登録日:2019/12/16 Mon 11:00:00
更新日:2024/05/16 Thu 10:13:13NEW!
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スター・ウォーズ star_wars sw ジャバ・ザ・ハット ハット 悪のカリスマ 悪食 邪悪 ある意味人気キャラ 犯罪王 ジャバ・デシリジク・ティウレ 暗黒街の帝王 ティウレ 七つの大罪フルコンプ 論文ご用達
《お前もすぐに、わしのとりこになる》
【概要】
ジャバ・ザ・ハットとは、スターウォーズ・シリーズの登場人物。
暗黒街の帝王として恐れられる、大ギャングである。
映画本編では、エピソードⅠ、エピソードⅣ、エピソードⅥに登場。
●目次
【人物】
暗黒街に君臨する犯罪王の一角で、その中でも最大級の大物。
ハット族の五大長老の一角。
ちなみに「ザ・ハット」というのは苗字ではなく屋号や称号のようなもので、本名は「ジャバ・デシリジク・ティウレ」。
【種族】
《おれにはお前の術は通用せんぞ、小僧》
ハットという、巨大なヒキガエルのような上半身に、ナメクジか太りすぎた蛇のような下半身を持つ爬虫類タイプの種族。
完全に成長すると全長は数メートル、体重は一トンを超えると言われる。
ほとんどの個体は非常な肥満体。それは、皮下脂肪を貯えて防御力を高めるためのもの。ようはハート様のアレである。
体格の大きさと鎧のような分厚い脂肪を備えたハットの防御力はすさまじく、生半可な攻撃では殺せない。
ついでに寿命はすさまじく長く、六百歳でもまだ壮年とされ、恐らくはヨーダの種族と同じく、千年以上生きるとされる。
フォースの作用が利きにくいという妙な特性もあり、ジェダイやシスが使うマインドトリックなどが作用しない。
あと、すさまじい悪臭でも有名。
脂肪の下に隠されているが、実は筋力自体はある種族。
ジャバもEP6でC-3POの胸を 八つ当たりで 殴り倒し、カノン作品のコミックではグラックスというハットが腕にムキムキの力こぶを浮かべて殴りかかる場面がある。
EP1ではジャバが蛙の頭をあっさり噛み切り、銅鑼に吐き付けて大きな音を立てるという場面があって、顎の力や引きちぎる腕力もかなり強い。
ただしこの巨体と肥満という特性や、足がなくずるずる這い回ることで動くことから、鈍重という弱点もある。
手はあるが短いためにこれも用途が限定され、農作業など生産業務を行ないにくい。
また、いくら脂肪の防御があってもビーム兵器には無力であり、肉体が無駄に目立つ上に大き過ぎるために身を隠すなどのことも難しく、殺されるときはあっさり殺される。
生まれた当初の体重は100g以下の小柄なので、この時期は当然無力。五十年ほどで体長一メートル・体重七十キロと成長するが、知能は人間でいうと十歳児ぐらいしかなく、やはりまともに生きていくことはできない。寿命に比例して成長が遅いのである。
長く生きれば長寿になるが、長く生きること自体が難しいのだ。
必然として、ハットは肉体よりも頭脳を、組織を動かすようになった。
ひとを動かすことができなければ餓死や戦死に直結するため、ハットは良くも悪くも聡明にならざるを得なかったのだ。
また、彼らは惑星ナル・ハッタなどの非常に治安が悪い辺境領域を勢力圏としたこともあり、自然と暗黒街に関わりながら生きていくことになった。
ハットは自我意識が非常に強く、何事も自分の判断と頭で考えて行動することを良しとした。
その結果ハットは、無法者のなかの法律官、すなわち暗黒街の支配者として大成するものが増えたのである。
もちろん、すべてのハットが悪人という訳ではない。
ハットの知性と組織力は、貿易やそれに使われる航路の発展にも大きな影響力があった。法律が存在しない世界でまともな職業や交易ができたのは、他ならぬハットの影響力があってのこと。
変わった例では、ベルドリオンなるハットは名の知れたジェダイナイトであったという。
ただ……本稿で記述するジャバ・ザ・ハットは、案の定極悪人である。
【性格】
《ジェダイのヒヨッコめ、やつらは渡さん。お前が死ぬ姿を見物してやる》
