登録日:2021/05/26 Wed 23:23:34
更新日:2024/05/27 Mon 13:06:47NEW!
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エヴァ エヴァンゲリオン 新世紀エヴァンゲリオン 鈴原トウジ 3号機 使徒 粘菌 侵食 ダミープラグ みんなのトラウマ トラウマ 今日の日はさようなら 式波・アスカ・ラングレー ヱヴァンゲリヲン新劇場版 ある意味最凶 使徒(新世紀エヴァンゲリオン) バルディエル 四人目の適格者 第9の使徒 命の選択を ダミーシステム エヴァンゲリオン3号機 ある意味最弱 バルディオス←ではない 第十三使徒
「エントリープラグ!?」
「やっぱり、人が乗ってるんだ……!」
バルディエル(BARDIEL)とは『新世紀エヴァンゲリオン』に登場する謎の生命体「使徒」の一体。
本項目ではTVアニメ版を主体に、『新劇場版シリーズ』に登場する「第9の使徒」についても記載する。
基礎データ
呼称:第13使徒/第9の使徒
天使名:バルディエル
全高:不定*1
体重:不定
象徴:霰
能力:侵食、身体能力増強
概要
第3新東京市地下のNERV本部を目指し侵攻をした使徒の一体。
名前の「バルディエル」はキリスト教・ユダヤ教の伝承にある「霰の天使」である「バラキエル」の別名に由来している。杉田がネタにしていたけど、明日を救えは関係ない。
ただし他の使徒同様劇中では天使名で呼ばれることはなく、主に「第13使徒」と呼称される。
外見は青みがかった白色の粘菌の様な姿で、特定の形があるわけではない。
詳細は後述するが、実は「本体だけ」の状態では何もできない。
せいぜい使徒共通のA.T.フィールドを張れるくらいだと思われる。
能力
当然そんなひ弱な使徒がそのままでいるわけがなく、何らかの方法で「宿主」を見つけて「侵食」する。
即ちイロウルに続く第2の侵食タイプの使徒である。
そしてその宿主が動き出す(起動する)のと同時に対象を自らのコントロール下に置く。
この状態になると自らのコントロール下に置いたものを自在に操り、
- 身体能力(機体性能)の向上
- 宿主の物性の変質
などを起こし、一気に強敵となる。
同じ侵食型でも知能特化型のイロウルが「対象に合わせて自らを変えていく」のに対して、戦闘特化型のバルディエルは逆に「自らに合うように宿主を改造していく」という点は非常に興味深い対比である。
侵食
バルディエル最大の能力で、対象を侵食し自らの支配下に置く。
侵食相手は後述する理由から生物的な性質を持つものになる。
また、既に宿主への侵食を終えた状態でも相手を襲撃し、宿主を介して自身を襲撃相手に侵食させて更なる乗っ取りをすることも可能。
変性
侵食した相手の物性を変質させ、身体能力や戦闘力を強化・向上させる。
劇中では3号機に後方に浮き上がるような軌道の奇妙なジャンプをさせたり、腕を身の丈以上に伸縮させるという形で利用されている。
また自身のS2機関の効果により3号機をアンビリカルケーブル無しで行動させることも可能にした。
A.T.フィールド
使徒の共通能力。
3号機に侵食した状態で使用しているため、3号機の持つA.T.フィールドなども上乗せされている可能性も否定できない。後述の『エヴァンゲリオン2』の描写が公式設定に基づいていると仮定すれば、単独では使用できない可能性も否定できない。
劇中の活躍
TV版アニメ版
第拾八話にて登場……だが、バルディエルの動向を語るためには、前話での出来事をある程度知っておく必要がある。
そのため、その部分を知らない方は以下の内容を見ることを推奨。
アメリカのNERV第2支部にて建造されたエヴァ4号機が突如として消滅。
エヴァ4号機があった地点を中心とした半径89キロ以内の物体を大勢巻き込んで、更地と化した。
(この件をリツコは、ディラックの海に飲み込まれたと推測している。)
消滅時、4号機はドイツにて修復したS2機関をエヴァに搭載して、稼働確認のための実験を行っており、(言及こそされていないが)これが原因なのではないかとされている。
米国政府はNERV第1支部を失うことを恐れ、残った3号機を日本側に譲渡。
長野県松代まで空輸し、そのまま起動実験を行うことになった。
無人操作用のダミープラグの開発も進められていたが、問題点が多々あるとされたため、従来通り4人目のパイロット、フォースチルドレンを選定し、有人での起動試験を行うこととなった。
選ばれたのは鈴原トウジ。
彼はサキエルと初号機との戦闘時に瓦礫の下敷きになった妹サクラが様態が良くならず、週に2回ほど見舞いに行っていたのだが、パイロットに選ばれた際に交換条件としてサクラを本部の医学部に転院させることを提示していた。
