登録日:2022/08/13 Sat 15:35:06
更新日:2024/06/25 Tue 13:53:52NEW!
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空想科学部門にも、愛する思いは殺せまい。
...SCP-2222-JPのディスカッション欄より
SCP-2222-JPは、シェアワールド「SCP Foundation」に登場するオブジェクトの一つである。オブジェクトクラスはEuclid。
●目次
始めに
タグや冒頭の文章を見てもわかる通り、この記事にはかなり壮大なメタ要素が含まれる。
この記事を読む前に、SCPにおけるメタ要素について復習しよう。
SCPのメタ記事の原点ともいえる報告書が、S・アンドリュー・スワンの提言である。
この提言に出てくるSCP-001とは、SCPの作者、そしてSCPを読んで楽しんでいるあなた自身のことである。
この001提言は多くの記事で採用されていて、その場合SCP-001のことをクラスS/001上位存在と呼ぶことが多い。そして、クラスS/001上位存在を研究している財団内の部門が空想科学部門である。
この二つの単語はこれから使用されるので覚えておいてほしい。
アーカイブ手順
この記事には、ほかの記事ではあまり聞かない「アーカイブ(記録)手順」が存在する。
簡単に要約すると、
- この記事の一部はレベル∇*1機密に分類されるよ
- ∇機密に分類された部分はサイト-01かサイト-∇*2からしか閲覧できないよ
- 特に補遺5はその中でもクリアランスレベル4を持ってないと見れないよ
- ∇機密に不正なアクセスが感知されたらこの記事はデータベースから一時的に消滅するよ
といったところだろう。
サイト-∇は今後沢山登場することになるので覚えておこう。
説明
話の流れを分かりやすくするため、説明を先に記述する。
SCP-2222-JPは、黄色や赤色に近い色をした球体の発光体で、一辺が4.1mのコンテナの中に収容されている。コンテナには窓がついていて、そこからSCP-2222-JPを観察できる。
安定状態のSCP-2222-JPは毎秒約一回の点滅を繰り返していて、ヒューム値はちょうど1Hmになっている*3
また、SCP-2222-JPはエネルギーの放出や吸収を行っていない。報告書にはSCP-2222-JPの画像もあるが、
再現画像である。
SCP-2222-JPは以前紹介した通り毎秒約一回点滅をしているが、不安定状態になるとこの点滅間隔が狭まることがある。そして、点滅間隔が狭まると、SCPオブジェクトの収容違反や要注意団体によるサイトへの襲撃が発生する。
また、それらのインシデントは、SCP-2222-JPの点滅間隔が狭まるほど危険性が増す傾向がある
さらに、SCP-2222-JPが不安定状態に移行すると、SCP-2222-JPのヒューム値が低下する。
余談だが、SCP-2222-JPは最高で1秒に3回ほど点滅する。監視するDクラス職員が光過敏性発作をおこさなければいいが...
このSCP-2222-JPだが、一定時間以上見ていると精神に異常をきたすことがあるらしい。詳しくは後述。
SCP-2222-JP-Σ*4は、SCP-2222-JPと同時に発見された人工物である。これについても後述。
今までの情報のまとめ
- SCP-2222-JPは球体の発光体で、ずっと見ていると精神に異常をきたすことがあるよ
- 何かのインシデントが発生するとSCP-2222-JPのヒューム値が低下し、SCP-2222-JPの点滅間隔も狭まるよ
- SCP-2222-JP-ΣはSCP-2222-JPと一緒に見つかった人工物だよ
特別収容プロトコル
ここで特別収容プロトコルの登場である。
こちらも簡単に要約すると、
- SCP-2222-JPはサイト-∇内のコンテナにに収容されるよ
- 収容室内にスクラントン現実錨が4台おいてあるよ
- 訓練を受けた三名以上のDクラス職員がSCP-2222-JPを監視しているよ。SCP-2222-JPが不安定状態になったら監視担当職員は収容担当班にそのことを伝えるよ
