登録日:2015/11/26 Thu 11:53:58
更新日:2024/01/16 Tue 13:06:19NEW!
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エジプト神話 神 女神 豊穣神 魔術の神 魔女っ娘 アニヲタ神様シリーズ アニヲタ悪魔シリーズ 処女 良妻賢母 魔女 聖母マリア イシス イオ ゼウス被害者の会
■イシス
「イシス」は古代エジプト、及びローマ帝国で信仰された女神。
魔術と死者、玉座の守護者と云う一見すると妙な区分けをされている。
主にオシリスの配偶神として知られているが、イシスは後には単体での信仰が高まりエジプト各地に信仰が伝播。
様々な女神と習合したばかりか、後世には侵略先のローマ帝国でも女性性の神秘に関わる秘儀の主神として人気を集め、
所謂ヘレニズムの代表的な神性として崇められたと云う。
神系譜ではへリオポリスの掲げた9柱神に取り入れられ、オシリス、ネフテュス、セトとは兄妹(弟)。
オシリス神話ではホルスの実母で、アヌビスの養母、或いは主人であるともされる。
また、別の説では太陽神ラーの娘。
魔術の女神としては月神トートの愛弟子であり、これらは形を変えてオシリス神話にも取り入れられている。
習合した女神の中でも有名なのは牝牛の角を持つ天空の女神ハトホル。
彼女はイシス以前のホルスの母、或いは妻とも考えられていた女神であったが、その座と属性をイシスに吸収された。
イシスがしばしば牝牛の角を持つ姿で描かれるのはそれが原因である。
しかし、広く信仰されていたハトホルが人々に忘れられる事はなく、彼女はホルスの「乳母」とされると共に、
王妃と同一視されたり、妊婦や妊婦に限らず女性の守護者とされた。
また、ギリシャ神話ではもともと全能の神ゼウスに見初められた美女イオ(後述するヘラの神殿の女官)と同一視されている。
ゼウスが妻ヘラの監視からイオを牛に変えて逃がした際に、牛に変えた魔法が解けたのがエジプトの地であった。
ヘラからこってり油を搾られたゼウスはイオと絶縁することとなり、イオが現地の王と結ばれ、やがて神となった、という話である。
明らかに「有名人●●はおれの親戚なんだぜ~」的な言いがかりであるが、実際にヘラやイオとイシスを混同する信仰は地中海にあったらしいので、
あながちデタラメなこじつけとも言い難い。
由来
元来は外来神であり、下エジプトに入り込んだ豊穣の女神と考えられている。
名の意味は「玉座」とされ、彼女の像の頭部の冠を「玉座」の形で顕す場合もある。
同時期から下エジプトにて信仰を獲得したオシリスと早々に結び付けられたと考えられているが、
この2神の起源は共にシュメールから伝播した古代オリエントの植物神と豊穣の女神…即ちドゥムジ(或いはバアル)とイナンナか、
地中海沿岸に広く伝播していた、その派生の神性であると見られている。
カップリングされるのも当然だったのかもしれない。
魔術
イシスの固有の神性としてはとにかく「魔術」との関わりが深く、慈愛に満ちた面を強調されるオシリス神話ですら、
セトの策略があったにも関わらずにオシリスの遺体を見つけ出したばかりか、死んでいるオシリスと魔術で交わり子供を宿す(※後に処女懐胎と解釈された)。
次に遺体が奪われバラバラにされても苦労して拾い集めて復元。
セトに同情して助け舟を出した事でホルスに殺されるが復活。
……と、要点に注目すると多くの離れ業を見せている(※神話内ではイシスの力ばかりとはされていないが)。
別の神話では彼女の暗い側面が強調された神話も数多く残り、父神ともされる最高神ラーの「秘密の名」を奪い主権を奪おうと企てたり、
或いは実際に最高神に次ぐ座を手に入れたとする神話までがある。
※この神話は後にオシリス神話の系統に組み入れられ、息子ホルスの為にイシスが策略によりラーから「秘密の名」を奪う神話にもなっている。
「旧約聖書」にも語られているが、とにかくエジプトでは「魔術(ヘカウ)」とその象徴化としての「言霊」や「文字(ヒエログリフ)」が重要視されていた。
