ナートゥ・ナートゥ(RRR)

ページ名:ナートゥ_ナートゥ_RRR_

登録日:2023/01/29 Sun 23:38:06
更新日:2024/07/05 Fri 10:30:09NEW!
所要時間:約 6 分で読めます



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rrr 映画 音楽 インド 本編より先に立った項目 ダンス 神業 インド映画 劇中歌 名シーン ナンとカレーな踊り ナートゥ naatu naatu アカデミー歌曲賞 サルサでもフラメンコでもない ゴールデン・グローブ賞 瞬き無用 舞踊 ※ご覧のシーンは通常の速度でお送りしています フラッシュモブ 群舞 スタイリッシュサスペンダー マリア宮殿



サルサでもフラメンコでもない。


ナートゥ、をご存じか?



『ナートゥ・ナートゥ(Naatu Naatu)』とは、2022年公開のインド映画『RRR』の劇中にて披露された劇中歌のタイトル、及び同曲に合わせて披露されるダンスの名称である。
主人公2人による、倍速かと思ってしまうほどキレッキレな足技が話題を呼び、Youtubeにある公式動画は2022年4月に投稿され、2022年12月時点で再生数は1億回を突破した。


第80回ゴールデン・グローブ賞をはじめ、様々な賞を受賞しており、映画界を騒がせている。
また、第95回アカデミー賞の歌曲賞にノミネートされ、見事受賞した。
これらはインド映画初の快挙である。



主要登場人物

  • コムラム・ビーム(ビーム)

主人公の1人。灰色のスーツを着ている方。
ゴーンド族の「守護者」で、さらわれた同族の少女マッリを助けるため、「アクタル」という偽名を使ってデリーに侵入。
ラーマとはあるトラブルから意気投合し、彼を「兄貴」と呼び慕うほどに。
ちなみにこの場面でのビームは、マッリがいるだろう屋敷に忍び込む一環でジェニーとお近づきになろうとしているところ。しかし、英語を解さないため彼女の言うことがなかなか理解できなくて……。


  • アッルーリ・ラーマ・ラージュ(ラーマ)

主人公の1人。茶色のスーツを着ている方。
大英帝国領インド帝国の警察官。英語を話すことができる。
映画冒頭で暴徒と化す雲霞のごときデモ隊の中から、捕まえるべき1人を満身創痍になりながらも捕まえてくる凄腕を誇る。
しかし、インド人ゆえ冷遇される日が続く中、デリーに忍び込んだ暗殺者を捕まえると特別な地位が与えられると聞いて志願。
しかし、まさにビームこそがその対象であることを知らず、あるトラブルの解決に協力しあった一件から彼と意気投合し、親友になってしまう。
恋に奥手で英語を解さないビームがジェニーにお近づきになることに対して(事情を知らずに)助け舟を出す。


  • ジェニー

マッリをさらったスコット総督の姪。しかし、叔父夫妻のようにインド人に対する差別感情は持っていない。
トラブルの時に道案内をしてくれたアクタル(ビーム)を気に入り、パーティーへの招待状を渡す。


  • ジェイク

インド人を見下すイギリス人。様々なダンスを熟知しており、自身としてもプロのダンサーとしてのプライドを持っている。



『ナートゥ』が始まるまでの流れ

※この時点ではビームは「アクタル」という偽名を使っているが、ここでは便宜上「ビーム」と記す。


(ラーマの悪知恵によって)トラブルに見舞われたジェニーを、(これまた彼の助け舟で)道案内することになったビームは、
彼女をある市場まで連れて行く。
するとジェニーは子供用の服を買おうとするので「それ子ども用の服ですよ」と(ジェスチャーも交えて)伝える。
しかしジェニーは「この服はマッリという少女に着させるものよ」と言うではないか。それを聞いたビームは驚愕した。誰あろう探し人の名前だったからだ。
ビームは急いでバングル(腕輪)を作り、ジェニーに「その子にこれもあげてくれないか」と渡す。
すっかりビームのことを気に入ったジェニーは、パーティーへの招待状を彼に渡し、迎えとともに去っていったのだった。


ビームは家に帰り、ラーマに市場を歩き回れたことを伝え、彼にジェニーから受け取った招待状を見せる。
パーティーの招待状までもらった事に驚きながらも喜ぶラーマは、パーティーの日付が今日であることを知ると、急いでビームに身支度を整えさせ、ビームのパーティー出席にお供することとなった。


ところ変わってパーティー会場。
ジェニーはジェイクに口説かれていたが、ビームとラーマを見つけると一目散に二人の方へ向かう。
そしてジェニーはビームを社交ダンスに誘うが、それを見たジェイクは「あんな奴のどこがいいんだ」とばかりに、近くにいた女性を連れてダンスステージへ。
しかもビームの足を引っかけて転ばせ、ダンスを台無しにさせた。
それを見て「インド人はこんな踊りも踊れない」と、タンゴやフラメンコを踊りつつビームを嘲るジェイク。
笑われ者になりかけたビーム、だがその時。



カァン!



