登録日:2023/01/13 Fri 22:20:20
更新日:2024/07/05 Fri 10:22:17NEW!
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海外ドラマ 刑事ドラマ 犯罪 アメリカ カリフォルニア州 詐欺 オカルト 心理学 殺人事件 ドラマ cbi cbs ブルーノ・ヘラー クリス・ロング デヴィッド・ナッター
"There's no such thing as psychics."
『メンタリスト』(The mentalist)とはアメリカのCBSでかつて放映されていたテレビドラマシリーズの事。
元・インチキ詐欺師の犯罪コンサルタントが数々の難事件を扱うというストーリー仕立てで、所謂「犯罪ドラマ」「刑事ドラマ」のカテゴリになる。
この手のジャンルは
『CSI:科学捜査班』の様な高度な科学技術による理詰めの捜査
その派生の『CSI:マイアミ』の様な純粋な暴力悪党に対するド派手な立ち回り
あるいは『刑事コロンボ』の様な犯人との絶妙な駆け引き
等に見られる様に、「何を以って犯罪と戦うのか」がシリーズの特徴であり魅力になるのだが、本作はこれら何れの要素も焦点としていない。
ではどこが見どころなのかというと、主人公は
「隣人には持って欲しくない迷惑な才能の数々」とそれを以って演出する様々な「ペテン」
を武器として犯罪者達と渡り合う。これが本作の特徴。
またその武器から察せる様に、彼は一応警察関係者であるにも拘わらず、その振る舞いは全く警察らしくない……どころか全然正義の味方っぽくない。この点も大きな特色として挙げられる。
相手を揺さぶる為に名誉棄損モノの暴言を吐くなんてのは序の口で、仕込みに必要とあらば国家権力相手にも嘘を吐き、令状無しで不法侵入だってやってのける。人を疑うのに証拠があるかどうかなんてのも関係ない。
酷いときには恐喝、誘拐、意図的な誤認逮捕、殺人教唆もどき等々、ガチの犯罪行為に手を染める事も。
このような一風変わったスタイルと主人公のキャラクターが一定の評価を得たのか、本シリーズはスタートから概ね好評。
初回放送での視聴者数は1560万人、ファーストシーズンで週間最高視聴率を記録したエピソードもあった。*1
当初は放送期間6年6シーズン、138話の予定だったがアンコールがかかって最終的には放映期間7年7シーズン、全151話という中々のロングランで幕を閉じた。
現在はNetflixを始め、様々なプラットフォームで全話視聴可能。
ありきたりな犯罪モノにちょっと変化球が欲しい、という方にはおススメできるシリーズ…かもしれない。
主な登場人物
以下の記述内容には多くのネタバレが含まれます。閲覧の際は注意。
"It's not like I haven't abducted people before. It is not funny."
(僕は誘拐だってやってただろ。これもいつもの事さ。)
- パトリック・ジェーン(Patrick Jane)
演:サイモン・ベイカー
日本語吹替:郷田ほづみ
CBI(カリフォルニア州捜査局)の犯罪コンサルタント。
「ふかふかのソファー」と「美味しいお茶と卵料理」と「笑えないレベルの悪戯」をこよなく愛する主人公。
前職はTVの出演経験もある位有名な「霊能力者」であった。冒頭でも紹介した通り要は詐欺師である。
心理学に精通しており、最早「人外」と言える程の洞察力の持ち主。どんな奴相手でも一度姿(顔や動作、特に目)を拝めば大抵の事は見破ってしまう。
初対面の人物に開口一番「貴方浮気してるでしょ?」と言い放ち激怒させるなんてのは彼にとって日常茶飯事。
更にその気になれば、相手が「口をきくかどうか」「その場にいるかどうか」すらも関係なく、「物言わぬ死体」や「本人がいない部屋」を観察するだけでもあらゆる情報を引き出せる。おそらく常識といったものに当てはめず何を「考えているか」よりも何を「思っているか」を念頭に置いていると思われる。
