登場人物
・アブラコウモリ 「オガサワラ」ってつけて名前を呼ぶと「フルネームで呼び捨てされてる気分」になるヒキコーモリのフレンズ。クリスマスの思い出は「まともなほうの例の教会でシスターさんとか司祭さんとケーキを食べたこと。」
・シートン・ザックバード 「普及させた測定機器をもっとスタイリッシュに作っておけばよかった」非効率的な食糧消費研究のエキスパート。クリスマスの思い出は「大学の時に街角のケーキ屋さんから出禁を食らったこと。」
・幕原 徹 「最近ようやく新しい友達ができた」精神年齢が大学生で止まってしまったクッソ哀れな元・客席研究員。
クリスマスの思い出は「サンドスター持ち出し事件真っ最中の冬が強烈すぎて覚えてない、新しい平和な思い出が欲しい。」
こんにちは。私はアブラコウモリです。
まあ知っている人は知ってるかもしれませんが、「アニマルガール」というものになってからしばらくは、パークが認知しているわけではなかったので自力で生きていたんです。それから紆余曲折を繰り返しているうちに「シートン先生」の家に居候するようになりました。
でもさ、こいつ頭おかしいよ、多少とかの域じゃなくてさ。
「ひゃぁああ!!そろそろクリスマスだよおおおお!ね!!楽しみだよね!!!ね!ね!!ねんどのね!!」
ほら見やがれ。
「冷えてる?冷えちゃったか~あっはははっはっはっはっはっはっ……ごめん」
「許さん」
「あんまりだ」
「ここまでがいつもの流れらしいがお前大丈夫か?血糖足りてっか?」
そうのたまうのは私の一応の教育係、トールさん。
詳細は知らないけどとにかくヤバイらしい。前の職場をクビになってからずいぶん経ってるのに未だに伝説になってる。
主に悪い方向で。
「足りてたらハイテンションになってない。そうだ、お前本土に買い出しに行って来い」
「なんで有給取らせてそんなことしなきゃあかんのですか」
「聞いたぞ、お前今の職場でも若干煙たがられてんだってな?ホント見てて滑稽だぜ」
「おまけに有能だから仕事を振っても振っても定時に収めてその果てには振れる仕事がなくなるらしい」
「ならせめてもの恩師のために空いた時間を使うのもいかがかと思うが?」
「癪に障るなこのバキューム、餓死させんぞ」
「研究者ともあろう人達がこんな不毛なことで争っていらっしゃるとは……心配でございますわぁ……」
「辛辣だな全く」
「てかクリスマス用に食糧買い込んでたろ、あれどうしたよ」
「 は ? な に そ れ ? 」
「よっしゃ歯ァ食いしばれ、空手道三級の力を今こそ見せてやる」
「え?そうだったんですかトールさん?」
「嘘ついた、ほんとは二級だ」
爽快な一撃である。そして多分彼には格闘の心得はない。
「……どうすんだ、あれ。クリスマスで無差別にばらまくお菓子もあったはずなんだが?数十キロぐらいの?」
「め…面目ない……ッグゥッ…ガア”ア”ア”ッ”イタイイタイ」
「あーあ……かわいそうな三十路近いお兄さんが繰り出す足技は痛いよー!」
「……分かった。コーモリさんは空飛べるし調査の関係でフレンズたちの居場所を把握してるだろ?」
「ようやく外に出られるようになったんだ、ちょっとは交流しないか?」
「あー……クリスマスってキリスト教のお祭りでしたっけ……」
「え?異教徒の私がサンタクロース?」
「いや、一応なんとなく『修道院』って言ったらキリスト教だから受容的かなと」
「デリカシーなるものが足りませんねー…全く…」
「いいですよ?」
「お、おう…」「いやまぁ日本のクリスマスはもはやキリスト関係ないんだけど」
「閑話休題、どうすんのかねこれ、そもそもお菓子がないやん、どうすんのさこれ。」
「テメェが言うかよ」
しかし困りました。私はこの頃家を出たことがないので、他の皆さんと面識がありません。
何とかして怪しまれないようにしたいのですが…
それに…私、こんな時どんなテンションで行けばいいのかわからないんです。
ここにいる人全員会話下手だし。もっと言うと私も下手なんです。
勢いでオッケーしちゃったけどどうしたらよいのでしょうか…
苦し紛れに、私はこんな暴挙に出ました。
「先生方も行くなら?」
やられましたね、盛大に。私これ以上何かやらかすと確実に職質されますよ。下手したらクビ飛びますよ?
こんなところで私オワりたくないけどやるしかないし…
どうすんのさ、私コミュ障だよ?みんなからは後ろ指を指されて「アノ事件の人」だぞ?最近は謝り倒した成果が出てきたけど。見事に不適格じゃん。どうすんのさ……
あー……だめだよ僕じゃぁ。長距離の移動が必至なのに荷物を沢山持たなきゃいけない。必然的に食糧が足りなくなっていつものバッドエンドだよ。お菓子じゃなくても問答無用で食べるから……
それで動物や来園者やフレンズにカチあったら悲惨だぞ?