- SCP-2222-JP-Σがあった場所は財団の静止衛星と機動部隊が監視しているよ
- SCP-2222-JPの精神異常の影響を受けた職員は研究目的のためサイト-∇に配置され続けるよ。研究が終わった後どうするかはサイト管理官及び収容担当班の判断に任せるよ
となる。
補遺1:発見
SCP-2222-JPは、1974年に財団がKant-WNETsを導入したことによって発見された。
Kant-WNETsというのは、世界各地のヒューム値をモニタリングするシステムのことである。
そのKant-WNETsを使用した結果、サハラ砂漠で出現と消滅を繰り返している現実性ホールが発見された。
当該地域で再度検査を行ったところ、地下700mの地点にSCP-2222-JPが見つかったのである。
また、SCP-2222-JP-Σもこの時発見された。
補遺2: 未確定の異常性
先ほどSCP-2222-JPは精神に異常をきたすことがあると述べた。補遺2はそれについての文章である。
ルシェリ・ウィザースプーン研究員は、SCP-2222-JPの監視を担当していた。
彼はなまけ癖があり、同僚などからもそう認識されていた。そんな人が研究員になっていいのだろうか…でも本部にはもっとひどい奴らがいたか。
以下はそんな彼の二日分の日記である。
ここ最近、くだらない感情に支配されているような気がする。
どうにも、アノマリーが恐ろしく感じる。当たり前の感情だけれど、最近は一層怖い。今みたいに光を見てれば済む仕事じゃなかったら、もしかすると発狂してたかもしれない。どうして私はあんな意味不明な恐ろしい存在たちを相手にしてるんだろう。そう思うと、妙に嫌な気分になって、ますますアノマリーどもを徹底的に暗闇に閉じ込めてやるなんて、強く強く思ってしまう。
正直、長時間観察だけするのは酷くつまらないんだ。今日だって椅子に座りながら、いつまでも馬鹿みたいに「私は何のために財団にいるんだ?」と自問してばかりいた。ふと、「もしかして自問が仕事だったのでは!?」などと思って、今日もデカい箱の前で一人笑ってしまった。なんだか、変態のようで気味悪い。
精神影響かもしれないから心理鑑定を受けるべきか迷うけど、どう考えても「アノマリーが怖くて」「アノマリーを収容しなければならない」なんてのは、とても健全な財団職員の思考だ。私は何もおかしくないはず。もしかしたら、目の前の光が財団を攻撃しようと輝いてるから、変に神経質になってるだけかもしれないし。やっぱり、無害そうに見えても本当にアノマリーは油断ならない存在だ。
今日も新しいアノマリーが収容されて、脳が融けそうなほどホッとした。
それでも、不安は拭えない。
昨日の日記を見返して顔が燃えるように熱くなってしまった。ダメだダメだ。何が「私は何のために財団にいるんだ?」だ。馬鹿みたいに、じゃなくてお前は馬鹿だ。
確保収容保護。
ただ、当たり前だけど一番大事なことを改めて認識するいい機会になったし、やる気も溢れ出てきた。明日からも頑張ろう。
(無関係の文章は編集済)
…一日で人が変わってないか?
このように、SCP-2222-JPを見た人の一部*5は、異常物質の蒐集への意力が増すらしい。solvexの提言をイメージしてもらえば分かりやすいかもしれない。
この異常性については財団も調査中なのだが、どうやらDクラスにはこの異常性は効かないらしい。その結果、SCP-2222-JPの監視はDクラスが担当することになった。
ちなみに、ウィザースプーン研究員は記憶処理の後財団最大級のサイトであるサイト-19に配属されたらしい。よかったね。
補遺3:ヴィシス・プロトコル [レベル∇機密]
ここから先はレベル∇機密である。つまり、この報告書を見ているあなたはサイト-∇に来ているというシチュエーションになっている。
補遺3では、ヴィシス·プロトコルについて解説していく。
ヴィシス·プロトコル-前記
ヴィシス·プロトコルとは、SCP-2222-JP収容担当班長のアポリナール・ヴィシス博士が考案したプロトコルである。日本支部管理下のオブジェクトなのに外国人ばっかじゃんとか言わない。
これから、ヴィシス·プロトコルの内容に移っていく。
ヴィシス·プロトコル-概要
