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機動警察パトレイバー | |
---|---|
ジャンル | 近未来SF、少年漫画 |
OVA:(初期) | |
監督 | 押井守(1-6)、吉永尚之(7) |
キャラクターデザイン | ゆうきまさみ(原案)、高田明美 |
メカニックデザイン | 出渕裕 |
アニメーション制作 | スタジオディーン |
発表期間 | 1988年4月25日 - 1989年6月25日 |
話数 | 7巻・7話 |
コピーライト表記 | ©HEADGEAR BANDAI VISUAL/ TFC |
漫画 | |
作者 | ゆうきまさみ |
出版社 | 小学館 |
掲載誌 | 週刊少年サンデー |
レーベル | 少年サンデーコミックス |
発表期間 | 1988年17号 - 1994年23号 |
巻数 | 全22巻 全11巻(ワイド版・文庫版) |
話数 | 20話(プロローグ・ インターミッション含まず) |
映画:機動警察パトレイバー the Movie | |
監督 | 押井守 |
制作 | スタジオディーン |
封切日 | 1989年7月15日 |
上映時間 | 98分 |
コピーライト表記 | ©1989 HEADGEAR EMOTION/ TFC |
アニメ | |
原作 | ヘッドギア |
監督 | 吉永尚之 |
シリーズ構成 | 伊藤和典 |
脚本 | 押井守、横手美智子、伊藤和典他 |
キャラクターデザイン | 高田明美 |
メカニックデザイン | 出渕裕、佐山善則 |
アニメーション制作 | サンライズ |
放送局 | 日本テレビ |
放送期間 | 1989年10月11日 - 1990年9月26日 |
話数 | 全47話 |
コピーライト表記 | ©HEADGEAR BANDAI VISUAL/ TFC |
小説 | |
著者 | 伊藤和典(1)、横手美智子(2-5) |
イラスト | 高田明美、佐山善則 |
出版社 | 富士見書房 |
レーベル | 富士見ファンタジア文庫 |
刊行期間 | 1990年10月 - 1993年10月 |
巻数 | 全5巻 |
OVA:(後期) | |
監督 | 吉永尚之 |
シリーズ構成 | 伊藤和典 |
キャラクターデザイン | 高田明美 |
メカニックデザイン | 出渕裕、佐山善則 |
アニメーション制作 | サンライズ |
発表期間 | 1990年11月22日 - 1992年4月23日 |
話数 | 16巻・16話 |
コピーライト表記 | ©HEADGEAR BANDAI VISUAL/ TFC |
映画:機動警察パトレイバー 2 the Movie | |
監督 | 押井守 |
制作 | I.G.タツノコ |
封切日 | 1993年8月7日 |
上映時間 | 113分 |
コピーライト表記 | ©1993 HEADGEAR BANDAI VISUAL/ TFC Production I.G |
小説:TOKYO WAR | |
著者 | 押井守 |
イラスト | 末弥純 |
出版社 | 富士見書房 |
レーベル | 富士見ファンタジア文庫 |
刊行期間 | 1994年4月 - 1994年5月 |
巻数 | 2冊 |
映画:WXIII 機動警察パトレイバー | |
監督 | 高山文彦(総監督)、遠藤卓司(監督) |
制作 | トライアングルスタッフ→マッドハウス |
封切日 | 2002年3月30日 |
上映時間 | 100分 |
コピーライト表記 | ©HEADGEAR EMOTION/ TFC |
映画:ミニパト | |
監督 | 神山健治 |
制作 | Production I.G |
封切日 | 2002年3月30日 |
上映時間 | 14分・12分・12分 |
コピーライト表記 | ©HEADGEAR EMOTION/ TFC Production I.G |
ゲーム | |
※下記参照 | |
■テンプレート使用方法 ■ノート |
テンプレート:漫画『機動警察パトレイバー』(きどうけいさつパトレイバー、Mobile Police PATLABOR)は、1988年を基点とした10年後からの数年間の近未来の東京を中心とした地域を舞台とした漫画、アニメ、小説などのメディアミックス作品である。[1]
原作はヘッドギア。本作はメディアミックスと呼ばれる手法が導入された作品であり、アニメ版と漫画版が存在する。どの作品も基本設定は同じでキャラクタや登場メカなどはほとんど共有しているが、それぞれの作品が持つ雰囲気は大きく異なる仕上がりとなっている。
アニメ版と漫画版ではストーリー展開が異なり、アニメ版でもその時間軸上の繋がりには諸説存在する。初期OVA・劇場版1作目が同一時間上で描かれているのに対して、TV版・後期OVAが微妙に異なる設定で描かれている為に別の世界と考える意見も有る。劇場版2作目は初期OVA・劇場版1作目と同じく押井守監督作品だが、公開当時のテレフォンサービス等ではTV版・後期OVAに連なる世界である事が明言されており、特車二課棟の所在地もOVA第1期・劇場版1作目で設定されていた城南島の埋立地には存在しない。その一方で、後期OVA展開中の92年に発売された『機動警察パトレイバーCD BOX』収録のドラマ内では、初期OVAの内容を振り返りつつ、篠原重工にテストパイロットとして出向する野明と遊馬の様子や、テスト機として送り出される98式の姿が描かれている。また、劇場版2作目のノベライズである『TOKYO WAR』では、太田が香貫花あての遺書のみを残し、熊耳あての遺書は登場しないなど、初期OVA・劇場版1作目の世界と連なっているらしき描写も見受けられる。また、劇場版3作目は漫画版における「廃棄物13号編」をベースとしながらも、公には「パラレルワールド的なニュアンスを含む」という意図的に曖昧な位置づけがなされている。なお、非公式ながら劇場版1作目と2作目の間に位置する世界観を想定して製作が進められたとのスタッフの証言もある一方、実際には劇場版1作目、2作目とTV版の登場人物や設定などが随所に混在し、この劇場版3作目はどの時間軸にも繋がっているとも、繋がっていないともいえる。ファンの混乱を避けるため公式ファンブック等ではパトレイバーはTV・OVA・映画・漫画・小説全てがパラレルワールドである事が明記されている。
