登録日:2009/06/22 Mon 23:00:29
更新日:2023/08/07 Mon 15:04:05NEW!
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ターンエーの風が吹く
∀ GUNDAM
CALLED TURN “A” GUNDAM
【概要】
99年4月から00年4月までフジテレビ系列で放送されたガンダムシリーズの一つ。ガンダム二十周年記念作品である。
20周年という記念年の一方、99年当時はテレビ朝日でのガンダムシリーズの放送枠は既に消滅*1していた等、映像作品としてのガンダムは下火になっていた時期だった。
そんな中で夕方の放映時間にこだわった富野の声に応えてくれるのがフジテレビで、その結果フジテレビ初の、そして今のところ唯一のガンダムとなっている。
それでも全局放送で無かったりと、折角“記念作品”を謳っているのにあんまり恵まれた放映環境で無ければ、番組の宣伝も控えめであった。
元々の企画も『伝説巨神イデオン』の様な始まりと終わりの物語をやりたいが『ガンダム』じゃないと制作出来ない、とのことで『リング・オブ・ガンダム』としていたが、企画を進める中で原点回帰としての“A”を引っくり返した“∀”ガンダムを思い付きタイトルとした。(尚、このタイトルは10年後に短編アニメとして復活した。)
タイトルの∀とは数学記号で「全て」という意味であり、ガンダム作品全てを包括*2するガンダムとなっている。この件に関しては後述。付けた本人は最初“∀”に全称記号の意味があるとは知らなかったらしい。
本来は読み方が存在しない∀を「ターンA」と読ませたのには、上記の様に「最初に戻る」という意味も込めている。
実際、それまでの『ガンダム』が、御大自身の作品も含めて『機動戦士ガンダム』の模倣となっていたことを鑑みて*3、初代同様に純粋にストーリーで見せる作品作りを目指した。
この為に作劇の基本となった設定資料には盛り込まれたニュータイプやサイコミュ、その他の“ガンダムらしい”要素は裏設定として引っ込めて、そうしたシーンは盛り込んでも敢えて説明等はせずに『ガンダム』のイデオロギーからは外れた演出を心掛けた。*4
「ガンダムの集大成」という肩書き故に「シリーズ入門には向かない」とする声も多いが、実際はストーリー上の過去作との繋がりはあまりないため、ガンダム初心者でもそれほど問題なく楽しめるであろう。
19世紀のヨーロッパをモチーフとした牧歌的な世界観や、悲惨な戦場の描写より政治的駆け引きの場面を重視した作風が特徴で、一部のファンからは「ガンダム世界名作劇場」とも呼ばれるが、例によって戦争や人種差別に関するかなり生々しい描写も多い。
シリーズ中唯一「機動○○」というサブタイトルが付かず、初めて女性声優が主人公を担当するなど、様々な意味で異色の作品であり、シリーズのターニングポイントともなった。
富野自身にとっても93年の『機動戦士Vガンダム』で潰れてしまい、4年に渡る休息を経て復帰した98年の『ブレンパワード』を経ての本番とも呼べる作品であった。
製作やキャストには『ブレンパワード』で得た若い世代の人脈が活かされており、御大も独断にならないように心掛けてスタッフに接し、中には監修すらしていない回まで存在する。
主題歌はOP「「ターンAターン」が小林亜星の作曲で歌うのが西城秀樹、エンディング「AURA」が谷村新司と業界のビッグネームなのも従来のガンダムやアニメの常識から外れたもので、放映当時のウケはイマイチだったが、後年には評価されている。特に「ターンAターン」はカラオケでもよく歌われているとか。
挿入歌に英語の曲が多めなのも特徴で、そのうち「Moon」は日本語の歌詞をつけた上で「月の繭」として後期EDに採用されている。
劇半音楽は『ブレンパワード』にも参加した菅野よう子が担当。あちらと同様に中々の名曲揃いである。