が、彼はシャムシエル戦を皮切りにパイロットであるシンジが苦悩するさまを間近で見てきたためか、パイロットになることにはあまり乗り気ではなく、だれかにその事実を打ち明けることはなかった。
アスカは加持が見ていたパイロットのシンクロテスト等のデータから、トウジがパイロットに選ばれたことを知り、レイも詳細は不明だが、彼がパイロットに選ばれたことを知っていた(恐らくリツコあたりから聞いたものと思われる)が、シンジだけは、トウジ本人からはもちろん、ミサトからも内容を打ち明けられていなかった*2ため、3号機のパイロットが誰かを知らずにいた。(ケンスケが独自に集めた情報から3号機の存在及び起動実験のことは知っていた。)
また本筋から少しズレたところでは、トウジに思いを寄せるヒカリが彼がいつも購買部で買った物で食事を済ませているのを見て、思い切って彼の分の弁当も作ることを彼に提案、そして彼からOKをもらっていた。*3
長野県松代。
3号機は予定より2時間遅れての到着となった。
遅延こそあったものの、その翌日、トウジを乗せた起動実験自体はスムーズに行われようとしていた。
ところが、シンクロの数値が起動指数の境界を越えたところで突如としてエヴァ3号機が制御不能状態になる。
当然起動実験は中止。回路切断を試みるも受け付けず、3号機内に高エネルギー反応。
もちろんトウジのそれではない。3号機の背面部分に謎の粘菌状の物体が付着していることに気が付くリツコ。*4
使徒だと気が付くも時すでに遅し。バルディエルに乗っ取られた3号機はその場で大爆発を起こした。
A.T.フィールドで爆破を耐えたと思われる3号機はトウジもろとも支配下に置き、第3新東京市への移動を開始。
ちなみにこの際には3号機を乗っ取っているためか識別パターンはエヴァ同様のオレンジになっており、使徒と断定できなかった。
(この時のトウジの状態は呼吸・脈拍はあるものの、どのようになっていたかは映像化されていない。)
この緊急事態を受け初号機・零号機・弐号機は野辺山に空輸され、迎撃態勢をとることに。
松代にいたミサト、リツコは連絡不能となったため、ゲンドウが直接指揮を執ることになる。
活動停止信号・エントリープラグ排出信号を受け付けないため、ゲンドウは3号機の破棄及び対象を第13使徒と識別。予定通り野辺山にて戦線を展開することになった。
「えっ?まさか、使徒……?これが使徒ですか?」
「そうだ。目標だ。」
「目標って……これはエヴァじゃないか……!」
エヴァを侵食した使徒が標的。しかもその中には恐らく自分たちと同い年の子供が乗っている。
このことに戸惑うシンジ。アスカが業を煮やして彼に乗っているのが誰なのかを教えようとするが、その通信の隙を狙うように弐号機が襲撃され、あっという間に倒されてしまう。(アスカは無事に脱出しているが、弐号機は大破してしまった。)*5
これを受けてゲンドウは近接戦闘を避け、距離がある状態からの射撃を零号機に指示。それを受けて山の陰から3号機を狙撃しようとするレイだったが、いつから気が付いていたのか、ゆっくりと歩いていた3号機が突如零号機の方向にジャンプ。そのまま押さえつけられて、左腕部にバルディエルの侵食を受けてしまう。
ゲンドウはこれに対して左腕部の即時切断*6を指示し、実行されたために零号機はそれ以上の侵食を受けずに済んだが、中破状態になり、戦闘可能なのは初号機だけになってしまう。
だが戦闘することで神経接続が切れていないであろう3号機のパイロットを死なせてしまう可能性があることから、シンジは戸惑う。
3号機側はそんな事情などお構いなしに攻めてくるが、その際にエントリープラグが挿入されていることからやはり誰かがいること、そして戦闘すればパイロットが死んでしまう可能性があることを再確認したシンジはいよいよ何の抵抗もしなくなってしまい、3号機の首絞めにも何もせずにいた。
「シンジ、なぜ戦わない?」
「だって、人が乗っているんだよ!?父さん!」
「構わん。そいつは使徒だ。我々の敵だ。」
「でも……でも、出来ないよ!助けなきゃ……人殺しなんてできないよ!!」
「お前が死ぬぞ!」
「いいよ……人を殺すよりはいい!」
「…構わん。パイロットと初号機のシンクロ率を全面カットだ。」
「カットですか?」
「そうだ。回路をダミープラグに切り替える。」
「しかし、ダミーシステムはまだ問題も多く、赤木博士の指示もなく……」
「今のパイロットよりは役に立つ。やれ。」
「……はい。」
いつまでも対処を行わないシンジに業を煮やしたゲンドウはダミープラグの起動を断行。すると、初号機のエントリープラグ内が暗転、その後赤くなる。
