Elysion 〜楽園幻想物語組曲〜(Sound Horizon)

ページ名:Elysion _楽園幻想物語組曲__Sound Horizon_

登録日:2011/01/03(月) 23:41:53
更新日:2023/08/18 Fri 10:27:52NEW!
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sound_horizon サンホラ 楽園 奈落 仮面の男 sound horizon 一期 elysion abyss あらまり 第四の地平線 残念だったねェ エル可愛いよエル エリス 楽園パレードへようこそ 第四の仮面



Elysion 〜楽園幻想物語組曲〜とは、Sound Horizonの通算4枚目にして、メジャーデビュー一作目のCDアルバムである。


このCDの半年前に、バージョン違いの「Ark」・「Yield」を収録したプロローグCD『Elysion 〜楽園への前奏曲〜』が発売されている(こちらをメジャーデビュー一作目とする説もある)。


概要

作詞作曲は「人殺しソング界の貴公子」(コンサート中のナレーションより)Revoが担当。
歌い手は主にAramary(あらまり)。


あらまり女史はこのCDを最後にSound Horizonを脱退し、これを境にSound Horizonは一期・二期と呼ばれる。



手早く言えば
一期:『Elysion』まで(メインボーカルがあらまり女史)
二期:『少年は剣を…』以降(『Roman』等。歌い手多数・語りは別キャストが担当、必ず「似て非なる人々」がアルバム1曲目を歌う)


未だにあらまり女史の復活を望むサンホラーは少なくない。
なお女史が去ったため、それ以降のライブでは本作収録楽曲をカバーする歌い手が場合によって異なり、時によっては語りもカットされたりしている。



CDの収録順は当前 1曲目→2曲目→3曲目→………
となってはいるが、歌詞カードであるブックレットには



01→スタッフ・キャスト紹介→03→10→05→08→07→06→09→04→02



の順で歌詞が掲載されている。




なんて初見殺し



だが、規則性のある並びなので馴れたら簡単である。



CDのジャケットとブックレットを裏返すと『楽園』のもう一つの顔が顕れる。





主な参加メンバー

  • Aramary

本作の主役。全曲でボーカル・コーラス・語りを担当し、「楽園」と「奈落」、その二つを歌っている。
コンサート版では曲ごとに少女・淑女・老婆・花嫁…等姿をも変える七変化ぶりを見せ、アンコール時のMCも担当した。


本作のキーパーソンとも言える「仮面の男」役として語りを担当(「エルの天秤」では歌にも参加)。
コンサート版ではその他に「パフォーマンス」ともクレジットされ、「仮面の男」の他「Ark」の「兄」役も担当している。


  • Revo

作詞・作曲・編曲・ギター等演奏担当。この頃は幻想楽団の「御領主様」と呼ばれていた。
彼もコンサート版では「パフォーマンス」の肩書が追加されており、台詞こそアンコール時の挨拶(ノリよさげ)くらいだがバグパイプを吹いたりこっそり役を演じていたりした。
またこの時期掛けていたサングラスは現在のものとは異なりうっすらと目元が見えるくらい薄い色のもので、DVDのメイキング映像では眼鏡顔も見られた。
…ここから何がどうなって、デフォルト衣装が礼服でアンコールに『超→重↓力↑!』とか叫んだりするようになったのかは謎。




コンサート版

2005年7月にサンホラ初のコンサート*1として本作を題材としたコンサートが開催され、同年9月の追加公演は『Elysion 〜楽園パレードへようこそ〜』としてDVDが発売された。
総合演出は『帝都大戦』等のエフェクト演出で有名なスクリーミング・マッド・ジョージ氏で、カーテンコールに登場している。
2期のストーリーコンサートとの主な違いは、アルバムから曲順が『エルの肖像』→『笛吹き男とパレード』→『エルの天秤』→『魔女とラフレンツェ』→『Baroque』→弦楽四重奏→【エルの楽園[→ side:A →]】→他アビスパート→『エルの楽園[→ side:E →]』と変更されている事。
ほぼ全曲を喉が枯れ気味になりながらも歌い、そして現れる女性たちを演じたあらまり女史。
同じく衣装・楽器を場面ごとに替えながら、(少しだけ曲中の物語にも参加しつつ)演奏や指揮に専念し続けた1年後『Roman』ツアーで戴冠式を挙げ、8年後紅白歌合戦で歌うとは知る由もないRevo氏(平服)。
時に仮面の男や「兄」として現れ、アンコールで持ち歌を披露したじまんぐ氏。
初回特典ディスクのライブメイキング映像(素に近い出演者陣が見られる)や「エルの楽園[→side:E→]」PVといった貴重な映像が収録されている。