また、メカニックデザインには過去作でもお馴染みの大河原邦男に加え、アメリカで活躍する工業デザイナーのシド・ミードも起用。「機能的アイデア70%、ファンタジーとユーモア30%」というアプローチのもと生み出され、玩具の文脈に沿ったそれまでのガンダムのメカニックとは良くも悪くも一線を画すデザイン群は今なお独特の存在感を放っている。
外国人デザイナーが主役機のデザインを手がけたのは今なお本作のみである*5。
更に本作で得た人脈を元に02年に富野は『OVERMANキングゲイナー』を製作しており、そちらもシリアスを挟みつつも全体的に明るく、希望をもって終わる作品となっており、この三作を黒富野時代に対して“白富野三部作”と呼ぶ声も定着した。
放送局やらデザインやら作風もあって、放送当時はマイナーな印象だったが、その後のゲーム等での登場を経て改めて評価を受けているのも共通している。
御大自身も“良いもの”を作っている確信があるのに従来のマニア層には受けないことを理解しつつも悩んだが、1クールを越えれば面白さが解る筈、と思っており、実際にこの読みは当たっていたが、評価してくれたのはマニア層以外の一般層で、これがプラモデル等の不振に繋がった。
【あらすじ】
正暦2343年、月の民(ムーンレィス)の少年ロラン・セアックは「地球帰還作戦」の潜入調査員として北アメリア大陸に降下する。
ところが任務中に川で溺れ、鉱山を経営するハイム家の姉妹に助けられる。そこでロランは雇われることとなった。
二年後、ロランとハイム家の次女ソシエは、マウンテンサイクルでの成人式の儀式に参加するが…
【主な登場キャラクター】
ロラン・セアック
CV.朴ロ美
「人の命を大事にしない人とは、僕は誰とでも戦います!」
褐色肌と銀髪が印象的な、優しく穏やかな少年。
地球降下時は16歳で本編開始時は18歳である。
ディアナ・カウンターの侵攻に反発した彼はミリシャに所属し戦う。
任務のためには女装もする。おそらく本作随一の萌えキャラ。
ED並びに劇中でけっこう素っ裸になる人。
長らくシリーズでは唯一女性が声を担当した主人公だった。
「人の英知が生み出した物なら、人を救って見せろおぉ!!」
搭乗機 ∀ガンダム
ローラ・ローラ
CV.朴ロ美
本作のヒロイン。銀髪に褐色の肌を持つ絶世の美少女で∀のパイロット。グエン卿や親衛隊隊長をも骨抜きする程。
実はロランの変装。
ディアナ・ソレル
CV.高橋理恵子
月を統治する千年女王で、主人公ロラン・セアック憧れの存在、ひいてはアグリッパ・メンテナー以外の(ギム・ギンガナムすら含めた)全ムーンレイスの崇拝対象。
キエル・ハイムと容貌が瓜二つであり、遊び心から入れ替わるが、それが思わぬ事態を招いていく。
何故に彼女が月の女王なのか、とか地球帰還作戦を願った理由とかはアニメを見ただけでは理解できないだろう。
「よしなに」
キエル・ハイム
CV.高橋理恵子
ハイム家の長女でありグエンの秘書。ディアナと瓜二つだが、違いは肌の色と目。
しかしこれは視聴者に対する配慮なだけである。二人の容姿が似ている理由は特に言及も設定もされていない。おハゲの意向としてはそういうものだと自然に受け止めてほしいのだと思われる。
「迷信は解き放つ必要があります」
ソシエ・ハイム
CV.村田秋乃
キエルの妹。父がディアナ・カウンターによって亡くなったためミリシャに所属。
主要人物の中で、恋愛面では最終的に一人だけ報われなかった可哀想な子。ブリキの金魚を投げ捨て号泣したことにより吹っ切れたと望みたいところである。
1話では何かと脱いでいた。
「ギャバーーン! ウェディングドレスを着た私は、きれいでしょーー!!」
搭乗機 カプル
キース・レジェ
CV.福山潤
ロランと共に地球に降下した少年。ノックスのパン屋“ドンキー”で修行し、月との開戦の前には親方にも認められる職人となり、開戦後に親方が負傷した後は自身が店を切り盛りを任されるようになる。
ミリシャが運用したフラットは、元はロランやキースが地球降下に利用した機体であり、それによって多額の報酬を受け取るもノックス陥落と共に紙切れと化してしまった。