更に更に前職で培った話術や詐術を始め、記憶術、催眠術、手品によるミスディレクション、ピックポケット(犯罪です)、果ては自身の血圧コントロール(わざと汗をかいて動揺を装うなど)なんてのも身に着けており、それらを駆使して相手を心理的・状況的に追い詰め、自滅を誘う事を最も得意としている。
これらの能力をもって数多くの難事件を扱い、時には本当の霊能力者の様に振る舞う事から、周囲の人間には皮肉も込めて「Psychic」「Clairvoyance(千里眼)」なんて呼ばれたりする。
ただ彼自身はオカルト絶対否定派であり、なんか胡散臭いモノに出会う度、頁の冒頭にある台詞を口癖の様に呟く。*2
しかし、何でも見通せるが故に無用な回り道を極端に嫌う傾向があり、よって「社会のルール」や「一般的倫理」なんてものは、彼にとって事件解決を妨げる障害でしかない。
なので彼は行く先々で当たり前の様に多くの問題を起こし、多くの敵を作る。
性格自体もいい歳して「自信家」「我儘」「悪戯好き」「皮肉屋」「負けず嫌い」と基本的にイヤな奴。繰り返しになるが彼の言動は善人どころか、その辺の犯罪者よりよっぽどタチが悪い。
それは仲間である筈の同業者に対しても例外ではなく、ある時FBIが「彼の敵になりそうな者はいるか?」と尋ねた時、CBIの人間は「悪党で?警官で?それとも法律家で?」と答えた。
…まあ、日頃から敵意を買う割には腕っぷしに自信がなく暴力に全く耐性が無いので、「相手に痛い目みせるつもりが逆に物理的に痛い目を見る羽目になる」なんて無様を晒すこともあるのだが…。
- FBIから出向してきた女性捜査官をからかうため、犯人による声明文を偽造。当然彼女はそれを見て誤解し、間違った見解を世間に公表してしまう。
- 自身が入れ込んでいる犯罪者の捜査から外された際、引継ぎチームのオフィスに盗聴器を仕掛け情報を盗もうと画策。当然バレて、味方である筈の局員から起訴されブタ箱行きに。
- ↑とは別件で収監されている間、自分も外の捜査に参加しようと囚人相手にポーカーで荒稼ぎ。その儲けで裁判所に100万ドルを支払い即保釈。
- 証拠探しの為、犯人だと当りを付けた男の家に捜査令状なく不法侵入。残した指紋でそれが発覚し、裁判でボロ負け。
- 殺人ウイルスを管理する研究所内にいる犯人を炙り出す為、ウイルスのアンプルを盗み所内でバイオハザードを演出。内部の人もろとも空爆で焼却するとの研究所の発表の前に、死を覚悟し遺言まで残したリズボンにそれがバレて鉄拳制裁を喰らう。
いつもの様に証拠が無く逮捕に踏み切れない犯人を、犯行と同じ手口の「生き埋め」という手段で拘束。そして本人の自白を引き出すまで放置。- ある強盗殺人犯を偽の証拠とペテンで自白に追い込む…が、警官突入直前「見逃してやるからアガリを半分よこせ」と恐喝し、警察に内緒で犯人から大金を毟り取り自分の懐に。勿論犯人は見逃さずに逮捕。*3
しかしその傍若無人な振る舞いの裏で、実は彼は常に激しい自己嫌悪・自己否定を抱えて生きている。
少年時代から人を騙して生きてきた(その能力の高さ故に父親が彼を詐欺の道具としていた)良心の呵責に加えて、霊能力者時代に不用意に殺人鬼「レッド・ジョン(Red John)」を挑発した結果、妻子を惨殺されたという過去を背負っており、
リズボンに出会う前は精神病院入りで廃人寸前の状態であった。
またそのトラウマは未だ癒えておらず、彼は常に「何かを喪失する事」を誰よりも恐れている。
劇中でも、いつもの自信満々な態度からは想像できない位、ひどく怯えて動揺する姿を見せる事がある。
ジェーンがCBIに協力しているのはレッド・ジョンの捜査に加わりその復讐を遂げるためであり、公僕である仲間に対しても「奴は絶対に殺す」を宣言して譲らない。
普段はお気に入りの専用ソファーに寝っ転がりながら、お茶を飲み局員をからかう気ままな毎日を過ごしながらも、彼はその本懐を遂げる時を今か今かと待ち続けている。
"Okay, you know what? You are a wicked charlatan and you are going to the hell then.