傲慢・強欲・貪食・怠惰・色欲・憤怒・嫉妬、と七つの大罪をコンプリートするかのような悪辣な人物像。
たいへん強欲で、権力欲・食欲・色欲のいずれも旺盛。
宴会は無作法・乱雑なほうが好みらしく、自分の宮殿ではたいてい乱痴気騒ぎを起こしている。本人も、タバコやらドラッグやらを常習している。
当然部下たちも酔っ払ったりラリったりしているので、頻繁に乱闘を起こすのだが、ジャバはそれもまた娯楽の一つとして楽しんでいる。むしろ殴り合いの喧嘩を高所から眺めるのが楽しいらしい。
しかも根っからのギャングなので、残虐で冷酷で嗜虐的。
その最たる例として、彼の宮殿には広い地下室が備え付けられており、その中では超大型の肉食獣「ランコア」が飼育されている(「パティーサ*1」という名前まで付けられている)。
そのランコアの棲む地下室は、なんとメインホールの床の仕掛け穴とつながっている。
つまりジャバのちょっとした余興や不機嫌で、部下たちはその仕掛け扉から容赦なく落とされ、ランコアに襲われると言うことだ。
いちおう、地下室には出入り口が2つあるのだが、脱出口には鉄格子がかけられており、しかも外からのスイッチでしか開かない。そして外にいるジャバたちはその鉄格子を開けることはなく、扉にすがって命乞いをする犠牲者を嘲笑しながら眺めるのだ。
実際、映画本編では、ジャバが事に及ぼうとしたのを拒んだ女トゥイレック奴隷ウーラや、ジャバを助けようとしたガモーリアンの傭兵ジュブナックらが落とされている。ジャバは彼女たちが恐怖に怯えながら喰い殺されるのを楽しんで眺めていた。
《もっと歌って踊れ》
基本的な性格はこんな感じで、醜悪な見た目に似つかわしい悪辣な性格の持ち主。
しかも、どんな悪事を働くにも躊躇いがなく、善意や良心のブレーキなと一切持ち合わせていない。
そのためか部下たちにとっては、自分が悪事を働く際の「偉大な根拠」となっているらしい。(実際、EP4で登場したジャバ配下の犯罪者であるグリードも、あからさまにジャバの名前を出す事でソロを強請ろうとしていた。)
一種の「悪のカリスマ」とも言うべきあろう。
その意味では、有能であっても今ひとつ邪悪になり切れない通商連合の総督ヌート・ガンレイが、些か小物に映るのとは対照的である。
一応、子供のロッタを「プクプクちゃん」呼ばわりして溺愛する親らしいところもあるが、
そうした人間性と前述の邪悪さとが同居しているのがジャバのジャバたるゆえんであり、魅力であろう。
また、意外なことに頭脳は鋭敏で、大胆さと繊細を兼ね備えた発想を常に生み出す。
傘下のネットワークは彼ががっちりと管理・運営・統制しており、部下や傭兵たちは彼の指示とあれば、命を賭けてでもそれをこなそうとする。
失態を犯した相手には容赦なく制裁することでも知られるが、裏を返せば、それはジャバからの制裁という命令をも命懸けで遂行する手下がいることを示している。
ネットワークの構築に関連して資金力も相当で、ポッドレースの興業(これは完全に合法。表社会にも公開するもの)を初めとして社会の表裏を問わず莫大な資金を吸い上げ、あるいはばらまくことができる。
この財力を活かして、ボバ・フェットやダージやキャド・ベインなどの高価で凄腕の賞金稼ぎを、働きに見合った報酬で釣り上げることができる。
もちろん鷹揚というのではなく、初対面でいきなり値を釣り上げようとしてきた賞金稼ぎには相応に値切ってはいるが、決してケチというわけではなく、むしろ「値切るのが当たり前」な暗黒街では気前がいいほうである。
それは、いかなる取引相手にもビジネスライクな姿勢を崩そうとしないボバが、ジャバの配下には長年所属していることからでもわかる。
興業のホストをしている割にポッドレースには興味がないらしいが、他方で優勝者のアナキン・スカイウォーカーのことはしっかりと記憶していた。
後年、ダース・ヴェイダーの仮面の下を類推してではあるが言い当てたこともあり、記憶力と分析力はかなりのものである。
《こざかしい賞金稼ぎめ、気に入った。クソ度胸があるうえ機転もきく》
この明晰な頭脳に加えて、並外れて豪胆なことも特徴。