しかし、苦労を共にする中で恋仲となった親方の娘ベルレーヌ・ボンド(CV.高森奈緒)と共に戦火から逃れながらもパンを焼き続け、地球にも月にも分け隔てなくパンを提供する行為を批判されつつも、地球と月の交流の切っ掛けを生んだ。
最前線に立って戦ったロランとは別の場所で自分の戦いを貫いた結果、最終話では主人としてノックスに“ドンキー”を再建し、更には曾祖母に当たるアニスがベルレーヌとの間に生まれた赤ちゃんを抱いている姿が描かれている。
フラン・ドール
CV.渡辺久美子
ロランと共に地球に降下した少女。降下後は新聞記者を目指して印刷所で下働きをしていたが、開戦後は人手が足りなくなったのか、カメラを手に自らが主にミリシャに帯同して最前線をレポートするようになり、知人であるロランのムーンレィスだという告白を記事にした。
自分のことをムーンレィスと見抜いたジョゼフとは緊張感のある関係……と思わせておきながら、終盤も終盤に密かに彼の子供を身籠っていたことが判明してロランと視聴者を驚かせた。
野心家であるジョゼフを諌める場面が度々描かれていたが、恋人を心配してのことだったらしい。
戦後は役目を失ってしまったジョゼフに対して、記者として売れっ子となってしまったのか、フランの方が外で働いている場面が見られる。
裏設定を盛り込んだ漫画版では、元はチャイドルだったとされている。
尚、富野作品の常連となっていた中の人は、前々作、前作を経て、漸く落ち着いたメインキャラを演じている。
【地球側の重要人物】
グエン・サード・ラインフォード
CV.青羽剛、平川大輔(ゲーム)
イングレッサを治めるラインフォード家の御曹司。
地球の産業革命を志し、非常に優秀な方だが野心家で、ガチショタコンである。ロランを「ローラ」と呼び、女装をさせたことも。GJというか、どう考えても趣味に走っている。
基本的には理想家で差別意識も無い聡明な人なのだが、恐らくは根本的な所がズレている人。
野心家でもあり、その野心も無私ではあるが他者や現状とはそぐわないKYなものであり、終盤、戦争に飢えたギンガナム艦隊を地球に連れてきたのはグエン卿であった。(どうしてそうなったのか知らない人は視聴するべし)
ちなみにロランたち地球降下メンバーより結構背が高く大人びてるためそうは見えないが、なんと1歳違いの19歳である。ガンダムでは数値上の年齢と外見年齢が(上にも下にも)一致しないのはよくあることだが…
なんにせよ、ロランに対する想いを根拠にショタコン扱いは的外れかもしれない。
「目には目、歯には歯、銃には銃で答えたい!」
リリ・ボルジャーノ
CV.小林愛ザクが掘れたルジャーナ領主であるボルジャーノ公の娘でグエン卿の婚約者。
分かりやすく言ってしまえばわがままお姫様キャラ。が、後半は女傑という言葉がふさわしい指導者に。
当初はグエンに対して媚を売っていたが、ミリシャと行動を共にしていく内に所詮は野心家止まりのグエンの器を越えてしまい、最終回で完全に見限る。
ネコ耳のような髪の編み込みが素敵。
貴族だが下の者にもムーンレィスにも立場こそ守るが差別意識が無いのはグエンも同じなのだが……。
「アメリアは私がスカートのまま治めますわ」
ジョゼフ・ヨット
CV.佐藤せつじ
マニューピチの少数民族マバ族の出身で、アデスカの民に両親を殺され孤児になった所をシド爺さんに拾われ助手をしていた。
そんな境遇にも関わらず民族感丸出しの扮装をしているのは出自から差別を受けたと思い込んでいるためらしい。
シド爺さんが黒歴史の遺産の発掘の指揮を取るようになったのを切っ掛けとして、ミリシャに加わり最前線で戦うようになる。
クールに見えるが野心家で功名心に飢えており、密かにロランのこともライバル視していたことが終盤での∀ガンダムの奪取に走らせた。
ギンガナムのターンXに二度挑み、二度目の戦いでは奇襲からウェポンラックを破壊することに成功するが……。
「やったぜフラン!…へへ」
「兄弟よぉ!…今、女の名前を呼ばなかったかい!?」
ウィル・ゲイム
CV.坂口賢一