当初アニメとして企画・決定していたがゆうきまさみによる漫画が先行してスタートし、その後アニメ作品がリリースされた。また、先立って『月刊ニュータイプ』が別冊付録等でPRしていた。全編通してほとんどのレイバーやその他メカニックデザインは出渕裕によるものであるが、モニターコンソールなどの各種インターフェイス類やサブメカを佐山善則、航空機関係を主に河森正治、陸上・海上自衛隊の装備などをカトキハジメに分担する事も多かった。また、出渕は劇場版3作目のスーパーバイザーや、エピソードによっては監督や絵コンテを務める事もあり、様々なかたちでシリーズに関わっている。
1980年代初頭のリアルロボットアニメブームを経て、1980年代後半から1990年代中期までは、ロボットアニメが枯渇しており、テレビ放映作品に関しては数える程であった。そういった中で、初期OVAシリーズは大ヒットを記録。アニメファンの話題を集める事となった。これを受ける形でOVAシリーズの延長、劇場作品化、TVシリーズ化と勢いは留らなかった。当時の人気アニメ作品はTV版→映画化→OVA化というプロセスが一般的とされていた為、その様子は「逆流現象」とも評された。従来の連続アニメ作品の多くがスポンサーの販売する玩具などの関連商品の宣伝媒体であったのに対し、本作は作品その物をコンテンツとして販売するビジネスモデルを確立した事でも注目を浴びた。その後、二度目のOVA化と1993年公開の事実上の完結編にあたる劇場版第2作目をもって、アニメシリーズは一応の終止符が打たれた。さらにコミック版の完結を経て、およそ9年後には劇場版3作目にあたるスピンオフ的作品『WXIII』、『ミニパト』が劇場公開されている。
現実味を帯びた舞台設定により、諸外国では高い人気を誇る。また、アニメで榊清太郎役を演じた阪脩は劇場版WXIII公開記念ラジオ番組内で「シリーズが終わって10年以上経つのに未だに榊についてのファンレターが来る。あのキャスト、スタッフ陣は正にライトスタッフだった」と語っている。現在もなお関連グッズが数多くリリースされ続けている。
一時期(1991~1992年)にテレフォンサービスが配信され、本編等では語られる事のなかったキャラクターの裏話などがキャラ自身によって語られた。この音源はその後OVA新シリーズのDVD版に収録されている。
1982年、当時まだサラリーマンと漫画家の二足のわらじをはいていたゆうきまさみは、西武池袋線江古田駅前の喫茶店「まんが画廊」で、当時高校を卒業して間もない川村万梨阿や、とまとあきらと集まってはアニメ、SF、漫画等について語り合っていた。この頃仲間内では架空のアニメ番組の設定、ストーリーなどを考える「企画ごっこ」という遊びが流行っており、この「企画ごっこ」で最初に考え出されたのが「シェーラザード」という、宇宙船乗りの養成学校に通う生徒たちが活躍する、星間戦争をテーマにした物語であった。「シェーラザード」とパトレイバーとの共通点は主人公が女の子であることくらいであったが、当時SFで女の子が主人公であるものなど皆無に近かったことを考えると画期的なことであった。
次に考え出されたのは「電光石火ギャラクレス」である。未来のある銀河系で力仕事を請け負う会社の社長代理であった主人公が、作業メカ「ギャラクレス」で銀河を駆け巡るライトコメディーで、「ギャラクレス」は『機動戦士ガンダム』や『伝説巨神イデオン』などの、キャラクターが死亡するアニメに対し疑問を感じた一同が「キャラクターが絶対に死なないロボット・アニメ」というコンセプトで企画された。このコンセプトはパトレイバーにも受け継がれており、また、前作と同じく主人公は女の子であった。
「ギャラクレス」の次に考え出されたのは「バイドール」で、とある宇宙の植民地が舞台で、惑星開発及び土木作業用に広く普及した人型ロボット「レイバーマシン」の悪用に対して、主人公の所属する警察側もレイバーマシンで対抗する、といった内容であった。この「バイドール」は、レイバーという呼称の登場、主人公が女の子で警察機構に所属している、「ファルコーネ・シャフト(通称:シャフト)」という巨大企業かつ犯罪組織の登場、科学特捜隊をモデルにした制服など、パトレイバーとの共通点が多く見られるようになった。
ゆうきはこの「バイドール」に、舞台が第二次関東大震災により半分が壊滅した東京となるなどの変更を加え、知り合ったばかりの出渕裕に見せた。出渕はこの企画を気に入り、TV化実現に向けて動き出した。出渕はSF作家である火浦功に協力を求め、タイトルも『機動警察パトレイバー』となった。この頃のパトレイバーには、特車二課が存在せず町の警察署にパトレイバーが配備される、主人公の名前が「速見翼」であるなど現在のパトレイバーとはかなり異なっていた。この企画は、買い取りを前提に製作プロダクションに持ち込まれたが却下され、宙に浮いてしまう。また、この後火浦は多忙になりパトレイバーの企画からは抜けることとなった。この時一緒にダミー企画として持ち込んだのが、後の『未来放浪ガルディーン』である。