SCP-2222-JPの点滅間隔が狭まった場合、RAISA上のデータからインシデントの発生率が高いと判断されたサイトに対し警告を複数サイト自動緊急発進割当システム(MAYDAY)を介して行い、インシデントの被害を抑制する。ヴィシス·プロトコルをざっくりまとめるとこうなる。なお、MAYDAYというのはザ・グレート・ヒッポの提言にも登城した、サイトに対して警報を鳴らすシステムである。
SCP-2222-JPは、以前紹介した通り点滅間隔で危険度を示すこともできる。そこで、ヴィシス博士はSCP-2222-JPのbpm*6に応じて警告の重要度を指定した。以下はその表である。なお、アラートカラーはフランス支部の脅威レベルに基づいている。
レベル | bpm | アラートカラー | 意味 |
1 | 60~90 | 緑 | 危険度の低いオブジェクトの収容違反及び要注意団体からの小規模な攻撃。 |
2 | 91~120 | 黄 | 危険性の高いオブジェクトの収容違反及び要注意団体からの中規模な攻撃。 |
3 | 121~140 | 橙 | 危険性の高いオブジェクト複数の収容違反及び要注意団体の大規模な攻撃 |
4 | 141~160 | 赤 | 大規模な収容違反及び要注意団体の大規模な攻撃 |
5 | 161~ | 黒 | K-クラスシナリオの発生 |
ヴィシス·プロトコル-提案者注記
ヴィシス博士は、このプロトコルに対して3つの注意点を指摘している。
- ヴィシス·プロトコルは、SCP-2222-JPが財団に敵対的で、SCP-2222-JPがインシデントの発生を誘発しているという仮説の基成り立っているが、SCP-2222-JPの収容以前と収容以後でインシデントの発生回数は増加していない。もしSCP-2222-JPが財団に敵対的なオブジェクトではないのなら、このプロトコルの基礎の基礎が否定されることになる。
SCP-2222-JPが財団に敵対的ではないのならそれはそれでいい気もするが... - SCP-2222-JPは、インシデントの発生場所までは示すことができない。なので、警報が鳴らされたもののインシデントは起きなかったサイトの業務に支障をきたす可能性がある。
- SCP-2222-JPは、財団が未確認のオブジェクトや要注意団体には効果を発生させない。
ヴィシス·プロトコル-最後に
これらの問題点が解消され、ヴィシス·プロトコルが承認されたら、財団はSCP-2222-JPを財団の切り札、つまりThaumielオブジェクトに指定するべきだとヴィシス博士が述べたところでこのプロトコルの説明は終わる。
ヴィシス·プロトコル-O5での投票結果
ヴィシス·プロトコルの承認及びSCP-2222-JPのThaumiel指定に対してO5内で投票が行われた。その結果がこちら。
ヴィシス・プロトコルの承認に係る投票:
賛成票:
O5-03, O5-09, O5-10, O5-12, O5-13
反対票:
O5-01, O5-02, O5-04, O5-05, O5-06, O5-07, O5-08, O5-11
結果:
否決
Thaumielクラス再分類に係る投票:
賛成票:
O5-03, O5-04, O5-09, O5-10, O5-12, O5-13
反対票:
O5-01, O5-02, O5-05, O5-06, O5-07, O5-08, O5-11
結果:
否決
...ありゃ?
どうやらどちらも否決されてしまったらしい。
以下はO5-1からのコメントである。
代表コメント: 現状ではヴィシス・プロトコルを承認することはできない。プロトコルそのものの実行は可能だろう。しかし私は、SCP-2222-JPへの理解が足りているとは言えず、プロトコルの継続は困難であると考えていた。そして投票が示すように、ヴィシス・プロトコルは現状凍結となる。また、Thaumielへの再分類についてだが、やはり性質に未だ解明されていない箇所が多いことが気がかりであり、繰り返しとなるが、兎にも角にも現状では我々自身で得た理解が不足している。Thaumielクラスとしてはなおのこと不相応と言えるのだ。
最後に、ヴィシス博士に告ぐ。真実は我々の目で視るべきであり、いかなる証拠があれども我々は“知らない”ということを決して忘れるな。