初めて地球に降りたディアナと心を通わせたウィル・ゲイムの子孫で、先祖の話をお伽噺としてロマンを感じており、日記に残されていた記述から封印されていた宇宙船を掘り出して月に行くことを目指していた夢想家。
イケメンだが先祖と同じで青い髭跡が何とも特徴的。
心を通わせたウィルと瓜二つということでキエルに化けていたディアナを激しく動揺させるも、子孫の方はディアナ当人には全く靡かず宇宙船のことしか頭に無かった。
最終的にはテテスに唆されてミリシャが宇宙船を奪おうと思い込まされディアナカウンターと接触した結果、予想以上に重い末路を迎えることになってしまう。
ウィルの死後、掘り出された宇宙船はミリシャの旗艦“ウイルゲム”として月への道標を辿ることとなる。
搭乗機 キャノン・イルフート
【ムーンレィス側の重要人物】
ハリー・オード
CV.稲田徹
ディアナの親衛隊隊長。
グェンと同じく驚きの19歳。
赤いサングラスと白いマッシュルームカットが中々変態チックな御方。特にファッションセンスは群を抜いており阪神王子とスタッフに呼ばれる。
一応は仮面の人枠なのだが、アニメ本編の方では序盤も序盤を除いては基本的に味方ポジという珍しい立ち位置であった。
驚くべき事にこの年で離婚歴有り、乗機に前妻の名前を付けたりしてる。
おそらく劇中最強のパイロット。いやマジで。
少なくとも、後半にかけて成長したロランはともかく、アピール好きで終始遊んでいたようなギンガナムよりは遥かに真面目。
「ユニバァァァァァァァース!」
搭乗機 スモー(ゴールドタイプ)
フィル・アッカマン
CV.小山剛志
ディアナ・カウンター大尉で、後に少佐。アッカーマンではない。
更にディアナに反旗を翻してミランと共に実権を握った時には大佐となっていたが、ディアナの帰還と共に少佐に戻っていたので、自ら降格を申し出たのかも知れない。
無骨な見た目に違わずディアナ・カウンターの中でも強硬派で、地球人を蛮族と見なして力による支配を進言するなど、如何にもな悪い軍人風に描かれていたが、地球側は地球側で知らなかったとはいえ、穏健派のディアナ・カウンター総司令アジ大佐を暗殺したりしてるので、フィルの怒りももっともだったりする。
ポゥの直属の上司であり、ポゥとの関係は仕事上の物なのか男女の仲に発展しそうなのかそうでないのか微妙な感じであった。
終盤、ディアナの帰還と共に手のひらを返したような印象を持たれるだろうが、ディアナが個人の感情や理想に走りすぎて臣下を置いてきぼりにしてたのは否めないので、フィルを含めたディアナ・カウンターの面々を責めるのは少々酷だろう。
ポゥ・エイジ
CV.中西裕美子
ディアナ・カウンター所属のムーンレィス。
地球人を見下してやたら野蛮人呼ばわりする女。
地球側の複葉機に撃たれたことにより混乱、激情のままにウォドムのメガ粒子砲をぶっ放しノックスの街を壊滅させ、ひいては∀ガンダムを再起動させるきっかけになった。おまえが一番野蛮人。
実質的に月と地球の係争の原因とも言える人物ではあるが、両者間の文化レベルの差・意識の違いを考えれば彼女が暴走せずともいずれは争いに発展していた可能性が高いので、ポゥだけを責めるのは酷ではある。そうでもないか。
要所要所で登場するも失敗を繰り返し涙を流し、とにかく涙腺が脆い。
その甲斐あってかサブタイトルに「泣き虫ポゥ」と一つ枠を頂いた。
地球降下直後以外でもとにかくキレてポンポン引金を引いちゃうアブナイ性格。
「本気やってんだぞ!」
(いい意味で)最も予測できない結末を迎えた一人。
搭乗機 ウォドム ウァッド スモー(シルバー)
ミラン・レックス
CV.曽我部和恭(TV版)松永英晃(劇場版)高塚正也(ゲーム)
ディアナの補佐を務める執政官。
頭の回る曲者で、ディアナに忠誠を誓いながらもアグリッパとも通じていた。
フィルがクーデターを起こしてディアナを捕らえた際には、キエルと入れ替わっているという疑念を持ちつつ逃がす等、あらゆる可能性を潰すのではなく活かす道を考えられるタイプ。
フィルが実権を握った後も参謀的な役割についていたが、遂に地球に降臨したギンガナム艦隊への対処に苦慮する中で帰還を果たしたディアナに再び付き従う。