1986年、ゆうきは出渕から伊藤和典を紹介され、出渕は伊藤にパトレイバーの話を持ちかけた。伊藤は『テクノポリス21C』を連想したことと「ブッちゃん(出渕)のプレゼンテーションが下手だった」ことであまり良い印象を受けなかったが、「『ポリスアカデミー』のようなノリで」やることを出渕に相談し、ゆうき、出渕、伊藤の三人で再度設定を煮詰めることとなり、コンセプトは「焼き魚志向の生活アニメ」とした。同年秋には高田明美がキャラクター・デザイナーとして参加した。これは、ゆうきによれば「名もない漫画家がしゃしゃり出てアニメ作るよりも、キャリア(業界の信用)のある人をキャラデザインに立てたほうが良いと思った」ことと、「メカ・アニメのキャラデザインを女の人がやるのって初めてだろうし、ストレートに自分の絵がアニメになるのって面白くもなんともないよね。俺、パトレイバーを作りたいんじゃなくて、見たいんだもん」という理由による起用であった。その後作業は順調に進み、伊藤家のクリスマス・パーティーでバンダイの鵜之沢伸プロデューサーにプレゼンテーションすることとなった。企画に手ごたえを感じた鵜之沢は、TVシリーズ作成のため企画をホビー事業部に持ち込むが却下され、結果スポンサーが付かないことになったためOVAとしてリリースされることになった。
この頃参加したのが押井守であり、「ヘッドギア」のメンバーが出揃うこととなった。押井はメカデザインに「風呂釜のような作業機械に手足」という案を出したが、ゆうきは初期の段階から「目の前に立ちふさがる巨人の影に思わずブレーキを踏んでしまう」ような「あからさまな人型シルエット」をイメージしており、却下された。しかし、最終的には敵方レイバーとして作中に共存することとなった。
本作のために編成されたグループ。ゆうきと出渕によって始まり、最後に押井が伊藤に誘われる形で合流した。
押井は基本的なプロットが固まりつつあった時点での参加であったため、それに関する不満も多かったと語るが、当時の押井は難解な作品の生み手として敬遠され、業界を干され生活が困窮しており、これによって救われたとも語る。本作は監督・押井として起死回生のターニングポイントと自他共に認めている。当初、作品の背景としては市街地を予定していた。しかし押井の発案により埋立地へと急遽変更となった。その理由としては彼自身の埋立地への強い思い入れと市街地での戦闘に必要不可欠といえる建物や車を描く労力を省くためであった。また、うる星やつらの経験を活かし、二課を学校に見立て、隊長を先生とした人物配置や、学校モノ風のドラマ作りを提案したのも押井である。
本作は、当初OVAとしての企画であった上、メインスポンサーも富士フイルムであったため、「玩具メーカーがスポンサーであることによる弊害」というロボットアニメの長年の問題点をもたなかった。そして、TV版が放映される頃には作品のファン層が固まり、これに反する視覚的変更を行うことはかえって不利になることが決定的だった。これにより、主役メカ「98式AVイングラム」をはじめとする“パトレイバー”は、“ロボット三原色”と言われたトリコロールカラー主体の派手なカラーリングから解放され、パトライト部分などを除けば警察用車両らしいモノトーンの落ち着いた外装色となっている。警察用以外の他のレイバーも、実際に存在する他の建設機械や自動車と同じような感覚の色使いである。
本作はロボットアニメとしては“リアルロボット系”に属する。しかし、従来的な巨大ロボットものにおけるような「異世界からやって来た様な」「遥か未来を想像した」ものではなく、「現実の20世紀中に存在した技術からさして遠くない世代の工業生産品」としてのロボデザインが従来作品と一線を画する点である。そのため、それまでの巨大ロボットアニメが描いてきた「スーパーヒーローと悪の戦い」あるいは「戦争」等のような現代日本人にとっての“非日常”ではなく、現実の“日常”に自然に巨大ロボットが溶け込んだ情景描写が、強いリアリティをもっている。
ただし監督の押井はそれでも、世界観とレイバーデザインとが一致しないとの不満を抱えていたらしく、後に著書『メカフィリア』(ISBN 978-4499227544) にて、出渕を「メカ音痴のメカデザイナー」と揶揄したり、劇場版第2作でレイバーをほとんど活躍させていないのもその反動であったと記している。「PATLABOR LIVE ACTION MOVIE」パイロットフィルムでは、押井の意向を基に竹内敦志が再デザインしたパトレイバーが登場している。これに対し出渕は「今頃言われても」といった発言をしている。
テンプレート:ネタバレ
ロボットテクノロジーの発達によって登場した汎用多足歩行型作業機械「レイバー(Labor)」は急速に発展・普及し、軍事・民生を問わずあらゆる分野で使用されるようになった。特に東京を含む首都圏では1995年に襲った東京南沖大地震の瓦礫の処分と、首都圏の土地不足の解消を兼ねた国家プロジェクト「バビロンプロジェクト」のためにレイバーは既にありふれた存在であった。だがその結果、レイバーによる事故はもちろん、レイバーを使用した様々な犯罪行為(酔っ払いの乱闘騒ぎや窃盗からテロ行為まで)が多発して社会問題となった。
この「レイバー犯罪」に対処するため、警視庁は警備部内の特機部隊にレイバーを導入し、その任にあたらせた。しかしそのパトレイバーは、発足当初は旧式の作業用レイバーを装甲を強化しただけのもので、日進月歩でレイバーが性能を向上させている状況にあっては、優秀な人材を集めた特機部隊もレイバー犯罪に対応し切れず、1998年、警視庁は警備部内に専門部署として新たに「特科車両二課中隊」、通称「特車二課」を設けた。これがパトロールレイバー、通称「パトレイバー」 の誕生である。
小隊は従来機を運用する「第一小隊」に加え、新たに「第二小隊」を編成することが決定された。その第二小隊にはパトレイバー専用の最新鋭機種である篠原重工製98式AV(Advanced Vehicle)“イングラム”が製造・導入されることになる。ところが、その新型レイバーを与えられる第二小隊は、現職である太田功巡査を除いては、予備校を出たばかりの経験はゼロに等しい者ばかりで、隊長である後藤をして「精鋭になるかはたまた独立愚連隊になるか」と言わしめた集団であった。こうして、後に非難と賞賛を浴びる特車二課第二小隊が発足したのであった。
物語は、若いパトレイバー隊員たちが葛藤しながら成長する青春群像であるほか、産業ドラマであり、陰謀ドラマでもある。これらが並行して展開されるストーリーとなっている。