うーん………
やりたくないなぁ…
ああ無情。今日は何日だ。
12月24日だ。
12月24日だ。
12月24日だ。
12月24日だ。
12月24日だ。
あ……ああ……
ああああああ……
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!?????」
「落ち着け…落ち着けってば……」
「いきたぐないよぉぉぉぉぉ」
「だぁぁぁっッッrrっれ!第一に貴方ががやらかさなければ……」
[木陰から顔が覗く、話し手が明らかになる]
「なあ?副所長ぉ?」
「全くです。もう私たちは責任は取れなくてよ?」
「うぎぎ……せ、戦略的撤退ぃぃ…」
「生物界に撤退の二文字はありません。玉砕あるのみです。」
「いつどこでそんな言い回し覚えた……」お前日本成分少なくないか?
「そ、そんなぁ……」
「さ、応援してますよ!!天才なら何でも出来ちゃうでしょ!!!」
「許さん、許されん、許されざる巨悪だぞ……」そういえば「巨悪」っていうけどこの頃はいい話を聞かないよねそういう話今日はやめようぜ、俺も控えるからさ
「やるしかないんですよ、誠意を見せてくださいよ!」
「かっこいい男前、見せてください!!」
「こいつ晩飯に手羽先にしてやる」
………………
「誰か先行けよ!」
「ねえ、今完全にお前が行く流れだったよね、行っとけや」
「そうそう」
「そうらしいね」
「……私行きます、同調圧力には慣れてるんで。」
「はっはっは、これでこそ優秀な私の教え子だ!これこそ散り様美しい冬の桜、大和魂だな!」
「……ただただあなたは『鬼』だと言っておこう」特にカタカナの名前を持った人が言うと危ないから……
[メモ開始]
自陣営:えーっと!ハッピークr…コホンメリークリスマス!
対象:め、メリークリスマス…
自陣営:まあパーク総出でお祝いという事でこれ!ささやかですが!!
対象:あ、ありがとうございます!
自陣営:大切に持っててくださいね?
対象:あ、ありがとうございます!
[陣形解散、メモ終了]
結果:基本的な目標を達した。自陣営のコスチュームは私しかいないが、ここでは白い白衣も実質コスチュームであろう。
完全にパーク職員の一員として混ざっているので、本人が懸念していた村八分感はない様だ。私はメンタルケアを受ける立場にあるはずが何故あのポンコツの面倒を見てやらないとならんのだ。
「くたばれ」
「何故に!?」
「ハードル上げる馬鹿がいるか?この野郎」
「これでハードルとかなんとか言ってるとかさすがに世も末だと思うんです。変人気質あると思ったら逆に有効活用していきましょうよ」
「『有効活用』した結果私は月1で腕か羽を献上しなければならなくなったんですが」
「何にも知らん人からすると軽く恐怖だな」
「黙れ、そして早よいけ」
[メモ開始]
自陣営:えーっと!ハッピークr…コホンメリークリスマス!
対象:め、メリークリスマス…
自陣営:まあパーク総出でお祝いという事でこれ!ささやかですが!!
対象:あ、ありがとうございます!
自陣営:大切に持っててくださいね?
対象:あ、ありがとうございます!
[陣形解散、メモ終了]
結果:最低。
「紅白おめでたい色でサンタ衣装に早着替えさせてやるよ」
「ペンキなどといったものは不要!全部自然由来の身近なもので出来るね!!」
「はい、逝ってきます」
「当たり前だわ」
[メモ開始]
自陣営:ははははははははは!!!!メリークリスマスゥゥ!!!!!!
[陣形解散、メモ終了]
結果:[削除済]
[メモ開始]
自陣営:ははは!!あ、こんにちは!!メリークリスマスですな!!!プレゼントとかもうもらっちった!!?
対象:いえ…
自陣営:じゃあ彼女とかと待ち合わせとか?やっぱデートとかするん?
対象:いえ…
自陣営:じゃあやっぱもうサンタとか赤とか緑とかのきらびやかな装飾には興味惹かれない?
対象:いえ…はい…
自陣営:そうだよねぇ……だってねぇ?こちとらコミュ障なのにサンタ役ですよ?
対象:はは…
自陣営:やっぱ苦笑いでも幾分か笑ってるだけましだよ!ほれほれ!プレゼントだ!変人科学者が渾身の思いで作った工作だから是非とも笑ってくれ!!
対象:ありがとうございます…
[陣形解散、メモ終了]
結果:相手が良かった。ここまでのカバー力を持ってることにもびっくりだが。しかしこの性格は直せないのか?こんな奴が私の主任担当職員なのは笑わざるを得ない。やっぱ笑顔にならざるを得ない。
「………行ってきます!!!」
そうだ、良かった。さすが先生だ。やっぱり頭が切れて人にやさしい。はた迷惑な嵐みたいだけどなんだか太陽みたいだ。自分の身をもってその未来に活路を見出させてくれる。ある意味この子の救世主だよ、全く。
本当にこの人は……
何というかアホやな。
(今日は何が食べれるだろうか)(今日は何が食べれるだろうか)(今日は何が食べれるだろうか)(今日は何が食べれるだろうか)
(今日は何が食べれるだろうか)(今日は何が食べれるだろうか)(今日は何が食べれるだろうか)
(今日は何が食べれるだろうか…)
(今日は何が食べれるだろうか)
まあ。その。昔は嫌な事もあったけどさ。忘れたい記憶もあったけどさ。でもさ。こうしていつものみんなで馬鹿がやれるってのは本当に幸せだよな……
[記録開始]
作:idola氏
[記録終了]
「その…なんか今更な結論だけどさ、」
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