登場人物
前書き
実施日時: 2018年1月5日
釣り対決という珍しいシチュエーションのロールです。
川辺を舞台に繰り広げられる釣り技術と心理の水面下の争いをお楽しみください。
本文
[ナカベエリア アマタツ滝 10:12]
ホラガイ
[滝のほとりで、一人のアニマルガールが釣り糸を垂らしていた]
さて...今日は何が釣れるか......。
白狐
[滝にいると遠くから鈴の音のように金属の鳴る音が聞こえてくる。]
[等間隔で聞こえていたそれは徐々に滝へと近づいて来る。やがてその音の主が滝へ姿を現した。]
ん、なんじゃ。先客がおったようじゃね。[釣り人の近くで立ち止まると同時に錫杖が音を鳴らす。]
ホラガイ
儂の事か? お主も釣りじゃったかの?
[立ち止まったアニマルガールに振り向き]
白狐
釣り、というよりはちょいと水が欲しかったんじゃけどね。
[そう言いつつ、竹で出来た水筒に水をくみ始める]
ホラガイ
ここの水は綺麗じゃからのう。 確かうんたらでぃーね?とかいう建物が水を綺麗に保っとるんじゃったか。
白狐
うむ。なるべく上流の水が綺麗でそれが欲しかったけえね。
この辺の綺麗な水はうちにとってはうってつけじゃ。
ホラガイ
ほう、何かに使うんか?
白狐
これをこうすれば……ほれ!
[光る粒子が手から竹水筒の中に吸い込まれる。するとその中の水が飛び出してきた]
ま、水が無いとうちは何も出来んってわけじゃね。[水筒の水を手足のように操りながら言う]
ホラガイ
ほぉぉ...! お主......名のある狐じゃな?
なんという?
白狐
うちは温湯山に住む……というか住んじょった白狐。名などその程度のものじゃね。
ホラガイ
ん、温湯山の......まさか、薬師如来様の...!?
[驚いたように目の前の白狐を見る]
白狐
ん?なんじゃ、うちのことを知っちょるとはお前さんもなかなか物知りじゃねぇ。
ホラガイ
ま、まぁ儂もこう見えて数千年は生きとるんでの...いやしかし、それなら儂よりそちらの方が立場は上じゃったか...。
[釣り竿を石を重しにして置き、向き直る]
儂は法螺貝、俗にいう出世螺。龍と妖怪の間の存在じゃ。
白狐
[出世螺という名に目を細める。]
ほう、龍に変じるというあれか。これも何かの縁じゃけえ、よろしくお願いしますじゃ。
ホラガイ
うむ、よろしく頼む。
[その時、釣り糸がグイっと引っ張られ竿が動く]
うぉ...これは大物か!
[慌てて竿を持ち]
白狐
む!これはでかいな!
アラン
~♪…ん?
[その時、釣り竿を抱えて鼻歌を歌っているアニマルガールがそばを通りかかり二人に気付く]
(釣りか?それにあの引き…結構な大物だぞ…!)
[釣りの様子が気になり二人に近づく]
ホホジロザメ
[引っかかった獲物はかなり暴れて居るようだ]
ホラガイ
うぉぉぉ...すまん、手伝ってくれ!
[負けじと引っ張っている]
白狐
承知した。[水筒の水を操り、タツの身体に巻き付け引っ張る]
アラン
アタシも手伝うよ!
[しばらく見ていたが釣り竿をその場に置いて、タツの背後から手を回して引っ張る]
白狐
おお、これはありがたい!
ホラガイ
見知らぬ人よ、感謝するぞ!
三人:ぬぅおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!
[三人は息を合わせ、一気に竿を引く]
ホホジロザメ
[ざばぁーっ!]
[そして、大きな「サメ」が釣り上げられた]
[釣り糸と釣り針を握り、くちゃくちゃと餌を咀嚼しつつ、サメのような存在が、三人に対して丸い目で視線を送って居る]
ホラガイ
魚のフレンズを釣り上げてしまったぁ~ッ!?
アラン
…えっ
[同じく丸い目で"サメ"を見る]
白狐
おお~っ!?
意外に大物じゃったねぇ。[釣り上げられた知り合いを見ながら]
ホホジロザメ
[むっちゃむっちゃ…ごくん]
[餌を飲み込んだ「サメ」は、ゆっくりと口を開いた]
…えっと、ごちそうさま、なんだぞー
ホラガイ
お、おう......(まさか釣るはずの魚にさらに食いつかれるとは思わなんだ...)