1988年4月25日~1989年6月25日発売。VOL.1~7巻(全7話)+VOL.1-1/2(傾向と対策)、VOL.6-1/2(かわら版)、VOL.7-1/2(AFTER THE MOVIE)
巻数 | タイトル | 脚本 | 演出 | 絵コンテ | 作画監督 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 第2小隊出動せよ! | 伊藤和典 | 澤井幸次 | 押井守 | 黄瀬和哉 |
1-1/2 | 傾向と対策(全話ハイライト) | ||||
2 | ロングショット | 中村隆太郎 | 北崎正浩 | ||
3 | 4億5千万年の罠 | 澤井幸次 | 黄瀬和哉 | ||
4 | Lの悲劇 | 中村隆太郎 | 北崎正浩 | ||
5 | 二課の一番長い日(前編) | 澤井幸次 | 黄瀬和哉 | ||
6 | 二課の一番長い日(後編) | 板野一郎 | 和田卓也 | ||
6-1/2 | かわら版(全6話完結記念と劇場版最新情報) | ||||
7 | 特車隊、北へ!(+ACCESS THE MOVIE[劇場版スペシャルプロローグ]) | 伊藤和典 | 高橋直人 | ||
7-1/2 | AFTER THE MOVIE(劇場版メイキング) |
機動警察パトレイバーの原点となった作品。当初全6巻として企画されていたが、後に7巻が追加された。
当時としては異例尽くしの「一巻4,800円・一本30分(VOL.1-1/2傾向と対策は7分、VOL.6-1/2かわら版は20分)・全6話」というフォーマットを初めて採用。コストを下げるために、OVAとしては初めてCMを取り入れた(AXIAのカセットテープ)。なお、VOL.1-1/2(傾向と対策)の定価は980円、VOL.6-1/2(かわら版)の定価は2800円であった。
また劇場版以降の作品に比べ、色設定は変更されていないにもかかわらず、実際の色合いが異なる。これも同様にコスト対策で、セルアニメだった当時、撮影フィルムにコダック社製を使用していた為(セルアニメのみならず映画用フィルムで標準的に使用されていたのは富士フイルム製)。
購入者の一部にOVAで使用された色設定が記された原画とセル画が配られた。
後に発売されたDVD版では『アーリーデイズ』という副題が付けられている。
『機動警察パトレイバー the Movie』1989年7月15日公開
1989年10月11日~1990年9月26日に日本テレビ系で放送。全47話(延長後52話の予定が47話で打ち切りになっている)
話数 | タイトル | 脚本 | 演出 | コンテ | 作画監督 | 主な登場レイバー |
---|---|---|---|---|---|---|
1(1) | イングラム起動 | 伊藤和典 | 浦田保則 | 吉永尚之 | 西村誠芳 | アスカMPL・ブルドッグ タイラント2000 |
2(2) | 香貫花が来た | 元永慶太郎 | 滝沢敏文 | 高見明男 | ドーファン | |
3 | こちら特車二課 | 押井守 | 青木康直 | 高野太 | 井口忠一 | |
4 | 魔の山へ行けっ! | 伊藤和典 | 西山明樹彦 | 澤井幸次 | 戸部敦夫 | クラブマン |
5(3) | 暴走レイバーX10 | 星山博之 | 高松信司 | 西村誠芳 | HAL-X10・ボクサー | |
6 | ザ・タワーSOS | 木村直人 | 浦田保則 | 滝沢敏文 | 高見明男 佐野浩敏 | |
7(4) | 栄光の97式改 | 伊藤和典 | 元永慶太郎 | 高野太 | 井口忠一 | 97式パイソン・SRX-70 |
8 | まぼろしの緑 | 木村直人 | 青木康直 | 澤井幸次 | 西村誠芳 | ガンボルギニー・豊作くん |
9 | 上陸 赤いレイバー | 押井守 | 西山明樹彦 | 高野太 | 戸部敦夫 | ボクサー・XR-99ドシュカ |
10(5) | イヴの罠 | 伊藤和典 | 高松信司 | 滝沢敏文 | 井口忠一 | ファントム・ブロッケン・ヘルダイバー |
11(6) | イヴの戦慄 | 元永慶太郎 | 吉永尚之 | 高見明男 | ||
12 | 太田 惑いの午後 | 横手美智子 | 吉永尚之 | 西村誠芳 | レックス2500 | |
13 | 殿下 お手柔らかに | 木村直人 | 青木康直 | 戸部敦夫 | ブロッケン | |
14 | あんたの勝ち! | 押井守 | 西山明樹彦 | 高野太 | 井口忠一 | ボクサー |
15 | 歌を唄ったクジラ | 横手美智子 | 高松信司 | 高見明男 | フロッグマン | |
16 | 小隊 海を渡る | 高橋哲子 | 元永慶太郎 | 栗山美秀 | 高木弘樹 | レックス2500 |
17 | 目標は後藤隊長 | 伊藤和典 横手美智子 | 浦田保則 | 菊池一仁 | 西村誠芳 | レイバーX |
18 | スキスキ野明先輩 | 有栖ひばり | 青木康直 | 加瀬充子 | 戸部敦夫 | クラウベア |
19(7) | ジオフロントの影 | いづぶちゆたか | 元永慶太郎 | 滝沢敏文 | 井口忠一 | |
20(8) | 黒い胎動 | 伊藤和典 | 西山明樹彦 | 加瀬充子 | 高見明男 | ファントム・サターン ヘルダイバー |
21(9) | 亡霊(ファントム)ふたたび | 浦田保則 | 吉永尚之 | 戸部敦夫 | ||
22 | 花とレイバー | 横手美智子 | 青木康直 | 菊池一仁 | 西村誠芳 | 豊作くん・クラウベア |
23 | 香貫花レポート | 有栖ひばり 吉永尚之 | 原田奈奈 | 吉永尚之 | 高木弘樹 | |
24 | さらば香貫花 | 伊藤和典 | 元永慶太郎 | 高岡希一 | ブルドッグ | |
25 | 春の嵐 | 横手美智子 | 西山明樹彦 | 滝沢敏文 | 井口忠一 | タイラント2000 |
