初恋の人(笑ゥせぇるすまん)

ページ名:初恋の人_笑ゥせぇるすまん_

登録日:2021/08/15 Sun ??:??:??
更新日:2024/05/05 Sun 18:08:06NEW!
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笑ゥせぇるすまん 笑ゥせぇるすまんエピソード項目 理想と現実 初恋 陶芸 愛の逃避行 現実という名の『地獄』 大塚芳忠 後味の悪いオチ 夢と現実 美化された想い出 松原雅子


『初恋の人』は、アニメ版「笑ゥせぇるすまん」第21話のエピソード。
初期のアニメオリジナルエピソードの一つ。アニメでは初めて女性客が「ドーーーーン!!」をくらう話でもある。*1
主婦業に疲れた女が、現実を見ることなく美化された昔の想い出にはまってしまう話である。



【あらすじ】

専業主婦・恋野夢美は、陶芸家・唐津陶吉の個展に出かける。
そこで湯飲みを手に取ると、陶吉の妻・トシコから18万円で買うかとセールスをかけられたが、夢美はいそいそと退散してしまった。これを見ていた喪黒にも信楽焼風タヌキの置物を120万円で売りつける
その帰り道、夢美は突然現れた喪黒福造に先の湯飲みを50円で買わないかとセールスをかけられる。あまりにも破格の値段に夢美も驚くが、喪黒は「こんなものその程度の値打ちしかありません」と断じる。
嫌なら川へ捨てると言われ、慌てて湯飲みを買うことにした。
喫茶店で、夢美は喪黒にこれまでのいきさつを話す。20年前陶吉と恋に落ちて結婚まで誓ったこと、親に反対されやむなく別れたこと、結婚後に陶吉が成功を収めたこと……
喪黒はそんな夢美に「陶吉に会ってみてはいかがですか」と勧めるのだった……




【登場人物】

CV:大平透
ご存じ笑ぅせぇるすまん。
今回は、日々の生活に疲れた主婦に、初恋の人とのやり直しを提案する。


  • 恋野夢美*2

CV:松原雅子
36歳の専業主婦。
上記の通り初恋の人・陶吉とは相思相愛の中だったが、売れない陶芸家と結婚なんてとんでもないと親に反対されやむなく別れることになる。
結婚後は一人娘を設け一戸建てに住むという恵まれた生活を送っているものの、日々家事に追われ、満たされない日々を過ごしていた。
そんな中、近くで陶吉の個展が催されるという新聞記事を見ていてもたってもいられなくなった……


  • 唐津陶吉

CV:大塚芳忠
人気陶芸家。夢美と会ったときは売れなかったものの、その後妻のおかげでマスコミからも脚光を浴びるほどの成功を収めることになった。
トシコと結婚して、豪邸に住むようになったものの、冷徹でビジネスライクな妻との仲は冷めきっていた。


  • トシコ

陶吉の妻。彼女曰く「商売のイロハも知らない」陶吉の作品のセールスやマネージメントを一手に引き受けている。


  • ヒトミ

夢美の一人娘。遊びたい盛りの中学生。


  • 夢美の夫

陶吉と別れた後に結婚した、普通のサラリーマン。
会社帰りに飲みに行くことが多く、夢美を困らせている。










【顛末】
喪黒に「陶吉に会ってみてはいかがですか」と勧められたが、夢美は「自分には主人も子供もいます。ただちょっと感傷的になっていただけなんです」と言って喫茶店を後にする。



その夜、友達のところへ遊びに行くといって出て行ったヒトミや、いつものように会社帰りに飲みに行った夫を待ちながら、夢美は「私の人生は何だったのかしら」ともらす。


高級レストランでの食事や豪邸でのくつろぎ、陶吉の創作を支えるひと時。
昼間に買った湯飲みを見ながら、夢美は陶吉と結婚した場合のキラキラと輝いた優雅な生活を夢想していた。


ピンポーン


その夢想を、突然の呼び鈴が打ち砕く。
「遅かったわね」と夢美がドアを開けると、そこには喪黒がいた。
喪黒は改めて「初恋の人に会ってみる気になりましたかな?」「今の生活を後悔してるんじゃないですか?」とドアを押し入りながら誘おうとする。
喪黒のしつこいセールスに腹を立てた夢美は「余計なお世話」と追いかえす。


