラあ!その「お釣り」を他所の国へ輸出出来れば…!


Ico-yuna-normal.jpg

ユウナその通り!でも、その為には地熱プラントの所有権を僕達が持ってなくちゃならない。今の状況だと、僕達の頭を素通りして統一地球圏連合が配分してしまうからね。


ソラあれ?でも、最初に解決策が無いって言ってませんでした?今の話だと、解決するのは凄く大変でも、絶対に無理だとは思えませんよ?


国家と国民の断絶[]

Ico-yuna-sad.jpg

ユウナうん。それは、とても簡単な理由なんだ。本当に簡単な…でも、ソレだけに救いが無い話なんだよ。


ソラえ?!それってどう言う…


Ico-yuna-sad.jpg

ユウナさっき、「飢えた親子」の話をしたよね?で、統一地球圏連合から各国に裁量権を移して、国々の中でやりくりしよう、って言うのが僕達レジスタンスの主張なんだ。


ソラはい。だから戦っているんだ、って事ですよね。正直、戦争は肯定できないですけど…


Ico-yuna-sw.jpg

ユウナはっきり言うなぁ。僕も争い事は好きじゃないけどね。で、ここからが本題。統一地球圏連合と言う大きな枠組みで食料を扱うな、って言うのが、今度は国単位で扱うな、って市民が声を上げているんだよ。


ソラええ?!


Ico-yuna-normal.jpg

ユウナ最初に言ったよね自分達が生き延びる為に、目の前の友人から食料を奪って、赤の他人に渡すのに感覚的に耐えられる人は少ないって。


ソラえ?あ、はい。


Ico-yuna-normal.jpg

ユウナかつて、僕達は幾つもの「共有できる価値観」を持っていたんだ。でも、今ではそれらの殆どは消え去ってしまった。何故だと思う?


ソラえ?うーん…急に言われても…第一、そんなに沢山有ったら共有できているって言わないんじゃ…?


Ico-yuna-normal.jpg

ユウナまあ、分母が変わらないから一つの集団に属する数は減るけどね。変わりに、何処かしらの集団に属する事が出来たのさ。今みたいに一つか二つの選択肢しかない訳じゃ無かったんだよ。でも、今までに3度程僕達は大規模なパラダイムシフトを経験した事により、その殆どを捨て去ってしまったのさ。


ソラ何があったんですか?


Ico-yuna-normal.jpg

ユウナまず最初が再統合戦争。最後の核戦争と言われたこの戦争で、国家の枠組みが大幅に変わったんだ。いや、国家と言うシステム事態が変質したと言っても過言じゃない。詳しくは端折るけど、結果として市民の国家に対する忠誠心を薄める事となった。オーブみたいな変り種もあるけど。次がジョージ・グレンの告白。あの全世界に向けての告白は、まったく根回しが無い状態で行われた為、大混乱に陥ったのは歴史で習ったと思う。そして、その後のコーディネーター・フィーバーの結果、「生命への尊厳」と言う概念が地に落とされた。次に、エピデンス01の発見による宗教界への大打撃。ジョージ・グレンの告白とコーディネーター・フィーバーにより当時の宗教界もモメに揉めたんだけど、そこへ「未知の地球外生命体」が、しかも、知性体の可能性を示唆する証拠が見つかったんだ。これも歴史書に詳しいけど、結果、宗教は「各個人の心の内の祈り」となり、政治的影響力や信者間の繋がりは大幅に減じたのさ。


ソラうーん…ちょっとイメージしずらいです…


Ico-yuna-normal.jpg

ユウナありていに言ってしまうと、「共有できる価値観」で生き残ったのは二つだけ。「経済」と「家族」だけなんだ


ソラえ!?


Ico-yuna-normal.jpg

ユウナ結果、「金儲けの為なら手段を選ばない」ロゴスと言うシステムが生れ落ち、そして、「社会よりまず家族」という個人主義が横行する事になった。


ソラだから…ですか?


Ico-yuna-normal.jpg

ユウナ事が個人の好悪レベルで済めばまだ良かった。でも、この「国家と個人の齟齬」は今、致命的な問題を招きつつあるんだ。


ソラ何が起きてるんですか?


Ico-yuna-normal.jpg

ユウナ例えば、大西洋連邦だけど、政府レベルではあくまで自治権の堅持だけで、かつての大西洋連邦至上主義、俗に言うパックス・アトランティカーナの復活は放棄してる。


ソラパックス・アトランティカーナ?