26(10) | 私が熊耳武緒です | 浦田保則 | 加瀬充子 | 戸部敦夫 | クラブマンハイレッグ | |
27 | 闇に呼ぶ声 | 伊藤和典 | 青木康直 | 西村誠芳 | ||
28 | 怪しいふたり | 元永慶太郎 | 滝沢敏文 | 高木弘樹 | サターン | |
29(11) | 特車二課壊滅す! | 押井守 | 西山明樹彦 | 吉永尚之 | 井口忠一 | |
30(12) | グリフォン参上!! | 伊藤和典 | 浦田保則 | 滝沢敏文 | 高岡希一 | グリフォン |
31(13) | 雨の惨劇 | 並木敏 | 元永慶太郎 | 菊池一仁 | 戸部敦夫 | |
32(14) | 再会 | 伊藤和典 | 青木康直 | 高木弘樹 | ||
33(15) | シャフトの犬たち | 西山明樹彦 | 吉永尚之 | 井口忠一 | ||
34(16) | 城門の戦い | 青木康直 | 西村誠芳 | |||
35(17) | グリフォン堕つ! | 浦田保則 | 吉永尚之 | 戸部敦夫 | ||
36 | 野明の冒険 | 並木敏 | 元永慶太郎 | 高見明男 | ||
37 | 安心売ります | 西山明樹彦 | 滝沢敏文 | 山田きさらか | ぴっけるくん | |
38(18) | 地下迷宮物件 | 押井守 | 原田奈奈 | 知吹愛弓 | 西村誠芳 | |
39 | 量産機計画 | 並木敏 | 青木康直 | 菊池一仁 | 高木弘樹 | AVS-98 MARKⅡ |
40 | 沿岸警備命令 | 須釜重美 | 浦田保則 | 磯野智 | ||
41 | テロリストを救え | 並木敏 | 元永慶太郎 | 池田成 | 西村誠芳 | |
42 | 帰ってきた男たち | 横手美智子 | 西山明樹彦 | 山田きさらか | ボクサー | |
43 | はたらくお嬢さん | 有栖ひばり 高橋哲子 | 青木康直 | 高見明男 | タイラント2000 | |
44 | CLATよ永遠に | 伊藤和典 | 浦田保則 | 吉永尚之 | 土器手司 | アメリカ版イングラム メガアイアン |
45 | 職業選択の自由 | 横手美智子 | 元永慶太郎 | 山田きさらか | ヘルダイバー | |
46(19) | その名はゼロ | 伊藤和典 | 西山明樹彦 | 菊池一仁 | 高木弘樹 | AV-0 ピースメーカー |
47 | コンディション・グリーン | 青木康直 | 吉永尚之 | 高見明男 |
初期OVAシリーズ、劇場版の好評を受けてTVシリーズとして展開した作品。
制作はロボットアニメシリーズに強いサンライズに移る。
今まで脚本を務めていた伊藤和典はシリーズ構成を担当し、押井守、横手美智子らが脚本に参加したことで、バラエティに富んだストーリー内容となっている。第3クールより漫画版のストーリーも取り入れ展開するが、グリフォンとの決着は漫画版とはまた異なる様相を見せた。
テンプレート:前後番組
1990年11月22日~1992年4月23日発売。全16巻(全16話)
巻数 | タイトル | 脚本 | 演出 | 絵コンテ | 作画監督 |
---|---|---|---|---|---|
1(21) | グリフォン復活 | 伊藤和典 | 元永慶太郎 | 吉永尚之 いづぶちゆたか | 高木弘樹 |
2 | 災厄の日 | 横手美智子 | 浦田保則 | 菊池一仁 | 山田きさらか |
3(22) | 逆襲のシャフト! | 伊藤和典 | 青木康直 | 菊池一仁 | 高見明男 |
4 | 視聴率90% | 有栖ひばり | 元永慶太郎 | 知吹愛弓 | 高木弘樹 |
5(23) | 史上最大の決戦 | 伊藤和典 | 青木康直 | いづぶちゆたか | 鈴木俊二 |
6 | 黒い三連星 | 押井守 | 青木康直 | 高見明男 | |
7(24) | GAME OVER | 伊藤和典 | 元永慶太郎 | 吉永尚之 | 高木弘樹 |
8 | 火の七日間 | 押井守 | 浦田保則 | 青木康直 | 山田きさらか |
9 | VS | 横手美智子 伊藤和典 | 青木康直 | 高見明男 | |
10 | その名はアムネジア | 押井守 | 原田奈奈 | 吉永尚之 | 山田きさらか |
11 | 雨の日に来たゴマ | 伊藤和典 | 青木康直 | 高木弘樹 | |
12 | 2人の軽井沢 | 有栖ひばり 伊藤和典 | 浦田保則 | 吉永尚之 | 高見明男 |
13(20) | ダンジョン再び | 押井守 | 原田奈奈 | 吉永尚之 | 重田敦司 |
14 | 雪のロンド | いづぶちゆたか | 菱川直樹 | いづぶちゆたか | 高見明男 |
15 | 星から来た女 | 伊藤和典 小杉敦仁 | 元永慶太郎 | 土器手司 | |
16 | 第二小隊異状なし | 伊藤和典 | 青木康直 | 吉永尚之 | 高木弘樹 |
設定・時間軸共にTVシリーズの延長にある作品。47話での放送打ち切りに伴いはみ出したTVシリーズの最終章である、グリフォン編の完結編部分と、1話完結のオリジナル・エピソードから成る。その中で12話の「ふたりの軽井沢」はダイアログの収録を先に行って、あとから絵を付けるプレスコで製作された。
なお、エピソードの順番はメモリアルLD BOX以降は発売順と異なる編成になっている。
『機動警察パトレイバー 2 the Movie』1993年8月7日公開
『WXIII 機動警察パトレイバー』 2002年3月30日公開
ゆうきまさみによる作品。週刊少年サンデー(小学館)にて1988年17号~1994年23号に連載。
第一次グリフォン戦(単行本1~5巻)までは先に企画のあったビデオアニメ(OVA)版とのタイアップを意識した造りとなっているが、漫画が先行して連載された。以後はゆうき個人の作品としての性格が強い。
物語は野明が特車二課への採用試験を受ける1998年初めから、グリフォンを倒した後の2000年10月までの3年弱を扱っている。ゆうきまさみ曰く「みんなでアニメがやりたいねと言って始めたものだから、漫画はおまけです」とPCエンジン版 『機動警察パトレイバー ~グリフォン編』のインタビューで答えている。
