ミステリー作家失踪事件(名探偵コナン)

ページ名:ミステリー作家失踪事件_名探偵コナン_

登録日:2017/04/23 Sun 13:16:58
更新日:2024/04/13 Sat 17:33:29NEW!
所要時間:約 11 分で読めます



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全国の名探偵諸君に告ぐ!


私の頭脳を凌駕したくば、この事件の真の謎を解明してみたまえ



『ミステリー作家失踪事件』とは、『名探偵コナン』のエピソードの一つ。
単行本第19巻に収録。テレビアニメでは第116話・117話として、1998年9月7日・14日に放送された。


以下、ネタバレにご注意ください。



【あらすじ】

探偵事務所で夕食をとりながら「探偵左文字」のドラマを見ていたコナン達。
そこへ、「探偵左文字」シリーズの原作者である新名任太朗の娘・香保里が毛利探偵事務所に小五郎を訪ねてやって来た。


現在、任太朗は「探偵左文字」シリーズを連載しているが、2ヵ月前から妻と共に行方不明になっているという。
香保里は心配で両親の捜索願を出しているが、任太朗から毎週土曜日の午前0時に出版社に任太朗の新作『1/2の頂点』の原稿がFAXで送られて来ており、連絡がないだけで元気でやっていると、警察からも他の探偵事務所からも心配ないと断られたという。


香保里の話を聞いた小五郎は、彼女の依頼を引き受け、任太朗からFAXが送られてくる大学館出版に向かうと、その日は土曜日だった為、コナン達は任太朗から午前0時に原稿がFAXで送られて来るのを待った。
そして、予定時刻の午前0時に原稿が送られて来たが、コナンは所々原稿の文字が変な表現になっている上、前に送られて来た6話から今回の8話までの任太朗のサインがコピーである事に気づいた。


コナンは、小説内に任太朗が何らかのメッセージを残していると考えているが、果たして――。


【関係者】

  • 新名香保里(しんめい かおり)

CV:大坂史子
今回の小五郎の依頼者。「探偵左文字」シリーズの原作者・新名任太朗の娘。OL。22歳。
2ヶ月前から両親が行方不明になっており、小五郎に両親の捜索を依頼した。

  • 新名任太朗(しんめい にんたろう)

CV:藤本譲
香保里の父親。「探偵左文字」シリーズを手掛ける推理小説家。
10年前に「探偵左文字」シリーズを一度終わらせており、それを復活させる気はなかったが、2ヶ月前に突然再開させたという。
温厚な人物だったらしいが、「探偵左文字」シリーズ復活の際には、項目冒頭に記した挑発的な献辞を出している。
また、今回の新作『1/2の頂点』には、初めて小説内に自分自身を出していた。
小説内の任太朗は、フランス在住の売れない小説家であり、左文字の古い友人。推理の参考の為に左文字が任太朗に連絡するところが初登場だという。


だが、「探偵左文字」シリーズの復活を前後に、妻と共に行方不明となっている。
毎週土曜日に送られて来る小説も、所々文字が変な表現*1になっており、編集部は読みやすいように修正する事を考えていたものの、
連載前から
「文字の表現は小説家の命!絶対に変えないでくれ」
「私の意に反した文字が掲載されたら、ただちに連載を中止する」
と、何度も念を押していた。また、原稿に記された任太朗のサインは6話までは直筆だったが、6話から8話までのサインはコピーされたものになっていた。

  • 山田(やまだ)

CV:中嶋聡彦*2
「月刊文芸時代」の編集者。任太朗の担当。
(声だけを含めると)実は3回目の登場。
天下一夜祭殺人事件」の今竹智、「名家連続変死事件」の長門秀臣というように、いずれも事件で亡くなった人物の担当編集者だった。
なお、中の人は基本的には鑑識のトメさんを演じている。


【レギュラー陣】

ご存知主人公。
任太朗が事件に巻き込まれた可能性が出てきたので、任太朗が残した暗号に挑戦する。
また、「探偵左文字」シリーズを10年前に読んでおり、シリーズが復活したことを非常に嬉しそうにしていた。「懐かしい」と口走ったのは新一がそう言っていたと誤魔化している。
暗号文を解き、小五郎を眠らせて推理を行おうとしたが、腕時計型麻酔銃の誤射で編集長を眠らせてしまったため、小五郎達にヒントを与えながら推理を披露していく。