調査を、研究を、収容を、継続せよ。
──O5-01
O5-1から直に注意されたヴィシス博士可哀そう
SCP-2222-JP-Σ [レベル∇機密]
皆さんお待ちかねSCP-2222-JP-Σの登場である。
まず、SCP-2222-JPの発掘作業員の一人、オーガスト・コクラン氏へのインタビューを見ていただきたい。
コクラン氏は、SCP-2222-JPの発掘作業中極度の興奮によって無断で地上に帰還したところを監視職員に拘束されてしまったらしい。
[記録開始]
俺たちはとんでもない物を掘り起こしちまったかもしれん。……何? ああ、了解。じゃあ最初から話そう。
知っての通り、現実性の薄い場所を探すプロジェクトの一環で今回の獲物を掘り始めた。地下2300フィートくらいに現実性のやけに薄い箇所があるってことだったから、正直最初はかなり厄介だと思った。しかもサハラ砂漠と来た。ただでさえ石油やらなんやらが出て殺し合いも起きるような場所だし、未発見の墓所とか下手に出てきて対処ミスしたら相当まずいからな。まあ流石財団というか、問題なく作業できたのは良かったし、そういうのも出てこなかったから結果オーライだ。
仕事中のことだ。俺もそうだが、掘削中にヒュームが一気に下がるのが何度もあったから、どうしても怪我人が出た。クラスD現実性希薄領域、で合ってたよな? 無駄に恐れなくたって、急いで梯子を登れば何ともなかったんだ。上にはSRAも数台置かれたし、ある程度携帯型SRAもあったからな。それでも異常は出てくるものだ。例えば、俺と一番仲良い奴は両腕が少し変な方向に歪んでしまった。俺は酷いもんで、ケロイドみたいなのに上半身をファックされちまった。すぐに医療班に治療してもらったからもう平気だ。……嘘だ。まだまだ傷んでる。
でも、若造の頭が削れて死んだ以外、そこまで大きな事故とかはなく掘削は進んでいった。死人が出たら現場の空気はキリッとしたが、それでも日がな毎日穴堀りばかりしてたからか、確かにペースが落ちていった。これは仕方ないことだと思う。普通の人間なら、同じ仕事を繰り返してれば怠くなるだろう。「もしこれで石油とかウランとか出てきたら、どうする?」なんて話しながら気を紛らわすくらいしかできなかった。いつ死ぬかわからない現場だからこそ、死ぬ話より生きる話をしたいからな。
そろそろ限界だと真剣に話し合うくらい全員が辛くなってた頃に、ようやっと獲物が顔を出した。最初に見えたのは灰色の分厚い板だった。恐らく鉄筋コンクリートか何かでできてるんだと思うが、詳しいことは分析班に訊いてほしい。許可が下りたから、一番デカいドリルで板に穴を開けた。穴はすぐには貫通しなかったが、1時間くらい粘って人が通れるようになった。光で中を照らしたが、穴開けのせいで出た砂埃が酷くよく見えなかった。少し時間を置いてもう1度覗いてみたら…… 俺たちだからこそ見覚えのあるマークが見えた。ほら、アンタの胸の名札にあるソレさ。
あそこに埋まっていたのは、財団のサイトだった。間違いない。他に説明のつけようがない。だから言ったんだ、俺たちはとんでもないもんを掘っちまったって! ただ…… どうしても疑問に思ってしまうんだ。なあ、俺たちは本当に、これを掘り出して良かったのか? 俺たちは正しいことをしたんだよな? いや、いい。アンタが知るわけないだろうし、問い詰めたって記憶処理でパーになるだけ。後は他の部署の仕事だ。
まあ、今になって不安になってるが…… 発見したときは大人げなく興奮しちまったんだ。これから先、これを超えるようなもんは見つけられないと誓えるくらいに、この仕事は俺にとってはあまりに有意義だったと思う。ひとまず、もう話すことは無い。さあさあ仕事は終わった! とりあえず休もうぜ、俺もアンタもさ。持ってかれた現実性の分、酒をぶち込んでやりてぇんだ。
[記録終了]
そして、この時発見された財団のサイトこそ、SCP-2222-JP-Σである。
SCP-2222-JP-Σについて機動部隊アトレッド-3 (“スペランカー”*7)が調査したところ、SCP-2222-JP-Σは異世界から来たサイトっぽいことが判明した。
...ん?異世界から来たサイト?
