葬送のフリーレン
『葬送のフリーレン』は、山田鐘人が原作、アベツカサが作画を手掛ける日本のマンガ作品。『週刊少年サンデー』にて連載が開始されている。この作品は、第14回マンガ大賞と第25回手塚治虫文化賞新生賞を受賞している。
概要
『葬送のフリーレン』は、勇者たちが魔王を倒した後の物語を中心に描かれるファンタジー作品である。
第2巻のリリース時には、著名な人物たちが本作に対してコメントを寄せている。
原作を手掛ける山田は、前作「ぼっち博士とロボット少女の絶望的ユートピア」の連載が終了した後、いくつかの短編のアイディアを試みたが、成功しなかった。しかし、担当編集者の提案で勇者・魔王をテーマにしたギャグを試みることとなり、そこから『葬送のフリーレン』の第1話が生まれた。その後、作画を担当するアーティストを探していたところ、アベが興味を示し、二人のコラボレーションが始まった。興味深いことに、二人はマンガ大賞を受賞した時点で、実際には顔を合わせたことがないという。
本作のタイトルは、山田の提案と編集部の意見を組み合わせて決定された。編集部では、良いタイトルを提案する者に賞金を出すという募集が行われ、その結果「葬送のフリーレン」というタイトルが選ばれた。
アニメ化の発表は、単行本9巻のリリースとほぼ同時に行われ、その後、テレビアニメとして放送されることが明らかにされた。
アニメ放送前の時点で、本作の単行本は累計で1000万部以上が発行されている。
あらすじ
魔王を討伐した後、王都に戻った勇者ヒンメル、僧侶ハイター、戦士アイゼン、そして魔法使いフリーレンの4人の勇者たちは、長い旅の終わりを迎えて感慨深く思っていた。しかし、エルフであるフリーレンにとって、この10年間の冒険はあっという間の出来事だった。彼らは50年に1度の「半世紀流星」を見上げ、次回も一緒に見ることを約束して、それぞれの道を選ぶ。
時は流れ、50年後の再会で、年を取ったヒンメルと再び出会ったフリーレンは、ハイターやアイゼンと共に約束通り流星群を楽しむ。しかし、ヒンメルの死をきっかけに、彼についてあまり知らなかったことを悔やむフリーレンは、人間の心を理解し、魔法をさらに深めるための新たな旅を始める。
20年が経ち、フリーレンは老齢のハイターを訪れる。ハイターはフリーレンに魔導書の解読と、彼の弟子である孤児のフェルンの教育を頼む。数年後、フェルンは立派な魔法使いに成長し、ハイターの死後、フリーレンと共に新しい冒険へと旅立つ。
登場人物
フリーレン一行
フリーレン
本作の中心人物、フリーレンは、魔王を討伐した後の勇者パーティーの魔法使いとして知られる。彼女は外見は少女のようだが、実は長命のエルフ族で、すでに1000年以上の時を生きている。彼女の時間の感覚は人間とは異なり、短期間の出来事や数年の出来事も彼女にとっては一瞬のように感じる。彼女はかつての仲間たちとの再会を50年後に果たし、その際に彼らの人生や経験を深く知ろうとしなかったことを後悔する。この後悔が彼女を新たな旅へと駆り立てる。
彼女の過去には、魔族による故郷の襲撃があり、その際に大魔法使いフランメに救われ、彼女の弟子となった。フリーレンはその後、魔法の研究を続け、その実力は非常に高くなった。彼女は「葬送のフリーレン」という異名で知られ、多くの魔族を倒してきた。しかし、彼女はまた、役に立たない魔法の収集が趣味であり、そのために様々な冒険を続けている。
彼女の性格は、一見冷静でドライに見えるが、実は優しく、面倒見の良い一面も持っている。しかし、彼女はエルフとしての長い寿命ゆえに、人間の感情や心情に鈍感であり、人との関わり方には少し不器用さがある。彼女はまた、魔族に対しては容赦なく、彼らを倒すことに迷いはない。
ダンジョンの攻略には非常に詳しく、彼女自身も「歴史上で最もダンジョンを攻略したパーティーの魔法使い」と自称している。彼女は宝箱に異常な興味を持っており、ミミックの可能性があっても、宝箱を開けることを躊躇しない。そのため、過去には何度もミミックに食べられそうになったこともある。
フェルン