突然の出来事に困惑するシンジ。
ダミープラグが起動したことで、形勢が逆転。それまで首を絞められていた初号機は逆に3号機の首を絞め返し、そのまま相手の首の骨を折ってしまう。
3号機はそのまま無力化してしまうが、ダミープラグで狂暴化した初号機は追撃の手を一切緩めず、3号機を放り投げたかと思うとそのまま[[頭部を殴り潰し、パーツをちぎっては放り投げて周囲を血の海に変えていった>バラバラ(状態)]]。
「やめてよ!父さん、やめてよ!!こんなのやめてよ!!!」
「クソッ、止まれよ!止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ!!」
操縦権を奪われたシンジは目の前で繰り広げられる惨状を見て、ゲンドウにやめるように言うが、当然ゲンドウは聞き入れない。
そうこうしている内に、初号機はトウジのいるエントリープラグを取り出し、そして……
「……!? やめろォッ!」
「やめろおおおおおおおおおおおおおォォォォォォォォォッ!!!」
絶叫するシンジの目の前で初号機はエントリープラグを握りつぶし、使徒殲滅を完遂した。
エ、エヴァ3号機……いえ、目標は完全に沈黙しました。
こうして3号機及びバルディエルの殲滅は完了したのだった。
同じ頃、何も知らないヒカリはトウジに明日食べてもらう弁当のおかずを考え、食べてくれるかどうかを楽しみにしていた……。
その後ミサトが目を覚まし、加持を通して3号機及びバルディエルの一件を知ったことで、シンジに何も伝えなかったことを激しく後悔。
そのまま停止した初号機内でむせび泣くシンジに連絡を取る。
シンジは3号機のパイロットが凄惨な目にあったことに強いショックを受けており、ミサトは彼に謝罪の言葉を投げかける。
そこにパイロット生存の報告が入り、安堵の表情を浮かべるシンジ。
しかしその表情はパイロットが救出される様を見た瞬間に、一瞬で崩れ去った。
そう、ここで初めてシンジは3号機のパイロット、フォースチルドレンがトウジであること知ったのだ。
ボロボロの状態で救出されたトウジ。この時点だとよく分からないかもしれないが、次回にて左足が切断されたことが明かされた。
自分が誰と戦っていたのか、ゲンドウはダミープラグを介して誰を使徒撃破時の生贄にしようとしていたのか、そのすべてを悟ったシンジは…………。
シンジ君!シンジ君、シンジ君!
シンジ君……?シンジ君!?シンジ君!!
ウワアアアアアアアァァァァァァァァァァァアアアアアアア!!!!!
この結果、ゲンドウの暴挙に激怒したシンジは初号機内に立て籠もり、ネルフ本部の破壊を画策・恐喝するが、ゲンドウはプラグ内のLCLの濃度を限界まで上げてシンジを強制的に昏倒させ、ハッチをこじ開けることで彼を排出。
もはやシンジは、一度はエヴァに乗ることで褒めてくれることに希望を抱いていた父に裏切られ、完全に失望したことで、父子の決裂は決定的なものとなった。
この行為についての尋問を最後に、ゲンドウとシンジはまともに会話すらなくなることとなる。
漫画版
一部の使徒が登場しない関係で「第九使徒」に変更されている。
戦闘における「会敵→弐号機大破・零号機中破→初号機のダミープラグ起動→撃破」という基本的な流れ自体は同じなのだが、アニメ版と決定的に異なる点が2点ある。
まず1つ目が「シンジが3号機にトウジが乗っていることを知っている」こと。
というのも、アニメ版ではトウジが3号機のパイロットになったことを自発的に誰かにカミングアウトすることはなかったが、漫画版では起動実験の2日前にトウジが自らシンジに3号機の起動実験に参加することを打ち明け、そのことに対する不安感などを吐露している。
シンジはプラグ内の安全性やNERVスタッフの支援などがあることを告げながら彼を励ますが、当日に例の惨劇が起きてしまうことになった。
はたから見れば大きな変化には見えないが、シンジにとってバルディエルの殲滅が意味することが「(所在が分からない)誰かを死なせること」ではなく「友人であるトウジを死なせること」となっているという点では大きな変化である。
2つ目は「トウジが死亡してしまう」こと。
グチャグチャになったエントリープラグ内で、アニメ版と同じ左足切断のダメージを受けた他にも頭部裂傷・脾臓破裂の追加ダメージ、そして心音・脈拍共にない状態で発見された。
アニメ版では左足を失いつつも生きていたが、漫画版は上記の通り、発見時には既に息を引き取っていた。*7
その際のトウジの顔は非常に悲しげな顔をしており、これが刺さった読者も多いだろう。
