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勇者シリーズ(ゆうしゃシリーズ)とは、サンライズ、名古屋テレビ、東急エージェンシーが1990年から1998年までにわたり製作した一連のロボットアニメ作品の総称。
アニメ製作のサンライズにとってはリアルロボット路線に代わるロボットアニメとして、玩具スポンサーのタカラにとっては『トランスフォーマー』に代わる玩具シリーズとして、1990年2月に低年齢層をターゲットに始まった『勇者エクスカイザー』でスタートを切ったのが本シリーズの始まりである。91年よりスタートした『エルドランシリーズ』と並び、1990年代を代表するサンライズロボットアニメと評価されている。
シリーズ全ての番組タイトルの中に、「勇者」を冠しているためこう呼ばれる。またロボットの事を勇者ロボと呼称することが多いが、後年になってそれ以前のものも遡ってそう呼称されるようになったものである。
シリーズはテレビアニメ版全8作品で構成されているが、『勇者指令ダグオン』と『勇者王ガオガイガー』ではOVAがリリースされている。またテレビゲーム版のオリジナル作品も場合によってはシリーズに含むため[1]、下記に合わせて記載する。
シリーズと呼ばれているが、『勇者エクスカイザー』(1990年)と『太陽の勇者ファイバード』(1991年)の関係を例外として、各作品間には世界観や時間軸に直接の関係が無い[2][3]。その為ほぼ全ての作品が独立した世界観を持ち、作風もその都度大きく変化している。
シリーズの作品は概ね次の特徴を持つが、一部例外もある。
主人公には2通りのパターンが存在し、1つは『エクスカイザー』に代表される主人公の少年と主役ロボットの交流を描くもので、もう一つは『ファイバード』の火鳥のように主人公自身が巨大ロボットになって直に戦闘を行うものである。後に少年主人公の方は合体の指令を行うという戦闘における重要な役割を与えられることになる。
また、監督が共通することから『エクスカイザー』 - 『伝説の勇者ダ・ガーン』の谷田部勝義監督作品3つを「谷田部勇者三部作」、『マイトガイン』 - 『ゴルドラン』の高松信司監督による3作品を「高松勇者三部作」と呼ぶことも多い。
それぞれの作品のタイトルにも特徴があり、谷田部勇者三部作は合体前の状態の主役勇者の名前であるのに対して高松勇者三部作は1号ロボ(サポートメカと合体した状態)の名前になっている。
シリーズ中に登場するロボットは、大抵の場合以下の図式に当てはまることが多い。
この内、「ビークルからの変形」は後述するスポンサーの都合によるものであるが、「敵側のロボット」に動物モチーフのメカを当てることが初期の作品では多い。
この他『マイトガイン』以降になると「武器に変形するロボットとの合体による、グレート合体の上を行く最強形態」をとるケースも見られるようになる。
共通するスポンサーは玩具メーカーのタカラ(現:タカラトミー)と菓子メーカーのカバヤ食品。
『トランスフォーマー』シリーズを手がけてきたタカラらしく、シリーズに登場する人型ロボットは車両や飛行機などが変形するギミックで一貫しており登場するロボットたちがそれぞれ自我を持ち会話を行うという設定も受け継いでいる。
更に勇者シリーズ各作品スタート時のメインメンバーが合体戦士で構成され、主人公が2段合体でパワーアップするとするというシリーズの基本フォーマットは勇者シリーズ開始前年の作品の『戦え!超ロボット生命体 トランスフォーマーV』で確立されたものである。
中には過去のトランスフォーマー商品から金型を流用した商品の登場[5]や、勇者として商品化されたものの元はトランスフォーマーの企画だった例(『エクスカイザー』のレイカーブラザーズ)がある。
当初は低年齢向けだったシリーズだったが[6]、1993年の『マイトガイン』から徐々にアニメファンの注目を浴びるようになり、1996年の『ダグオン』では美形キャラクターが女性ファンを大量に獲得、最終作となった『ガオガイガー』ではアニメファン層の熱い支持を受けた。この人気を受け、『ダグオン』・『ガオガイガー』の2作ではオリジナルビデオアニメ(OVA)が制作されている。
反面『ダグオン』で低年齢層以外からの人気が上がるにつれて低年齢層の人気は下がっていき、『ガオガイガー』放映時には決して人気とはいえない視聴率だった。その為1998年1月に『勇者王ガオガイガー』が終了したことで、テレビシリーズとしての勇者シリーズもひとまず終了を迎えることとなった。
終焉に至るまでの原因や経緯については諸説あるが、それについては下記で後述する。
シリーズ終了の要因[]テンプレート:出典の明記勇者シリーズは10年間をひと区切りとする長期シリーズとして開始したが、それが途中終了(シリーズ打ち切り)したことに関しては複数の要因が絡み合っており、特定の要因のみを強調することはできない。
そのため、以下に有力とされる要因を列記する。