映画本編では、手榴弾(劇中では「サーマル・デトネーター」と呼ばれる爆弾兵器。その中でも彼の目の前で起動されたのは、爆発すれば半径数百メートルを跡形もなく吹き飛ばす威力を持つ最強クラスの代物。)を目の前で起動されても笑い飛ばす、CGアニメ「クローン・ウォーズ」では、ライトセーバーを喉元に突きつけられても怯まず逆に怒鳴りつける、という姿が何度か描かれた。
同じハットでもオルバという人物はライトセイバーを突きつけられてすっかり怯えていたのを見ると、これは種族の性質ではなく、ジャバの個人的な胆力である。
その豪胆さと関連して、暗黒街のトップでありながら平然と官憲側(銀河共和国・銀河帝国)の高官と接触し、堂々と交渉したりする。
意外と現場主義なところもあり、ハン・ソロが不始末をした上に自分の使者を殺したと知ると、自らソロの船まで出張って怒鳴りつけにいったこともある。
最期は裏目に出たが、ルーク・スカイウォーカーの始末にも自ら陣頭指揮をとったりしていた。
長寿な種族のために粘り強いところもあり、ポッドレースの利権を巡ってガーデュラ・ザ・ハットなどと長年に渡って争う一方、そのガーデュラを自分の名代としてハット評議会に送り込む、というとんでもなく放胆な振る舞いを行なったりしている。
ガーデュラはもちろんジャバと対立しているのだが、こうした振る舞いのために、あるいは縄張りの維持のために、やむなく妥協や折衷を強いられていた。
総じて、暗黒街の棟梁にふさわしい脂ぎった強欲・性質と、暗黒街の棟梁らしからぬスマートな頭脳・胆力・忍耐を兼ね備えた、文字通り「犯罪王」としか言えない人物。
彼の死後、彼の権威やカリスマを引き継げるような大物はついに現れず、組織は内部抗争の末に四分五裂してしまったと言うことからも、彼のある種の「偉大さ」は見て取れるだろう。
【来歴】
◆前歴
《昔は密輸品を運ばせて、役に立ったが――バンサの餌にしてやる》
出身はハットの本拠地ナル・ハッタ(タトゥイーン出身とする説もある)。ハットの大氏族の一角、デシリジク氏族に属するティウレ家の出身である。
しかし多くのハットがナル・ハッタに住むのに対して、彼は速い段階から、辺境領域の砂漠の惑星タトゥイーンに本拠地を置いていた。
正確な時期は分からないものの、もとはボマー教団(脳ミソを取り出して永遠の瞑想に耽ると言うキ○ガイ教団)の修道院であったのを接収して、自分の宮殿として再建。
そのすさまじい統率力や頭脳、そしてハットの誇る長寿を駆使し、いつしかタトゥイーンにおける暗黒街の大勢力となった。
また、自分が属するデシリジク氏族の当主だった叔父が死ぬと、それに乗じてクーデターを決行。叔父の遺族やシンパを皆殺しにして一族を掌握し、ハット大評議会の一員に数えられるようにもなった。
尤も、タトゥイーンには彼より先に勢力を誇っていた同族ガーデュラ・ザ・ハットや、鰐のような種族のレディ・ヴァラリアンといったライバルがいたし、デシリジク一族の中にも叔父のズィロ・ザ・ハットなど、彼の地位を狙う狡猾な相手は大勢いた。
過去のエピソードを描いたレジェンズ作品では、投資家ヒーゴ・ダマスクと交渉したり、ガーデュラと組んだバンド・ゴラのコマリ・ヴォサのテロ攻撃に悩まされたりしている。
しかしジャバは、その頭脳とカリスマで、とにもかくにも辺境領域で覇権を誇っていた。
辺境は銀河共和国の権力が及ばない無法地帯であり、そこに覇権をもたらしたジャバは、ある意味では無法地帯の番人として、治安をもたらしていたといえる。
辺境に秩序を、無法に法をもたらそうとしたと言う意味では、のちのウィルハフ・ターキンにも通じるところがあるだろう。
もっとも、その権力の中枢たるジャバの性格がアレなので、彼の支配は決して「良い秩序」ではなかった。
それでも、完全な「無秩序」とはワケが違い、彼の「帝国」は確かに暗黒街に秩序と安定をもたらしていたのである。
この辺りの「ジャバの秩序」という一端が見れるのがEP1におけるポッドレース直後の一幕。
このレースで博打に負けたワトーは、勝ったクワイ=ガン・ジンに対して「賭けの対象だったアナキンは渡さない、この賭けはインチキだった!」と抵抗する。
それに対するクワイ=ガンの発言が「ではハットに調停を申し込もうか? 話をつけてくれるぞ」で、これでワトーはついに諦めている。