他ならぬモーセの基本設定にも「エジプト人の全ての学術を教えられ、言葉と業に力あり」…と、その御業の権威付けがされている。
彼らの「神」が同じく言葉により世界を創造したのも無関係では無いのだろう。
そして、有名な紅海の海を割る逸話も、元ネタはエジプトの神官の故事にあるらしい事が判明している。
神話では、これらの「魔術」と、それを顕す「言葉」と「文字」を生み出したのは月神にして叡智の神トートだとされている。
そして、イシスはトートの秘儀を受け継ぐ「偉大なる女魔術師」であるとして讃えられているのである。
イシス信仰
某教会と結び付く以前のローマ帝国は積極的に版図を広める一方、征服先の神様を信仰毎に持ち帰り、
祟りが無い様に丁重に御供えすると云う生真面目なアフターケアを行っていた。
あっさりと信仰が棄てられた某おでん様辺りとは違い、ギリシャの神々などは当地の文化の素晴らしさに衝撃を受け、
自前の神様(ローマ神話)と習合させた末に自分達の起源がギリシャにあるとまで言い出した程である。
イシスはミトラ等と共にローマ全域にまで信仰が伝播した神性であり、大浴場を建設した事で有名なカラカラ帝により神殿が建立されている。
オシリス神話に端を発する死んだオシリスの精を自らに宿してホルスを産んだ行為が「処女懐胎」と解釈されて様々な密儀と結び付き多大な信仰を獲得した。
ただし、基本的に女性信徒にしか門戸が開かれず、女性信徒もまた純潔を守る信仰があった為か男権社会では不評で徐々に衰退していったらしい。
しかし、処女イシスが抱くホルス神の構図は後の聖母子像の直接のイメージになる等、
他のイナンナ系女神と共に初期キリスト教で排斥された母性信仰の復活の受け皿とされた聖母マリア信仰の中に集約していったと考えられている。
眷族
■オシリス
兄にして夫。
ミイラ作りの儀式はイシスがオシリスを復活させた行為に準えられた。
■ホルス
オシリス神話では息子。
元来は隼の頭を持つ勇猛な男神だが、オシリス神話では幼児や未熟児を投影した子供として描かれる。
死んだ父親の精を受けた不完全な子供と云う意味であるらしい。
■ラー
普遍的な太陽の象徴であり、エジプト神話の最高神であるが故に様々な神と関連付けられた。
イシスの父神とされる場合もある他、オシリス以前の冥界の審判の役割をもラーが担っていた。
■トート
月の神にして神々の書記官。
魔術を生み出した神としては師匠ともされる他、冥界の神々としても記録係として名を連ねる。
■アヌビス
妹とされるネフテュスと夫であるオシリスの不貞の子だが、イシスの義理の息子とされる場合もある。
ミイラ作りの業の達人であり、バラバラにされたオシリスの遺体を復元したのはアヌビスだとされている。
追記修正は死んだお兄ちゃんと合体してからお願いします(意味深)。
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▷ コメント欄
- 銀の☆ -- 名無しさん (2015-11-26 12:18:50)
- 個人的には、ギリシャのヘラとか、アテナ、アルテミス、ヘスティア、デメテル、日本神話のアマテラス、クシナダヒメ、インドのパールヴァティーとかと並んで、『THE 女神』って感じがする。アフロディテとかフレイヤは.........個人的にはなんかなぁ。 -- 名無しさん (2015-11-26 14:53:27)
- ゆかりっちのは何故か美術像 -- 名無しさん (2015-11-26 20:44:24)
- こーいう嫁をもらえたら幸せなんだろうか? -- 名無しさん (2015-11-30 14:34:41)
- 夫と子供のためなら如何なる非道も厭わない。敵に回すとこれほど恐ろしい女神もいない。ラーもセトも彼女に敗れた -- (2016-03-17 01:15:23)
- ガオイカロスはパワレン版だとイシスがモチーフってことになってるけど、パワレン恒例のモチーフ変更としては中々似合ってる部類に入ると思う -- 名無しさん (2022-12-24 21:56:13)
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