コレン・ナンダー
CV.川津泰彦
ムーンレィスの古参兵士。
ディアナへ忠誠を誓ってはいるが、非常に粗暴で、ある理由でガンダムに対して強い執着心を持っている。
黒歴史の生き残りだったり、赤くて角のついたカプルに乗ってたりフラッシュバックにウイングガンダムゼロ(EW)が現れたりと、謎が多い。
キャラクターが序盤、中盤、終盤でだいぶ違って見える。
昔は金髪のイケメンだったという裏設定があり、その正体は赤い彗星とかライトニングカウントとすら予想されていた。
最後の搭乗機は、その辺の噂を踏まえたお遊びである。
部下のブルーノとヤコップはコレンが姿を消した後はちゃっかりとミリシャの一員となり、終盤にかけて重要な役割を果たすことになった。
「その股ぐらにぃロケットパァァンチィィ!」
搭乗機 イーゲル コレン専用カプル
ブルーノ
CV.田中一成
ヤコップ
CV.宇垣秀成
共にコレンの部下として登場したムーンレィスのはみ出しもので、痩せてて出っ歯なのがブルーノ、チビデブで髪モジャなのがヤコップ。
コレンが行方不明になった後は、面識があったテテスに捕まりディアナ暗殺に付き合わされるも失敗。
野菜泥棒をした所をアニス婆さんに捕まり、偶然から立ち寄ったロラン達から∀を奪おうとするも失敗し、なし崩しでミリシャに加わることになった。
中々に有能な二人組で、ギンガナムと同盟を結んだ御曹司に無理矢理協力させられたりもしたが中盤以降は味方側としてロランとディアナ側に立って戦いをサポートした。
搭乗機 ゴッゾー/ゴドウィン、フラット
テテス・ハレ
CV.冬馬由美
最初に地球に降りた時にディアナが月に連れ帰った地球人の孫にあたる巨乳美人で、その血統からムーンレィスの中では迫害を受けて育ち、いつしか犯罪の道に。
そうした境遇からかムーンレィスでありながらディアナに恨みを抱いており、名誉市民を餌にミドガルドに唆されてキエルと入れ替わったディアナを監視、暗殺する使命を負い、ウィルが死ぬ切っ掛けも作った。
目的の為ならば他人を平気で犠牲に出来る悪女気質だが、母親からプレゼントされた粗末な人形を大事にする等、本来は情が深い複雑なパーソナリティーを持ち、敵の立場の筈のロランとも一言では現せない交流があった。
富野作品特有の味わい深いリアリティーのある女性キャラであり、視聴者からも人気が高かったが、最期が衝撃的。
終盤の月では病気の為の冬眠から目覚めた母親のリンダがテテスを探す場面が描かれている。
アグリッパ・メンテナー
CV.兜甲児
冷凍冬眠されたムーンレィスが眠り、黒歴史が封印された冬の宮殿の管理を任されたメンテナー家の当主。
ディアナが眠っている間の摂政職にあるが、自らはムーンレィスが現在のままで月に閉じ籠り冷凍冬眠を繰り返しつつ永遠に生きるべきだと考えており、そのために強引に地球帰還作戦を進めるディアナを亡き者とするべく、ディアナ・カウンターへの補給を充分にさせない等、様々な面で暗躍していた。
配下のミドガルドの他、ディアナ・カウンターに多数のスパイを送り込むと共に、ミランとも連絡を取り合っていた。自分の手を汚さないだけで殺る気満々である。
特に、その危険性ゆえにディアナに遠ざけられたギンガナムが内心抱えているであろう不満に目をつけて自分の陣営に取り込んでおり、月のマウンテンサイクルからターンXを掘り出させる手助けをしていた。
秘書の名前はケイサン・ダーカイ
ミーム・ミドガルド
CV.水野龍司
アグリッパの腹心で、女王の暗殺をも見越したスパイとして地球に潜入していた。
メイクなのか体質なのか、目の下に大きなクマがあるため、すごく疲れたように見える顔をしている。
配下に使っていたテテスを暗殺に失敗したことで消すなど、非道な人物かと思いきやムーンレィスとしてディアナに崇拝とも取れる忠誠を誓っていたり…と、富野作品らしく複雑な役割を当てられた人物。
末路が色々と衝撃的で、終盤突入前で一番目立っちゃった人。黒歴史の真実のインパクトに負けてるかもだが。
ギム・ギンガナム
CV.子安武人
