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火事場のクソ力(かじばのクソぢから)とは、『キン肉マン』およびその続編『キン肉マンII世』に登場する能力。作中の登場人物、特に主人公のキン肉マンやその一族に顕著に見られる潜在能力で、窮地に陥ったときに普段を遥かに超えるパワーを発揮する。
「火事場のクソ力」の名が作中で最初に現れるのは、第20回超人オリンピックでキン肉マンが優勝を決めた直後のラーメンマンの台詞[1]である。ロビンマスクの必殺技により一度は死亡したと思われていたキン肉マンであったが、体が勝手に動き、無意識に放った逆転の大技でロビンマスクをフォールした。この様子をラーメンマンは「火事場のクソ力」と呼び、「自己防衛本能」「戦う超人にとってもっとも大切な野生の本能」[2]と形容した。これを皮切りにキン肉マンはウォーズマン、バッファローマンといった強豪たちを火事場のクソ力で破り続け、「奇跡の逆転ファイター」の異名で呼ばれるようになる。
キン肉マンの火事場のクソ力は戦いの中で成長を続け[3][4]、通常は一度備われば一生変化しないという超人強度の原則を無視し、超人の神々の超人強度1億パワーにも届く勢いであった。これを見た邪悪の神たちが、キン肉マンがキン肉星の王位を継承して天上界へも影響を及ぼすことを危惧し、別の継承候補を5人立てて争わせたのが『キン肉マン』最終シリーズ「キン肉星王位争奪編」の発端である。
Image-1.jpg火事場のクソ力を持つのはキン肉マンに限らず、ウォーズマンはキン肉マンとの対戦で学習した火事場のクソ力をバッファローマン相手に発揮した。しかしスタミナに欠けるウォーズマンにとって火事場のクソ力の濫用は自殺行為に等しく、濫用を誘ったバッファローマンの作戦で逆にピンチに陥ることになった。他には、アシュラマンが魔界版火事場のクソ力である「魔界のクソ力」を、ミートはミキサー大帝を相手に「ミート式火事場のクソ力」として使用している。キン肉マンの兄キン肉アタルは、火事場のクソ力の原型とされる「業火のクソ力」(アニメ版では「元祖・火事場のクソ力」)を使用した。
続編の『キン肉マンII世』では K・K・Dの省略表記がされるようになり、「キン肉族にだけ与えられた神秘の力」[5]と設定が改められた。未熟な火事場のクソ力(通称たき火のクソ力)で戦い続けたキン肉マンの息子・キン肉万太郎の体はデビューから6戦で既に廃人に近くなっており、「K・K・D修練」(火事場のクソ力チャレンジ)と呼ばれる試練に打ち勝つことで完全なクソ力を身に付ける必要があった。火事場のクソ力の三大要素は「寛容」「無我」「友情」であるとされ、その逆の精神「強欲」「残虐」「非道」の墓場のクソ力を持つノーリスペクトとの戦いを通じ万太郎はこれらを身に付けた。
また、火事場のクソ力の強さ(K・K・D値)を炎の大きさで計測する器具「魂のランタン」が登場し、キン肉マンやアタルのほかにキン肉マンの父・キン肉真弓もこれに炎を灯している。
キン肉族特有の力とされた火事場のクソ力であるが、ロビンマスクの息子・ケビンマスクは火事場のクソ力に似た、同様に極限状態で潜在能力を発揮する「大渦(メイルストローム)パワー」を持つ。超人オリンピック ザ・レザレクションの決勝戦は、万太郎の火事場のクソ力とケビンの大渦パワーのぶつかり合いとなった。いずれの力も、発揮したときには全身が輝いたように描かれる。
『キン肉マン』を題材にしたコンピュータゲームのいくつかでは、ゲームシステムとして火事場のクソ力が取り入れられ、この場合全てのキャラクターが火事場のクソ力を備える。
プレイステーション2『キン肉マン ジェネレーションズ』などでは、残り体力が一定値を下回ったときに火事場のクソ力が発動し、一定時間キャラクターが強化される。強化のされ方はキャラクターごとに異なり、多くは攻撃力または防御力が上昇するが、例えば悪魔将軍は一切のダメージを受けなくなるなど、キャラクターによっては非常に強力な効果が発動する[6]。
アーケードゲーム『キン肉マン マッスルグランプリ』やその移植版では、キャラクターの特性を「攻撃重視」「防御重視」「火事場のクソ力」から選択可能。火事場のクソ力を選んだ場合は、残り体力が一定値を下回るとテンションゲージ(必殺技を発動するためのゲージ)が溜まりやすくなる。
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