因みにトウジが死亡する展開自体はTV版でも元々考えられていたストーリーで、TV版では「子供を殺さない」というスポンサーの意向によってトウジは重傷を負うが生存するという展開になったという経緯があるので漫画版は初期案通りの展開になっていると言える。
また戦闘後に生じた違いとしてはケンスケがトウジが亡くなったことを知り、それが一因となってシンジと(彼を傷つけるような表現を避けてはいるが)絶交に至ってしまうという点が上がる。*8
ANIMA
TV版同様に殲滅されている…と思いきや、トウジの体内で休眠しており彼の失った手足の接合手術が行われる直前になって復活の兆候を見せた。イロウル涙目
活動再開の条件は宿主の肉体が人型を取り戻す事であるとされており、彼が義肢を装着している原因になっている。
培養された左手足は接合手術が中止された為、ネルフJPN本部施設内に保管されているはずだったが、実際はシンクロイコライザー*9開発に必要な技術を獲得するために使徒汚染の生体資料の名目でネルフドイツとの取引材料に使われて海を渡っていた。
ノヴァヤゼムリャでの反攻作戦の際にはトウジの手足を取り戻す為にケンスケがネルフドイツを焚き付けた結果、左腕の接合手術がその場で行われたがこの時には組織の接合がやや早いという点以外には異常が見られなかった。
残った左足はトウジの帰国後は使徒復活の危険性からネルフJPNに回収され今度こそ保管庫に安置された。
なお他の使徒達と異なりエンジェルキャリヤーの使徒幼生として登場することは無い。
これについては世界に同一の存在は複数存在することが出来ず、バルディエルはトウジの体内で眠っているため幼生体として甦ることは出来ないからだと推測されている。
せや、
まだ終わっとらンぞ!
最終決戦では騒ぎに紛れてレイNo.カトルが本部施設内の保管庫からトウジの足を奪取しレイNo.シスにトウジの意識体の元へと届けさせた。
トウジが付け根しか残っていない大腿部に培養された足を当てただけで宿主が人型に戻ったと認識、復活を果たして爆発的に増殖し彼を依代にしていたトーヴァートの制御を奪い取った。
さらにはトウジの指示にある程度従いつつ乗っ取ったトーヴァートを使い侵食液を流し込む事でアルマロスを侵食、アルマロスの依代にされていたEUROII・ウルトビーズとヒカリ、そして巻き込まれていたケンスケを救出。
続いて世界のリセットの起点である箱船をなんとかするというトウジの意思の元に箱船を制御する力を持つアルマロスをさらに侵食するが...
なんや...!?
悪魔の背骨か!
ウルトビーズに代わって新たな依代となった悪魔の背骨*10によって侵食を弾かれてしまった上にトーヴァートごと引き剥がされてしまった。
その後はバルディエルの侵食でトウジが限界に近づきつつあった為、レイが0・0EVAのプログナイフでトウジの左腕を切除、それと同時に活動を停止し再び彼の体内で眠りについた。
第9の使徒
『新劇場版:破』(+α)に登場する使徒。
バルディエルが元になった使徒で、外見はカラーリングが青色が強くなったこと以外は大体バルディエルと同じ。
戦闘時の行動自体はほぼ同じだが、本作では独自の攻撃方法として両肩部分から人の腕のようなアームを2本構築し、合計4本の腕で戦闘を行っている。
劇中での活躍
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破
会敵からの流れはTV版・漫画版とさほど変わらないが、大きな設定変更として「搭乗者がアスカに変更された」ことがあがる(理由は後述)。
この結果トウジは3号機との関わりがなくなったため、第9の使徒の暴走に巻き込まれることなく生きている。(というかそもそもトウジは3号機パイロットの選定関連の話題に上がってすらいない。)
それに伴い、アニメ版における3号機搭乗の重要な要素だった妹・サクラは怪我が治り、無事退院することができた。*11
話を第9の使徒戦関連の部分に戻すと、4号機消滅からの3号機移送の流れは同じなのだが、同じ頃にレイが疎遠な関係のゲンドウ・シンジの仲を取り持てるようにするために食事会を計画しており、移送状況の関係で食事会当日と起動実験日が重なってしまうという事態に。
そのためアスカは、自ら3号機のパイロットに志願。
本人は「乗りたかっただけ」と言うが、料理を作るレイと食事会の中心人物の1人であるシンジに気を使ったのだろう。
レイはリツコの協力を経てアスカの携帯にメッセージを残す。*12
しかし肝心のレイが何も話さないため、苛立ったアスカが切ろうとするが、その瞬間、「ありがとう」の一言がアスカの耳に届いた。
他人と一緒にいるのも悪くない……。
アスカは照れ隠しを含めながらもその心を守秘回線を通してミサトに吐露し、自らの気持ちを落ち着かせる。
そっか。私、笑えるんだ……!