小さな一幕ではあるが、この描写から「ジャバは縄張りで揉め事があると調停役を請けている」「ジャバの裁定はある程度公正である*2」「たとえ地元民や余所者、あるいはジェダイであっても、そうしたことは考慮せずきっちりと捌く*3」と言ったことが確認できる。
肝心のポッドレースでは居眠りしていた。グゴー
◆クローン戦争期
「トゥバ・インカボガヂィビア!」
「ホロダイアリーのお礼です。どうぞ受け取ってください」
基本的にジャバは銀河全体の秩序に興味を持たず、自分の快楽だけを追い求めている。
そのため、基本的には銀河共和国にも、その分裂にもとくに関心はなかった。
しかしドゥークー伯爵の提唱した分離主義はコルサントから遠い星系でこそ人気が高く、やがて勃発したクローン大戦では、多くの辺境惑星がドゥークー主導の独立星系連合に駆け込んだ。
その結果、ジャバの勢力圏もまたクローン大戦の舞台となってしまう。
その上、ドゥークーはひそかにジャバの息子ロッタを誘拐。犯人がわからなかったジャバは激怒し、ロッタ捜索のために自分の傭兵だけでなく、銀河共和国や独立星系連合にまで呼びかけた。
しかしそれは取りも直さず、ジャバの勢力もクローン大戦に引きずり込まれたことを意味した。
アナキン・スカイウォーカーや彼の弟子になったばかりのアソーカ・タノ、オビ=ワン・ケノービ、アサージ・ヴェントレス、果てはドゥークー自らも乗り込んでのロッタ誘拐事件は、ドゥークーとズィロ・ザ・ハットが黒幕と言うことが発覚して決着。ジャバは独立星系連合と敵対して銀河共和国と組むことになった。
(ちなみに、アナキンはこの任務で終始イライラしていた。彼自身ハットの奴隷だったし、タトゥイーン育ちでジャバの実態を知りすぎていたからである)
とはいえ、これで性格が変わるわけもなく、戦争中も相変わらず暗黒街の経営と悪事の主導、そしてハット一族の利権闘争などに関わっている。
一方、クローン大戦への関与はやっぱり消極的。ドゥークーやズィロへの復讐にもあまりこだわっていないらしい。
そのズィロ・ザ・ハットの逮捕に端を発した、ハットの犯罪証拠を巡る闘争においては、いずれも癖ものであるハット評議員や、オビ=ワン・ケノービ、クインラン・ヴォス、キャド・ベインといった切れものたちすらも出し抜き、謀略と情報収集能力、人脈を活かして見事ズィロの暗殺と彼の資産の奪取に成功している。
《デスウォッチなら知っている。何の用だ?》
戦争後期には、ダース・モールが暗黒街を支配しようと動きだしたため、攻撃対象として狙われてしまう。
最初はナル・ハッタでハット評議会が、次はタトゥイーンで自分の宮殿までが攻め込まれる。ハットの勢力はこのいずれでも敗れ、ジャバは鷹揚に笑いながらモールに降伏し、彼の新組織「シャドウコレクティブ」に参加することになった。惑星マンダロア攻略作戦では兵を出している。
ただ、モールは直後に師父ダース・シディアスに敗れ、それに紛れてジャバは脱退、加盟したのは短期間だった*4。ほどなくしてシャドウコレクティブ自体も短命に終わっている。
そのまま、クローン大戦は彼の与り知らぬところで終結し、銀河帝国の時代となる。
◆銀河帝国時代
《帝国軍を見ただけで、みんなが密輸品を、捨てたらどうなる? 示しがつかん》
銀河共和国に興味を示さなかったジャバは、当然その後身の銀河帝国にも無関心だった。
しかし、銀河全域の直接統治を図る帝国側はそうではなく、帝国は早い段階からダース・ヴェイダーを派遣するなどして交渉に当たっている。
交渉はやや難航したものの最後はまとまり、ジャバは銀河帝国の統治に協力することを約束。タトゥイーン最大都市モス・アイズリーでは、しばしば銀河帝国の高官を歓待したと言う。
とはいえ完全な癒着ではなく、帝国側はジャバの系列であろうとも犯罪行為は厳しく取り締まったため、両者の関係はしばしば緊張を孕んだ。
ジャバと覇権を競ったガーデュラ・ザ・ハットも、この時期帝国によって逮捕・組織解体に追い込まれた。
ただ、帝国側はデス・スターが未完成、ジャバは自分の縄張り外には興味なし、ということでまあまあ落ち着いたようである。