バンダイによるサンライズの子会社化[]1994年4月1日にサンライズがバンダイの資本参加を受け同社のグループ企業となったことから、制作現場やアニメマスコミではスポンサーと親会社の関係上『勇者警察ジェイデッカー』がシリーズ最終作になるのではとの憶測もあった。
監督の高松信司は『ジェイデッカー』放送中にサンライズがバンダイ資本になり、次のシリーズの企画が一時中断していたことを『アニメージュ』2005年7月号のインタビューで語っている。
当時はタカラも玩具の売れ行きが好調で、サンライズとは別の制作会社・別シリーズの展開を模索したがシリーズ変更に対する不安感が大きく、また最終的には受け皿となるアニメ制作会社が見つからなかった事からそれまで培った両社の良好な関係もあり、以降も勇者シリーズとして引き続きサンライズが制作を担当した経緯がある。
視聴率の低下[]『勇者指令ダグオン』の放送から視聴率が急激に低下の一途を辿り始めており、このシリーズ末期にかけての視聴率低迷がシリーズの終了に関係しているとも考えられている。
というのも、勇者シリーズと同じくANNにて放映されていたロボットアニメであるガンダムシリーズの視聴率低迷に歯止めがかからなかった事に愛想を尽かしたテレビ朝日が、勇者シリーズより一足早い1996年の『機動新世紀ガンダムX』をもって同局でのシリーズを打ち切ったからである[7]。
また東海ラジオで放送されたアニラジ『アニメソングリクエスト』によると、テレビ朝日から名古屋テレビに対して「このままロボットアニメを続けるならば、名古屋テレビから全国ネット枠を剥奪する」という脅迫も同然な通達が出されたという[8]。このような脅しとも言える通達を出すほどテレビ朝日はロボットアニメを完全に見限っていたのである。
『ガンダムX』の平均視聴率は2.8%(放送枠移動前は3.5%)であったが同時期に放映されていた『ダグオン』は3.0%であり、最終作である『ガオガイガー』に至っては2.5%まで落ち込んでいる。
このシリーズ末期における視聴率の低下はメインターゲットである低年齢層への支持が得られなかったことに加え、かつて腸捻転時代は名古屋テレビと同一系列局関係であったTBS系列在阪局・毎日放送(MBS)制作土曜6時枠番組がその当時は同じJNN在名局の中部日本放送(CBC)で当シリーズと同時刻に時差ネットされており[9][10] 、特に『ウルトラマンティガ』以降の『平成ウルトラマンシリーズ』は中京広域圏において当シリーズと視聴者層が重なったため視聴率の低下に拍車をかけたと言われる。
さらに関東圏でも裏番組である日本テレビの『TVおじゃマンボウ』が放送開始した途端に視聴率が同番組に奪われたことも一因と言われている。
これらのシリーズ終了を受けて、サンライズと名古屋テレビ(あるいは系列キー局のテレビ朝日ともいわれる)の関係が一時的に悪化した[11]とも言われ、『無敵超人ザンボット3』以来長らくサンライズ作品が続いた土曜夕方における名古屋テレビのアニメ放映枠は『ガオガイガー』がサンライズの最終作品となり、後年のガオガイガー続編の地上波での放送についてもそれまで勇者シリーズとは縁が無かったテレビ東京での放送(加えて関東ローカルでの放映)となった。
名古屋テレビでサンライズ制作のアニメが再び放映されるのは、勇者シリーズが終焉を迎え、名古屋テレビのアニメ枠が日曜朝に変更[12]された2年後、つまり2000年まで待つこととなる[13]。
玩具スポンサーのタカラの都合[]メインスポンサーの玩具メーカータカラはガオガイガー終了直前の1997年に『トランスフォーマー』の再開路線である『ビーストウォーズ』の販売を開始し、こちらはかなり好調なセールスを上げている。勇者シリーズとは客層が同じであるため、タカラとして勇者シリーズを続ける理由が無くなってしまったともいえる。
新聞発表[]勇者シリーズ終了はすなわち、日本のロボットアニメの歴史の一遍とも呼べる名古屋テレビ発ロボットアニメの歴史[14]が途絶える[15]ことになり、新聞発表まで行われた。
まず1997年12月22日に朝日新聞名古屋版の夕刊のトップ記事となって報じられ、その後翌年1月5日に全国版にも掲載された。そこでは少子化とゲームの人気によりロボット路線をやめると解説がなされていた[16]。
当時は『ビーストウォーズ』シリーズや『超魔神英雄伝ワタル』などが放映中であり、ロボットアニメ自体がなくなったわけではない。しかし典型的な正統派メカスタイルの古典的な低齢向け巨大ロボットアニメが一時途絶えたと解釈することはできる。
東京新聞1998年2月4日朝刊13面では「消えた巨大ロボット」という、あたかも巨大ロボットというジャンル自体が無くなるかのような見出しで報道された。同記事によると視聴率・玩具売り上げ双方の低迷によりシリーズ終了に至ったとされている。また少子化等の原因が重なった結果としている。なお大人向けの限定されたメディアと断ったうえではあるが1998年4月のブレンパワードで巨大ロボットアニメが復活することにも触れられており、そちらは3月13日朝刊15面で詳しく報じられている。その中で富野由悠季は「ロボットアニメの終焉がはっきりしたから、ガンダム以外のロボットアニメを作ることにした」という旨を述べている。