ご存知蘭姉ちゃん。
今回も付き添いとして来ており、心配そうにしている香保里を励ましていた。

ご存知迷探偵。
香保里から警察や他の探偵に両親の捜索の依頼を断られた話を聞き、心配そうにしている姿を見て、彼女の依頼を引き受けた。
暗号の解読については、あまり活躍できていない。

ご存知警部殿。
可能性の段階だったのでまだ公開捜査に踏み切れないものの、任太朗の捜索にできる限り協力をする。

ご存知高木君。
目暮の部下として捜査に加わり、コナンにも快く原稿のコピーを渡していた。

ご存知色黒関西弁探偵。
『1/2の頂点』を読み、小説に隠された暗号の一部を解読したと大学館出版に電話してきた。
暗号の一部の解読方法を話した後、工藤コナンが現場にいるならば自分が頑張る必要はないと判断して、何かわかったら連絡すると電話を切ってしまった。
また、コナンとの電話中に今度大阪へ来ないかと誘っており、次のエピソードでコナン達を大阪に招待しているが…。


灰原哀
ご存知哀ちゃん。
原作のみコナンの回想に登場しており、小五郎を名探偵にして事件の依頼を増やしていけば、再び黒の組織が関わる事件に接触できるかもしれないとコナンに話している。



【その他】
松田左文字
CV:鈴木英一郎
新名任太朗原作の『「探偵左文字」シリーズ』の主人公。
左目の傷と携えた刀がトレードマークで、解決後に刀を抜いて犯人に一句詠う演出から「居合い抜き探偵」とも呼ばれる。
また、ドラマの「探偵左文字」シリーズは何度もリメイクされる人気作品だが、ドラマが作られるその度に犯人が変わっているため、毎回新鮮な気持ちで見られるらしい。
原作の小説は、10年前の発表作を最後に松田左文字は犯人と共に炎の中に消えたままだったが、最近になって新作『1/2の頂点』でシリーズが復活している。
担当声優の鈴木栄一郎は「金曜ロードSHOW!」の次回予告を担当している。
左文字を演じる俳優・剣崎修は、後のエピソードでも何度か登場している(再登場以後は江川央生氏が声を担当している)。
名前の元ネタは西村京太郎の小説に登場する探偵・左文字進。
人物造形的にはつながりはなく、むしろ日米ハーフで外車を乗り回すという真逆のキャラクターである。
なお、TBSのドラマシリーズでは水谷豊が演じている。

  • 任太朗の暗号

今回、温厚な任太朗が挑発的な献辞を送ったのは、この小説に込められたメッセージを誰かに読んで欲しいという願い文だった。
そして、所々にある原稿の文字の変な表現も、小説内の任太朗のセリフに隠された暗号だったのである。


今回の小説のタイトル『1/2の頂点』に準えており、小説内の任太朗のセリフの一番上の字が全て二つで一つになっていた。
「力」と「目」で「助」、「十」と「1」で「け」、「C」と「一」で「て」、「ノ」と「1」は「レ」
「て」と「レ」の間には「く」と「他」が入っているが、「他」をその意味通りにあえて読まずに続けると「助けてくれ」になるのである。


だが、この暗号の解読方法はまだ不完全であり、次のセリフが「私が」までしか続かなかったため、コナンはもう一つの別の暗号解読方法があるのではないかと考えた。



【以下、さらなるネタバレに注意】


























  • 任太朗の暗号の解読方法

「小説内の任太朗はフランス在住」ということがヒントになっていた。
フランス語では単語頭の「h」を発音しない「無音のアッシュ」と呼ばれるルールがあり、先ほどの「一番上の字を全て二つで一つとして読む」以外に「『ハ』行の文字を除け」という法則があったのである。
先ほどの文章で「他(hoka)」を読まなかったのも、このもう一つの暗号解読の法則によるものだった。


そして、一番上の字を全て二つで一つとして読み、「ハ」行の文字を除くことでようやく監禁場所の解読に成功する。
次の文章を続けて読むと「私が今居るところわ」となり、その次が「木戸シティホ*3テル」となっていた。
だが、存在しない木戸シティホテルについて考えていた所、文字をヘボン式のローマ字表記にするならば、本来であれば除かれるはずの「不」を「HU」ではなく「FU」として読めることに気がつき、「不」と「木」で「杯」という文字になり、木戸ではなく「杯戸シティホテル」となった。
そのまま「杯戸シティホテル2407号室」と読み解いたことで任太朗の居場所が判明するが、最後に「早く時間が無い」と書かれていた。


