文明人之纂略046
文明人之纂略 作者:黒須輝046 自室 「ふむ、なかなか悪くない」 俺は自室のマットに腰を下ろす。厚みがあって断熱や緩衝などの機能を十分に果たしている。柄は曼荼羅、或いはトルコ絨毯のような色彩。おそら...
★魔力と魔素② [20200824] | ||||
---|---|---|---|---|
前節では世界設定とした魔素、魔力、魔力波の性質について論じた。ここで要約しておくと、①空間は魔素で満ちている、②魔力と魔素は同一の存在であり、形態とエネルギー状態が異なるだけ、③魔素や魔力が作用すると波が発生する、④物理世界のエネルギー等価法則とは別系統の法則を持つ。 さて、本節は具体的にそれらがどのような機能を持ち、作用するかを考察していく。 1. 基本的に魔素・魔力・魔力波は全て『情報を保持するハコ』であると捉える。ハコは「物理世界との対応表」を持っており、与えられた情報に反応して特定の物理現象を発生させる機能を持つ(本編では魔力波を入力、魔素と魔力を出力としている)。魔法とはこれらのハコに入力を行って出力を得る一連の過程であるといえる。情報のやり取りは波で行っているため、その形状や周波数(帯)が具体的なアドレスを指定するポインタのはたらきを担う(という設定)。 コマンドが入力できる帯域にアクセスすれば、本編中の【幻影】をはじめとする複雑な術式も行使できると考えられる。この場合、電磁波の入射をトリガーとし、魔素を指定した周波数のみ反射(または吸収、透過)する形質に変化させるよう命令すれば実現できるだろう。 なろう時代ではこの点に関して、「それでは自然に存在する魔力によって勝手に魔法現象が発生するので受け入れられない」と嚙みつかれたこともあるが、これも加味した上での考察となっている。それが稀に報告される超常現象や奇跡の正体というのが筆者の観念である。逆に何故、世界のシステムの一部であり、有機体の一種でしかない人間だけが魔法を独占できると考えるのか、傲慢すぎて今なお理解に苦しむ書き込みであった。そもそも発生の頻度など調整は容易いもので、現象を起こしたくないのであれば帯域幅を狭くして対応する波形を複雑にすればよいだけの話である。 2. もう一つの機能として、物理世界の作用を一方的に受けることができると考えられる。こちらも要は1.と同じく情報を保持する機能なのだが、1.での情報のやり取りが魔法世界で完結するのに対し、本項では物理世界からの情報取得を考慮する。この過程において問題となるのは、情報もエネルギーに変換可能である*1という点だ。換言すると、情報を抜けばその分だけエネルギーが移動し、その後の物理現象に影響を及ぼすということである。これを認めてしまうと非常に『都合が悪い』。 それほど頻繁にエネルギーの交換を行われてしまうと、物理世界から再現可能な観測がなされてしまい、魔法を超自然的事象に位置付ける筆者のファンタジー定義と矛盾する。もちろんこれを是とする世界があってもよいが、熱力学や量子力学を根本から構築し直す必要があり、今度は物理世界の定義が揺らぐ。 この問題の最も単純かつ根本的な解決案として、何らかの要因で情報の抜き取りによるエネルギーの授受が発生しない、すなわち物理世界の作用を一方的に受ける機能を追加した。要因としては「物理世界の全ての事象が既に魔法世界と紐づけされていて、情報のやり取りが魔法世界内で行える」などが考えられる。これは演算結果がログに記録されるゲーム世界に近い。 何はともあれ、この機能を利用したのが本編主人公が利用する【眼】あるいは他作品でも多数見受けられる【鑑定】【解析】スキルであると筆者は考える。 |
||||
関連 | *1.マクスウェルの悪魔の解決 §044 | |||
作成 | 2020/08/24 | 更新 | 0000/00/00 |
シェアボタン: このページをSNSに投稿するのに便利です。
文明人之纂略 作者:黒須輝046 自室 「ふむ、なかなか悪くない」 俺は自室のマットに腰を下ろす。厚みがあって断熱や緩衝などの機能を十分に果たしている。柄は曼荼羅、或いはトルコ絨毯のような色彩。おそら...
メニュー移動トップページ管理人―黒須輝について管理人にメールを送る『文明人之纂略』の目次なろう作家支援プロジェクトあなたがコメントを開放しない6つの理由新着12文字以内、文字色は黒く noset in...