フリーレンの唯一の弟子である少女。彼女は南側諸国の戦災孤児で、両親を失った悲しみから自らの命を絶とうとしたが、勇者パーティーの僧侶ハイターに救われる。ハイターのもとで成長し、「一人で生きていける力」を求めて魔法の修行を始める。9歳の時にフリーレンと出会い、彼女の下で魔法の修行を積むこととなる。4年の修行を経て、彼女は一人前の魔法使いとしての力を手に入れる。
フリーレンを師と仰ぎ、彼女のもとでさらなる成長を遂げる中で、フリーレンの日常の面倒を見ることも多くなる。彼女はフリーレンの散財をたしなめたり、彼女のだらしない生活をサポートすることで、まるで「お母さん」のような役割を果たすことになる。彼女は感情をあまり表に出さない性格で、特にシュタルクには辛辣な言葉を投げかけることも。しかし、彼女の中には甘いものへの愛情もあり、食事のシーンではよく甘味を楽しんでいる。
彼女は幼少期からの修行とフリーレンの指導のもとで、非常に高い魔法の技術を持つようになる。彼女の魔法の才能は、多くの人々からも認められており、特にゼンゼからは「その若さでこんなに優秀な魔法使いは見たことがない」と評価されるほど。彼女は戦闘時にもその才能を発揮し、多くの魔族を打ち倒してきた。彼女の魔法の技術は、フリーレンからも高く評価されており、特に速射技術や大量の攻撃魔法を同時に操る技術には定評がある。
彼女は後に一級魔法使いの試験に合格し、若干の年齢ながらその地位を手に入れる。そして、ゼーリエから特別な魔法「服の汚れをきれいさっぱり落とす魔法」を授けられる。
シュタルク
アイゼンの弟子であり、斧を使う若き戦士のシュタルクは、外見からは想像できないほどの内気で自信のない性格を持つ少年。しかし、彼の実力は巨大な断崖に斧で亀裂を入れるほどのもので、その力は師匠のアイゼンも認めるほど。彼は一時期、師匠との関係に亀裂が入り、紅鏡竜の脅威に晒された村で数年を過ごしていた。しかし、アイゼンの推薦により、フリーレンたちの仲間として旅を共にすることとなる。
シュタルクは中央諸国クレ地方の戦士の村出身で、幼少の頃は父親からは期待されず、失敗作と見下されていた。しかし、彼の兄、シュトルツは常にシュタルクを信じ、彼の才能を認めていた。
彼の持つ戦士としての素質は、アイゼンが「彼は驚異的な戦士になるだろう」と評するほど。その頑強さは、フェルンにさえ化け物ではないかと疑われるほど。しかし、彼は純粋な人間であり、時間の感覚もフェルンと同じである。フェルンからは敬意を込めて「シュタルク様」と呼ばれるが、彼自身はその呼び名に少し照れくさい気持ちを抱いている。
食べ物の好みや、女性に対する不慣れさ、そして年齢よりも幼さを感じさせる性格など、シュタルクは多くの面で魅力的なキャラクターとして描かれている。彼の親しみやすさや、特定の人々に特に好かれる性格も、彼の魅力の一部である。
ザイン
アルト森林の近隣の村に住む僧侶。彼は酒やタバコ、ギャンブル、年上の女性を好む大人の男性である。一度、底なし沼に足を取られ動けなくなった際、フリーレンに救われた。子供の頃から冒険者の生活に憧れていたが、実際にはその道を歩むことはなかった。彼はシュタルクが受けた致命的な毒を瞬時に治療するなど、天賦の才を持っている。彼の兄からは村を出て冒険をするようにとの期待を受けており、フリーレンからも仲間としての誘いを受ける。
彼は10年前に「戦士ゴリラ」と名乗る親友と別れたことを気にかけていた。その親友は3年で戻ると言って出発したが、戻ってこなかった。彼は親友を探すための旅を始めることを決意し、一時的にフリーレンたちの仲間として旅を共にする。旅の途中、彼はフェルンとシュタルクの関係を気にかけ、二人が付き合うべきではないかと考えることもあった。親友が交易都市テューアにいることを知り、彼を追って一行と別れることとなった。フリーレンは後に、彼のために僧侶の位置を空けておきたいと述べている。
勇者一行
ヒンメル
魔王を討伐した勇者として名を馳せたヒンメルは、フリーレン、ハイター、アイゼンと共に10年の長きにわたり冒険を続けた。彼の英雄としての業績は数知れず、各地に彼を称える銅像が立てられている。彼は確かな人格を持ちながらも、自らの銅像に対してこだわりを見せるなど、ナルシストな面も持っていた。また、王に対して軽口を叩くなど、時折トラブルを引き起こすことも。