視る時は心して視るように。
特にエルの楽園。


もう…そういうことじゃないわ♪



ストーリー・曲目

物語の舞台、時代背景は未だに熱い討議が繰り広げられている。


主な登場人物は仮面の男=アビス(CD・ライブ:Jimang、PV版アクター:Revo)と、その娘のエル(赤目白髪幼女)
ここではCDの収録順に曲目を紹介する。
※若干のネタバレあり





01.エルの楽園[→side:E→]
「ねぇ…お父様」
父を待ち楽園を夢見る病弱な少女エル。だが父は…


エル可愛いよエル。
でもDVDは視ちゃダメ、絶対。
PVも視ちゃダメ、絶対。


派生曲としてコンサート版『Moira』のアンコールで披露された『アルテミシアの楽園[side:Elef]』がある。



02.rk
「さぁ、楽園へ還りましょう……」
ある施設で育てられた兄(フレーデル)と妹(ソロル)。しかし、ある日を境に二人はすれ違ってしまい……


『Pico Magic』・『Pico Magic Reloaded』に断章、『Elysion 〜楽園への前奏曲〜』に別アレンジバージョン収録と紆余曲折を経て完成した楽曲。
ヤンデレ妹の悲劇を歌っているが、冒頭の歌詞と近未来的な語りの内容はより恐ろしい可能性を想起させる。
その推測を補強する様に、コンサート版ではこの「兄妹」のみアルバムのイラストとは全く違う姿をしており…。
ちなみにこの曲、2007年の『第二次領土拡大遠征』(凱旋公演)内のメドレーで披露された際は「妹」役2人が交互に歌い、
2009年のライブ『第三次領土拡大遠征凱旋記念 国王生誕祭』ではじまんぐ氏(本編ライブ時の兄役)があらまり女史の代役を務め、Revo氏も時折歌を挟むという形で披露された。



03.エルの絵本【魔女とラフレンツェ】
「――オノレラフレンツェ」
あの世の扉の番をする少女、ラフレンツェ。そこに現れた一人の青年にラフレンツェは想いを寄せていくが……


ギリシア神話のオルフェウス、そしてラプンツェルの話をベースにしていると思われている。イナズマなイレブンの方ではない。
歌詞がなんかエロく、コンサート版では描写がより具体的になっていた。なお小説版では序章とされている。
第七の地平線でラフレンツェの出自が明らかになる。また第六の地平線で、コンサートで挿入されたイラストと似たオルフェウスらしき姿と「オルフ」と呼ばれるキャラが登場したが、本作との関連は不明。
余談だが第六でオルフを助けた「紫眼の狼」や第七の地平線の「屍揮者」と、コンサート版でエル顔赤頭巾ラフレンツェの前に現れたオルフェウスはどこか似ているような…。中の人が同じだとか言ってはいけない



04.aroque
私の紅い真珠は歪んでいるのでしょうか?
教会に自らの罪を独白する少女。しかし、その内容は……


まさかのオール語り。コンサート版では「懺悔」が拡張されたのかシスター姿だった。


一流のサンホラーになりたいなら暗記してみよう。


また2021年のコンサート『Sound Horizon Around 15周年記念祭』では、新バージョンとして歌詞の殆どを変更した雅楽調陽キャギャル女子高生版が登場(ちなみにそのギャルも百合ルートの可能性持ち)。仮面の男も神社にいた「神社関係者」になっていた。