(よーしわかった、いい?アンタはどうしようもないペテン師で、絶対地獄に落ちるわ。)
- テレサ・リズボン(Teresa Lisbon)
CBIの上級捜査官でジェーンをCBIに引き込んだ張本人。
彼の才能を見出しある事件の捜査協力を頼んだことが切っ掛けとなり、彼は彼女が率いるチームのコンサルタントとなる。
つまり彼女は正式な警察官ではないジェーンの監督役も務めるのだが、彼が↑に書いた様な奴なのでその側面はあんまり機能していない。
よって彼女のチームは「局内で最高峰の事件解決率を誇る名誉」と「その名誉を潰して尚お釣りがくるレベルの苦情を抱える不名誉」を同時に賜っている。
どのくらいかと言うと、CBI宛の苦情記録を纏める棚に「ジェーン宛専用の棚」が設けられているくらい。
そして役目であるからには当然「監督不行き届き」という責任が発生するので…早い話が両津に対する大原部長みたいな役回り。
部長オチ…とまでは言わないが、毎度のジェーンの振る舞いに対して彼女が見せるリアクションは間違いなく本作の見どころの一つ。
彼女自身の人となりはというと、「自身の正義感に対してとても忠実」
基本的には模範的でルールに五月蠅い警察官で通っているが、「それが正しい」と信じたことに対しては、法は勿論自分自身すらも顧みずに突き進む芯の強さを持っている。
一方で人道的な面に関してはかなり甘い所があり、公僕として非情に成り切れない面が目立つ。それが問題の種になる事も。
そういう意味ではジェーンとの相性は非常に良い。
彼女自身、最初の内こそ問題ばかり起こす彼を招き入れたことを思いっきり後悔していたが、次第に慣れてきたのか、途中からは揃って"悪行"を嗜む様にすらなってくる。
お陰で二人を束ねる立場のお偉方は悩みが尽きない。
基本的に一匹狼で人を信用するという事を知らないジェーンも、そんな彼女にだけは絶大な信頼を寄せている。いい歳して「リズボンと一緒でなければ仕事はしない」と駄々をこねる事も。
"Screw the rules, screw the CBI. I need you."
(ルールなんて知るか。CBIなんて関係ねえ。俺には君が必要だ。)
- ウェイン・リグスビー(Wayne Rigsby)
リズボンのチームの一員で元放火捜査課所属。
火災現場のスペシャリストで、こと「放火」が絡むと、FBIの捜査官ですら見逃す小さな痕跡からも手掛かりを掴む程の捜査力を発揮する。
長身・筋肉質の見た目ナイスガイで実際女性にモテる(特に商売女に受けがいい)。そして中身もほぼその見た目のイメージ通り。
「同僚のヴァンペルトには局員全員が察する程あからさまに惚れこみ」
「本人がウザがるのをお構いなしにいつもチョウに絡み」
「ジェーンがヤケを起こしてCBIを辞めようとすれば真っ先に彼を連れ戻そうと訴え」
「リズボンが勤続10年を迎えれば内緒で彼女の為のパーティを催す」
等々、基本的には陽気で裏表がなく、仲間思いのいい奴である。
しかしそんな性格をしている割に、なぜか彼はよく人間関係で難儀するきらいがある。
先述のヴァンペルトに関しては、CBIに「局員同士の恋愛は厳禁」という鉄の掟があり、キャリアを優先すれば彼女と付き合えず、交際を強行すれば離職の危機、という板挟み。
更にそうして二の足を踏んでいる間にもヴァンペルト自身は容赦なく他の男共とお付き合いを重ねるわけで…ぶっちゃけ彼には同情を禁じ得ない。
また家族関係にも問題があり、父親は現役バイカーギャングでガチの犯罪者。
親は警官になった息子を恥じ、息子はそんな父を恥じ、顔を突き合わせてはガチの殴り合いに発展するほど親子の仲はこじれにこじれまくっている。
さらに、自分が孕ませた女性に申し込んだ結婚を何故か拒否られる…等々、彼にはいつも何かしら苦労がついて回るのだが、それらがどういう結末を辿るかは本編を見てのお楽しみ。
"If we are gonna work together, I need to be able to trust you with my life. An apology is easy, trust is earned."
(一緒に働くなら、お前に命を預けなきゃならない。謝るだけなら簡単だ、しかし信頼ってのは勝ち取るもんだ。)
- キンブル・チョウ(Kimball Cho)
韓国移民二世の捜査官。軍人上がり且つ元ギャングという珍しい経歴を持っている。
犯罪者時代の通り名であった「Iceman」の名が示す通り、基本的に寡黙で仏頂面、滅多に笑顔を見せない。
リグズビーとよく組んで行動しているが、いつも彼のどーでもいい話を適当にあしらっている。
よって表面上は「お堅い東洋人のテンプレ」という印象だが、意外とフランクで柔軟な側面も持ち義理堅く情にも厚い。ジェーンの悪だくみにも結構積極的に乗ってくる。
ジェーンの提案でプレイボーイに扮しターゲットの女性を釣り上げる役を務めた時は、その口説きっぷりを絶賛されていた。
また自らの経験からか犯罪者の扱いに長けており、特に尋問における駆け引きの手腕は一級品。
さらにチーム内では、「誰とも個人的に大きなしがらみを持たない」唯一の人間でもあり、そういう意味でも何かと重宝される。最初はリグズビーがウザくてCBIを辞めたがっていた、というのが本音らしいが。
リズボンが何かしらの理由で指揮をとれない時は彼が仕切る事もあり、実質チームのNO.2と言ってもいい存在。
ただ、一見完璧な捜査官に見える彼にも「信心深くてオカルトに弱い」という意外な弱点がある。
ある時魔女を自称する女から「死の呪」を掛けられた時は、呪文と現実の状況が一致したことも相まって酷く怯えるという、これまた意外な一面を見せていた。
"I've been working with Patrick Jane for nine months now. You wanna get under my skin? You're gonna have to up your game."