すぐさま警察は杯戸シティホテルの2407号室に直行するが、コナンは任太朗を監禁した犯人の目的に疑問を持っていた。
熱狂的ファン犯人説はコナンが否定しており、杯戸シティホテルの2407号室はスイートルームになっているため、原稿料が目的だったら割に合わないからだ。
そもそも、今回の暗号文は一文字でもズレたら意味が無くなり、手を動かせない自分の代わりに暗号文とするための不自然な文章を打たせていれば、誰かが不審に思うはずだった。
そして、杯戸シティホテルの2407号室に来て、今回の事件の真相が明らかになる。




犯人なんていませんよ……


いるとしたら…そこに横たわっている新名本人ですわ…


  • 新名任太朗

今回の騒動を起こした張本人。
2週間前から手が動かなくなっており、コナン達が駆けつけた時は既に息を引き取っていた。
任太朗たちは監禁されていたわけではなく、暗号に真実味を持たせるために、香保里に黙って隠れていただけだったのである。


任太朗は末期癌に冒されていて、余命幾ばくもない状態だった。
そんな中、任太朗は作家人生40年の間に、まだ味わっていない幸福があったという。
その幸福とは、「自分が答えを出す前に謎を解いた、得意満面な読者の顔を直に見たい」というものだった。
そのため、警察沙汰になる覚悟で任太朗の望みを叶えるために、妻と任太朗の主治医が協力して今回の騒動を起こしたのである。
妻からは「最後のワガママ」とフォローされていたが、上記の通り警察沙汰になってしまったので、小五郎は「人騒がせな話」とボヤいていた。


作者の死去により『1/2の頂点』も未完のまま打ち切られるはずだったが……





終わらせません…

私が続きを書きます…

新名任太朗の名に恥じぬ様に…



  • 新名香保里

父・任太朗の死を乗り越えた後、『1/2の頂点』の続きを自ら執筆し、小説を完成させる。
そして親子合作となった『1/2の頂点』はベストセラーとなってメディア展開もされていき、香保里は小説家の道を歩むことになった。
その要因は父をも凌ぐ文才に加え、物語の後半に追加された左文字の助手が好評だからであった。
その助手はヘッポコ探偵・お転婆な娘・生意気な眼鏡の少年の3人。
蘭やコナンは自分のキャラ設定を楽しみながら、ドラマを見ていたが、小五郎は1人不満顔。
しかしコナンは、内心では「生意気は余計だ」と思っていた。


【余談】

  • 今回登場した新名香保里は、その後も執筆を続けている。
    • 『悪魔が仕組んだ遺言状』(どっちの推理ショー)や『真夜中の首実検』(カラオケボックスの死角)などの新作小説を出していることが後のエピソードで触れられている。
    • コナンも作者が香保里に変わっても、「探偵左文字」シリーズの新作を楽しみの一つとしていた。
    • なお、リアルタイムならばおかしくない間隔で新作を買いに行く・読もうとするエピソードが出されているのだが、「名探偵コナン世界の連載開始からの時間経過は1年未満」という設定を踏まえるとかなりのハイペースで刊行していることになってしまう事になる(笑)。
  • 原作では「黒の組織から来た女」直後のエピソードになるが、アニメではこちらを先に放送している。
  • 灰原がコナンに話していた「組織を暴き出すために今は迷探偵を名探偵にし続けるしかない」という内容は、コナンのモノローグに変更されている。
    • その為、前置きではコナンは平和だと思いながら、急に黒の組織の事を思い浮かべる場面になっている。また、組織の規模の大きさすら知らない状態のコナンが「組織の被害を受けている人間は大勢いる、だが組織のせいとは知らない」と言ってその場面を思い浮かべるという少し変な現象が起こっている。
  • 今回の事件に登場した『1/2の頂点』は、後にアニメオリジナル「汽笛の聞こえる古書店」に一瞬だけ登場している。
    • 同じアニメオリジナル「若奥様が消えた秘密」では、最新作として『盤上の殺意』が登場しているが、こちらは何故か作者が香保里ではなく任太朗になっている。
  • 冒頭のドラマを見ているシーンでは途中で入るCMが原作は「少年サンデーCM劇場」*4になっているのに対し、アニメ版ではパソコンのCMになっている。
  • 作中でコナンが「一文字でもズレたら暗号が成立しなくなる」と考えているが、後の事件で起きた悲劇の原因はそれと近いものがある。