3号機に乗り込み、噛み締めるようにつぶやきながら笑顔になるアスカ。
しかしその直後、3号機に異変が発生。
エントリープラグ内が侵食されたかと思うと、アスカの目の前に無数の光の粒と不気味な笑い声が響き渡る。
その後、TV版と同様に戦闘に入るのだが、まずアスカは第9の使徒に取りつかれ、2号機もバチカン条約が原因で凍結中なので不在。
そして3号機の提供が優先され、零号機修復に追加予算が回らなかったことが原因で零号機の第8の使徒戦の損傷回復が遅れていたためにレイも参戦できなかったため、戦線ではシンジが国連軍の戦車隊のバックアップを受けながら単騎で挑む羽目になった。
なお、TV版では目標を発見・戦線を展開したのは野辺山であったが、こちらは「遠見」で発見されている*13。
当然シンジはアスカが乗っていることを知っているため、TV版同様殲滅を拒否する。全くの無抵抗だったTV版と違い、首を絞められた際に3号機の腕を引きはがして最低限の抵抗はしているものの、新たに生やされた腕で首を絞められてしまう。ゲンドウとのやり取りもほぼ変わらない為、やはり本気で戦おうとはしていなかった模様。
その後は、TV版同様ダミーシステムに切り替わるのだが、戦闘時にはなぜか「今日の日はさようなら」がBGMとして使用され、優しい歌声を背に部品がちぎれて投げ飛ばされ、首の骨を折る、血しぶきがあがるなどの凄惨な戦闘……というより解体が展開されるという、どことなくサイコな雰囲気のシーンになっていた*14。なお、ダミーシステムの描写が変更され、モニターがOFFにされた為シンジはこの光景を目にしていない。
最後のエントリープラグは握りつぶしたTV版と異なり、青い侵食部位を口にはさんで、一気に嚙み潰すという演出に変化。
使徒撃破時の虹と、優しい歌の締めくくり、そしてアスカの悲鳴と思われる絶叫が小さく響くという、ある意味アニメ版以上に残酷な展開になっていた。
その後のアスカだが、生存していることは報告されているが状況は不明で、精神汚染の危険があるとして隔離状態になった。*15
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q
第9の使徒自体の登場シーンはないが、侵食されたアスカには奇妙な点が見受けられている。
前作から14年の歳月を経て、反NERV組織・Willeのエースパイロットとして改2号機に乗って活動するアスカだが、その左眼には眼帯が付けられている。
そして彼女の左眼側は時折、第9の使徒本体の体色と同じく青色に光る。
しかも発光の際、眼帯の表面にシンジの首に付けられたDSSチョーカーに浮かぶ「使徒封印用呪詛紋様」と同じ紋様が浮かび上がる。
これは使徒を封じ込めるために使用される紋様である。
これらの要素が意味するものとは……?