砂の影響でサイトのほとんどの場所には移動できなかったものの、第四収容区画には侵入することができた。
第四収容区画には8つの部屋があり、中にはオブジェクトが収容されていたが、扉が溶接されていた上に扉を破ったら収容されているオブジェクトに攻撃される恐れがあるため中に入ることはできなかった。*8
また、扉には中に収容されているオブジェクトの名称と思われる文章が刻印されていた。
第四収容区画にあったオブジェクト 本編とはあまり関係ないので折り畳み
ここにある部屋番号はこの世界の財団が勝手につけたものである。
部屋番号 | プラカードの文 | 内部の状況 |
1 | トロイメライ (Träumerei) | 複数の種類の子供用玩具が部屋いっぱいに収容されている。内部から時折物が崩れる音がする。 |
2 | 勿忘草 (Forget-me-not) | 植木鉢に花が植えてあるが、花を見終わるとその植物の名前を思い出せなくなる。 |
3 | 巨大なるもの (A Big One) | ニワトリのものと思われる卵が浮遊している。卵を視認したものは軽度の頭痛を訴えた。 |
4 | D | 目をつぶって窓を除くと内部に頭部のない三体の天使の彫刻が見える。 |
5 | 栄冠 (Aureole) | 内部は空であり、扉には低現実性にさらされたような跡がある。 |
6 | 意外性 (Unpredictability) | 馬の死体が置いてある。それを見たものは驚愕する様子を見せるが、何に驚いたのかは説明できない |
7 | [判読不能] | モノクル(片眼鏡のこと。めだかボックスの蝶ヶ崎蛾々丸やSPY×FAMILYのヘンダーソン先生がつけているもの。)が天井から吊るされている。内部から時折鳴き声が聞こえる。 |
8 | 我らの心臓 (Our Heart) | SCP-2222-JP。ここの扉だけ溶接されてなかった。内部には死体と[編集済: 補遺2222-JP.5を参照]があった。 |
SCP-2222-JPの回収が終わると、SCP-2222-JP-Σは消滅してしまったらしい。なので、SCP-2222-JP-Σの調査はもうできなくなってしまった。
補遺5:我らの心臓 [レベル∇機密]
== 当ファイルへのアクセスは制限されています ==
[資格を入力する]
このファイルにアクセスできるあなたへ:
決して、ここに書かれている情報を鵜呑みにしてはいけないと心得よ。
氷山の一角を見て物を判断してはならない。そもそも我々はSCP-2222-JPのことにすらもあまりに無知であり、ここに書かれた情報を確定させるだけの術を未だに手にしていないのである。だからこそ、我々の目で真実を視るその日が来るまでは、調査を、研究を、収容を、継続せねばならない。
──O5-01
以下はSCP-2222-JPの回収と同時に回収された文章及びボイスレコーダーの音声の転写である。
回収文書はSCP-2222-JP-Σのあった世界でのSCP-2222-JPの報告書であり、音声記録はSCP-2222-JPが回収された際近くにあったボイスレコーダーから確認された音声である。
雰囲気を壊さないためにも、この二つの文章を読んでもらった後にまとめて解説する。
回収文書2222-JP.5.1
SCP-2222-JP - 我らの心臓
Item #: SCP-2222-JP
Object Class: Yesod
取扱方: SCP-2222-JPは奇跡論的施術ツインズ-358を施したチタン合金製のコンテナ内部に保管した状態で、サイト-5の第4収容区画の収容室に収容します。収容室内には現実性供与装置を4台設置し、現実性が低下した際に自動的に起動するように設定しておかなければなりません。SCP-2222-JPの監視は十分な訓練を受けたDクラス職員が行います。
Dクラス職員を除き、アンドリュー=アラマキ式ミーム的検査法によりSCP-2222-JPに由来しないと判断された職員のみがサイト-5に勤務し、SCP-2222-JPの収容を行わなければなりません。SCP-2222-JPの情報開示は該当検査に合格したCクラス以上の職員に限定されます。
例外として、アンドリュー=アラマキ式ミーム的検査法を行うことなくSCP-2222-JPの情報にアクセス可能な職員は以下の通りです。