カンコンカン……



ダッ ダダダン ダン!



転がっていたトレイが突如空を舞い、嘲笑をかき消すほどの力強いリズムがドラムの場所から鳴り響く。


鳴らしていたのは、別行動を取っていたラーマ。その後も力強いリズムで気圧されていたビームを鼓舞し、スティックを黒人の演奏家に託すと、割れた貴人たちの前を悠々と歩む。座り込んでいたビームもラーマの差し出す手を受け取り、力強く立ち上がる。
そして立ち上がらせたビームに前を向かせ、ビームの肩に肘を置いたラーマは、ジェイクにこんな問いを投げかける。



サルサでもフラメンコでもない。



“ナートゥ”をご存じか?



……“ナートゥ”とは何だ?



そしてこの後、ジェイク(と、観客)はナートゥをそれはもうたっぷりと理解わからせられることになる



ナートゥ


土煙を挙げて猛進する雄牛

母神にささげる渾身の踊り

サンダル履きの大立ち回り

木陰で悪巧みする若い衆

あるいは唐辛子入りの雑穀パン


まあ聴け

この曲を

この歌を


ナートゥ それは英雄の歌

ナートゥ それは故郷のダンス

ナートゥ 刺激強めのインドの歌

ナートゥ 切れ味鋭い野生のダンス


(インド映画でよくある)キレッキレな足技のダンスを披露する二人。
つまらなそうに二人を見ている男性陣と違い、周囲で楽しそうにダンスを見ていたジェニーや他の女性たちも、いつしかその踊りに合わせて小刻みに揺れはじめる。
一方のジェイク。「くだらないものを見せられた」と立腹し、二人を追い出そうとする。
しかし、ここでジェニーたちがそれを遮る。
そしてジェニーは、二人のサスペンダーを引っ張って放し……


続けて


と促す。
そんなリクエストにお応えして、二人が次に見せるのはサスペンダーを使ったダンス。
そして二人が肩を組んで息の合った足技を見せる。
そのまま女性たちと踊り続けるが、さすがに腰を振る踊りに我慢できなかったジェイクが妨害する。
しかしまたもジェニーが彼を妨害。二人や他の女性たちとともにジェイクのそばから離れていく。


女性たちもまた二人と一緒に踊る。
そして一方、散々コケにされたジェイクは、ダンサーとしてのプライドをかけ、半ばやけっぱちになってダンスに参加。周りの男性たちも彼に加勢する。
やはりダンサーとしての腕前は伊達ではなく、その踊りを見たラーマはジェイクに向けてサムズアップする。
そして「左足を軸足に、右足を左右に振る」モーションをひたすら続ける、豪快な耐久勝負ダンスバトルへと突入する。


次々とリタイアして倒れたり何かにもたれかかったりする中、ビーム、ラーマ、ジェイクの三人が残った。
しかし、いくらダンサーとして自信があっても、ここまでの激しい動きを長時間やることには耐えきれず、ジェイクは足を踏み外してついに倒れてしまう。
勝ち誇る二人、まだ勝負は終わっていない。
ビームラーマ、両雄向かい合い、頂点を決める最終決戦に突入する。
多くの女性たちがラーマを応援する中、ジェニーだけはビームを応援する。
そのまま両者譲らずの展開が続いたが、ふとラーマはジェニーの方を見る。


アクタル!


ビームを応援するジェニーを見て、ラーマはビームを見る。
ビームは疲労がたまって徐々に動きが鈍くなる。このままいくと先に彼が倒れるだろう。
それを見たラーマは足がつったと右足を抑え、倒れ込む。
ラーマはビームに花を持たせ、ジェニーとの関係を進展させようとしたのだ。
最後まで残り、勝ち誇るビームの姿で「ナートゥ」は締めくくられるのだった。