ピンポーン ピポピポピンポーン


呼び鈴連打に夢美も怒り出す。
「ちょっと、警察を……!」「警察の者です」
喪黒と思いきや、警官が中学生らしからぬ服装と化粧をしたヒトミを連れてきた。ヒトミは盛り場で遊んでいたところを補導されてしまったのだ。ヒトミは母親にも何も言わずに自室に閉じこもってしまう。
このタイミングで夫が酔っ払って上機嫌な様子で帰ってきた。
夢美は夫にこのことを話すと、「お前がしっかりしないからだ! お前が悪い!!」「家のことぐらいしっかりやれないのか」と怒鳴られ、自分のせいにされてしまう。


「みんな勝手なんだから…… もう嫌! 私の人生って何だったの!?」



ついに耐えきれなくなった夢美は、陶吉の個展の会場に足を運ぶ。
夢美の目の前で一台の車が止まった。
「夢美さん? 夢美さんじゃないですか!」
車から降りたその人こそ、唐津陶吉だった。
陶吉と出会えて、夢美は思わず涙を流す。


唐津邸にて、トシコが業者とのパーティーに参加していて留守の間に、二人は再会を喜び合う。
夢美が自分のことを恨んでないかと聞くと、陶吉は夢美の顔を見たら恨みなんか忘れたと笑う。
「やり直せるならやり直したい」と泣く夢美に対し、陶吉は「あの時君を連れて逃げていればよかった」と想いの内を明かす。



「夢美さん。今からでも遅くない。もう一度僕と二人で……」
「陶吉さん……」




「あら、これは一体どういうことかしら」
二人が抱き合ったところに、トシコが帰ってきた。
「泥棒ネコなんか引きずり込んだりして、あなたによくそんなことができるわね」
「商売のイロハも知らないあなたがここまでになったのは、誰のおかげだと思ってるのかしら?」
「うるさい! もうお前の世話にはならん!!」
夢美と同じく昔の想い出に酔っていた陶吉は妻への不満を爆発させる。


「失礼します!」
いたたまれなくなった夢美は逃げるようにして出て行った。




「夢美さん。もう一度僕と二人で……」



帰り道、夢美の脳裏に陶吉の言葉がこだまする。




「どうしました?人生をやり直すチャンスですよ?」
遮断機の下りた踏切の向こう側に、人影━━喪黒のそれが見える。
「また味気ない毎日を送りたいのですか? 今こそ希望に満ちた明日へ旅立つのです! ドーーーン!!」




「そうよ! 人生をやり直すのよ! 今からでも決して遅くはないわ。私だってまだまだ若いんですもの!」

夢美は自宅に戻ってトランクに衣服を詰め込んだ後、陶吉と一緒に夜行列車で旅立っていった……
喪黒も二人を見守っていた……
「お幸せに。オーホッホッホッ」







+ 翌朝……-

「おはよう、お父さん」
「おお!? 今朝はヒトミが味噌汁を作ってるのか」
この日の恋野家ではヒトミが朝食の支度をしていた。彼女は昨日のことを反省し、父親の前で「いい子になるね」と宣言する。夫も課長への昇進が決まって、浮かれて飲みすぎていたことを明かす。
二人とも、昨日のことを謝るべく、夢美を探しに行った……



「ではあなたがすべて財産を?」
唐津邸にて、喪黒がトシコに尋ねる。あの時、陶吉はトシコに財産を譲渡していた。
「ええ、元々あの人の陶器が売れたのもあたしがいたからこそです。当然の慰謝料ですわ」
「陶吉さん、今頃どこでどうしてるんでしょうね」






とある山小屋にて、陶吉は納得のいく作品が作れない苛立ちから、出来立ての陶器をたたき割ったりと色々当たり散らしていた。
それはパート帰りの夢美にも向けられる。
「遅いぞ! 何やってたんだ!」
「何よ! 私だって行きたくてパートに行ってる訳じゃないわよ!」
「お前が俺の作品を売ってくれれば楽に暮らせるんだ。その点前の女房は立派だったよ!」

自分から家を出て行ったくせに何この責任転嫁。
ただの一般主婦だった夢美にトシコのようなセールスなんてできるわけがなかったのだ。


「そんな言い方って……私の人生って何だったのよ!?」


夢美はひと時の感情プラス喪黒の後押しに流されて人生をやり直したことを後悔するのであった……


「おやおや。あんなに人生をやり直したいと言っていたのに、これじゃ何度やり直してもおんなじですなぁ。やっぱり初恋は実らぬがゆえに美しいもんなんでしょうか。オーホッホッホッホッ」





追記・修正は初恋の人と結ばれたいと思ったことがある人がお願いします。

*1 「結婚したい女」の妻成耐子はドーンされていない
*2 設定ミスかどうかは不明だが、自宅の表札には「石橋」と書かれている。

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