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中国料理の中でも特に代表的なものが「中華八大料理(八大菜系)」。
食物語では大まかにこの8つの菜系と中国全土で普遍的に食されている料理(普菜)、さらに京菜とよばれる北京料理の10種類に分類されている。
魯菜(魯/山東料理)
中国の山東省に発祥した料理のことで、中国八大料理(八大菜系)、四大料理(四大菜系)のひとつ。
北京料理の原型であり中国語では「山東菜」または「魯菜」と呼ばれ、北京料理(京菜)、東北料理、山西料理、西北料理が含まれる。
魯菜の魯は、春秋時代(紀元前770年~紀元前221年)に存在した魯の国から取られている。なお現在でも山東省の雅称は「魯」である。
山東省は春秋時代以来魯や斉など多くの諸侯国が成立した地域であること、肥沃な大地を持つ農村地帯と漁村を近隣に抱えていたことがあり、常に発達を遂げてきたとされるまさに美食の中心地。
夏王朝の時代には、料理に塩が用いられていたことが知られているほか、周代の『宋書』には黄河の鯛や鯉を食べた記録が残されている。いわく「黄河の鯉は甘くておいしい」そうで、現在でも糖醋鲤鱼と言う料理が愛されている。
論語で知られる孔子信仰の中心地を抱えていることもあり、独特な料理が多数発達したとされる。
料理の特徴
- 味は香りがよくて塩辛い。歯ごたえはやわらかく、彩りが鮮やかでつくりは繊細なことであるとされる。
- 透明なコンソメスープ(清湯)と白く芳醇な牛乳スープ(奶湯)がよく使われる。
- ねぎなどを香味料に使う。
- 海が近いことから海鮮を使った料理が多い。
魯菜の分類
現在大まかに3種類に大別されている。
- 济南菜(済南料理)
山海の幸、野菜や果物、家畜や家禽の肉、内臓など、幅広い食材を使うことが特徴的。
特に著名なレストランも多く、済南市は現在でも外食産業で非常に栄えている。
德州扒鸡、四喜丸子などが該当。
- 胶东菜(膠東料理)
特に海鮮料理が知られる。素材を生かした淡白さ、造形や包丁捌きの繊細さで知られる。
葱烧海参などが該当。
- 孔府菜
孔子信仰の中心地、曲阜で食べられている料理。上述の二つとは異なり、限られた場で提供されることが多く、工夫を凝らした
诗礼银杏、八仙过海闹罗汉、怀抱鲤、御笔猴头などが該当。
蘇菜(苏/江蘇料理)
中国の江蘇省に発祥した郷土料理で、中国八大料理(八大菜系)のひとつ。淮扬菜とほぼ同義だが、2000年代以降は蘇菜と呼ばれることが増えたという。
上海料理の原型であり、明の都であった南京、豪商が贅沢な料理を生み出した揚州、文人が多く集まった蘇州など、各地におもむきの異なる料理が存在するのが特徴。
この地域では約4000年前には陶器の調理器具を使用していたとされる。
魏晋南北朝時代になると、白身魚料理や鰻料理が増え、「白身魚の詰め焼き」の記録が残されるなど、焼き魚や煮魚として積極的に白身魚が食されていたようである。
料理の特徴
- 味は全体的に淡白。旬の素材のうまみを生かす。
- 素材がやわらかくなるまで調理するが、形が崩れてしまうほどにはやわらかくしない。
- 各皿の盛り付けにあたり色や形の調和を重んじる。
- スープ(湯)を用いて風味を増すことに重点を置く。
- 煮る、煮る、煮る、煮る、蒸す、焼く、炒めるなど調理方法が多彩である。
蘇菜の分類
- 金陵菜・京蘇菜(南京料理)
京蘇料理、金陵料理としても知られる。秦の時代以前に誕生したとされ、隋・唐時代に知られるようになった。明と清の時代には一大料理とされた。川魚や鴨などのほか特に「金陵三草」「早春四野」と呼ばれる野菜を多用する。
-
淮揚菜(淮揚料理)
長江南北の揚州・淮安・鎮江が発祥。「揚菜 ヤンツァイ yángcài」とも。江蘇料理の代表ともされ、国際的な場で提供されることも多いという。
水晶肴肉、蟹黄汤包、揚州炒飯などが該当。
-
苏锡菜(蘇錫料理)
江蘇省の蘇州地域発祥で、比較的濃い味付けのものが多い。肉料理には玉ねぎと生姜を使用することが多いのも独特な特徴となっている。
松鼠鳜鱼などが該当する。
-
徐宿菜・徐海菜(徐海料理)
徐州と宿遷市が発祥の地とされる。味が濃く、塩味と辛味が強い料理が多い。
霸王别姬などが該当。