(私はパトリック・ジェーンと9カ月も一緒に仕事をしているのよ。私をイラつかせたいならもっと腕を磨く事ね。)
- グレース・ヴァンペルト(Grace Vanpelt)
新米の女性捜査官。
コンピューター全般が得意分野で、加えて現場の経験も浅い事からかデスクワークを押し付けられることが多い。
ただ、本人はもっと現場で仕事がしたいと思っているらしく、留守番を命じられてふくれる事もしばしば。
彼女の特徴として挙げるべきはその見た目。まずは「非常に美人」だという点。
これは役者さんが云々という意味だけではなく、劇中でも彼女が聞き込みをすればほぼ毎回男共が絡んで言い寄ってくる。
その美貌を活かして逆に犯罪者にハニートラップを仕掛ける事も。
そのせいもあってか、登場人物の中で最も色恋沙汰に縁があるキャラでもある。
そしてその美貌に負けない位人の目を引くもう一つの特徴は「肩幅の広さ」
これも役者さ(ry、劇中でもわざわざ「君は肩は広いがいい女だ」なんて言われることがある。監督、その台詞いる?
性格は「よくも悪くも真っすぐでお人好し」
ジェーンが詐術や催眠術で無理やり人の心をこじ開けるのに対し、彼女は誠実な言葉と態度で相手の心と向き合う。
それで有益な情報を引き出せた事も一度や二度ではなく、ジェーンからも「君は他人の心を開くことが出来る人間だ」とのお墨付き。
一方でそれは人を信じやすく騙されやすいという欠点でもあり、これまたジェーンに「直ぐ騙される可哀そうなヴァンペルト」とからかわれている。
ただ、お付き合いしている男性に利用されている事に気づかずCBIに危機を招き入れた事もあるので、この欠点は割と洒落では済まない。しかも一度じゃ済まなかったので余計タチが悪い。
そんな一面が影響しているのか、オカルトについてはガチの肯定派。初登場の時点で、ジェーンに馬鹿にされることも構わずに従兄弟に超能力者がいると主張して譲らなかった。
本作は捜査上に胡散臭い話が出てくる事も多く、時折彼女の信仰力も炸裂する。
"But, There is a line, there is a line. When you cross it, I'll protect myself and this unit, and throw you to the wolves.
(何事にも限度が、限度があるんだ。それを踏み越えたら…私は自分とチームを守る為に君を捨てるぞ。)
- ヴァージル・ミネリ (Virgil Minelli)
リズボンの上司で、前述の「悩みの尽きないお偉方」第一号。
公僕として、組織の上に立つ者として非常に常識的な人物。つまりジェーンとの相性はよろしくない。
本来はリズボンも彼の側である筈なのだが、彼女は日に日にジェーンに甘くなって来ており、お陰で彼の苦労は減るどころか増える一方。
加えてジェーンはことレッド・ジョン絡みとなるといつにも増して暴走するため、見かねた彼はついにリズボン達を捜査から外す事を決意する。
しかし、この極めて妥当な判断が必ずしも良い結果を産むとは限らないのであった。
その後彼はレッドジョンの事件解決を見ることなく定年退職。
本人は「これでようやく悠々自適の生活が出来る」と口にしていたが、心の底では自分の正義を全うできなかった後悔の念が燻っていた。
引退後ジェーンと再び相まみえた時、彼はその本音をちらりと漏らすことになる。
"I wouldn't tell you where the bathroom is if your ass was on fire."