[困惑しながら]
白狐
お前さんは相変わらずじゃねえ……。
アラン
…えーっと…アンタは…?
[状況が飲み込めず、とりあえず釣ったサメに話しかける]
ホホジロザメ
お、オレサマはホホジロザメだぞー。
泳いでたら肉が針に刺さってたから、取って食べちゃって…その…
[ぴちぴちと尾びれを揺らし]
…勝手に食べてごめんなー…
[しょんぼりとした顔で]
ホラガイ
いやまぁええんじゃよ...餌もまだまだあるしのう
[餌の入ったポーチを見せながら]
儂はホラガイのタツじゃ、よろしくの。
アラン
…あー…なるほどな…
アタシはアラスカン・マラミュートのアランだ。よろしくな。
[状況を理解し、三人に挨拶する]
白狐
うちは温湯山の白狐。よろしくお願いしますじゃ。[改めて挨拶する]
白狐
ちなみにうちはアンインエリアのユタ温泉の主でもあるけえ、機会があれば温泉にも来て貰えるとしあわせますじゃ。
ホホジロザメ
ユタ温泉はあったかいぞー!
ほかほかしててずっと湯船に浸かりたくなっちゃうんだぞ!
[ぱたぱたとヒレを揺らして嬉しそうに自慢する]
ホラガイ
ほぉ、温泉か...温湯山からアンインに温泉ごと移動してきたのかの...?
アラン
ユタ温泉かぁ…グダグダ温泉にはよく行くけどそこにはまだ行ったことないなぁ…
白狐
いいや、温泉は別じゃね。今のうちは温泉のために力を割いとるから型落ちじゃ。
ホラガイ
なるほど......しかし、白狐殿はなぜパークに?
白狐
さて、どうじゃったかねえ……。まあうちの役割は温泉を切り盛りすれば果たせるんでな。
皆も是非、温泉に来てくだされ。[含みのある笑みを浮かべる]
ホラガイ
うむ、いずれ行きたいのぉ。
...ところで、アランと言ったの。お主も釣りをするのか?
アラン
ああ、アタシも釣りをしているよ。
普段はホッカイエリアでやっているんだが、たまには他の所でやってみようと思ってな。
[釣り竿を肩に担ぐ]
ホラガイ
...ふむ、ここで会ったのも何かの縁。
せっかくじゃ、釣り勝負でもしてみるかのォ?
[ニヤリと笑って]
アラン
うーん…そうだな、いいぞ。せっかくだしな。
ホホジロザメ
じゃあじゃあオレサマは魚役やるぞ!
[胸に手を当て]
ホラガイ
さ、魚役...?
白狐
餌が食いたいだけじゃろうね。
アラン
あはは…
[苦笑いを浮かべる]
ホホジロザメ
そ、そんなんじゃないぞー///
ホラガイ
ふむ...ならこの勝負、敗けた方が釣った魚の何割かを二人にわけるというのはどうじゃ?
アラン
ん…わかった。じゃあそれで行こうか。
ホラガイ
よし、では太陽が真上に来るまでが制限時間じゃ!
[釣り針に餌をつける]
アラン
よし、じゃあやろうか!
[同じく釣り針に餌を付ける]
ホホジロザメ
よーし!
[ゆっくりと水中に入っていく]
白狐
どちらが勝つか……楽しみじゃね。
ホラガイ
はじめぇい!
[竿を振る]
アラン
よ…っと!
[竿を振る]
ホホジロザメ
[水中から、ホホジロザメの頭にある特徴的な背ビレが顔を覗かせる]
ホラガイ
[開始の合図の気合から一転、静かに二人は集中する]
白狐
[固唾を飲んで見守っている]
ホラガイ
......むっ!
[引きが来て、竿を上げる]
よし![少し小ぶりだが立派な魚だ!]
アラン
……来たっ!
[その直後にアランの竿にも引きが来て、竿を上げる]
よし![タツと同じぐらいの大きさの立派な魚が釣れた!]
ホラガイ
む、お主もやるのう!
[餌を付け直して再び竿を振る]
ホホジロザメ
[ゆっくりと背ビレは泳ぎ続けて居る]
アラン
アンタこそ!
[同じく餌を付け直して再び竿を振る]
ホラガイ
(...しかし、ホホジロが下で泳いでおると魚はいつもより寄ってこない可能性もあるのう)
(これは技量が試されるわ...!)
アラン
[二人とも無言で集中している]
ホラガイ
...ほっ!