浙菜(浙/浙江料理)
浙江省発祥で、銭塘江流域の湖水に産する淡水魚・エビ・水鳥、東シナ海で獲れる魚介類、内陸の丘陵地帯の野草や野菜がふんだんに使用されている。ことわざに「上有天堂,下有苏杭(上には天国があり、下には蘇州と杭州がある)」と言われるほど、古くから知られていた。
また唐の時代の詩人蘇軾(1036~1101年)にまつわる料理も多く残されている。
杭州が南宋の都であった時期には、華北から多くの料理人が移転して北方の料理法の数々を持ち込んでいる。そのため江南や華東の素材を華北の調理法で作った料理もある。
代表的な30種類の調理方法が存在するとされ、素材に応じて味の組み合わせを重視している。
料理の特徴
- 主な調理法は炒めもの、炒め煮、蒸し物、あんかけ、とろ火で煮込んだもの、揚げものなど。
- 研究された調理法が多く、精緻で変化が多い。
- 料理や盛り付けは鮮やかかつ華やか。
- 歯ごたえはやわらかく、味付けは塩味でさっぱりとしていることが多い。
浙菜の分類
- 杭州菜(杭州料理)
浙江料理を代表するもので、旬の野菜や野草やたけのこや湯葉などが使用されることが多い。
炒める、焼く、、煮込む、揚げるといった調理方法が主流。
西湖醋鱼、东坡肉、龙井虾仁などはこちらに分類される。
- 温州菜(温州料理)
海鮮料理が主体。
- 紹興菜(紹興料理)
新鮮な食材や鶏肉を使用する。サクサク、もちもちしていて、田舎風の味付けと称される。
- 寧波菜(寧波料理)
柔らかさ、柔らかさ、滑らかさを重視した海鮮の蒸し料理や、煮込み料理などが有名。
徽菜(徽/安徽料理)
安徽省の郷土料理。海が無く、南部は山、中部・北部は長江・淮河の流域として淮北平原を形成し、低湿地が多いという地理的な特徴を持つ。このため、山で採れる山野草、茶、筍、キノコ、野生動物や、川魚、スッポンなどの淡水産の食材を使うことが多い。
料理の特徴
- 味が濃く、比較的油を多く使い、とろみを付けてこってりした料理が代表的
- 北部の蚌埠市周辺では唐辛子・コリアンダーや醤油を多用する辛く濃厚な味の料理も存在する。
- 伝統的な料理は煮物、蒸し物として作られているものが多い。
徽菜の分類
- 徽州菜
唐辛子・コリアンダー(パクチー)、しょうゆを多用する辛く濃厚な味が特徴的。
臭鱖魚はこちらの分類。
- 沿江菜
闽菜(闽/福建料理)
中華人民共和国福建省を中心に食べられている郷土料理。中国料理の八大料理のひとつに挙げられ、広義には台湾料理、海南料理などを含むとされる。海に面した地区では海産物を多用するが、山間地域では、山で採れるタケノコ、きのこや野生動物、川魚からカエルなどの淡水産の食材まで使う特徴があり、地域ごとの差が大きいのも特徴的。
福建省は、もともと閩越族が住んでいた地域と言われる。秦代以降に兵士や役人などの中原地方の漢族が移住してきたため、混合文化を形成した結果、現在の闽菜を形作ったと言われている。
また「小吃」と呼ばれる小ぶりなワンタンやシュウマイも有名で、沙県小吃や邵武小吃が知られている。
料理の特徴
闽菜の分類
- 福州料理(閩北料理)
地域差が多く、海産物や乾物、山の幸を使用するなどバリエーション豊富。
また「小吃」と呼ばれる小ぶりなワンタンやシュウマイも有名で、沙県小吃や邵武小吃が知られている。
仏跳墻が特によく知られている。 -
閩南料理
粤菜(粤/広東料理)
料理の特徴
粤菜の分類
湘菜(湘/湖南料理)
料理の特徴
湘菜の分類
川菜(川/四川料理)
料理の特徴
川菜の分類
京菜(京/北京料理)
料理の特徴
京菜の分類
そのほかの菜系
ここまでに挙げた10種類の菜系に分類されないそのほかの菜系と、そこに分類される食魂。
地方ごとの歴史や他国からの文化を色濃く受け継いだ、独特な料理も多い。
西北菜
一般的には中国北西部の料理を指す。甘粛省、寧夏回族自治区、青海省、新疆ウイグル自治区などの郷土料理を含み、甘粛省の料理が特に有名とされる。
チベット高原に広がる人口の少ない広大な地域の料理であり、チベット文化やモンゴル文化が色濃く反映されている。
食物語においては、キャラクターのルックスも漢民族っぽさではない、北方民族風で毛色が若干異なる場合が多い。
該当する食魂
- 把肘子
- 羊肉泡馍
- 西凤酒