その2か月間は完全に巨大ロボットアニメが途絶えたことになるが、それまでは勇者シリーズの存在が古典的な巨大ロボットアニメを絶え間無く継続させていた[17]。前述の東京新聞では『ガオガイガー』を「最後のトリデ」と表現している。
ただし実際には勇者シリーズ放送終了後に建て替えを行った新本社ビルのエントランスに巨大なガンダムのオブジェを設置しているように、(長い目で見れば)巨大ロボットアニメというジャンル自体がなくなるという状況ではなかった。
補足[]近年発行された勇者シリーズムック本によると、「最初からテレビ局との契約年数は決まった状態で起こされたプロジェクト」であった為と解答されている。
これは無論、視聴率やスポンサーの反応次第では継続も有り得たが一定の結果を出せなかった場合は最初に結ばれた8年のみで終了すると言った具合であり、雑誌の連載などでは良く取られる契約手法である。
一般的に、勇者シリーズは『勇者王ガオガイガー』をもってシリーズは終了予定だったとされるが、その一方で後年に出た各種書籍において、『フォトグライザー』と呼ばれる『ガオガイガー』の後番組の企画の存在が明らかにされている。
コンセプトとしては、デジタルカメラや双眼鏡などといった身近なアイテムが、デフォルメロボへと変形。さらにこれが動物やビークルモチーフのメカと合体する事でリアルな等身のヒーローロボットとなるというものである。
このデフォルメロボは1/1サイズとして主人公と行動を共にするなどと設定されていたようで、勇者シリーズの基本コンセプトである「純然たる子供向けアニメを作る」という路線に立ち返ったものとなっている。しかしこの企画は勇者シリーズ自体の終了によりお蔵入りになる。
シリーズ終焉から数年経つと、古典的な「熱い」巨大ロボットアニメの一端として勇者シリーズが再評価されるようになる。
2005年2月に生誕15周年を迎えた勇者シリーズを記念し、2004年7月 - 2006年11月にかけて、シリーズ全作(OVAも含む)がセルDVD化され、関連書籍・ゲーム・玩具等も特に力を入れて売りだされた。公式サイトが開設されたのもこの時期である。
15周年の記念作として同年4月11日から6月27日までの3ヶ月間OVA版を再編集をした『勇者王ガオガイガーFINAL GRAND GLORIOUS GATHERING』がテレビ東京で放送された。
勇者シリーズでは『エクスカイザー』・『マイトガイン』・『ダグオン』(ただしセルでは全話収録されている)のレンタル用スペシャルセレクションで収録されていない話と『ゴルドラン』の後半を除く全作・全話がレンタルVHSLD(『ファイバード』・『ダ・ガーン』・『マイトガイン』まではBOXも発売)化されたほか、2008年1月25日より『エクスカイザー』のDVDがレンタル化された。
放送は、名古屋テレビをキー局にテレビ朝日系で行なわれた。第1作『勇者エクスカイザー』前半の約8ヶ月間のみ、かつて『ガンダムシリーズ』などが放送された毎週土曜日の17時30分からの30分枠で放送されたが、1990年10月からはニュース枠拡充に伴い、毎週土曜日の17時からの30分枠での放送となった(但しABCテレビのみ例外で、『勇者王ガオガイガー』の途中までは毎週金曜日の17時から先行放送。それ以降は金曜16時30分開始。北海道テレビも一時期ABCと同時間帯の先行放送であった時期がある)。
原則として、2月初旬に始まり、翌年1月下旬に終わる。1年間の放映期間はシリーズ通して共通だが、放映開始・終了期間には例外も存在する。以下にその例外を記す。
太字=クロスネット局が優先ネットを組んだ系列
テレビでの放送と平行してラジオ番組が放送されており、番組内で放送されたドラマについてはCDが発売されている。
タカラより、以下のゲームがクロスオーバー作品として現在までにリリースされている。
『新世代ロボット戦記ブレイブサーガ』発売日:1998年12月17日・プレイステーション用ソフト『ブレイブサーガ2』発売日:2000年5月2日・プレイステーション用ソフト『ブレイブサーガ 新章 アスタリア』発売日:2001年1月26日・ゲームボーイカラー用ソフトシリーズを通してオリジナルタイトル『勇者聖戦バーンガーン』が登場。『新世紀勇者大戦』発売日:2005年2月17日・プレイステーション2用ソフトオリジナルタイトル『量子跳躍レイゼルバー』が登場。このほかテレビシリーズ単独作品としては『勇者王ガオガイガー』が1999年にプレイステーション用ソフトとして、またアイレムからは『太陽の勇者ファイバード』が放送期間中にゲームボーイ、ファミリーコンピュータ用ソフトとしてゲーム化されている。
テンプレート:前後番組
en:Brave seriesko:용자 시리즈zh:勇者系列
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