05.エルの肖像
「最愛の娘エリスの8つの誕生日に……」
ある廃屋で少年が見つけた、少女の肖像画。彼は彼女に恋をしてしまう――。


「第四の地平線」という単語が登場。コンサート版のファーストナンバーでもあるが、背後に映る少女はなぜかいつも「微笑み」ではなく「嗤い」を浮かべている…。



06.ield
「恋心 甘い果実 真っ赤な果実」
伴侶がいる男性に恋する少女。彼女は報われない想いを強引に終わらせる。


歌詞がなんかエロい。
派生曲にYEAHld(『Roman』アンコールで披露)がある。
スイーツ(笑)とか言っちゃダメ。
3-1+1-2はこの曲を語るに欠かせない式



07.エルの天秤
「残念だったねェ」
駆け落ちを試みる男と女。しかし、仮面の男が行く手を遮る。


このCD最大の決め台詞が聴ける。
Sound Horizon流行語大賞にも選ばれた。
第五の地平線と繋がっている。また『星の綺麗な夜』では「第四の仮面の様に(背後から)」という歌詞が登場した。



08.acrifice
「ごめんなさい神様 あの願いは嘘なんです」
貧しいながらも幸福だった姉妹。だが、妹の受胎が発覚し……


ある意味では中近世におけるムラ社会の闇を抉った曲。姉が一時嫉妬して、その後慌てて上述の台詞で邪念を取り消す程「誰よりもかわいい」妹が「一人では何も出来ない」事、そして姉が村人の対応の変化の真実に気づかなかった事は罪だったのか。


コンサート版ラストでは、なんと姉が磔にされ燃やされてしまった…
『Sound Horizon Around 15周年記念祭』でも2回披露されたが、2回目時姉役が巫女姿だったせいで幻想の神々と仮面神職に姉の叫びが届き、神々の多数決により別エンドに突入した。


09.エルの絵本【笛吹き男とパレード】
「楽園パレードへようこそ!」


仮面の男が心に闇を抱えた者を探し、各地を巡る。
カラオケでは鬼門。
『Nein』コンサートのアンコールでは『StarDust』の「私」を実際にこの台詞で捕えた。



10.tarDust
「お揃いね私達 これでお揃いね」
着飾る物は全て深紅の金髪女性。しかし、彼女が愛した男性が着ていた服は……


ヤンデレな歌。歌詞が歌詞なのでよくMADとかに使われる。
またライブではクライマックスの台詞後、(恐らく歌い手の息継ぎのため)CD版にないインストが挿入されている。
なお『The Assorted Horizons』収録版(歌:栗林みな実)では語りがカットされ新規歌詞が追加されたためか輝いて終わり、『Nein』アンコール版(歌:Fuki)では別の女性とライブナレーターが語りを分担して担当。
また第九の地平線の『憎しみを花束に代えて』(歌:Fuki)では「ステラ」と呼ばれるようになりレズ化した。*2




11.エルの楽園[→side:A→]
「本当はね…知っているの…」
エルは気付いてしまう。楽園とは奈落であり、奈落とは楽園である事を……。
          エル
挟み込まれた四つの《楽園》に惑わされずに














其処は





…そして全ての楽曲が謳われた後、「44」番目のトラックにて「エルの楽園」・「エルの肖像」と繋がる様な台詞が語られ、「45」番目の無音トラックで終了する。果たしてその楽園の真名とは何だったのだろうか…




時系列的には「エルの肖像」→「魔女とラフレンツェ」→「エルの天秤」→「エルの楽園E」→「エルの楽園A」→奈落5曲→「パレード」が正しいらしい。
これについては「地平線への鍵」というサイトにおいて興味深い考察が成されているので一読の価値あり。