Ico-yuna-sw.jpg

ユウナ乱暴な言い方をすると、大西洋連邦こそ世界の盟主て考え方だね。もっとも、当時の大西洋連邦は盟主と言うより暴君だったけどね。


ソラあ、そう言う意味ですか。でも、あの国って今まで散々ひどい事をしてきたじゃないですか!なら、そんな馬鹿な事を引っ込めるのは当たり前だと思うんですけど。


Ico-yuna-sad.jpg

ユウナその通りだね。でも、あの国の国民や企業はソレが不満なんだ。


ソラそんな…自分達が悪いのに…


Ico-yuna-sad.jpg

ユウナ今まで豊かな生活を送れていたのが、突然困窮したんだ。それまでの生活になれていた国民は受け入れがたいだろうね。それが、例え支配地域の国民の血で贖われていたとしても。


ソラ……


Ico-yuna-normal.jpg

ユウナ他国も似たり寄ったりで、政府の方針を国民が更に先鋭化させる傾向が強くなりつつある。南アメリカ合衆国では、政府より国民のほうがパックス・アトランティカーナに対するアレルギーが強く、大西洋連邦の挙動に過剰反応する傾向が強い。まあ、東アジア共和国は国民が国際政治に口を出すことは表向きは無さそうだけど、逆に政府、と言うか軍がどんどん攻撃的になってるね。政府を国民が煽って戦争が起きる、なんてこれ以上はない悲劇だよ。


ソラプラントはどうなんですか?!


Ico-yuna-sad.jpg

ユウナ皮肉な話し、プラントがもっとも個人主義がはびこっているんだ。もともと、初期の第一世代の親達は、極めて高価な遺伝子調整を子供達に施すだけの財力があった。そして、その子供達は、高い能力を持って生を受けると同時に、その財力をも受け継いだんだ。しかも、大概コーディネートを行おうとする人達は先進的な思考の持ち主で、その影響を子供達も受けていた。結果、プラントは理想郷のような社会を構築し、旧宗主国が必死になって足枷を嵌めようとするほどの国力も得たのさ。そして、2度の大戦を経て、国家としてのプラントこそ解体されたけど、プラント市民は平和で豊かな生活を享受出来た。結果、プラント外、特に地球への興味を急速に失いつつあるのさ。実際、宇宙では今でも建築ラッシュが続いてて、月の主要都市なんか地球とは別世界らしいし。


ソラなんとか、なんとかならないんですか?


Ico-yuna-sad.jpg

ユウナとても…難しいだろうね。正直、政府と国民の齟齬は、その差を縮める事は出来ても、合致させるのは無理なのかもしれない。ヒトの業なのかもね。


ソラでも、諦めちゃ駄目な気がします。ちょっとずつでも、みんなで頑張ればきっと…


Ico-yuna-sw.jpg

ユウナこれは…1本取られたな。確かにソラ君の言うとおりだ。君に話して正解だったよ。


ソラえ?!


Ico-yuna-w.jpg

ユウナとはいえ、今まで人間は生きてきたんだし、今日明日でどうにかはならないと思うからね。今ここで気に病んでも仕方ないと言えばそうなんだよ。だから、そんなに落ち込まなくても良いんじゃないかな?

ソラはあ…そうですか。(う~ん、世界が一つになれない原因の一つにリーダーの様な人の存在もある…って感想は黙っておこう。)


Ico-yuna-sw.jpg

ユウナいや、脅かしたつもりは無かったんだけどね。それじゃあ、今回はここまで。


ソラありがとうございました。

特に記載のない限り、コミュニティのコンテンツはCC BY-SAライセンスの下で利用可能です。

シェアボタン: このページをSNSに投稿するのに便利です。


最近更新されたページ

左メニュー

左メニューサンプル左メニューはヘッダーメニューの【編集】>【左メニューを編集する】をクリックすると編集できます。ご自由に編集してください。掲示板雑談・質問・相談掲示板更新履歴最近のコメントカウン...

魔獣咆哮

包囲された――そう思った瞬間、シンは動いていた。それは、戦士としての本能がそうさせたのか。(……抜けるっ!)包囲陣の突破は至難の業だ。正面、側面だけでは無い――背面にも注意を配らなければならない。 そ...

魔女と蝙蝠

オーブ内閣府直轄の治安警察省。名の通り治安警察の総本部である。単なる刑事犯罪は取り扱わない。思想犯、および政治犯を取り締まる部局だ。テロリスト対策も重要な任務の一つで、治安維持用のモビルスーツも多数配...