少年漫画誌上での連載であり、かつ架空の世界を舞台としながらも、現代社会の表裏を描いた異色作だった。シャフトエンタープライズ内での謀略をメインストーリーに据えつつ、社会問題を背景とした短編の掲載など、少年誌では異色の展開が多かった。
マンガ表現としては遠方からの描写を多用して、レイバー同士の戦闘シーンでも一定程度の抑制を効かせている。一方、第二小隊の面々の心情は繊細に描写されるなど、テレビアニメ版に比べると喜劇色は薄い。他メディアに比べ、個々の隊員が大人へ、あるいは社会人へと成長していく過程を丹念に描いている。
物語の終盤に於いて、漫画版とアニメ版では異なる展開を見せているが、これはゆうきの個人的判断であったことがとり・みきとの対談中、本人によって明らかにされている。ゆうきは「少年漫画誌で連載されている以上、本質的に「悪人」であるシャフトの人間達にはそれなりの最後を用意すべきである」と考えたのだと言う(出典『マンガ家のひみつ』徳間書店 1997年6月 ISBN 4198606994)。
第36回(平成2年度)小学館漫画賞少年部門受賞。
伊藤和典による劇場版第1作のノベライズを含む1巻と、TVシリーズの脚本を手がけた横手美智子による2~5巻、押井守による劇場版第2作のノベライズ『TOKYO WAR』(前後編)で構成される。『TOKYO WAR』のノベライズ化にあたってはいろいろとあったらしく、のちにゆうきまさみが伊藤和典によるノベライズ化は無かったのかの質問に「押井さんが書いちゃったから」と意味深に語っている。
基本的に初期OVAシリーズ、劇場版第1作・第2作に連なる物語となっており、他の物語では語られた香貫花の帰国や熊耳の登場編が収録されている。また横手作品では、篠原遊馬の家庭環境、熊耳武緒の香港時代、後藤喜一の過去といった、それぞれのキャラクターを掘り下げる物語となっており、原案のゆうきまさみを「そうか、そういうことだったのかー」と言わしめた。
『TOKYO WAR』は映画でカットされた部分を含み物語に幅が出ている。2005年に復刊される際、加筆修正が行われた。
『番狂わせ』は、アニメ本編からかなり後の物語で、隊長が後藤田で、主人公が男性の泉野明(いずみの・あきら)である等、「よく似た名前だが別人の特車二課」である。
メディアミックスの一環として当初よりゲーム版についても積極的に進められているが、ほとんどがレイバーを操作するアクションゲームかアドベンチャーゲームである。唯一例外としてPC-9801版はバビロンプロジェクトを題材としたシミュレーションゲームである。
漫画版やTVシリーズの劇中ではシャフト製のパトレイバーのゲームが登場しているが、このようなレイバーシミュレータ的なゲームは現実には登場していない。
2007年にアビリットからパトレイバーのパチスロ台がリリースされ、6月から全国のパチンコ・スロット店に設置された。スーパービッグボーナスでは「コンディション・グリーン ~緊急発進~」が歌入りで、ノーマールビッグボーナスでは「そのままの君でいて」のインストが大当たり中に流れる。
CMなどに使用するために作成された実写映像の他に、バンダイビジュアルが中心となって行ったデジタルエンジンプロジェクトの際に、押井守が監督しスタッフが出演した『PATLABOR LIVE ACTION MOVIE』という題のパイロットフィルムが存在する。NHKの番組やイベントなどで見ることができたが、現在はその一部を『パトレイバー ゲームエディション』、およびメモリアルDVDBOXに特典映像として収録されているものを見ることができるのみである。また押井は、これを元にした映画の企画書を、Avalonの企画書を提出する際にバンダイビジュアルに提出したとされる。
テンプレート:大言壮語テンプレート:独自研究作品が発表された1980年代後半当時から10年後の東京が舞台で、生活風景などは当時の東京と変わらないが、ロボット技術を応用した歩行式の作業機械「レイバー」が実現し、あちこちで使用されている。近未来SFとはいえ、舞台となった20世紀末(1998年)はすでに過去となった現在においては、「1980年代に予想されていた10年後」の世界観を検証できる。
特に2000年代に入り、「海中探査ロボット」など外部からコントロールされるものであれば、作中にレイバーとして登場した中で実用化されている物も多い。また、手や指の動作を真似る装置類「モーショントレーサー」も、実用化の域に達している(ロボット参照)。
作品内では、地球温暖化による海面上昇で東京都が水没する危険に備える目的で、東京湾に横断道路を兼ねた巨大堤防を建設、さらに湾内の大部分を干拓し使用可能な用地に変えるという、国家的な巨大土木事業「バビロンプロジェクト」が進められている。また、開発によって造成した土地を分譲し、首都圏の土地不足を解消すると言った題目も語られており、80年代末からの土地バブルが作品背景に影響している点も興味深い。作中では、1995年に都心部で直下型大地震が発生しており、干拓事業はこの際に発生した大量の瓦礫の処理を兼ねている。
都心部では、地震災害からの復興工事や、バビロンプロジェクトに関係する開発事業が多数行われており、レイバーが急速に普及・発展する一因となった。東京湾の埋め立てという大事業は、当然環境に与える負荷が大変に大きく、バビロンプロジェクトは環境保護団体や漁業関係者を中心に強い反対運動をひき起こし、さらにはエスカレートした環境テロとよばれる破壊活動までもが発生している。
1980年代に設定された世界であるために、1998年でありながらも東西冷戦状態であり、西ドイツやソ連が存在し、それらに関連した設定やレイバーが存在する。また、バブル期の延長上の世界である為に非常に好況感がある。