·財団管理者
·監督評議会メンバー
概要: SCP-2222-JPは非実体的-形而上学的異常存在であり、1秒に1回の間隔で明滅を繰り返しています。実際にはSCP-2222-JPは発光していません; ヒトの眼球がSCP-2222-JPを認識できるにもかかわらず、SCP-2222-JPにはいかなるエネルギーの出入りもありません。
既知の情報から、SCP-2222-JPは地球外あるいは別次元に由来する“寄生生物”であるという説が強く支持されています。SCP-2222-JPは現実改変ではない異常な方法により生命や構造物 (SCP-2222-JP-A) を生成し、正常性の枠組みから外れた物品を収集することで“成長”します; SCP-2222-JP-Aが今日の「財団」であり、異常な物品を収容するほど新たなサイトや職員の生成が、基本的には太陽系内で異常なプロセスを介して進行しています。
しかしながら、整合性が取れるように報告書の情報や異常生成された職員らの記憶が改変されるため、このプロセスを多くの財団職員は異常であると認識することができません。これはアンドリュー=アラマキ式ミーム的検査法に用いられる特殊ミームを摂取することで認識可能になります。これらの事実により、SCP-2222-JPの成長プロセスは結果的に地球上の正常性の維持に大きく貢献しています。
SCP-2222-JPは自身が収容したとみなした異常存在が収容違反を起こしたとき、あるいは外部から既知の存在が攻撃的な接触を行ってきたとき、明滅間隔を狭め急激にヒューム値を低下させます。通常であれば内部現実性濃度は1 Hmに固定されており、低下した際に周囲の現実性を吸引します。現実性研究部門は、吸引した現実性をどこかに貯蓄している可能性を指摘しています。
SCP-2222-JPは自身を視認したオブジェクトに由来しない人物に対し、普遍的な恐怖感と収集癖を与えます。この精神影響の影響者は、自身の理解が及ばない物品の収集を行い始めます。結果的に、SCP-2222-JPの成長に貢献する人物が増加することになります。この異常性が効果的に発揮される場面はSCP-2222-JPの性質上非常に限られているため、あくまでも補助的な性質であると考えられています。オブジェクトに由来する人間がSCP-2222-JPを視認しても、同様の効果を得ることはありません。
SCP-2222-JPの発生起源には非常に夥多なクラスS/001上位存在が関係していると考えられていますが、複数の部門の研究により、SCP-2222-JPはそれら以外のなお根源的な存在にも起源を持つ可能性が示唆されています。空想科学部門は、クラスS/001上位存在の考慮のみではSCP-2222-JPの起源には到達できないと断定し研究を行っています。
補遺: SCP-2222-JPは財団の存在や理念など、財団に係るあらゆる事柄の基礎となる存在であるため、特殊クラスのYesodが割り当てられています。SCP-2222-JPの維持──異常存在の確保・収容・保護の継続──は、知識の有無に関わらず、全財団職員の最大の義務です。
音声記録2222-JP.5.1
[記録開始]
(雑音交じりの大音量のアラート音が鳴っている)
アラート音: ──繰り返します。レベル-7全サイト緊急通達。(雑音) の無力化が確認されました。これをもって財団の全職員は (雑音) となります。今までの勤務、大変お疲れさまでした。 (雑音) 繰り返します。レベル──
(アラート音が止まる)
不明な人物: あーあー。音は入ってるな。よし。この音声は後世のために残しておく。とにかく語らせてもらうぞ。このボイスレコーダーが失われないことを祈る。
さて、これが聞かれているということは、誰かがこの施設を見つけたということだ。それでいい。
あなたの目の前に何か光るものの入った箱があるだろう。とても重要な箱だから壊さないで欲しい。その中の光は、実に700年近く研究され続けてきた。そしてわかったのは、この光がある頃に地球に寄生した、異界より来たる生物ということだった。平行する世界にも同じ存在が確認されているんだ。まあ、詳しいことは資料を見てくれ。