ユーモアのある追記・修正をお願いします。


  • コナンの中で地味に好きな話だから項目できて嬉しい。コナンが間違って編集長を眠らせたのは笑ったw -- 名無しさん (2017-04-23 13:26:08)
  • 作家志望でないのに半年で未完の小説を完成させその後もヒット作を作る香保理さんすごすぎだろ -- 名無しさん (2017-04-23 14:35:50)
  • 探偵左文字シリーズが一度終わって10年後に連載再開したって多分ホームズが元ネタだよね。 -- 名無しさん (2017-04-23 15:59:29)
  • ↑↑漫画の都合・・・というのは置いといて、小さい頃から父親の仕事は見てるだろうから才能はあったのだろうね。 -- 名無しさん (2017-04-23 18:31:38)
  • 眠ってしまった編集長を見て 目暮「まるで眠りの小五郎だな」おっちゃん「ですな」 おっちゃんは、眠りの小五郎がどのような状態なのか、どうして知っているのだろう…… -- 名無しさん (2017-04-23 23:37:55)
  • 剣崎さん、『果実の詰まった宝箱』で番組の司会やってたな。コナンのこともしっかり覚えてて君付けだった。 -- 名無しさん (2017-04-24 00:00:40)
  • 香保里さんはなかなか美人 -- 名無しさん (2017-04-24 13:45:02)
  • 香保里さんの文才がすさまじいなw -- 名無しさん (2017-04-24 20:20:57)
  • 文才w -- 名無しさん (2018-01-18 10:36:36)
  • 1/2の頂点だけでも難しいのに・・・無音のhだのヘボン式だの、解けるわけがない。コナンや平次がいなかったら、病気でなくても「暗号を解いた読者」は一生現れなかったと思う。まして末期がんであとわずかな余命のうちに誰か解いてくれとか・・・無茶苦茶にもほどがある。 -- 名無しさん (2018-06-11 22:34:49)
  • そういえば、「探偵左文字」って、現実のドラマと全く同じタイトルなんだけど・・・文字りもしないそのまんまを勝手に使ってよかったのかな?主役の名前は違うといっても・・・ -- 名無しさん (2018-06-11 22:37:18)
  • 犯人・・・いや、新名任太朗氏が存命中にコナンたちが来て欲しかったな・・・ちょっぴり悲しい事件のひとつ。 -- 名無しさん (2018-06-12 00:22:31)
  • 未完結の小説の続きを二ヶ月で完成させる(しかもベストセラー)ってだけでも半端ない文才だからなあ -- 名無しさん (2019-05-21 21:25:16)
  • エピローグでおっちゃんも言ってたけど、随分人騒がせだな新名先生は。それだけに、最後の望みが果たされなかった事が悲しい。 -- 名無しさん (2020-05-08 19:52:46)
  • この作家先生にとって暗号を解いた読者の顔を見るのと、死ぬ前に娘と会うのと、どっちが大事だったのかな? -- 名無しさん (2020-07-04 22:05:31)
  • ↑ちょっと悲しいけど前者だと思うな。末期とはいえ娘に黙って失踪するくらいだし、才能にも気付いていなかっただろうし…。 -- 名無しさん (2020-07-05 10:04:03)
  • レギュラー陣並みに呪われている山田さん(編集者)誰も担当になって欲しいと思わない -- 名無しさん (2021-10-28 00:27:16)
  • かまちーのリンクで笑った -- 名無しさん (2022-02-02 15:09:45)
  • 内弟子とか長年の担当編集者ならともかく小説家でもない実の娘が人気シリーズ二代目作者を受け継ぎ早速登場させた新キャラの人気込みで大好評というのはある意味羨ましいな。現実だと出来がよくても色々言われるのに -- 名無しさん (2022-07-30 19:13:02)
  • 声を知らない人(編集長)の声は出せないはずだったけど、今日のコナンでは全く知らない人(しかも半年前に亡くなっている人)の声を出していたな。 -- 名無しさん (2022-07-30 23:04:23)
  • タッチの差で亡くなられたけどもう少しで「先生、解けました!」がきけた。 -- 名無しさん (2022-09-26 21:20:13)
  • デフォルト老齢男性ボイスでも使ったんだろうか -- 名無しさん (2022-11-26 16:17:57)

#comment(striction)

*1 例:算用数字と漢数字が混在している。
*2 前回の登場時では鈴木清信が演じていた。
*3 「十」と「八(や)」を合わせて「ホ」となる。
*4 元ネタは恐らく「め組の大吾」編

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