ちなみに、ジャバは上述のヴェイダーとの交渉で、彼が十数年前に自分が観戦したポッドレースの優勝者で、かつてはジェダイだった男の成れの果てであることに気付いたと言う。
しかしうかつに「ジェダイ」と口にしたため、キレたヴェイダーに締め上げられたとか。
また、砂漠のオビ=ワン・ケノービについても話していたらしい。
◆反乱同盟時代
《ハン。お前だから大目に見てやる》
帝国とのかかわりが小康状態となったころ、自分の雇っていたハン・ソロが、スパイス(麻薬)運びのさなか帝国の臨検につかまるという事態が発生。
ソロは臨検前に麻薬を宇宙に投棄してなんとか切り抜けたが、これは同時にカネ儲けの道具を持ち主たる自身に何の断りもなく捨てたという事であり、怒ったジャバはソロを難詰。
グリード殺害事件のゴダゴダをあいだに挟みつつも、とりあえずその場は「麻薬代は利子をつけて弁償する」という言質を取ったことで一先ずは矛を収めた。
ところが、ソロはそのあと反乱同盟軍と銀河帝国の争いに本格的に巻き込まれてしまい、ジャバの元に顔を出せなくなってしまう(ちょっと立ち寄るぐらいできたのではないかと思うが……)。
それを「債務を返済する意思がない」と見たジャバは遂にソロを見限り、彼に巨額の懸賞金をかける。
銀河帝国も反乱軍の重要人物となったソロを追っていたため、両者の利害は一致。
ベイダー並びに帝国の助力を得たジャバ傘下の賞金稼ぎボバ・フェットがついにソロを捕捉し、彼を捕縛。
炭素冷凍にかけられたソロはジャバに届けられ、彼はこの「レリーフ」を上機嫌で壁に飾り、愛好した。
《あの飾りは気に入ってる。手放すつもりはない》
◆巨悪の最期
一年後、ジャバは残るソロ一味の捜索と捕縛を続けていた。
ソロの救出を狙っていたソロの相棒チューバッカ、そして反乱同盟軍の幹部レイア・オーガナまで返り討ちにして捕え、ジャバの得意は絶頂に至っていた。
これに前後して、ルーク・スカイウォーカーというジェダイから「ソロを渡してもらいたい」という交渉を受けるが、ジャバは進物として送られた二体のドロイドはもらいながらも、ソロは返そうとしなかった。
やがてルークは直接ジャバの宮殿に乗り込んできた。
ジャバはルークの要求を拒絶し、いきなり落とし扉の罠を起動させて猛獣ランコアに捕食させようとする。
しかしランコアはルークに返り討ちにされ、逆上したジャバはルークとソロとチューバッカをまとめて処刑すると宣言。
翌日、大砂丘海に棲むサルラックの谷まで船を出し、ルークたちを落として食わせようとした。
《処刑を始めろ》
ところが、ここでルークの仕掛けていた罠がいっせいに発動。
ルークたちの小型艇に潜り込んでいたランド・カルリジアン、ライトセイバーを預けられていたR2-D2が同時に動いてルークを援護。
ルークもライトセイバーを起動させて猛反撃を開始し、次々とジャバの傭兵たちを蹴散らし始めた。
一方的な処刑のはずが逆に罠にかけられ、複数の伏兵に翻弄されたジャバは激怒しつつも部下たちに指示を飛ばしたが、虜囚にしていたレイア・オーガナの事はすっかり失念していた。
帝国軍との死線を掻い潜って戦場慣れしていたレイアはこの好機を逃さず、発電システムをぶっ壊して船を停電させると、自分を縛っていた鎖を逆に利用し、ジャバの首に回して渾身の力で引っ張った。
本来なら、女の細腕でハットの首を絞め落とすことなどはできない。
しかし本人すらも知らないが、かつて偉大なジェダイの血を引いていた彼女は、本人も知らぬ領域の力を持っていた。
まだそうと知らない父や兄のものと同質の力――フォースをレイアは使っていたのである。
生物としては最強クラスのしぶとさを誇るハット族といえども、世界すべてに由来する超常の力には及ばず、数十秒の悶絶ののち、ジャバ・ザ・ハットは壮絶な窒息死を遂げた。
【影響力】
ジャバ・ザ・ハットは、悪役キャラとしては一つの「完成系」と呼ばれることもある。
まずそのデザインからしてすさまじく、とにかく醜悪で不快、しかもわかりやすく邪悪である。
ダース・ヴェイダーと比べると、ヴェイダーは鉄壁が迫るような「無機質な威圧感」を与えるが、ジャバは「生理的な嫌悪感」を与えるなど、非常に対照的。