この光は、自分自身が脅かされる、つまり組織に何らかの非常事態が発生すると、苦しそうに輝き始める。まるで何かから逃げる人間の心臓の鼓動のように、早く激しく点滅する。私たちはこの性質を使って、自分たちに起こり得る危険を予測し対処する術を確立していた。
でも、今日は違ったんだ。もはや点滅しているのかすら知覚できないほどの輝きを放った。私たちは、今日が最期だと悟り、それは虚しくも現実になった。始まりはアメリカのサイトだった。続けざまに日本、中国、イタリア、カナダ、ロシア…… 維持され続けてきた正常を焼き尽くさんと、地球は異常の踊り場となった。
そしてついに、光は輝くことをやめた。突然、他のサイトとの連絡が完全に途絶えた。何もかも、跡形なく消えていたんだ。ここのサイト以外の財団の人間はみな、光が生み出した幻影だったからだ。ここには厳密な検査を通り抜けた、光に由来しない真の人間しかいなかった。頭が犬になった職員、作った覚えのない月のサイト、そういうのはみな、この光の作る虚像でしかなかった。その先は何となく予想できるだろう。今まで収容されていた異常の全てが、地上へ解き放たれたんだ。
ここの職員たちは各々自殺した。少しでも楽に死ねるようには、こうするしかない。私たちは本当によくやったと思っている。今まで本当に、本当によくやった。ただ、今日は運が少し悪かった。もはやここには私しか残っていない。……実のところ、私は死ぬのが怖いんだ。本当は臆病で、隅で小さくなってるような弱い人間だから。(笑い声)
それでも独り残ったのには理由がある。世界の終わりがどのようなものか、この目で見てみたかった。果たして、私たちが必死に留めてきた正常の行きつく先が幸か不幸か、とにかく知りたかった。私はひたすら待ち続けた。壊れた世界で、そのときを。
すると、奇跡が起こった。死んだ光が、また輝き始めたんだ。途端に現実性濃度はメーターがはち切れんまでに跳ね上がり、サイトは大きく揺れ始めた。初めは何が起こったかわからなかった。目が覚めると、サイトは砂中に埋もれていて、現実性濃度は1を指していた。電気系統はギリギリ生きているようだったが、じきに途絶えるだろう。酸素もいつか失われる。死は避けられない。それにどうやら私は、世界の終わりを見ることもできないようだ。少し残念だが、どうしようもない。
ただ、私は知っている。ここに光がともっている。これは我々の立つ暗闇を照らす希望の灯だ。灯が輝く限り、世界の正常性は必ずや維持され続ける。だからこそ、私はこの声を残そうと決めた。この声が、新たな希望をつなぐことを祈って。
(沈黙)
私たちの変遷は、この光の生物としての成長であり、進化の軌跡だった。異常を集めれば集めるほど、新たな施設や職員が出現したり、報告書に新たなフォーマットが現れたりと、興味深い変化は数えきれないほどあった。気づいていないだけで、あなたたちもそうなのではないか? 大丈夫。あなたたちがどれだけ変化しようとも、根底にあるものは決して変わらない。それは正常を保護するためでもあり、成長するためでもあるから。
そしてもし、あなたたちが異常存在を収集しているのなら、その数に圧倒されていないか? 今になって思うことがある…… 私たちこそがこの世界にとっての異物で、異常存在は私たちを排除しようと世界が生み出しているのではないか、なんて。それは体に入ったウイルスを殺す免疫系のように…… 世界は私たちの考えるような正常を望んでいないのかもしれない。むしろ、秩序だっていない世界こそが、世界にとっての正常なのだろう。
たとえそうだとしても、それを私たちは是としない。どれだけ世界が私たちを拒もうとも、私たちは異常存在の確保・収容・保護を継続し、敢えて唱え続ければならない。私たちはここにいる、と。そんな世界を愛しているからこそ、世界に語り続けなければ。
(咳き込み)
さあ、そろそろ話を終わりにしよう。私は十分頑張った、はず。
まだ見ぬ同志たちよ。成長を止めてはならない。進化を止めてはならない。あなたたちの行いは決して無駄にはならない。世界にもあなたたちにも、いつか必ず終わりが来る。それをハッピーエンドかバッドエンドにするかは、紛うことなきあなたたちのその手にかかっている。それでもあなたたちなら、何もかも上手くいくさ、絶対に。
聞いてくれて、本当にありがとう。
移ろう世界に祝福を! 移ろうあなたに幸運を! 灯の誘うままに進んで征け!