その後

勝利したとはいえ疲れ果てたビームはラーマにおぶってもらい、パーティー会場を去ろうとする。
そこにジェニーが現れ、ビームを総督府に招き入れる。
「探し求めていたマッリがそこに居るかもしれない」と思った彼はその誘いに乗り、総督府に向かうことに。
ラーマは笑顔で二人を見送る一方、車の後部にある模様から、不意に「自分に接触してきたゴーンド族の男の爪に塗料がついていた」のを思い出す。
「自分に接触してきた男は塗装工に扮しているのでは?」と考えたラーマは、パーティー会場を後にして捜査を再開するのだった。そして……この続きは、ご自分の目で。



余談

  • このナートゥは実在する伝統的な踊り……ではなく、この作品オリジナルのもの
    この架空の世界にはあるのか、それとも二人の即興なのかは知る由もないが、そんな細かいことはどうでもよくなるほど、このナートゥは見る者を魅了するだろう。
    やはりというかこの踊りを真似ようと、Tiktokなどで「踊ってみた」をやるのが流行っているようだ。

  • ナートゥのシーンを撮り終えるには20日間かかったとのこと。

  • 公式の英語綴りは、作品の基盤となるビームやラーマの使うテルグ語表記。
    一方、インドの公用語の一つであるヒンディー語では「Naacho Naacho」、名作映画『ムトゥ 踊るマハラジャ』で使われたタミル語では「Naattu Koothu」等、インド各地の言語でそれぞれ異なる読みで呼ばれている。

  • このシーンが撮影されたのは2021年後半。インドを離れウクライナの重要文化財にして現役の政府施設、マリア(マリイーンシキー)宮殿で撮影された。
    ……もう一度言う。2021年後半のウクライナである。
    この半年後に何が起こったかは、言わずともわかるだろう……。
    このため、このシーンは「現実での暴力的な戦争」「映画での平和的なダンス勝負」という皮肉にもほどがある対比が出来上がってしまった。
    また、開戦直前のマリア宮殿の様子としても貴重な映像となった。制作陣にとってはあまりうれしくない名誉だろうが。
    その後、2023年3月に岸田総理がウクライナを訪問。マリア宮殿がゼレンスキー大統領との会談の場になった。二人が握手する写真の背景には水色と白の特徴的な外壁が映っているので、映画を視聴した人は気づいたむきも多いだろう。

  • アカデミー賞受賞式においては、司会者の話が長引いた場合、何らかの手段によって退場させられるのがお約束
    そして本作が受賞した第95回受賞式では、ナートゥダンスの片足を振る踊りで司会者を囲みながら移動させ外に追いやるという方法が取られた。もちろん、会場からやんやの喝采が上がったことは言うまでもない。