そのデザインやキャラクター性はある意味好評で、「ジャバ」の名前はすなわち「腐敗」「肥満」「醜悪」「邪悪」「貪欲」「無秩序」「不要」などの代名詞として市民権を得たほど。
なんと、アメリカでは論文ですらこれらの比喩に「ジャバ・ザ・ハット」の名が用いられるとのこと。
実際問題アメリカは、市民国家としての強い意識から政府の陰謀や腐敗に敏感なこと、アル・カポネのようにギャングが身近なこと、銃の普及が象徴するように「暴力国家」という一面があること、そしてすさまじい肥満体が年々増えていることなどから、ジャバのような存在がより身近に感じられるのだろう。
その意味では、ジャバはダース・シディアス(謀略)やドゥークー伯爵(貴族)、ヌート・ガンレイ(金の亡者)、ダース・モール(鬼)、ダース・ヴェイダー(威圧)、ウィルハフ・ターキン(支配)、といった数々の名悪役たちを差し置いて、スター・ウォーズの悪の代表と言えるかもしれない。
【デザインについて】
もともと、ジャバは二足歩行の人間タイプの宇宙人として考案されていた。ウーキー(チューバッカの人種)と同じく毛むくじゃらだったらしい。
逆に「大きな口を持ったナメクジの怪物」という、決定版に近いデザインも初期からあったが、こっちには触覚があった。
EP4では前者のデザインを想定して撮影が行なわれ、ジャバの場所に立つ俳優に、あとから合成で「毛むくじゃらのヒューマノイド型宇宙人」を合成することで「ジャバ」を登場させようとした。
しかしこの合成が、ものすごく手間と資金と時間を要することが発覚。技術も予算もスケジュールもカツカツだったため、当時製作サイドは「毛むくじゃらジャバ」を断念。撮影フィルムは御蔵入りとなった。
しかし二十年あまりの歳月を経て、DVD販売にあわせてリメイクを兼ねた「特別編」が製作される運びとなり、このシーンに「ナメクジ型ジャバ」が合成されることになる*5。
もし製作サイドが最初の時点で諦めることなくジャバの登場にこだわっていたら、あのアメリカ史に残る悪役は現れなかったわけで、これは怪我の功名とさえ言えるだろう。
完成品のジャバだが、製作順で初登場となるEP6の時点(1983年)ではCGによる描写ができず、着ぐるみでの作成となった。
着ぐるみと言えばゴジラを初めとする日本の特撮業界の得意分野だが、ジャバはそのデザイン・大きさともに、ゴジラのように人間がひとりで入り込むタイプではなく、ビオランテのように複数人が入り込み、さまざまな機械を使っていっせいに動かす、半操演型の着ぐるみとなった。
着ぐるみ本体の操演には概ね「上顎」「舌と右腕」「喉と左腕」「腹の膨脹」「尻尾の中ほど」「尻尾の先端」と六人が動員されたという。
これに眼球などを動かすメカの操縦も加わるだろう。
これほどの人員を投入することで、ジャバは実に生々しい動きができるようになったのだが、反面この構造のため動くことができず、映画本編ではずっと椅子の上で踏ん反り返ることになってしまった。
いちおう、宮殿から船まで移動しているので、設定上は動くことは動けるらしい。
【その他】
キャラクターのインパクトから、日本でも大人気。
なんと「北斗の拳」において、あからさまにジャバをモデルにしたキャラクターが出てきている。
北斗と言えばアニメ初期に露骨にターミネーターをパクッたキャラクターが登場していたのだが、原作者もたいがいである。
《追記・修正を始めろ》
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▷ コメント欄
- ドゥークー以来ずっと暗黒面ばかり書いてきた気がしますので、そろそろジェダイも書いてみようかと思います。今夜にでも第一弾として、クローン・ウォーズで初登場し短い間ながらもインパクトを残した、あるジェダイマスターを投稿してみます。 -- 作成者 (2019-12-16 11:08:25)
- ジャバ・ザ・ハット族さん -- 名無しさん (2019-12-16 14:17:12)
- ハズブロから出てたジャバのフィギュア見たことあるけどデカすぎてどこに置くの…ってなったなあ… -- 名無しさん (2019-12-16 18:59:36)