一応ざっくりと考察を追うと以下のような感じである。
仮面の男「昔見た絵画の女の子が忘れられない…そうだ!冥府の魔女を篭絡してその女の子を懐胎させよう!」
冥府の魔女「そうと気付かずやってしまいましたわ…絶対に許さない。死んでもエルに会えなくする」
仮面の男「なんてことだ…でも転生したエルに会える可能性が微粒子レベルで存在してる!みたいな同類を集めてみんなで夢を叶えよう!」
先代の魔女「未来永劫エルは天国お前は渡し守だから絶対叶わんけどなw」


メディアミックス

Sound Horizonは2014年10月にメジャーデビュー10周年を迎え、それを記念してSound Horizonのアルバムを小説&コミック化するというプロジェクトがKADOKAWAより発表された。
Elysionも例外ではなく、小説化とコミック化が行われた。


小説『Elysion 二つの楽園を廻る物語』

著:十文字青、挿絵:左
上・下巻に分かれており、曲(話)順はアルバムやコンサートとも異なる。またアビスパートの女性陣は(本名不明の「妹(ソロル)」除く)皆「エリス」という名で統一されている。
他のSound Horizonメディアミックス作品の例にもれず、あくまで解釈のひとつである。是非とも読んでみよう。
なお、挿絵を担当した左氏はサンホラーで、ファン活動を行っていたことがあるらしい。


コミック『Elysion 二つの楽園を廻る物語』

解釈・構成:十文字青、漫画:木下さくら
上にある小説のコミカライズ。





エル「ねえwiki篭り」


wiki篭り「何だいエル?」


エル「明日は何の日か知ってる?」


wiki篭り「世界で一番可愛い女の子の誕生日」


エル「うふふ、私ね、お誕生日プレゼントは追記・修正がいいと思うわ」


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  • 小説やarkの漫画の方も触れていただきたい -- 名無しさん (2015-10-06 15:25:56)
  • Yieldは個の性質は重要でないから恋した対象は男性にすら限定されないと思うんだよな -- 名無しさん (2018-03-11 03:01:47)
  • 奇数のAYSが好き -- 名無しさん (2018-03-11 04:20:09)
  • 順番は奈落5曲の後で「エルの楽園A」だと思ってた。だって「四つの《楽園》に惑わされずに」 -- 名無しさん (2018-09-14 08:15:44)
  • DVDの、そんなにひどい内容なの? -- 名無しさん (2018-09-15 00:05:42)
  • 酷いってか二次元キャラを力技で現実に再現しようとした悲劇というか -- 名無しさん (2018-09-15 00:14:41)
  • ↑強いて言うなら2.5次元ミュージカルに着ぐるみキャラが出てきたような違和感があった。 -- 名無しさん (2018-09-15 15:50:36)
  • なんというか、リンホラのライブ千秋楽で「エルの肖像」がカバーされたり、進撃系最新の楽曲が「黄昏の楽園」だったりと…サンホラが関わる作品の「楽園」は暗いものを秘める因果なんだろうか。 -- 名無しさん (2018-10-06 16:05:15)
  • ↑2の続きだけど、Romanカバーイラストの裏話で「3次元で演じる人がいる前提でキャラを書いた(意訳)」ってのがあるから、この時のエルがショックだったのかも。 -- 名無しさん (2018-10-17 14:13:09)
  • 「楽園」と呼ばれる「記憶と歴史を改竄された人々の住む箱庭」を「檻」とみなし出ても外も等しく地獄…(『憧憬と屍の道』)、これなんてArk? -- 名無しさん (2020-01-17 13:00:24)
  • Sacrificesライブで姉が燃やされたってあるけど、あれ演じてるのが一人だからそういう演出になったんじゃないのかな -- 名無しさん (2020-10-30 10:03:14)
  • 最新ライブでは「ギャル版Baroque」なる新バージョンが誕生したそうな(再来月ライブ映像配信予定)。 -- 名無しさん (2021-02-14 19:33:04)

#comment

*1 厳密にいうと、その前の2005年4月に「渋谷アムラックスホール」で初ライブを行っていたが。
*2 余談だがその地平線のOP曲は、「檻の中の箱庭」という「Ark」冒頭歌詞と後半で明かされる「監視」を彷彿させるような題名だった。

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