[二尾目を釣り上げる...が]
......むー、ちとこれは小さすぎるのう。
[針を抜いて川に返した]
ホホジロザメ
[川に返された魚がホホジロザメのヒレの前で沈み、消えた]
ホラガイ
(あー......)
(まぁ、ええかの...)
アラン
…よっ!
[同じく二尾目を釣り上げる…が]
よし!…って、あっ!…あーぁ…
[立派な魚だったが針を外す際に跳ね、ホホジロのいる川に逃げてしまった]
ホラガイ
...んぅっ!
[その横でタツはもう一尾釣り上げる]
[大きさからして今度こそ二尾目であろう]
白狐
ふむ、実力は拮抗しちょるようじゃね。[二人が釣る様子を楽しそうに見ているが、何か手を出したそうだ]
ホホジロザメ
[先程逃げた立派な魚が、背ビレの周りで格闘して居る]
アラン
(あー……)
(…まぁ…いいか…)
[それを見て苦笑いを浮かべつつ、再度竿を投げ入れる]
ホホジロザメ
[魚は数分格闘し、ヒレも魚を追いかけていた]
[しかしヒレの検討虚しく、魚は逃げ去っていった]
[心なしか悔しそうだ!]
アラン
(あははは…)…おっ!来たな!
[心の中で苦笑しているとアランの竿にアタリが!]
よ…っと!よし!
[先ほどのより大きい魚を釣り上げた!]
ホラガイ
むぅ......
[そこでタツは気付いた]
[アランの竿から垂れる糸、そのすぐ先の川面が木陰で暗くなっている事に]
[川魚の多くは暗めの所に集まる習性がある]
[つまり、位置取り的にはアランの方が有利だったのだ!]
(も、もしやアラン...それを知っていて儂の右側に...!?)
[しかし、今更場所を変えるというのは無理な話だった]
アラン
[そして当のアランはと言うと…]
(…何となくで投げたが…結構掛かるなここは…)
[そう、彼女にはそのような知識はない]
[趣味で鍛えた勘、そして種族ゆえの本能]
[それらが無意識のうちに魚のいる場所を感じ取っていたのだった!]
ホホジロザメ
[そして、背ビレはただただゆっくりと泳ぎ回っていた!!!]
ホラガイ
(こうなれば...!)
[タツは考えた、もしアランが知識なしでそこにいるのなら、逆にアランに自発的に位置を変えさせられるかもしれない]
[そう、得意の『ホラ』の出番だ!]
......日なたが有利...日なたが有利......
[アランにだけ聞こえるような小さな声でそう呟く]
アラン
(…日なたが有利…?)
[その声は確かにアランに届いていた]
(…じゃあ日なたに移動した方がいいか…?)
[そして一瞬の迷いが生じる…しかし]
(…いや、このまま続けよう!)
[なぜか彼女の頑固な面が発揮され、失敗に終わった!]
ホラガイ
...よし!
[釣りを続けながら二言三言呟き、アランの様子を窺う]
[しかし、聞こえているはずなのに移動しようとしない]
(ぬぐ......)
[その事が逆にタツを少し焦らせる!]
アラン
…よっと!
[そしてそれに追い打ちを掛けるようにアランの竿にアタリが来る!]
[先ほどと同じく立派な魚だ!]
ホラガイ
(拙い...!)
[さらに焦るタツ。しかし一向に魚は食いついてこない!]
白狐
[しばらくすると二人の釣り場の水の流れがおかしくなっていることに気づくだろう]
ふっふっふ……このままじゃ面白味が無いけえね。ちと、細工じゃ。
[白狐の力によって水の流れがあきらかに乱されている。しかも偶然にも魚がアラン側に集まりやすくなってしまっている]
ホラガイ
......ん...?
[流れが妙な揺らぎを見せている事に気付き始める]
アラン
…?(…なんだ…?)
[流れがおかしいことに気付き、不審に思いながらも続ける]
ホホジロザメ
(あれっ、なんか流れが変わってるぞー?)
[水中の様子を見て。ふと不審を抱く]
アラン
…よし!四匹目!
[流れが変わったせいかまたもやアランの竿にアタリが出る]
[先ほどよりは小ぶりだが生きのいい魚だ!]
ホラガイ
......ふんっ、と!
[ようやくタツも三尾目を釣り上げる。しかしふと空を見れば、もうあと30分もしないうちに日が高く高く昇りきってしまう]
(あわわわわ......)
アラン
…来た…っ!?お、重い…!