彼はフリーレンの長い人生を予見し、「再会を約束する」と言い残したが、彼女が彼を再訪したのは50年後の彼の晩年であった。この短い共に過ごした時間が、フリーレンにとってどれほどの意味を持っていたかは、彼の死後の彼女の行動からも伺える。
ヒンメルはフリーレンの能力を直感的に理解し、彼女を仲間に誘った。彼は魔族の本質を理解しておらず、フリーレンの警告を無視して魔族の少女を見逃すなどの過ちも犯している。しかし、「勇者の剣」を抜けなかったことにも関わらず、彼は真の勇者としての資質を持っており、その事実はフリーレンも認めている。
彼は困っている人を助けることを生涯の使命としており、その姿勢は死後も多くの人々に影響を与え続けている。彼とフリーレンの間には深い絆があり、彼女に対する気配りや思いやりのエピソードが多く描かれている。彼はフリーレンの孤独や長い人生を理解し、彼女を気にかけ続けていたことが伺える。
ハイター
勇者パーティーの一員として魔王を討伐したハイターは、僧侶としての役割を果たしていた。彼はヒンメルと同じ村の出身で、幼い頃からの親友だった。魔王討伐後は聖都の司教として、多くの人々から尊敬を受ける存在となった。彼の性格は穏やかで、常に明るく、しかし、彼の弱点はお酒への愛だった。大酒飲みであるにも関わらず、彼はヒンメルの死を乗り越え、長い人生を生き抜いた。晩年には健康を考慮して酒を断ったようだ。
彼の生涯の中で特筆すべきは、戦災孤児であるフェルンを引き取ったこと。彼女を訪ねてきたフリーレンに、巧妙な策を用いてフェルンを託した。彼自身も孤児であったため、孤児院の支援にも熱心で、自らの資金で孤児院の再建を支援したこともある。彼の存在はフェルンにとって、実の親のようなものであり、彼女の心の中でいつまでも大切な場所を占めている。ザインから見ても、ハイターは理想的な大人として評価されていた。
アイゼン
勇者パーティーの一員、アイゼンは戦士としての役割を果たしていた。彼はドワーフ族で、エルフとは異なり、人間よりも長生きする種族である。そのため、ヒンメルやハイターが亡くなった後も、彼の外見には大きな変化は見られなかった。彼の体は非常に頑丈で、過去には竜の放つ猛毒の矢を受けても平然としていた。また、高い場所からの自由落下でも無傷であることを示し、その頑丈さにハイターは驚きを隠せなかった。しかし、彼も歳を重ねるにつれて体力の衰えを感じており、フリーレンからの前衛としての旅の誘いを「もう斧を振る体力はない」として断った。
アイゼンの過去には、家族を魔族に殺された悲しい経験がある。また、ドワーフ族特有の死生観から、かつての旅を「くだらない」と感じることもあった。しかし、魔王を討伐した後は、ハイターとの文通や、ヒンメルの葬儀でのフリーレンの姿を見て、彼らの関係を深く思いやるようになった。彼はフリーレンとヒンメルが再会できることを心から願っている。
ヒンメルの死後、アイゼンはシュタルクを弟子に取り、彼を育て上げた。しかし、些細なことからの行き違いが原因で、シュタルクは彼のもとを去ってしまった。
北側諸国
グラナト伯爵
グラナト伯爵は、グラナト伯爵領の領主として、フランメの防護結界を管理している。彼にはかつて息子がいたが、断頭台のアウラとの戦闘で命を失ってしまった。アウラとの和平を模索する中、使者リュグナーとの会談が設けられた。しかし、フリーレンがドラートを討った事件をきっかけに、リュグナーに捕らえられ、拷問を受けることとなった。彼は後にフェルンとシュタルクの手によって救出された。彼の家系には、祖父の時代にも勇者たちに救われたという過去があり、アウラが討伐された後、彼はフリーレンたちの旅立ちを温かく見送った。
剣の里の里長
シュヴェア山脈の剣の里を治める長で、見た目は幼い少女だが、実は49代目の里の長である。彼女の役目は、女神から授けられたと言われる「勇者の剣」を保護すること。その里の近くでは定期的に魔物が出現するため、フリーレンに50年ごとの魔物退治を約束していた。しかし、フリーレンが実際に里を訪れたのは約束から80年後だったので、彼女はフリーレンに不満を述べた。彼女は先々代の祖母からの遺言を受け継いでおり、山の主を討伐した後に「マジ感謝」という言葉を使い、シュタルクに驚かれた。
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