- 石子馍
- 五侯鲭
- 绵羊盖被
东北菜
中国東北部の中華料理。山東料理や満州料理に由来するとされるが、ロシア、北京、モンゴル、北朝鮮の料理の影響も受けている。この地域は厳しい冬と比較的短い作物の生育期を克服する必要があるため、一部は保存食に依存している。
該当する食魂
- 飞龙汤
- 锅包肉
- 小鸡炖蘑菇
赣菜
江西省の伝統的な料理を指し、過去の王朝の「文人料理」を受け継ぎながら発展した郷土色豊かな「故郷の料理」とされる。かんさい、ガンツァイと読む。
中国料理においては第9の主要な菜系ともされていて、煮物や蒸し物も多い。油で揚げてから煮たり、長時間蒸すなどして柔らかめな食感で、しっかりした味付け。油が多めだがカリカリ、ふわふわなどの食感が重視される。
陶磁器で著名な景徳鎮市があるため、食器にもこだわることが多いのだとか。
該当する食魂
- 莲花血鸭
山西菜
山西省の郷土料理のこと。酸味と塩味、香りが強く、ほんのり甘味を感じる味付けが多い。
伝統的には南路、北路、中路の3種類に分類されるという。
該当する食魂
- 子推燕
豫菜
一般に中原 (河南) 料理を指す。この「中原」は中華文化の発祥地である黄河中下流域にある平原のことで、漢族にとって中原は民族の発祥の地とされてきた。
三国志読者には「中原の覇者」という言葉でもおなじみ。
また一説では食神とされる伊尹はこの地域の出身であるという。
該当する食魂
- 牡丹燕菜
- 炸紫酥肉
- 扒广肚
- 海米升百彩
- 葱扒虎头鲤
- 日月套三环
鄂菜
楚菜とも呼ばれる、湖北省の郷土料理。昔から「九省通衢」と称される交通の要衝だったこともあり、様々な味付けや料理が混在している。そのため他の菜系と共通する部分、全く異なる部分が混在する複雑な料理系体となったと言われる。
中央部の漢沔菜(かんべんさい)、東南部の鄂州菜(がくしゅうさい)、西南部の荊南菜(けいなんさい)、北西部の襄鄖菜(じょういんさい)の四系統が存在するとされている。
該当する食魂
- 楚夷花糕
- 热干面
- 蟠龙菜
- 八卦汤
- 应山滑肉
- 万寿羹
冀菜
河北省の郷土料理を指し、河北菜とも呼ばれる。
繊細な包丁さばきが特徴で、食材で花をを作って飾ることも。さらに4つに大別され、それぞれが全く異なる味付けや料理を行うバリエーションが豊富な菜系。
該当する食魂
- 正定八大碗
- 万字扣肉
晋菜
山西省の郷土料理で、塩味を主とし、甘味や酸味を加えた味付けが基本。シンプルな素材を使用し、料理として仕上げた後も素材の本来の味を大切にするという。
元来山西省は歴史的にも重要な地で、古くから人々が食へ強いこだわりを持っていたという。歴史的に見ても、他の地域の料理へ影響を与えている。
該当する食魂
- 缠花云梦肉
滇菜
雲南省の郷土料理。四川料理系の漢族の料理と、ペー族、タイ族、イ族、ナシ族等雲南省に存在する25の少数民族料理から構成されている。シルクロードを通過するキャラバン隊受け入れ先でもあった地域のため、多種多様な味付けや料理が存在する。
雲南省は「菌類の王国」「植物の王国」「動物の王国」などと呼ばれ、特に食用の野生菌類資源(つまりキノコ)の豊富さは世界屈指。非常によく食べられるという。
該当する食魂
- 鬼火绿
- 过桥米线
陕菜
陝西省と中国北西部の一部を含んだ地域の郷土料理。陝西、甘粛、寧夏、青海、新疆なども含まれる。
メインの食材としては牛肉、羊肉、野生動物があげられ、香りが良いというのも大きな特徴で、パクチーや花椒など日本人に苦手な人が多いものも。イスラム教徒向けの料理、いわゆるハラール料理も存在する。
該当する食魂
- 奶汤锅子鱼
沪菜
上海料理のことで、上海市を中心に食べられている中華料理の江蘇料理(淮揚料理)の菜系に含まれる代表的な郷土料理の一つ。
上海の周辺に位置する江蘇省や浙江省一帯は、俗に「魚米之郷」と称され、魚介類と農産物が豊富な平野。それだけでなく湖水の魚も食され、さまざまな材料を用いたバリエーション豊富な料理が食べられている。
とにかく甘く濃厚な味が特徴。
該当する食魂
- 芙蓉蟹斗
- 枫泾丁蹄
- 百仁全鸭
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