シン・エヴァンゲリオン劇場版:||
『Q』の時点で察していた人もいるだろうが、実は第9の使徒はアスカの左眼の中に寄生したまま生き延びていた。
(よくよく見ると『破』で殲滅された際、使徒を殲滅した証拠である十字架が出ておらず、虹しかかかっていない。)
通常時にはアスカの左眼に埋め込まれた使徒封印用呪詛柱の力で使徒としての力を抑え込まれていたが、13号機の覚醒阻止のためにアスカがその封印を解いたために解放され、新2号機もろとも使徒化。
しかしネブカドネザルの鍵によって人間を超越したゲンドウによって、逆に13号機の覚醒及び人類補完計画の発動トリガーとして利用されてしまう。
後付けではあるが、リリスなどと同じ様に原作に当たるアニメ版とは異なる結末を辿った使徒となり、ある意味扱いも大きくグレードアップしていると言えるだろう。
他作品での活躍
新世紀エヴァンゲリオン2
基本的にどのシナリオでも3号機自体隠し機体*16+バルディエル自体殲滅しなくても問題ない使徒なので場合によっては戦闘する事なくストーリーを完結させる事も可能。
庵野AIがシリアスモード時のイベントでNERV第2支部消失イベントが発生すると原作通り日本で起動実験イベントが発生する。
この際トウジのA.T.が40以下だとバルディエル化して戦闘になるが40以上だと実験は無事成功し自軍に加わる。
ただしその後もトウジのA.T.が低い状態だと確率でバルディエル化してしまう。
完全に自軍入りさせるためにはトウジのA.T.を60以上に保ち*17イベントを発生させるしかない。
そのイベントというのが「なんやこのカビ?」と、トウジやNERVスタッフに清掃されて殲滅されるというある意味衝撃的なもの。
この場合は勿論トウジも3号機も問題なくNERVの戦力として利用できるようになる。
またこの作品を通して「起動しなければ脅威にすらならない」「本体だけでは何ら戦闘力を有しない」と言う、あんまりすぎる弱点が露呈することとなった。
シンジシナリオで実際に戦った場合、ある程度戦えはするものの「接近しているとみるみるAT(気力のようなもの)が減少していき、稼働限界を切ると暴走して勝利」という、ほぼイベント戦闘。
一方で、理不尽な防御力や再生能力があるわけではなく、武装ビルを駆けずり回ってスナイパーライフルなどの高威力・長射程装備でチクチク削って倒すことも可能。
まあ、復活して問答無用で暴走させられるんですが。そんなのってないよ。
尚、トウジシナリオとヒカリシナリオではバルディエルの襲来=バッドエンド確定なのでなんとしてでも阻止するべし。
他のシナリオでも戦っても何のメリットもないのでトウジにはちょこちょこ構っておこう。
エヴァンゲリオン バトルオーケストラ
参号機が使用機体として登場するのだが、特定条件をクリアするとバルディエルに侵食された参号機も使用できるようになる。
リーチの長さが特徴だが、攻撃速度がやや鈍いのが弱点。
スーパーロボット大戦シリーズ
多くのシリーズに登場するが、それらの全てが3号機を侵食した状態での登場。
そして、他作品とのクロスオーバーが何かしらある。大抵、碌な目にあってないが
初登場。*18
原作同様3号機を乗っ取るがその後、なぜかネルフ本部ではなくゲッター線の暴走事故が起きた早乙女研究所に進路を向けた。
そして、ネルフの命令によってエヴァのみで交戦することになるが、この際の選択肢によってはシンジがパイロットを救うことを決意し戦闘となる。
この際に、戦う方を選んだ時点で3号機加入や後のストーリーが変わるシンジフラグの一つが成立する。
なお、こんな燃える展開なのにシンジの気力が最低値の50にまで下げられる*19ので普通はまともに戦えない。
その後はバルディエルのHPを減らすか初号機が撃墜されダミープラグで暴走させられるとイベントが始まり、そこへ真ゲッターロボが登場。
そして真ゲッターが放ったストナーサンシャインによって撃破された。(トウジは無事)。
ちなみに竜馬(というかゲッター線)からバルディエルは名前は天使なのにエヴァの中に巣くう悪魔呼ばわりされていた。
なお、無事トウジが救出されてもシンジはキレる。危うく親友殺しそうになったから仕方ないね。
本作では漫画版の展開に近く、事前にトウジが3号機のパイロットに選ばれた事がシンジにも知らされており、3号機が無事に起動した後の戦闘中に乗っ取りを行う。
だがラーゼフォンと初号機が連携して撃破、ラーゼフォンの力でバルディエルのみ消滅した。(当然、トウジと3号機は無事で後に無条件加入する)
だが、ほっとしたのも束の間、同じシナリオではそれを上回るラーゼフォン側の鬱イベントが発生してしまう……スパロボ補正を鬱展開の前座にするという容赦のなさである
なお、無事トウジが救出されてもシンジは(ry
また、後に3号機がバルディエルに乗っ取られる事は当初からの確定事項だった事が冬月の口から明かされ、当然知らされたトウジは絶句した。
時獄篇では新劇設定の第9の使徒として登場。
3号機の起動実験を中止するかの選択肢で中止した場合しかアスカを助けることはできない。
天獄篇においてはQ設定でアスカは眼帯姿なので中止しなかったのが正史となっている。