(たとえお前のケツが爆発寸前でも、俺はトイレの場所すら教えるつもりはない。)
- サム・ボスコ(Sam Bosco)
ミネリの要請でレッド・ジョンの調査をジェーン達から引き継いだ捜査官。
リズボンとは昔一緒に仕事をしていた間柄らしく、彼女も彼の能力の高さには太鼓判を押している。
しかしその程度でジェーンが納得する筈がなく、彼のチームに盗聴器を仕掛け情報を盗む事を画策。
それが発覚し、ボスコはジェーンを起訴するという展開に。当然二人の間柄は険悪そのもの。
ボスコの行為は公僕として当然のように見えるが、実は彼は妻子持ちの身でありながらリズボンを深く愛しており、誰よりも彼女の側にいながら彼女のキャリアに傷をつけるジェーンに激しい嫌悪感を抱いている。
彼がジェーンを拒絶するのは倫理的側面よりも個人的な感情に寄る所が大きい。
ちなみにこの事は当然ジェーンに見抜かれており「彼は君のいう事になら何でも従う」と、リズボンを通してボスコを牽制しようとしていた。汚いな、さすがメンタリストきたない。
このようにファーストコンタクトは最悪の一言だったが、ジェーンのレッド・ジョン対する執念と確かな捜査能力、そして何より自らのキャリアを投げうってでもジェーンを救おうとするリズボンに押され、彼は少しづつではあるがジェーンに歩み寄る様になっていく。
しかし…
"You are golden. You are safe for anything short of murder. Lisbon--NO."
(貴方は特別よ。殺人以外なら大目に見るわ。でもリズボンは違う。)
- マデリーン・ハイタワー(Madeleine Hightower)
ミネリ引退後、彼の後釜になったCBIのスーパーバイザー。
「CBIを米国一権威のある機関にする」という野望を抱いており、その為にジェーンは絶対に必要な人材である、と彼を最大限評価している。
ジェーンを癌とみなし「いつでも追い出す」と言っていたミネリとは対照的に「彼が何か問題を起こしても絶対辞めさせないが、その際はリズボンに去ってもらう」と二人に宣言する。
お陰でリズボンは「私は絶対にクビになるわ!」と日々戦々恐々としていた。
捜査官としての彼女は「非常に人情の機微に敏い」というのが大きな特徴。
あからさまとはいえ、着任初日でリグズビーとヴァンペルトの関係を見抜く他、ジェーンのクリスティーナ(後述)に対する想いにもいち早く感づき、新しい恋に挑戦するよう諭していた。
そういう意味では、先述の方針は「リズボンに敢えて重荷を課すことで、逆にジェーンを牽制する」という彼女の策だったのかもしれない。
現場の事情にも理解があり、必要とあれば自ら出張る程仕事に精力的。職務に対して常に真摯な姿勢を見せる彼女に、最初こそビビっていたリズボンも「彼女とならうまくやっていけそう」と次第に信頼を置くようになる。
ただ、皮肉にもそんな上司と部下の良い関係は永く続かないのであった。
"Trust me, you'll have fun. Was there ever more a suspicious phrase?"
(「僕を信じて楽しめ」だと?こんなに胡散臭い言葉があるか?)
- J.J.ラローシュ(J.J. LaRoche)
「CBIが身柄を拘束していたレッド・ジョン関係者が局内で殺害された」という事件の調査を担当する事になった内部監査員。
何でもすぐメモに取り、どんな小さな事でも絶対に見逃さない。そして気になる事があれば徹底的に調べる、という非常に細やかな性格をしており、内部監査という仕事には正にうってつけの人材。
しかしその仕事柄と自身の執拗さから、周りに好意を抱かれることはあまりない模様。
愛犬家でモフモフの大型犬を一匹飼っている。自身がスキンヘッドに肥満体というひじょ~に丸っこいフォルムをしている事がそうさせるのか、決して美男子とは言えない彼が愛犬を抱えるその姿はものっそい絵になる。てかぶっちゃけカワイイ。
幼い時に母に悲劇があり、その過去に対する清算と自身への戒めとして「ある物」を常に自宅に保管している。
ただ、それは発覚すれば自身のキャリアに大きく響く「秘密」であるらしく、その「存在」を(人をやって)彼の家に不法侵入したジェーンに知られてしまった事が彼の運の尽きとなるのであった。
以降彼はジェーン達の捜査を積極的に「お手伝い」する羽目となる。*4
"Good detectives always keep their cards close."
(よい捜査官ってのはいつも切り札を隠し持っているものさ。)
- ゲイル・バートラム(Gale Bertram)
CBI局長。
自己中心的で「自分が常に勝ち組でないと我慢が出来ない」人物(ジェーン曰く「だからこそ彼はあの地位にいられるのだ」とのこと。)
その性格は日常にもよく表れており、自身は「カードの達人」を自称しよく賭けポーカーに勤しんでいるが、肝心な所で考えが仕草に出るという癖を見切られている仲間からはよくカモられている。
そうして溜まった鬱憤はいつも「局内での公私混同による部下への迷惑」という形で清算されている。ある意味上司のテンプレ。
しかしそんな困った性格もジェーンにとっては扱いやすい部類らしく、カードのコツをちょっと教えて機嫌を取ってやる事でうまく彼をコントロールしていた。
これだけなら「唯のイヤな上司」で終える事が出来たのだが…
"You know I've collared lots of con men over the years, best in the business. You know what led to their downfall ultimately?"