「月 光 蝶 である」
その抜群に濃ゆい顔にモッジャモジャの髪、サムライチックな姿が素敵で絶好調なお方。
月面都市ゲンガナムを守る軌道艦隊総司令を務めるムーンレィス。滅多に見えないがチョンマゲをしている。
武門を司る殿様で、通称『御大将』。
配下にMSマヒローを駈る、スエッソン・ステロ率いるマヒロー部隊を持つ。
また、本人も道化のメリーベルを侍らせており、彼女にはターンXと共に掘り出されたMSバンデットを与える等、側近のように扱っていた。
濃い外見、インパクトのありすぎる発言から終盤からの登場なのにとても人気のある萌キャラ。テラ子安
搭乗機と相まって作中最も濃い御方
「オ・ノーレ!!」
搭乗機 ターンX
【余談】
今までと一風変わったキャラ、MSのデザインと世界名作劇場・ジブリアニメのような全体的にほのぼのした雰囲気から当時はかなり叩かれた。
また、これまでとは違う方向性のMSのデザイン故に批判される事も多かった。特に主役にも関わらず異質なデザインの∀ガンダムは従来のアニメファンを食わず嫌いさせるには充分なほどだった。
後にガンダム作品の伝統に基づき再評価され神作扱いされたりするが、放送当時は全国放送でなかった上にプラモの作りが散々だったため知名度が低かった。
(ただし後に発売された「100番目のMG」として出されたMGの∀ガンダムの完成度は、あらゆるMGの中でも郡を抜いて高い)
最終回が有珠山が突如噴火したため延期されるという悲劇が起きた。
お禿様によると20年~から後を見越したリメイクを考えてるとかで、曰わく「∀は50年後に本当の良さが分かる作品」らしい。
上述の通り10年もせずに再評価されてるが…富野的にはまだまだなのだろう。
また、放送時の富野は「∀はガンダムの終着点となる」とも言っていて、これは宇宙世紀の映像/非映像作品にかぎらずアナザーガンダムやSD作品までも含めて、とのことらしい。
…あきまんは宇宙世紀系のみの終着点と言ったり、SDはさすがに除外と言う人もいるが、とりあえず監督的にはそうなる、らしい。(実際、発掘兵器の中にSDを登場させる案もあった。)
これについては公式もそうで、放送開始が∀よりだいぶ後の『00』や『SEED』も黒歴史に含まれる。
ところがどっこい最新作であるGレコの放映後のイベントで「∀の500年後がGレコの世界」という爆弾発言をかました。
放映前はGレコは∀の前と明言していたのだが……
ただし良く勘違いされるがこれは富野の個人的な見解であり、あくまでそのつもりで作っていたという話のようで、公式設定では宇宙世紀の直後の話という設定のままであり、実際に『∀』のキャラクターデザインで『Gレコ』ではG-セルフのメカデザインを担当した安田朗はG-セルフの特徴的なデザインがやがてはヒゲになったと語っている他、技術体系的には∀より遥かに原始的な機体であると釈明している。そもそも昔から時期によって言う事がころころ変わる人だし、何よりも項目の序盤で語ったように従来のガンダムと違った作品としたかった『∀』が結局はガンダムという枠に収まってしまったと感じていた富野が再挑戦として『Gレコ』を作ったという、クリエイターとしての心情を鑑みる必要があるだろう。
尚、宇宙世紀よりどれ位に後の時代かと云うと、TV本編では10000年、劇場版では5000年も後である。
Gレコの舞台となるRC(リギルドセンチュリー)は公式では宇宙世紀より500年後の世界である。
機動戦士ガンダムUCを手掛けた福井晴敏による小説版『月に繭 地には果実』も執筆されている。
一部の登場人物が統合されている等の差異があるものの、アニメ版に準拠したストーリーとなっている。……中盤までは。
問題は終盤。キエルとハリーが嫉妬にトチ狂って暴走した結果、なんやかんやで月と地上の全面衝突が勃発。*6
民間人も巻き込んだ血みどろの争いの末にバタバタと人が死んでいく。
メインキャラクターも例外ではなく、あのキャラやこのキャラやらがあっさりと命を散らしていく。……黒富野でもインストールしていたのだろうか?