ちなみにダミープラグの起動時に不動ZENが「同じことを繰り返すか」と言っていたので、以前のループでもダミープラグが使われ続けていた模様。
本作ではエヴァの原作再現は数話を1話にまとめられており、使徒は同じシナリオで2体連続で登場する。
そして第10の使徒と同じシナリオに登場。
こちらを先に倒すとαと同じく真ゲッターによって第9の使徒のみ撃破される。アスカも無事だったので結果的に原作のフラグをへし折ったことになった。
第10使徒を先に倒した場合はマジンガーZEROが現れた関係で因果律が歪み一時的に攻撃が通用しなくなる。
そして、マジンガーZEROを倒すと攻撃が通用するようになり撃破可能となる。
最終的にはシン化した初号機によってアスカを救出され撃破される。
余談だがこの戦いの後、シンジの戦いに何かしら思うところがあったらしい*20ゲンドウがシンジに対して「よくやった」と褒めた上でユイの墓参りに誘い、シンジもレイの作った料理で食事しようと返したので2人の関係はかなり良好になった。何が言いたいかというと原作のゲンドウ……
余談
TV版・漫画版・新劇場版のいずれにおいても(ダミープラグの暴走ぶりも含めて)視聴者にトラウマを残していったバルディエル(第9の使徒)だが、物語においてもこの話が作品そのものの明るさという観点におけるターニングポイントとしての役割を果たしていたと言っても過言ではない。*21
事実ミサトの次回予告における一種の決まり文句であった「サービス、サービスゥ!」と文言も3号機が関わり始める拾七話からは一度も使われなくなる。
上述したとおり、バルディエルの本体は粘菌の部分なのだが、3号機を侵食している時のイメージが強いからなのか、使徒を紹介する場合には3号機憑依時の絵が用いられることが大半である。
新劇場版ではアスカにパイロットが変更されたが、実は元々TV版通りトウジがパイロットになる予定で話が考えられていたのが、シンジとレイの成長、アスカと新ヒロインマリの登場に加えて、トウジの話を描くとどう考えても尺が足りないため、比較的重要性の低いトウジの話がカットされ、一時的に物語上の必要性が薄れていたアスカに変更されたという経緯がある。アスカに直接接触し、彼女を一時退場させたことで結果的にアラエルの要素も引き継ぐことになった。
やはりというかTV版ではターニングポイントとなった話だけあってこの改変には難色を示すスタッフも多かったらしい。
新劇場版ではシンジ・トウジ・ケンスケが棒アイスを食べながら3号機の話をするシーンがあるが、その際トウジが自分の分の棒を見て「チッ、ハズレかいな。」とぼやくシーンがあるが、これは「エヴァ3号機のパイロット枠から外れる」ことを示唆していたものと思われる。後の展開を考えるとハズレどころか、当たりなのは秘密。
一方TV版では(あんなカッコしてるのに)運動が苦手なトウジが参号機搭乗前にバスケットゴールへのシュートを「成功」させるシーンがあるので、そちらとの差異や対比を意識したシーンとも言えるだろう。
イロウルやレリエルに並び、一見するとコアにあたるのか判然としない使徒。
新劇場版においては全身がコアに該当する使徒である可能性が高い。新劇場版で新たに追加された設定としてコア化侵食というものがあり端的に言えば使徒のコアに触れると触れたものが蝕まれるということである。
『破』の第8の使徒における零号機や『Q』の第13号機を掴んだ8号機に起こっている触れた部位が赤くなる現象のことである。また『Q』においてはサードインパクトによって世界全体が赤くなっているのもコア化侵食の結果。
Q/シンに登場するエヴァMark.09は同じ侵食能力や侵食時の見た目が第9の使徒に非常に近く。この機体こそが全身がコアのエヴァであり、同様の特徴を持つ第9の使徒も全身がコアである可能性が高い。実際第12の使徒という全身がコアの使徒も新劇場版では出ている。
おまけに全身がコアの特徴としてATフィールドを持たないという設定があり実際『破』において第9の使徒が噛み潰される際もATフィールドの描写は存在していない。
複数の作品で完全には殲滅出来ていなかったこともあって、侵食さえすればしぶとさは使徒でも上位かもしれない。
追記・修正はダミープラグ起動によって記事を勝手に荒らされないようにしながらお願いいたします。
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▷ コメント欄
- 明日を救えバルディエル -- 名無しさん (2021-05-26 23:41:16)
- ↑なんだその前編で「完」ってなりそうなやつw -- 名無しさん (2021-05-26 23:51:45)
- スパロボでの扱いを追記する度に直後の更新で衝突喰らって消されてるのマジ勘弁してくれませんかね…w -- 名無しさん (2021-05-27 00:29:42)
- シンジくんとトウジたちに酷いことをしたヤツだから好きに成り難い....この使徒。そーいえば、新劇場版だと「 カヲルくん「 君に幸せは似合わない 」とアスカに指摘(なんで?....シンエヴァの「あれ」に関してるから?)」「 謎の顔が映る 」「アスカの顔の皮膚を引き剥がされる没カット」があるとか、ないとか? -- 名無しさん (2021-05-27 01:36:56)