ミニマムな部分では、米軍の正式採用ヘリがAH-64 アパッチではなくAH-56 シャイアンになっていたり、国産自動車では1996年以降もユーノスブランドが継続しているなどの差異がいくつかある。前者に関しては単に押井守の嗜好が反映されている部分が大きい。なお、劇中に数々登場する企業名に関しては、明確なモデルが存在したとしても、その多くが実名の使用を避けている。だが、一部に例外もある。
実際の平成14年(2002年)になって公開された「WXIII」では年号が平成ではなく昭和のままと設定されている。
現実の世界よりもポケットサイズの携帯電話の普及が少し遅れていると設定されている。これは物語の大半が製作された当時に1990年代後半からの携帯電話の爆発的な普及を予見できなかったからであるが、携帯電話普及後に製作された「WXIII」でもこの設定は踏襲されている。時間軸上で最後期にあたる劇場版第二作目では一部で携帯電話を使用するシーンが存在するものの、車載電話やポケットベル、公衆電話が未だ主流のものとして描かれている。このため、外出した人物と緊急連絡が取れずすれ違いになる、という近年のドラマでは少なくなった描写も見られる。
一方で、パソコンを主としたインターネットを巡る状況に関しては、実際の2000年代と同程度のレベルにまで発展していると設定されている[3]。厳密にはこの設定が考案された当時(コミック版終盤から「WXIII」制作準備中にかけての1990年代中~後期)にはブロードバンド環境は未だ整っておらず、少し先を見据えた状況として設定されていたのだが、本編の公開が数年に渡って遅れた為に、結果的に現実の世の中が追いついてしまうという格好となった。
テンプレート:独自研究
本作品におけるレイバーとは、人間が操縦する「多足歩行型作業機械」ロボットの事。正式名称を「多足歩行式大型マニピュレーター」という(旧OVAでは「汎用人間型作業機械」、TVシリーズでは「作業用に開発されたロボットの総称」と紹介されている)。作品世界において最初に登場した「多足歩行型大型マニピュレーター」の名称(商標)が「レイバー90」であり、当初篠原重工が商標を所有していたが、それを手放した後はこれらの作業機械に対する一般名称として(ユンボやホッチキス、マジックのように)普及したとされる。その後は様々な形態のレイバーが誕生し、水中専用の物などにも目を向ければ、必ずしも多足歩行システムを有している物だけに限らなくなっている。また、装輪タイプのレイバーも存在し、多足歩行モード以外に一般公道を本来の「車」に近いかたちで走行可能な物も増えつつある。
その源流は漫画版において城南工大の古柳教室で研究されていた「多足歩行機械の制御」にあるとされている。他にもこの教室はレイバー開発の中心部に係わる人間を多く輩出している。
作中で登場するレイバーは、主に土木建築機械の延長線上として扱われる。法的には「特種車両」とされており、機体そのものも「各車」などと車両に準じて呼称される。そのため、原則的にレイバーには自動車のナンバープレートが取り付けられており、その操縦には多脚制御機免許が必要となる。しかし、その破壊力が犯罪に向かった時には既存の警察力では対抗し得ないために作品の主人公が搭乗するパトロールレイバー、パトレイバーが活躍するのである。
このレイバーは『鉄人28号』を初めとした既存の巨大ロボット物アニメ・漫画のロボット達とは違い、ビーム兵器を持つ訳でもなく(一機例外があるが)、空を飛行できる訳でもない(コミック版・TV版・後期OVA版においてライバルとして登場するレイバー・グリフォンは非常に短時間ながら空を飛ぶが、これはあくまで例外として扱われている)。このようなそれまでの「兵器」としてのロボットではなく、「日常生活に溶け込んだロボット」と言うのが製作側のコンセプトであった。これらについては「ミニパト」の第2話で詳しく説明がされている。もっとも作品内でのロボットの位置づけこそ日用品であっても、物語の中では結局格闘戦が山場になることが多く、その点では巨大ロボット物アニメ・漫画の伝統に縛られていた。
ちなみに、本作品では本体にコクピットを持たない無人機であったとしても、有線/無線を介して操縦者の存在が外部にある場合は『レイバー』と呼ばれる。一方でプログラム等によって半自律的に稼動するものは基本的に『ロボット』としている。
「警視庁警備部特科(特殊)車両二課」が正式名称であるが、通称「特車二課」と呼ばれる。物語の中核となる組織であり、主人公、泉野明を始めとするキャラクター達が勤務している部署でもある。コミックス版の説明によれば、当初は特科車両隊内の一中隊として「特機部隊」(中隊)が存在し、それが二個小隊体制になるにあたって特科車両隊から独立し、従来の特科車両隊を「特車一課」、レイバー隊を「特車二課」とするという説明がある。
(なお時期により「特殊車両二課」と「特科車両二課」の表記・呼称が混在している。本来は特車一課である実際の特車隊の正式名称は「警視庁警備部警備第一課 特科車両隊」であるので「特殊車両二課」は間違いである。こういった表記の混乱は作品中に散見され、メディアミックスによって各作品での細部の統一が容易ではなかったことが分かる)
国家的大規模事業「バビロンプロジェクト」により急激に普及した多足歩行式作業機械「レイバー」による犯罪に対抗するため創設された特機部隊を、レイバー犯罪の凶悪・多発化に対抗すべく強化再編されたのがこの特車二課である。現在第一小隊、第二小隊の2部隊による運用となっており、第一小隊の小隊長は南雲しのぶ警部補、第二小隊の小隊長は後藤喜一警部補である。なお、中隊以上の連隊編成がなされておらず、いきなりその上には課長がいる(しかし存在感は薄い)。OVA版は祖父江課長が初代で、その後は福島課長である。TV版においては放映当初から福島課長であるが、先代課長として祖父江が登場するエピソードが有る。
特車二課の棟屋は陸の孤島と言ってよい13号埋立地(1988年当時のお台場のイメージで、埋め立て作業が終わって養生中の埋立地)・第1期OVA版では城南島の突端にある実在しない埋立地に建てられており、小隊の隊員達及び整備班の人間が勤務している。休憩時間には釣りや空き地に作った畑の手入れ、私物のオートバイで飲食物の買出しを行うなど、のどかな風景が描かれている。