高速艇にて

窓の外はすっかり夜。見慣れた南十字星も今日はなんだかちょっと寂しげ。私……なんでこんなところにいるんだろう?なんだか爆発があって、モビルスーツが壊れちゃって、気がついたらこの船に乗ってる。さっきもらっ...

食料省

執筆の途中ですこの項目「食料省」は、調べものの参考にはなる可能性がありますが、まだ書きかけの項目です。加筆、訂正などをして下さる協力者を求めています。食料省のデータ国旗等拠点オーブ連合首長国、首都オロ...

食の意味

ぼんやりと椅子に座って天井を眺めている。何をするわけでもなく。そして時折、小声で何かをつぶやく。言葉に意味はない。自分でも何を言っているか分かっていないのかもしれない。そうかと思えば、いつの間にかベッ...

飛行機でGo!

旅立ちの朝は晴天とは行かず、少し雲のある日だった。車で何時間も揺られて、着いた先は平原が広がる土地。一本の滑走路があることからかろうじて空港と分かるが、ほかには倉庫のような古い建物があるだけだ。管制塔...

隣り合わせの日常

――シン、シン……。遠くで、自分を呼ぶ声がする。か細く、消え入りそうな声。だけど、何処か懐かしい声。何時だったろう、その声を最後に聞いたのは。“あんた、馬鹿じゃない?”そう、その子は屈託無く笑って俺に...

開かれた函

暗闇の中、青白く周囲をディスプレイの明かりが照らしていた。何かの演算処理の途中経過がつぶさにモニタリングされている。PPARデルタによる運動能力の向上。テロメアの操作による延命処置。免疫細胞に対して意...

野次馬と道化

シンやシホが交戦している頃、スレイプニールはコニールの案内により一足先にリヴァイブ本部に到着していた。「ローエングリンゲート跡地に作るとは……灯台下暗しってやつだな」 《外は残骸がそのままになってる上...

邂逅

表面上は冷静に全速で階段を駆け下りるシンだったが、体の芯から立ち上る怒りは一向に収まらない。あとコンマ1秒、引き金を早く引けば。あとコンマ1秒、奴が気づくのが遅れればー……(遅れればなんだというのだろ...

道化と女神の二つの理想

古いびた部屋の中、男は待ちくたびれていた。それもひどく。持ってきた煙草は残りあと二本。灰皿には三箱分の吸殻がうず高く積もっている。換気扇は一応回っているが充満する灰色の霞をかき回すだけで、まるで用を足...

逃亡の果ての希望

夕暮れに霞むオロファトの街中を一台の車が走り抜ける。ジェスの車だ。車中から男が二人、周囲をキョロキョロ見回しながら、人を探していた。TV局から逃げ出した一人の少女、ソラを。しかし歩道には大勢の人々が前...

近衛監査局

執筆の途中ですこの項目「近衛監査局」は、調べものの参考にはなる可能性がありますが、まだ書きかけの項目です。加筆、訂正などをして下さる協力者を求めています。近衛監査局のデータ国旗等拠点オーブ連合首長国、...

転変の序曲

この世の中で誰にでも平等なものを二つ挙げよ――そう問われれば、ソラ=ヒダカはこう答えるだろう。“時と自然”と。今、ソラの頬を風がそよいでいく。それは心地良いもので、そうしたものを感じる時、ソラは思う。...

赤道連合

執筆の途中ですこの項目「赤道連合」は、調べものの参考にはなる可能性がありますが、まだ書きかけの項目です。加筆、訂正などをして下さる協力者を求めています。赤道連合のデータ地図ファイル:No map.jp...

赤道内戦

執筆の途中ですこの項目「赤道内戦」は、調べものの参考にはなる可能性がありますが、まだ書きかけの項目です。加筆、訂正などをして下さる協力者を求めています。この項目「赤道内戦」は、現在査読依頼中です。この...

赤き妄執

「ストライクブレード、ねえ?」ディアッカ=エルスマンの視線の先には真新しいモビルスーツが搬入されている。「おうよ、量産機でありながらフリーダムブリンガーに匹敵する性能。フェイズシフト装甲をオミットした...

赤い三日月

査読依頼中ですこの項目「赤い三日月」は、現在査読依頼中です。この項目のノートで広く意見を募集しています。赤い三日月のデータ国旗等拠点イラン高原規模不明代表ユセフ=ムサフィ関連組織サハラ解放の虎目次1 ...