- ただのモップや洗剤?で殲滅可能て・・・あれ?こいつのコアってどんなのなの? -- 名無しさん (2021-05-27 01:54:26)
- シンジ君に一番ダメージ与えたのはこいつ(とダミープラグ)だと思う -- 名無しさん (2021-05-27 10:00:09)
- シンジが戦う意思を持ってエントリープラグだけを引き抜くとかできれば悲劇は回避できたんだろうか -- 名無しさん (2021-05-27 10:42:35)
- 「使徒の撃破」じゃなくて「3号機パイロットの救出」を命じていればシンジも戦おうとしたのかもしれないが、そうしなかった辺り助かる見込み薄だと思われたのかなあ -- 名無しさん (2021-05-27 16:36:26)
- TV版エヴァはコイツの襲来(=トウジの退場)から蜜月がガラガラと音を立てて崩れていった…! -- 名無しさん (2021-05-27 17:24:33)
- ↑2&3 その辺りは漫画版で加持さんがシンジに発破をかける形で指摘してたね。それでようやくシンジがエヴァに乗る道を選んだのはいいけど、ケンスケたちとの仲が修復できたわけでもないっていうのが…… -- 名無しさん (2021-05-27 21:18:38)
- 結構立体化率は高い -- 名無しさん (2021-05-27 23:57:19)
- マダオのコミュ障で事態が悪化した典型。チルドレンたちを上手くのせて「3体で抑え込んでプラグ引っこ抜いてボコれ。お前たちにしかできない」(浸食はあるが…)くらい誘導すればよかったのに -- 名無しさん (2021-05-28 11:59:10)
- 補完計画の為にシンジ君の心が折れる様にわざとああいう指示したんじゃね。大体あの辺りからシンジ君が成長し過ぎない様に邪魔し初めるイメージがある。 -- 名無しさん (2021-05-28 16:46:26)
- エントリープラグが握り潰される前に、初号機が電池切れするとかダミープラグを停止させるとかしていたら、トウジの足が潰れるのは避けられたのだろうか -- 名無しさん (2021-06-11 16:11:52)
- ↑ 当時の謎本でゲンドウがそれやらなかったのを根拠に「ゲンドウはこの戦いをダミープラグがどういう攻撃をするかの実験台にした」って説があったの思い出した -- 名無しさん (2021-08-11 15:32:02)
#comment(striction)
*2 前回の戦闘で彼の精神が不安定になっていることを気にして、なかなか言い出せずにいた。
*3 この際、普段は呼び捨てで呼んでいる彼のことを「君」付けで呼んでいる。
*4 侵食したのはいつかは明言されていないが、同話冒頭で積乱雲をよけるかどうかについてのやり取りがあり、到着時間順守を優先して雲を突っ切ったのだが、この際に意味深に稲妻が走る描写がされており、この時点で雲に潜んでいたバルディエルが侵入したものと思われる。
*5 因みに戦闘描写がカットされているためどのような攻撃を受けたのか現在までも明らかになっていない。
*6 マヤは神経接続が切れていないことを指摘するが、ゲンドウは断行。当然神経接続が切れていないのでレイは左腕にすさまじい痛みを感じさせられることになった。
*7 救助が早ければ助かったのか、それともエントリープラグを物理的に潰された時点で既に手遅れだったのかは不明。
*8 共通の友人が死んだことが原因で会うのが気まずかったのか、トウジの死に少なからず関わりのあるシンジを許せなかったのかは不明。
*9 エヴァとパイロットシンクロ率を強化する装備。17歳となったチルドレン達が14歳の頃と同様にエヴァに乗れるのはこの装備のお陰でもある
*10 エヴァの廃棄脊髄を使って建造されたマイクロブラックホール砲。実質的には一体のエヴァといえる。
*11 その件で「妹の件はもう気にしなくていい」とケンスケを介してシンジに伝えている。
*12 リツコを介したのは恐らくアスカの連絡先を知らなかったからだと思われる。
*13 松代~箱根間にある遠見という地名は長野県の遠見山か?しかし野辺山や松代市よりもかなり北に位置する
*14 『破』が参戦した『第3次スーパーロボット大戦Z時獄篇』でも第9の使徒戦にて、この演出が再現された。
*15 その際リツコから「貴重なサンプル」と言われている。
*16 数少ない例外がカヲルシナリオ。本来隠し機体の3号機と4号機が始めから使用可能になっている唯一のシナリオ。
*17 厳密に言うと進行話数で必要A.T.は下がるので50以上あれば大体バルディエル化は防げる。
*18 『F完結編』に登場したのは3号機であってバルディエルではない。
*19 ATフィールドが展開できず(この作品ではATフィールドの中和はできない)、必殺技扱いの武器は軒並み使えない状態である。
*20 戦闘中にアドバイスまでしている。
*21 アニメ版についてはレリエルが先とみることも出来るかもしれないが。
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