- ロッタってどうなったんだろう -- 名無しさん (2019-12-16 19:40:09)
- ヴィンランド・サガに似たキャラがいたな -- 名無しさん (2019-12-16 21:27:00)
- もしかして幽遊白書の躯を奴隷にしてたおっさん妖怪の元ネタだったりして… -- 名無しさん (2019-12-16 21:44:42)
- ハンソロに尻尾踏まれて軽く悲鳴上げてるシーン好き。合成の都合仕方なくやったらしいけどなんか味がある -- 名無しさん (2019-12-17 11:32:50)
- 松子デラックスが出始めたころナイナイ岡村にジャバザハット言われていじられてたな -- 名無しさん (2019-12-19 00:31:40)
- レジェンズとして正史からは外れたけど、副官の脳内に強酸のカプセルを埋め込んでおいて、その副官が(物理的に)喰われたときにカプセルを作動させて相手を殺すという用意が良すぎる下りがあったような…。 -- 名無しさん (2019-12-19 00:37:18)
- ティウレ族じゃなくてデシリジク氏族じゃね? ちなみにガーデュラはベサディ氏族。 -- 名無しさん (2019-12-21 04:57:15)
- ちなみにジャバをはじめとしてハット族が喋る言語は古代インカ帝国でも使われたケチュア語という言語だとか。 -- 名無しさん (2020-01-10 21:01:05)
- 兵藤会長に通じるものがあるw -- 名無しさん (2020-02-13 13:49:08)
- マンダロリアンではタトゥイーンが寂れちまってたから、改めてジャバの影響が凄かったと感じたよ -- 名無しさん (2020-11-01 21:15:33)
- 項目内で邪悪ではないハットもいるとあるが、外伝小説など含め作中に出てきたハットはもれなくマフィアのボスか幹部なんだが… -- 名無しさん (2021-04-01 16:28:47)
- 特別編の出番追加は正直蛇足だと思った。 カリスマなんだから本拠地から動かない設定で良かっただろ。 -- 名無しさん (2021-05-09 10:15:58)
- ハットは裕福なので大抵一人の子しか産まないのだが、彼の父のゾーバは5人兄弟だったりする。とはいえ、宝石の不法採掘で逮捕されて刑務所に何十年もブチこまれたゾーバ、ダーガ・ザ・ハットに決闘で敗れて死んだデシリジクの長ジリアク、微妙に小物で甥のジャバを陥れようとした挙げ句、後で暗殺されたズィロなど、ロクな末路を辿った奴がいない。 -- 名無しさん (2021-07-08 15:50:15)
- ↑やっぱりニモーディアンと同じく性悪な奴しかいない種族なんじゃ… 設定上善良なハットも存在するなら実際に登場させてくれないかな -- 名無しさん (2021-07-11 15:16:21)
- 則巻家にターボ君が誕生する際、産婆として呼ばれたお春婆さんがなぜかこいつのぬいぐるみを(まるで生まれたての赤ん坊を取り上げたかのようなフリで)千兵衛さんに見せびらかすというシーンがあった。(作者がSWにはまっててその回もお春婆さんが2足ウォーカーで則巻家に来ると言う。) -- 名無しさん (2023-12-08 23:11:47)
- ↑×2 「良い奴」ではハット社会の中では生き残れんのだろうな。成長も緩慢なようだから、早期に独立も出来ず悪に堕ちるか、死か、いずれかの選択肢しかないのであろう -- 名無しさん (2023-12-11 16:15:24)
#comment
*2 少なくともワトーは勝てないと分かっている。
*3 クワイ=ガンが自分からジャバの調停を進言していることから。
*4 大戦後期のシャドウコレクティブ登場エピソードでは、ブラックサンとパイクシンジケートが参加勢力として登場しているが、ハットの姿がない。
*5 各登場人物の動きはヒューマノイドを想定したままのため、ジャバが尻尾を踏まれることになった
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