(私は長きにわたって多くの詐欺師を捕まえてきたが…何が奴らをしくじらせるかわかるか?)
- デニス・アボット(Dennis Abbott)
FBIオースティン支局のトップ。シーズン6から登場。
ジェーンがCBIのコンサルタントをしながらコツコツと積み上げてきた「無数の犯罪歴」を取引材料としてFBIに協力を"要請"し、チームに引き込む。
作中でも屈指の人格者。今までジェーンを従えてきた人間は例外なく(ハイタワーですらも)彼に「嫌悪と拒絶」を示していたが、彼だけはそれが無く非常に柔軟に、効果的にジェーンをコントロールする。
またハイタワーと同様かそれ以上に人情の機微に敏く、リズボンに対して素直になれないジェーンをやんわりと諭したり、チョウからの信頼を損なったヴェガに挽回のチャンスを与えたり、ワイリーにデートのアドバイスを与えたりと、部下へのメンタルケアは完璧。
(上記のはジェーンを諭す際に彼が放ったセリフ。因みにこれに対してジェーンは「自分自身にウソをつく事」と答えた。)
また、ジェーンからおもちゃのロボットをプレゼントされた際「これは唯のロボットじゃないぞ!ボルトロンだ!」と子供の様にはしゃぐといった、お茶目な一面も持っている。*5
加えて愛妻家で夫婦仲はいつも最高、と非の打ちどころが全くない完璧な善人。
しかし悲しいかな、良い人がいつも報われるとは限らないのが世の常。
彼が過去に自らの正義故に果たした「ある行為」が、後に人生の最大の危機となって彼を苦しめる事になる。
"This place is a little bit crazy, but you make sence to me."
(ここの職場はイカレています。でも貴方だけは筋が通っている。)
- ミシェル・ヴェガ(Michelle Vega)
オースティン支局の新人。
軍人上がりの父親の影響を強く受けた為、非常にお堅い性格をしている。
相変わらず常識外れのジェーンやそれを看過する一同を見て「こんなのFBIじゃないわ!」と至極真っ当な反応をし、マトモに見えるチョウを師事する事に。
ちょっとしたすれ違いで彼からの信頼を失う躓きはあったものの、現場に揉まれて経験を積むうちに堅さも取れていき、
「(大事の為に)多少ダーティな事にも手を染めたり」「局の機材を使って仕事場でFPSを遊んだり」
といった立派(?)な捜査官に成長していく。
ちなみに「バトルフィールド」派らしい。
Battlefield? Oh you mean that little simple game with a couple of hot keys to worry about?
(バトルフィールド?あんなのショートカットキー二つだけで戦う単純なゲームだろ?)
- ジェイソン・ワイリー(Jason Wylie)
アボットの部下の一人で所謂"GEEK"。
あまり現場には出ず、主にPCスキルで捜査をサポートする。CBIでのヴァンペルトの様な立ち位置。
元々相当影の薄い職員だったらしいが、ジェーン達と仕事を共にしたのを切っ掛けに頭角を現す。
新人のヴェガに惚れており、最初こそ遠くから眺めるだけだったが、徐々に積極的にアプローチを重ねる様になる。
そして彼女がFPSプレイヤーであると知ってからはますます二人の仲は親密になるのであった。グレネードで爆発しろ
"What I really want to say is, uh... I hope we are cool."
(なあ…俺たちはうまくやっていけるよな?)
- クレイグ・オロフリン(Craig O'Laughlin)
FBI捜査官の一人。(アボットの部下ではない)
ブレット・スタイルズとビジュアライズ(後述)を数年前から追っており、捜査の際に起こした些細なトラブルが切っ掛けでCBIの面々と知り合う。
「一流大学卒、元NFLプレイヤー、元101空挺師団、オマケに少林寺武術の黒帯」というエリート肌で、リグズビーとは別ベクトルの色男。
ヴァンペルトの親父がオロフリンもよく知るフットボールの監督であった縁から、彼女と親密な関係に。
彼女自身も彼を非常に気に入り、あれよあれよという間に関係は進展、速攻で婚約を結ぶに至る。
それを恨めしく横目で見ていたリグズビーに対し、↑のような言葉を掛ける様は正に強者の振る舞い。
本人にとっては全くの好意による発言だが、リグズビーは泣くしかない。
しかし今までの人物紹介でも察せる様に、表に対しては常に裏を用意するのがこのドラマ。
実は彼は…おっとこれ以上はやめておこう。
"You got a lucky break that's not clever. I'll show you clever."