  • 何故字幕が「ご存じか」になったかご存じか?翻訳者インタビューによれば字数の制約上(大意)とのこと。



追記・修正はナートゥをご存じの方にお願いします。



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  • ビームとラーマの区別が最初はつかなくて2人同時に出てくるくらいでやっと判別できるようになった -- 名無しさん (2023-01-30 01:02:59)
  • 映画本編の項目もお願いします! -- 名無しさん (2023-01-30 06:07:38)
  • RRRまじで好き。好き嫌い分かれる映画とは思うけど。ボリウッドダンスは日本でのネタのされ具合も相まって見ると笑っちゃうんだけど、ナートゥナートゥは圧倒されたわ。 -- 名無しさん (2023-01-30 13:36:48)
  • RRR自体の項目も書きたいんだけど難航してる。この映画の圧倒的パワーが他のアクション映画とどう違うのかを言語化できない。 -- 名無しさん (2023-01-30 13:48:56)
  • 本編より先にナートゥの項目ができるの草 -- 名無しさん (2023-01-30 16:16:42)
  • バーフバリめっちゃ面白かったんだけどこっちも楽しめる? -- 名無しさん (2023-01-30 16:26:54)
  • ↑もちろんだ。バーフバリが好きなら間違いなくハマる。 -- 名無しさん (2023-01-30 18:08:24)
  • ↑4この項目の建て主だけど気持ちすんごいわかる。「私がこの項目を建てていいのだろうか、あの映画の素晴らしさを表現できてるのだろうか」と気が引けてしまうんだよな。そして今までRRRの項目が人気にも関わらず作られないのも、私や↑4の人が沢山いるからだと思う。 -- 建て主 (2023-01-30 19:26:25)
  • 俺、ダンスバトルがどういうものか、初めてわかった気がする(笑) -- 名無しさん (2023-01-30 21:30:26)
  • ↑4 言い過ぎかもしれんがバーフバリがハマったのならこの映画を劇場で見ないのは人生の大きな瑕疵になるぞというくらい楽しめると思うよ -- 名無しさん (2023-01-30 22:36:13)
  • 個人的にさ、ジェイク、きらいじゃないんだよね。 -- 名無しさん (2023-01-30 23:02:54)
  • 個人的にさ、ジェイク、きらいじゃないんだよね。 ちゃんと勝負自体は受けた後出し、負けた後に物言いとかつけなかったしで。 -- 名無しさん (2023-01-30 23:13:48)
  • わかる。ジェイク好き。 -- 名無しさん (2023-01-31 00:16:50)
  • 主人公のラーマとビームが明確に叙事詩の英雄と重ねて描かれてることを考えるとまっとうな人類としては総督とかと並んで相当格が高いキャラとして設定されてる気がする -- 名無しさん (2023-01-31 00:20:18)
  • この踊り、別に元ネタとかないんだ… -- 名無しさん (2023-01-31 00:28:02)
  • ここでドレスやスーツはだけさせて踊るイギリス人すごい好きだったから、この後の襲撃で少なくない数死んだと思うとちょっと悲しくなる 暴政でうまい汁吸ってる連中だし、そもそもマッリを強盗しなければこんなことにはならなかったんだろうけど… -- 名無しさん (2023-01-31 07:28:17)
  • ウクライナで撮影されてのかこのシーン -- 名無しさん (2023-01-31 09:28:11)
  • テルグ語映画だからトリウッドだねほ -- 名無しさん (2023-01-31 17:44:56)
  • いやまあ、でもジェイクが誇るダンス自体は黒人などから収奪して白人のものだっていってるあれだから…(黒人のドラムマンが何度も映るのはそういう含みだしね -- 名無しさん (2023-01-31 22:35:41)
  • ビームとラーマ兄貴とジェイク、あの一瞬だけはお互い人種も身分も立場も忘れて、一人の男として何かを通じ合えたと思うし、あのシーン見ると今は争い合い憎み合う世界も、いつか分かり合える時が来るよって微かな希望を感じちゃうんだよね。映画史に残る名シーンだと思います -- 名無しさん (2023-02-01 01:31:17)
  • インド映画に詳しくないってのもあるけどストーリー上ちゃんと踊ることに意味があることに大分驚いた -- 名無しさん (2023-02-01 19:18:35)
  • アルコ&ピースのメガホン二郎 って番組でRRR特集をやって、このダンスをフル尺で放送予定。たぶんネット配信は権利関係でカットされるからテレ東移らない地方民は絶望しかない -- 名無しさん (2023-02-23 22:41:07)
  • 強制退場ナートゥちょっと羨ましいw -- 名無しさん (2023-03-13 19:52:16)
  • 今さらながら公式配信中のダンスシーンだけ拝見。キレのいい動きに驚き、途中のサスペンダーパチンと良すぎるキレに笑い、そして撮影地の背景を思って悲しくなる驚笑悲が入り混じる4分半だった。ここまで話題だと本編も興味はあるんですけどねえ… -- 名無しさん (2023-03-24 00:32:50)
  • あと自分にはナートゥというより「ナーチョ」や「ナーチュ」に聞こえた。まあ外語の表記ゆれは度々あるものだけど。 -- 名無しさん (2023-03-24 01:05:31)
  • ↑テルグ語版ではないものを見たのでは?NetFlixから上がっているのは英語吹き替え版だからNachooだったかと -- 名無しさん (2023-04-14 17:43:14)
  • ↑ヒンディー語版だそうです>NETFLIXの -- 名無しさん (2023-05-23 18:04:49)
  • ヒンドゥー語じゃなくてヒンディー語だぜ -- 名無しさん (2023-05-25 20:55:43)
  • 気になったから記事直した -- 名無しさん (2023-05-25 20:57:21)
  • 宝塚×RRRの発表があったが、ナートゥをどうするかが気になる -- 名無しさん (2023-07-03 22:39:52)
  • ラストにもっぺんコレを踊ってほしかった -- 名無しさん (2023-10-09 12:39:02)
  • ジェイクが負けた辺りで〆て「ブリカスざまぁ!」 -- 名無しさん (2023-12-17 21:41:21)
  • ↑(続)とならずに、すぐさま頂上決戦に移る流れが美し過ぎるんだよな -- 名無しさん (2023-12-17 21:43:21)
  • 宝塚版でもこの後の展開が若干違うもののちゃんと踊り切ってくれたし、この出来事がジェニー、そしてジェイクの心をより強く動かすきっかけになっていくのがよかった -- 名無しさん (2024-02-08 13:13:51)

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