警視庁警備部直轄部隊ではあるが、桜田門の本庁舎から遠く離れ(課長と事務部門のみ本庁舎・警備部内にオフィスがある)、ある意味場末的な独特の気風を持つ職場である。小隊長である後藤や南雲にしても、出世コースから外れ「島流し」と見られる立場であり、特車二課配属が決まった泉は、予備校時代の教官や同僚から「もう出世はできない」と哀れまれている(ただし、コレに関しては後藤の「名刺の裏」計画(後述)により、予備学生から、従来のプロセスを省きレイバー専門に「促成栽培」された『レイバー隊専門警察官』であるためと考えられる)。後藤自らも、自分の小隊を指して「独立愚連隊」と自嘲するほどである。ただし、劇開始時に既存する「第一小隊」は全警察官の中から選抜されたエリート部隊という位置付けもあり、士気、綱紀ともに高く、小隊長の南雲以下、畏敬を持って扱われている。
実在した場合の警視庁組織内の位置づけ[]現実の警視庁警備部特科車両隊は、「全10隊ある機動隊の一つで、第十機動隊に相当する大隊」として扱われているため、課ではない(課相当)。従って特車二課を実際の組織に則した位置づけをするならば、「警視庁警備部第二特科車両隊」という『11番目の機動隊』ということになるが、一つの独立した大隊(隊長:警視)として編成するためには4個中隊(各中隊は3個小隊で編成)以上の大規模組織が必要である。劇中の特車二課をこれに照らしてみると、2個小隊と整備担当だけの小規模編成であり、中隊(隊長:警部)の編成にも達しておらず、独立した部隊としての規模には遠く及ばない。
また、劇中では南雲や後藤を「隊長」と呼称しているがこれは誤りで、隊長とは組織の長たる「大隊長」のことを指す。南雲らはあくまでも現場指揮官である「小隊長(警部補)」と呼ぶのが正しい。コミック版では時折、福島の部下の警部が登場する。
特機部隊[]コミック版の劇中でごく初期に使用された「特機部隊」という名称は現実に存在する。正式名称は「警視庁特別機動隊」であり、如何にもエリート的な組織のようであるが、現実には花火大会や国賓来日などの大規模警備事象などの際、機動隊の基幹隊員だけでは首が回らない場合に、近隣の所轄警察署から応援を貰って臨時に2個中隊を編成する『寄せ集めの部隊』のことである。警視庁の場合、機動隊の基幹隊員による中隊は1~4中隊までであり、特機部隊は5、6中隊となる。
ちなみに、アニメ版における特車隊員養成所(通称「レイバーの穴」)に相当する施設は、コミック版では「特機研修所」なる名称で登場する。
歴代「パトレイバー」は作品によって異なる。
レイバーはオペレーティングシステムの搭載を考慮された、当時の空想世界に登場するロボットにしては極めて珍しいタイプのロボットである。この項以下「レイバーのオペレーティングシステムの戦いの物語」とも評される漫画版を基準に記述する。
通常レイバーにはLabor Operating System(通称LOS)を介して運用されており、起動ディスケット(光ディスク)に入ったパーソナルデータがなければ起動することができない。
LOSは各社が自社用に開発しているが、ユーザーの意志で書き換え可能なことが作品中より示唆されている。また、初回起動時に自分の手で設定し、インストールする場面も存在する。しかし、個人的に入手することは難しい。そのため、機種専用のシステムではなく、汎用性が確保されており通商産業省によるLOSのフォーマットなるものが存在する。劇場版第2作のオープニングには、マイクロソフト「MS-DOS」の「DOS」と、Apple「Mac OS」の起動メッセージ「Welcome to Mac OS」を組み合わせてパロディとした「Welcome to L.O.S.」が、LOSの起動画面として登場する。
学習型コンピュータを搭載し、パーソナルデータには個人が運用した際のデータが蓄積されており、これによりレイバーの動作に個体差(クセ)が生まれる。よくないクセがついた場合、修正することが必要となる。
劇中登場する新型Hyper Operating System(通称HOS)は篠原重工の子会社シンテックが開発したOSであるが、これはパーソナルデータの並列化と動作の統一化、最適化を売りにしており劇場版ではかなりの台数のレイバーに搭載されていた。ソフトウェアからハードウェアの力を最大限に引き出そうとする設計思想を元に作られていた。劇場版は、このHOSに仕込まれていたコンピューターウイルスを巡る事件が描かれている(詳細は劇場版のあらすじを参照)。
グリフォンが搭載するASURAは既存のコンピュータシステムとはまったく別のシステムであり、城南工大で開発されていたが研究費の削減に伴い開発中止された幻のフォーマットで、元研究員がシャフトで完成させた。非常に高度な制御が可能で、生物的な動きが可能になるようだ。
なお、この設定から自らのパソコンの起動画面やスクリーンセーバーにLOSやHOSの画面を設定するプログラム等が多数公開された。またH8マイコンなどの組み込みCPU向けに作られたITRON4.0 仕様のリアルタイムOSに「HOS」が存在するが、作中のHOSとは同名の別物である。
ロボットを制御するコンピュータシステムの描写としては過去にも『機動戦士ガンダム』における教育型コンピュータ、『銀河漂流バイファム』におけるコンピューターに依存する操縦(宇宙空間等での姿勢制御、作戦パターン等細かい操縦は大半コンピューター任せ)、『装甲騎兵ボトムズ』におけるミッションディスクなどがあった。しかしながら、コンピュータとOSの形態(レイバー用OSは基本的にDOS[4])を技術的に明確に描いている作品は本作が初めてである。
テンプレート:ネタバレ終了
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