(お前は賢いのでなく、運がいいだけだ。本当に「賢い」とはどういうことか、私が見せてやろう。)
- レッド・ジョン(Red John)
通算で70を超える殺人を犯している全米屈指のシリアルキラーで、ジェーンの家族の仇であり彼にとっての不倶戴天の敵。
実質このドラマを象徴する存在であり、それを表すかの様に各エピソードの副題はほぼ「赤を連想する単語で成り立っている」という法則がある。*6
「アーティスト肌」の犯罪者で、その犯行に常に大きな自己主張が表れるのが特徴。
犯行現場には被害者の血で「スマイリーフェイスじみたマーク」を残していく傾向があるが、ジェーン曰く「彼は必ず、死体より先に目に入る様にこのマークを描く。そうして彼に対する恐怖を演出するのだ」との事。
こういう気質からか、自身に干渉したり、挑発したり、模倣しようとする者には例外なく報復するという癖がある。
ジェーンはそれを逆手にとってCBIが逮捕に至れなかった「別のシリアルキラー」を彼の手で始末させたことも。
これだけ自己主張の強い行動をしながらも尻尾を見せないのは、国内に無数に存在する「彼の協力者」に寄る所が大きい。
一般人は言うに及ばず、警察内部にも、法曹界にも、果ては政界にも彼の協力者は潜んでおり、CBIの行動もいつも筒抜け。
常にジェーン達より一歩先んじており、彼らは奴を追いつめるどころか身内に多数の犠牲者を出す始末。
ジェーンは彼を今すぐこの世から消し去りたい程の想いで追っている一方で、彼の方はジェーンを多少なりとも気に入っている節があり、
なるべく長く彼とのやり取りを楽しみ、出来る限り長く苦しめてから、屈服させる事を目的としている様だ。
"You're just like him, you know that? Relentless manipulation. I only wonder why the two of you didn't become lifelong friends the moment you shook hands."
(貴方は彼と同じね。容赦なく人を操る。握手した後、貴方たちがどうして唯一無二の親友にならなかったのか不思議よ。)
- ローレライ・マーティンズ(Lorelei Martins)
積み重なった敗北感からすっかり心が折れてしまった(様に見せていた)ジェーンを自分たちの側に引き込む為、レッド・ジョンが遣わした彼の信奉者。
幼い頃に妹と生き別れた上、その妹も数年前レイプされ死亡したという絶望を味わっており、その時に「世の真実」に目覚めたとの事。
その後レッド・ジョンに出会い、以降は自身の身を完全に彼に委ねている。
彼の指示であれば躊躇うことなくジェーンと「一夜を共にし」たり、「奴に口封じで殺されるぞ」と忠告されてもそれで構わないと言い切ったりと、その振る舞いは正に「信奉者」
しかし、実は彼女が味わった絶望はそもそもレッド・ジョンが彼女の為に用意した代物、つまり奴こそが妹の仇であるというのが真相であった。
ジェーンの手引きによって改めて「真実」に目覚めた彼女は、たった一人でレッド・ジョンと決着をつける事を決意する。
"The thoughts of clear mind is terribly frightening to you, isn't it Patrick?"
(我々の高潔な精神を前に怖気づいているのだろう?パトリック。)
- ブレット・スタイルズ(Bret Stiles)
全米で屈指の信者数を誇る新興宗教「ヴィジュアライズ(Visualize)」の総帥。
元々ビジュアライズの創始者は別におり、その人物は純粋で高潔な理念をもってこれを設立したが、スタイルズが彼を謀殺し総帥の座を奪取。
彼がトップに立った結果、どこに出しても恥ずかしい立派なカルト宗教へと成長した。
洗脳・誘拐・資金洗浄・政治家買収・暗殺何でもござれと、とりあえず「カルトと名の付く団体がやりそうな事」は全て網羅しているので、CBIにとっても「何かを捜査をすればいつもビジュアライズにあたる」という始末。
スタイルズ自身にもあらゆる犯罪の嫌疑が掛けられており何度も連行はされているが、彼は証拠は絶対に残さないので警察は起訴に踏み切れない。
彼はジェーンを個人的に大層気に入っている上、レッド・ジョンの事は好かないらしく、奴を捕える事になら協力しても良いと明言している。
かくいうジェーンも利害が一致している限りは彼の為にしばしば便宜を図る事がある。場合によっては法の垣根を超える事も。いつもの事とか言わない。
よって彼らは「立場上は敵対しているが顔なじみ」という奇妙な間柄となっている。
"Don't you ever get tired of your own cynicism?"
(そんな皮肉ばっかり言ってて飽きないの?)