(震え声が数秒続いた後、1発の銃声が鳴る)
[記録終了]
解説
このオブジェクトは、冒頭でも紹介した通りメタ的な要素を持っている。
まずは、物語内で何があったのかを説明する。
財団目線での解説
SCP-2222-JPは、上位世界からこの世界にやってきた寄生生物である。
そして、財団のサイトや財団職員はSCP-2222-JPが生み出したもの(SCP-2222-JP-A)である。
SCP-2222-JPは、異常なオブジェクトを集めることで成長し、新たなSCP-2222-JP-Aを生成する。また、SCP-2222-JPはSCP-2222-JP-A以外の人物が視認した場合異常物質の蒐集をしたくなり、SCP-2222-JPの成長に関与する。
こうして、財団は本部だけで約5000、支部も合わせれば8000近くのオブジェクトを収容している大規模な団体になったのである。
しかし、ある日事件が起きた。
SCP-2222-JP-Aたちが急に消失したのである。
そうなったら財団そこに収容されていたオブジェクトがどうなるかは察しが付くだろう。
結果、財団のサイトはSCP-2222-JPに由来しない唯一のサイトであるサイト-5(SCP-2222-JP-Σ)のみとなってしまった。もはや世界の滅亡は間近である。
しかし、奇跡が起きた。
SCP-2222-JPが今まで貯めていた現実性を使用し世界を再構築し始めたのだ。
その結果、今のSCP財団ができたのである。
ただ、報告書の形式が違うなど、再構築前の世界とは少々差異が見られる様子である。
メタ的な解説
ここで、皆さん気になっているであろうSCP-2222-JPの正体について解説する。
SCP-2222-JPについて分かっていることとして
- 上位世界から来たよ
- 財団はSCP-2222-JPが生み出したよ
- 世界を再構築できるよ
ということがある
これらのことを踏まえると、SCP-2222-JPは…
SCPの作者や読者がSCP財団を愛する気持ちの象徴
と言える。
SCP財団に対し誰も愛を抱かなかったら、SCPは掲示板のネタとして終わってしまっていたかもしれない。
SCP財団に対して愛を抱く人が多かったからこそ、SCPは人気のシェアワールドとなった。
しかし、どんな人気なコンテンツにも終わりは訪れる。SCP財団の場合、それはサービス終了という形で。
SCP-2222-JP-Σのあった世界では、それが起きてしまった。
SCP-2222-JPが生み出した物たちは消失し、SCP財団は幕を下ろしたように見えた。
しかし、SCP財団は終わらなかった。
財団世界は滅びなかったのである。
連載が終了しているのにもかかわらずいまだに人気を博している漫画があるように、SCP財団もSCP財団を愛する人がいる限り終わらないのである。
SCP財団はこれからも変遷を続けていく。
しかし、SCP財団への愛情はいつまでも変化しないことを祈りたい。
SCP-2222-JP
灯
関連SCP
SCP-001-JP/Fennecistの提言
SCP-2222-JPの作者のFennecist氏の提言。
アニヲタwikiに記事があるので、そちらを見てもらった方が早い。
こちらも「愛」にかかわる記事である。
余談
SCP-2222-JPは、SCP-2000-JPコンテストで栄えある3位を獲得している。
一位はSCP-2000-JP、二位はSCP-2999-JP。
ちなみに、「灯」は「あかり」と読む(クレジットより)
追記、修正は愛をこめてお願いします。
▷ CC BY-SA 3.0に基づく表示
SCP-2222-JP
byFennecist
http://scp-jp.wikidot.com/scp-2222-jp
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- 建主です。 -- 名無しさん (2022-08-13 15:44:35)
- ↑ミス 建主です。補遺4については意味が分からなかったので、わかった方は追記お願いします。折りたたみのところです。 -- 名無しさん (2022-08-13 15:46:27)
- まとめのところの「SCPF」って書き方、多分「SCP Foundation」のことなんだと思うけど分かりづらいから普通に「SCP財団」でいいと思う -- 名無しさん (2022-08-13 19:26:45)
- ↑変更しました -- 名無しさん (2022-08-13 19:53:22)
- 2000JPコンで一番好きな記事だわ -- 名無しさん (2022-08-14 20:19:18)
- 十分な訓練を受けたDクラスってどうやって調達するんだろう……毎月処分してるはずなのに -- 名無しさん (2022-08-20 16:27:27)
- ↑君のヘッドカノンでは1か月で処分するってだけじゃない?2222JP世界では違うってだけの話 -- 名無しさん (2022-08-24 17:11:06)
- そもたいていのカノンでは記憶処理ののち再利用の筈やぞ -- 名無しさん (2022-11-08 15:38:16)
- 「じゃあなんで日本支部の管理下なんだよとか言わない」と書いてあるけど、あくまでjpなどの区分はそのサイトで公開されているという程度の意味合いであって日本支部が管理しているという意味合いではないよ(というかこの記事以外にもそういうのはある) -- 名無しさん (2023-04-27 12:22:48)
#comment(striction)
*2 秘匿サイトなのでどこにあるかは不明。
*3 SCP-2222をヒューム原器として使用する計画が持ち上がったほど。リスクの方が高いとして却下されたが。
*4 数学でおなじみシグマ記号。
*5 彼以外にもBクラス一名とCクラス一名がこの異常性に暴露したらしい。多いような少ないような…
*6 一分間の点滅回数のこと。beats per minuteの略。
*7 スペランカーというのは英語で「洞窟探検家」という意味がある。決して構成員が貧弱なわけではないので注意
*8 収容室の前に窓があったのでオブジェクトの様子は視認可能。
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