[さらにアランの竿にアタリが食いつく]
[しかも先ほどとは違い大物が掛かったようだ]
ホホジロザメ
〜!!
[ざばざばと水面が揺れ動き、背ビレが沈む]
[どうやらかなりの大物が食いついたようだ!]
アラン
うぐぐぐ…っ!
[必死に竿を上げてリールを巻いているが、徐々にアランの体が持っていかれつつある]
くっ…!こうなったら…!
[突然竿から手を離し、その大物がいるであろう糸の先へと飛び込んだ!]
ホラガイ
...!?
[飛び込んだアランを思わず二度見する。引き込まれたと勘違いしたようだ]
だ、大丈夫か!
白狐
ほう……!そう来るか!
ホホジロザメ
!?
[飛び込んできたアランを凝視する暇も無く組みつかれる]
アラン
んぷぁっ…!ほら、大人しくしろ!…って、ホホジロザメ!?
[組み付いたままホホジロを抱き上げ、水上に出る]
[そして大きな魚を持つように…つまりお姫様だっこの状態で釣った相手を見て驚く]
ホホジロザメ
しゃ…えへへ?
[生で釣り上げられ、文字通りお姫様だっこされたまま、笑って誤魔化そうとする]
ホラガイ
[それを見て思わずずっこけそうになる]
アラン
…通りで大物だったわけだ…
[苦笑いを浮かべてそのまま水から上がり、ホホジロを地面に降ろす]
白狐
また大物じゃね。[クスクスと笑いながら]
ホホジロザメ
しゃしゃっ、しゃー
[寝転がり、水揚げされた魚を真似してぴちぴちと尾ビレを振るう]
アラン
…ふふっ…
[それを見て思わず微笑みを浮かべる]
ホラガイ
元気な大物じゃなぁ.........あ。
[もう一度空を見上げれば、丁度太陽が天頂に達したころだった]
アラン
ん?…あ。
[釣られて空を見上げて、同じように声を漏らす]
ホホジロザメ
あっ?もうおしまいかー!
白狐
ここまでじゃね。どっちが勝ったんじゃろうね?
ホラガイ
えーっと...儂は三尾...。
アラン
えーっと、アタシは…4尾だね。
[ホホジロを一瞥し、苦笑を漏らしながら言う]
ホラガイ
ぬぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
[悔しそうに叫ぶ]
ま、まさか儂が負けるとは...
白狐
策を弄しても勝てんかったのは悔しいじゃろうね。[ニヤニヤしながら告げる]
ホラガイ
ん、何のことじゃ。
[しらばっくれる]
白狐
ふふふ……まあ良いじゃろう。しかし敗者は魚を分ける約束じゃったよね?
ホラガイ
う、うむ......悔しいぞ儂はぁ...!
[一尾ずつ白狐とホホジロザメに渡す]
アラン
ははは…
[苦笑いを浮かべる]
ホホジロザメ
えへへー!
[むしゃむしゃと魚を食べる]
白狐
うむ、ありがたく頂戴じゃ。[空中に浮かせた水玉の中に魚を放り込む]
アラン
…あ、そうだ。
…はい、これあげるよ。
[釣った魚のうち一番大きな魚をホホジロに渡す]
ホホジロザメ
わっ…良いのかー!?
アラン
ああ、釣ってしまったお詫びだ。
受け取ってくれ。
[微笑みを浮かべる]
ホホジロザメ
わーい!
[大きな魚を抱き抱え、かじりつく]
ホラガイ
...ふふ、よかったのう?
[おいしそうにかじりつくホホジロザメに]
ホホジロザメ
あむあむ…うんー♪
白狐
相変わらずの食べっぷり……流石じゃね。
ホホジロザメ
[生で食って居るが苦を示す様子はなく、ヒレが無邪気に揺れて居る]
ホラガイ
[こうして、滝のほとりで出会った四人は楽しいひと時を過ごした]
[タツは後で釣った魚を焚き火で焼いて昼飯にしたのだが、魚を食べていた時にふと思い出した]
(...そういえば、あの妙な水の流れは何だったんじゃ......)
(...ああぁ! もしや白狐殿、あの時川に細工をぉぉぉ!?)
[今更ながらに白狐が一枚噛んでいたことに気付き、余計に悔しさが増してしまったのだった]
-Fin-
キャスト
クドリャフカ:Hanagaki
アラン:DerMaltu
ホラガイ:Type-ZERO
ホホジロザメ:sakamata
編集・校正:Nordic
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