- クリスティーナ・フライ(Kristina Frye)
レッド・ジョンとは別ベクトルでのジェーンの宿敵であり、本作で彼に比肩し得る唯一の霊能力者。
但しあくまでフリだけのジェーンに対して、こちらはガチの「psychic」である。
最初はある事件の重要参考人であったが、後に自らの「魂と交信する」能力を駆使して警察をサポートする事に。
能力の真偽はともかくその「実績」は本物で、CBIも捜査に詰まった場合は彼女の力を当てにする事がある。
"There's no such thing as psychics."をモットーとしているジェーンは当然彼女を猛烈に敵視しており、彼女が何かをすれば即、呆れるほど見苦しい皮肉でケチをつけまくる。
しかしその一方で彼は彼女の事を異性としては憎からず思っており、ハイタワーの助言もあって徐々に二人の仲を縮めようと努める様になっていく。ホントにコイツ素直じゃねーな。
しかしある日突然彼女は「自分にはレッド・ジョンの気持ちがわかる」とし、奴が更生するよう自分が説得すると主張。
ジェーンの制止を振り切ってメディアを通じてレッド・ジョンとの接触を強行する。
彼にとってそれは、かつて自らが辿った破滅への道に、今正に彼女が踏み入ろうとしている光景にしか見えなかった…
"I'm a professional in the field of romance and relationships and it pains me to admit it, but in my professional opinion, you and Lisbon--"
(これは恋愛のプロとして言わせてもらう事だけど、貴方とリズボンは…)
- エリカ・フリン(Erica Flynn)
とある結婚相談所の社長夫人。
相当の野心家で、ビジネス拡大に消極的だった夫を障害と見做して殺害。その後首尾よく事業を乗っ取ろうした所をジェーンに犯行を見破られ囚人に。
所謂「魔性の女」であり、旦那を殺害した時も男を利用していた他、CBIの捜査協力者として出向した際も、局内の野郎共は全員全力で彼女に尽くすほど骨抜きにされていた。
因みにそれを見たリズボンは「自分ですらあんな扱いされたことないのに何で彼女だけ?」と理解不能のご様子だったが、ヴァンペルトに言わせれば「自分が男だったら連中と同じことをしていた筈」だそうだ。
流石にジェーンはそんなあからさまな事にはならなかったが、エリカ自身が彼に興味がある素振りを見せている事もあり、リズボンは二人の間にそこはかとなく男女の匂いを感じ取る。
「絶対何か企んでるから彼女には絶対に気を許すな」としつこい位に念を押すリズボン。
「これは腹の探り合いだから心配するな」と彼女をのらりくらりと躱すジェーン。
間違いなく腹に一物持っていそうな一方で、男性としての彼への興味には裏が無さそうに見えるエリカ。
三人の人間模様の行く先は果たして…?
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▷ コメント欄
- 当時はレッド・ジョンのスマイルマークがトラウマになるレベルで怖くてずっとホラーものだと思ってた -- 名無しさん (2023-01-13 22:46:05)
- 記事にもあったリズボンのジェーンへ鉄拳制裁シーンはものすごいスカッとして気分よかったな -- 名無しさん (2023-01-14 00:51:17)
- 偽レッドジョンの千葉繁吹き替えがたまらんかった、ああいう役柄こそ真骨頂に思える不気味さ -- 名無しさん (2023-01-14 08:28:35)
- レッド・ジョンの正体がねぇ…引き伸ばした割にショボいというか、大半の人はいつ出てきたキャラか忘れてるんじゃないだろうか -- 名無しさん (2023-01-14 13:03:19)
- サイモンベーカーにほずみさんの吹き替えがベストマッチ過ぎて海外ドラマにしては珍しくずっと吹き替えで見てた -- 名無しさん (2023-01-15 18:24:57)
#comment(striction)
*2 「当たり前だろ!」と思われるかもしれないが、少なくとも作中ではガチで霊を信じる人や自称霊能力者が沢山登場する。後述するヴァンペルトやフライもその一人。
*3 この時のジェーンは一部記憶を失っており「CBI所属以前の彼」に戻っていた事はフォローしておく。ただこれも「詐欺師時代はもっと凶悪だった」という証明にしかならんが。
*4 ちなみにジェーンは「お願い」する段階では「存在」を知っているだけでその「中身」までは分かっていなかった。汚いなさすがメ(ry
*5 今でもホビー全般が好きなのか、彼のデスクをよーく見てみるとたまにヘリのラジコンとかが置いてあったりする。
*6 ネタバレ注意→ ほぼ、といっているのはレッド・ジョン死後のエピソードはこの法則から外れるため。
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