しかし凄惨な戦いの果てに紡がれるラストシーンは非常に美しい。
御大将「アニヲタ民になぁ、この項目の追記ぃ、修正などぉ、出来るわきゃねえだろぉぉおぉぉぉぉぉ!!」
コレン「wiki篭りだって、追記、修正することが出来るはずだぁぁぁっ!!」
ハリー「追記、修正百万回更新しても怨み晴らすからなぁ!!」
ロラン「みんなぁ、アニヲタWikiはいい所だ! 早く追記、修正にこーい!!」
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▷ コメント欄
- ガンダムexaは黒歴史に入るのかな?あれを見る限りだとターンエーガンダムもデータの一部らしいが -- 名無しさん (2013-08-08 21:57:07)
- リメイクの際は、種や00、AGE、そしてこれから -- 名無しさん (2013-08-14 05:38:27)
- ↑種はヒゲの没メカ・4LEGの流れを汲む機体であるイージスが出てるくらいだし、ありうるよね。 -- 名無しさん (2013-10-21 19:32:42)
- ソシエが可哀想なのであまり好きになれない・・・・。 -- 名無しさん (2013-12-17 21:20:36)
- ターンエーは静止画だと不思議なデザインだが動くとカッコいい -- 名無しさん (2014-01-03 15:26:49)
- ↑ライダーとかでもよくあること -- 名無しさん (2014-01-03 15:34:57)
- ↑×3小説ではロラン×ソシエの可能性あるけど、世界が黒富野級に凄い事になってしまう…… -- 名無し (2014-01-11 22:24:15)
- ↑一部を暴走させすぎ除いて、あの設定ではああもなるなって感じだった部分が小説で多かった。 -- 名無し (2014-01-11 22:29:31)
- イイ男や尻のアップが多い。ウホッ! -- 名無しさん (2014-01-12 22:12:06)
- ムーンレイスの地球帰還関連見ると小説版みたいな展開や結末書かれるの無理無いと思った。 -- 名無し (2014-01-14 20:43:23)
- 妙にGガンに関係してる様な設定が多い。ナノマシンとかウォドムのモビルトレースシステムとかシャイニングフィンガーとか。 -- 名無しさん (2014-01-30 14:19:29)
- ↑御禿様Gガンダムお気に入り説は本当だったんだ -- 名無しさん (2014-01-30 14:48:58)
- ↑2 冷凍睡眠とかもあるな。Gガン世界は冷凍刑やらの技術が進んでたし。 -- 名無しさん (2014-01-30 15:03:11)
- ↑そのかわりに地球がヤバそうだけどな。 -- 名無しさん (2014-03-25 22:05:31)
- ソシエが不幸な時点ですでに黒歴史。 -- 名無しさん (2014-03-25 22:12:05)
- ソシエの「あちょーっ!」は真無双で吹いた -- 名無し (2014-04-06 09:32:53)
- お前らどんだけソシエ好きなんだよw確かに踏んだり蹴ったりでかわいそうだが -- 名無しさん (2014-04-06 12:11:22)
- ↑正直、長年慕ってたとか月を統治していた実績ありとは言え、戦いが始まった元凶はディアナ様の不用意な地球帰還なのに、その辺りどう思ってんだかイマイチな感じでディアナ様ばっか持ち上げてんだよロラン?……って感じたから、行動がわかりやすくて実はロランとお似合いじゃないかなソシエが応援されるのは必然かも -- 名無し (2014-05-09 18:56:10)
- ボックス発売おめ -- 名無しさん (2014-05-09 19:12:49)
- ↑2いや、ディアナは何百年にも渡り地球への人類の帰還を望んでた。ただし、冬眠しながら千年女王として現人神として生きるディアナと世代交代する他の月人、地球人とでズレが生じるのは当然で、いざ帰還の段階になって俗物や原始人がディアナの真意も理解しないままに誤解と差別を抱えたまま戦争になったのが∀って物語。 -- 名無しさん (2014-06-18 13:18:50)
- ↑長いから分ける。ソレル家が月の指導者になったのは月で人類を生存させた功績で統治者ってよりは生き神に近い。ロランも最初は崇拝してたけどディアナ本人に触れて人間としての彼女の理想のために真っ先に戦う事を決意。同じくキエルも人間ディアナの参道者であり分身で、この二人が居たからディアナの願いが伝わり、人類は黒歴史を越えて地球に本当の意味で帰還できた。だから、ディアナの思いを誰よりも知るロランとキエルが普通の人間として死ぬ事を望んだディアナの最期を看取り、ディアナの役目を引き継いだのは物語として当然の可能性なんだよ。アニメのディアナとロラン、キエルの視点は関連作では一番超然的なんだね。 -- 名無しさん (2014-06-18 13:29:34)
- ∀の時代からから一万年前に宇宙世紀が始まってと、最終戦争で文明が崩壊したあとが正歴だから
UCが数百年にGレコのRC時代が少なくとも1000年以上、正暦が2300年ちょっと
随分黒歴史の空白期間を圧迫してきたな(笑)
