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★魔法と身繕い　[7e3cv1]
朝起きて顔を洗い、歯を磨いて髭を剃る。服を着て髪を整える。一連の通常営業(ルーティン)だが、身分が高くなればそのタスクも多くなるのだろう。一つ一つの手間もかかる。貴人には世話係がたくさん侍り…少し待とう。 　その世話係は何のためにいるのだろうか。豪奢なドレスを着付けるためなのだとしたら、地球の歴史に引かれすぎではないか。仮に同じ召し物を着用するとして、魔法が使える異世界人と地球人では『手』の届く範囲が異なるのだ。背中のファスナーやステイ・コルセットの帯を締める程度なら、【念力】の類で解決する。「アン・ドゥ・トロワ」で着替えが済むなら世話係など要らない。 　もちろん、「箸より重いものを持ったことがない*1」ことが高貴である人間のステータスなら、世話人がいるのも有り得る。しかし求められる人材は雑用というより、もっと専門性の高いものになると思われる。これは着付け師が誰にでもできる簡単な職種であるという偏見を述べたいのではなく、それぞれが専門性を特化させることで他職種の人間を淘汰し、結果的に人数が増えるのではという仮説である。 　要は、帯を締めている間に左右で袖を抱えておく人間が不要になる話（世話人も魔法が使えると考えられるので）。帯の結びが複雑で芸術性を備えたものならば着付け師は当然必要だ。その代わり、ヘアスタイルや化粧に関しても同等の専門性があるので一人では【腕】が足りず、人数としてはトントンになると。 　本編では、リゼは身繕いを自分で最低限済ませられる設定にした。側人を連れない方が『お忍び』に適しているだろうと考えたものだ。略装程度の恰好ができていれば本格的な作業は城で行える。ただ、それでは味気ないのでヘアスタイリングだけ本編主人公に任せるという描写を加えた。
関連	*1.箸より重いものを持ったことがない　cf.Getting dressed in the 18th century,十二単の着付け　§039
作成	2019/03/31	更新	0000/00/00