その、えーっと…あ。そうそう。まずは…その、権限だ。職員章。違う違う、そっちじゃない、それ、それ。
あー、よしよし。ありがとうございます。
で、喋らないとあかんのですかね…
あかんのですか。でしょうね。知ってたよ!!
うん。じゃあ、あれか。『第三版』か。うんうん。
えーハイハイ。コホン。
そのな、ここ何年か私は国連にいたわけですよ。ええ。UNEPPCね。
UNEPPCつっても色々あるわけで。みんなが思ってる以上にワルばっかじゃないんですよ、
まあ言い訳するわけじゃないけど、その、俺の周りはみんな同情してくれた。なんで「みんなで研究」って簡単な事ができないのかって。まあ理由は自明だけど。
そんなこんなで、あ。私がいたところは
『国際連合環境保護推進委員会 日本共生医療研究所』
って言います。長いけど。『日本医研』はだいたいここのこと。
で、その。ここまではぶっちゃけ社内広報にも週刊誌にもネットニュースでも取り上げられたような話で。
当然社外では正確な報道はなされてないんだが。
さあ。私は日本医研に協力したのですが、そこでいくつかの新薬のもととなる技術を発見しました。
で。それ自体は良かったんだが、一回だけそれが国連の中核の方に持ってかれそうになって。
そうそう。いわゆる列強。想像に任せるけど。事実自分もどこの回し者かわからんかった。
これで危ないってことが分かって。日本医研の所長が「お前はここにいちゃまずいかもしれない」って言われたんです。
そりゃそうだ。日米は仲良し。日豪と来たらアメリカのおまけつき。アメリカがいるところには中国とロシア。それからよくわからんやつどももわんさか。
でも、俺が帰ったら日本医研が新薬を研究するうちにスゲーヤベー物を見つけてしまうかもしれん。手遅れだけど。
んでもって決めた。論文はもちろん、新薬すら「暗号化」した。
要はそう簡単に分解できないようにしたんだな。
番号…というか暗証コードみたいなのは所長が持ってる。
俺は解除法を知ってる。ああ。所長は俺がいないと研究が続行できないけど俺は勝手には解除できない。
だから今も年に4回会ってる。季節ごとに解除法を変えて何とかやってきている。最もかなりの頻度でコードを変えているのだけど。
まあ、そんなこった。要は「こいつはUNEPPCに研究資料を持ってきやがりました。」ってだけの話。
で、あと?『カバーストーリー』のことね。
びっくりすんなよ?
一回マジのことを在京テレビで言っちゃって。うん。どったんばったん。
結局は要監視系はカバーストーリーだとむしろ勘違いしたらしいんだけど。
もっと言うと理事長にバレる前にそんなことに気づいたんだから自首だ自首。
因みに日本医研の時も自首したのな。ええ。ハルカ理事長には会えんかったが他の理事とは全力でバトったよ。
苦しい交渉の結果今は倫理局にいます。楽しいよ。給料がっつり減ったけど。月の手取り4万。研究の報奨金なきゃ死んじゃう。先月までマジで死にそうだった。
そんなことはどうでもいいんだ。とにかくその仕事はやらなくなった。たまにテレビでるけど生放送は出禁だ。俺もやりたくねえ。
まあ、ここまでが今回の事の顛末だ。『どうかこのアホを生暖かく見守ってください。』
このセリフ、所長にも言われたのな。全く。誰だ、仮想敵にまで心配されるポンコツは。俺だ。
でも最後に一つ。国連は全部が敵じゃない。うまく立ち回れば、きっと強力な後ろ盾になる。どうだか知らんが。
だから、お願いだ。『正義に目をつぶされるな』。あの理事に言われたんですが、とりあえずこの金言をお返しいたします。要はお互いさま。哀れな戦隊ヒーロー。
『ごっこ遊びで世界を滅ぼすドアホ』は私の事で、所長の事で、環境保護推進委員長の事で、あなたの事で、調査委員会の皆さんの事で、ハルカ理事長の事で、私の父の事です。
気が滅入ってくるな…。
そうだ。所長とは「緑黄色ネットワーク」の飲み会で会ってます。まあ主催は私と所長なんですが。
UNEPPCもJAPARIも関係なく愚痴を語ろうってやつです。みんな口が堅いんで重要な情報が動かないただのお菓子パーティになってます。唯一動く情報は例の鍵だけだと思いますよ。
てかみんなチョロいから。あのメンバー。自分が心配になる奴いるもん。だからむしろお互い
「絶対研究内容喋るんじゃねえぞ」って釘刺しあってる。なにこれ。
さ、喋りつくしたかな。
ありがとうございました。良い一日を。
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驚いたか?これ、主催の作品だぜ?クソでしょ
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