-- 名無しさん (2014-08-24 20:26:48) - 雰囲気がのんびりなのに、そののんびりが逆に壮大だよなぁ。凄いよくできてる。徹底的に磨き上げて丸くした石というか。 -- 名無しさん (2014-08-24 20:36:51)
- ∀のリメイクがまさにGレコだな、でも話の毛色はかなり違う。 -- 名無しさん (2014-12-28 02:11:02)
- モブキャラの声に犯罪者の声優がいたってガチ? -- 名無しさん (2015-10-11 21:06:44)
- 最初はヒゲのダサさに驚いた。そして動いてるヒゲがカッコよすぎて再び驚いた -- 名無しさん (2015-10-11 22:43:24)
- 最終話のタイトルが黄金の秋ってのがなんかホロリとくる。あぁ、ガンダムシリーズのあの熾烈な戦いの末にそこに行き着くんだなぁって -- 名無しさん (2016-01-31 19:49:00)
- ガンダムのテレビシリーズでは唯一地上での最終決戦じゃないかな -- 名無しさん (2017-02-16 00:39:22)
- Vは大気圏内 -- 名無しさん (2017-02-16 00:43:40)
- シーズン毎の最終決戦もアリならオルフェンズ1期も地上だな。 -- 名無しさん (2017-02-16 00:52:35)
- ↑3 そっか、よく考えてみればGガンも宇宙だったんだな。 -- 名無しさん (2017-03-31 11:51:47)
- ↑4Gレコを忘れるとか許されざるよ -- 名無しさん (2017-05-09 20:45:47)
- キャストに舞台関係者が多いって感じかな。この後稲田さんが舞台経験したりしてるのも込みで。 -- 名無しさん (2019-01-04 15:14:33)
- ↑ブレンの頃から舞台に通って役者さんを引っ張ってきてたのよね。その後で声優として大成した人も多いし、その辺は流石というか。 -- 名無しさん (2019-01-04 15:35:52)
- 「黒歴史」って言葉が元々はこのアニメに出てくる独自用語だったことを知らない人は多いだろうが、∀でターンエーと読ませるのも本作独自の呼称だと知らないって人も結構いるのかもしれないw -- 名無しさん (2020-01-07 19:37:26)
- 放映時は周りで不評だったから好きって言いずらかった思い出。でも月日が経つにつれて評価が上がっていって今では堂々と好きな作品だと言える -- 名無しさん (2020-03-08 14:46:09)
- CV.兜甲児っておいw -- 名無しさん (2021-08-16 19:25:12)
- だけどロラン、ディアナ様は別に忠誠の対象であって恋愛対象じゃないんだから、ソシエと一緒に住んで、ディアナ様の世話をしたらいいのに……。あぁ、それでもソシエが嫌な気持ちになったりするか……。あとは、隠遁みたいな形になるから、それに彼女を巻き込みたくない、とかかな? -- 名無しさん (2021-12-18 18:26:07)
- シド爺さん、∀に参加した縁で、Gセイバーの時に渡米したスタッフのために現地で色々と便宜を図ってくれたらしいね -- 名無しさん (2021-12-18 18:59:01)
- ∀自体に罪は無いんだが、賛否両論もある福井版ガンダム(ニュータイプの解釈)は小説書いてもらうのに∀の裏設定渡しちゃったのも原因だと思う。外部からMS完全停止とかね。 -- 名無しさん (2021-12-18 19:27:01)
- あのラストの後は、戦いが(あまり)起こらない穏やかで平和な時が来てくれるといいな。ガンダム世界の戦いの歴史の終わりって感じで。その後は、緩やかに人類の黄昏と終焉が来るかもしれないけど。 -- 名無しさん (2022-02-11 10:48:09)
- おお、最終的に公式でもGレコとの関係ああなったのか -- 名無しさん (2022-04-30 18:39:16)
- 今観てるとこだけど、このご時世で観ると戦争描写がめちゃくちゃ生々しく見えて「どこが白富野やねん⁉︎」ってなってる。 -- 名無しさん (2022-06-17 12:53:49)
- 最終話のラストシーンがあまりにも完璧で美しすぎて、なんか涙が出てくるんだよな -- 名無しさん (2022-06-22 01:17:01)
- 「ヒロインのはずのソシエが2人のディアナに食われて存在意義なくしてる」って書かれてるけど、そもそも∀のヒロインはディアナとキエルでしょ(EDのクレジットもディアナとキエルの方がソシエより上) -- 名無しさん (2022-06-22 09:20:49)
#comment
*2 現在では黒歴史内に全てのガンダムを“含む”とのみ解釈されるが、番組開始時のコンセプトとしては全てのガンダム(というタイトルの付くコンテンツ)を“肯定”し“否定”するとされていた。
*3 ……今でもそうです。
*4 この為、同じ資料を渡して執筆された小説版は従来のガンダム寄りの作風となった。
*5 サブメカも含めるのであれば、日米合作実写ドラマ『G-SAVIOUR』にて現地デザイナーのケビン・イシオカがグッピーとMWレイを手掛けている
*6 この時、福井作品でおなじみの毒ガス兵器GUSOHがしれっと使用されている
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