はじめに こちらは黒須輝が前世で投稿していたファンタジー小説のリメイク版です。活動場所が”小説家になろう”のサイトでしたので、『なろう』感を多分に含みます。ご注意ください。 ...
文明人之纂略 作者:黒須輝047 【身体強化】 「ふぅん、そこまで彩度が高い訳では無いのか……」 新しい生活が始まって一夜が明けた。 リゼからは環境に順応する為にと十日ほど...
作者:黒須輝索引 はじめに 前提として:19/03/03:- ご都合主義を排除できない事柄:19/03/09:- プロットの組み方:19/03/09:/14 管理人がよく使う文字:19/03/25:-...
★詠唱 [20200830] 本編主人公は魔法を無言=無詠唱で使っているが、他の作品では『詠唱』と呼ばれる独特の呪文を唱える工程によってそれを使う設定*1を持つものもある。本節ではこの詠唱の役割と...
★ [2020] 関連 作成 2020/ 更新 0000/00/00 ...
文明人之纂略 作者:黒須輝044 種明かし 「リーゼロッテ様、緊張しましたね」 仮面を被り直しながら廊下を歩く。これ髪の結び目に引っ掛けてるから面倒臭いんだよな。 「リゼに戻して良いよ。それより君、緊...
文明人之纂略 作者:黒須輝045 別棟 「あのぉ……この大所帯は何ですか?」 リゼの案内で連れられたこは城敷地内の一角、別棟となる建造物である。ちょっとした市役所庁舎並み...
★魔力と魔素② [20200824] 前節では世界設定とした魔素、魔力、魔力波の性質について論じた。ここで要約しておくと、①空間は魔素で満ちている、②魔力と魔素は同一の存在であり、形態とエネルギー...
文明人之纂略 作者:黒須輝043 謁見 「お入りください」 守衛さんの案内に合わせて観音開きの大きな扉が開く。向こう側の景色が見えた。大きな広間だ。 高い天井に大理石の床、シャンデリアとステンドグラス...
文明人之纂略 作者:黒須輝042 待合室 城に到着した俺は一旦リゼと別れ、待合室のような場所へ通された。セナが警護してくれている。 こういう部屋をキャビネットというのだろうか。それともサロンかな?ジャ...
文明人之纂略 作者:黒須輝041 入洛(後編) それから約15分後。 馬車が行くのは城下町とでも呼ぶべき市街地の大通り。レンガやモルタル、石造りの家々がぎっしりと道の両脇に並び、人の営みを感じさせる。...
★補助魔法【バフ】 [7e3d91] ファンタジー世界の戦闘用魔法には攻撃、守備の他に補助の効果を持ったものがある。対象の戦闘力を上げるものをバフ(buff)、戦闘力を下げたり状態異常に陥らせるも...
★転生のメカニズム [7e3de1] 転生モノの特徴は二つある。①前世の人格が受け継がれていること②その記憶に劣化がみられないことである。ここではそのメカニズムを考察する。 ①前世の人格が受け継が...
あなたがコメントを開放しない5つの理由 コメント機能の開放にはデメリットが伴う。 言論統制に無駄な労力を割かれる:管理人は「言いたい事があるなら自分のサイトで言え」という価値観の人間。「うるせえ黙れ」...
★「~主義」を軽く説明 [7e3db1] 各政治思想とその立場について論じる。 述べる事柄は有権者として一般的な程度の知識であり、大まかな概説である。それぞれの思想にについて善悪や優劣を評価する...
文明人之纂略 作者:黒須輝040 入洛(前編)▼▽▼▽ さて、本書は魔法・魔術、魔法使い・魔術士・魔導師を意図的に使い分けている。これは本書のみに限った話ではなく、明確に定義されているものだ。 魔法使...
★甲種魔法取扱者 [7e3d71] 魔法を使う者を魔法使い、魔術を使う者を魔術士と呼び、魔法・魔術両方を用いる者と魔法使い・魔術士を合わせて魔導師と呼ぶ 本編では混同しがちな魔法関連の用語を整理し...
文明人之纂略 作者:黒須輝039 邸宅の朝 「うおおおぉっ!かっっくぉいいいぃ!!」 思わず俺は叫んだ。 「アル、興奮し過ぎじゃないかい?」 「いやいやいや、目の前に騎士がいるんですよ?!お伽話にも出...