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更新日:2024/04/04 Thu 13:38:23NEW!
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映画 シルベスター・スタローン ボクシング ロッキー ロッキーシリーズ ロッキー・バルボア 完結編 フィラデルフィア 名作 洋画 シルヴェスター・スタローン ロッキー・ザ・ファイナル リアル志向 スタローンの再出発
NEVER GIVE UP
『ロッキー・ザ・ファイナル(原:Rocky Balboa)』は、06年の米映画。
ロッキーシリーズの第6作。
監督・脚本はシルヴェスター・スタローン。
タイトルは主人公であるロッキーのフルネーム(リングネーム)だが、日本ではロッキー最後の戦いということから“ザ・ファイナル”が冠された。
●目次
【概要】
00年代から過去の名作の続編やリメイクが制作される流れが始まっていたが、本作もその一つである。
既に第1作から30年。前作から16年もの時間が過ぎていたために、本作も批判されがちなそれらのリバイバル作品と同じく、所詮はメモリアルイベント的な作品であると見られていた。
しかし、老境を目前に再びリングに立つ決意をするかつての英雄の姿を、短い時間で描ききった無駄のないドラマと過去作への徹底したオマージュ、前代未聞の実際に打ち合って撮影した試合シーンの迫力は多くの観客、批評家を驚かせ、今年最大のサプライズとまで言わしめた。
試合だけでなく、本作では可能な限り本物を揃えることを意識しており、試合会場やスポーツ記者、リングアナウンサーも本物である。
ディクソン役も現役プロボクサーのA・ターヴァーに依頼、ロッキーに絡む不良少女も本職の役者ではなく近所の女の子をキャスティングしている。
こうした手法はシリーズ通しても珍しく、現在の次世代を描いたスピンオフシリーズでも実現していない。
前作ロッキー5が作品その物も含めて批判の声が大きく、シリーズ自体が“悪い終わりかた”をしたと見なしていたファンにとっても歓迎すべきことであり、本作をシリーズ中でも初代と並ぶか、本作の方が好きと語るファンが出てくる程の大傑作となった。
また、90年代頃から低迷が続いていたスタローンはこの作品を機にランボーの新作やエクスペンタブルズといった更なる代表的なシリーズを作り上げたりと老いてもなお活躍を続ける等、再起を果たしている。
【物語】
自分の原点であるペンシルベニア・フィラデルフィアに、ロッキーは今も住んでいた。*1
エイドリアンを癌で失い、息子のロバートも出ていった後はイタリアンレストランを経営しながら訪れる客達に昔話をしながら過ごす、幸福に見えるが張り合いの無い日々。
毎年、エイドリアンの命日にはポーリーを付き合わせて失われた思い出を辿る情けない姿。
ある年、遂にポーリーにまで途中で逃げられたロッキーは昔入ったことがあるバーに行くが、そこでバーテンをしていたのは昔、近所に住んでいたリトルマリーであった。
自分に絡んできた若者達を脅した後でリトルマリーを送ったロッキーは、これが縁で彼女と息子のステップスとの関わりが生まれた。
これが一つめの変化。
テレビで無敗の現役チャンピオン、メイソン・ディクソンと現役時代のロッキーを再現したCGモデルによるシミュレーションでロッキーがディクソンをKOしたのが話題となる。*2
ディクソンはプロ入りしてから無敗、チャンピオンになってからも相手を早いラウンドで倒してしまうために観客からの共感を得られず、実力についても疑問が呈される有り様で、PPVやチケットの売上も悪化していたのだ。
この試合を豪奢なバーで同僚達と見て複雑な表情を見せるロバート……父の才能を受け継がなかったロバートは英雄の息子という重圧に耐えかね家を出たのに、それでも皆の心の中にいる父の名にプレッシャーを感じ続けていた。
シミュレーションの公開後、世間の話題はそれ一色に。
ポーリーに見せられて試合の結果を見たロッキーの中に燃え上がるものがあった。
これが、二つめの変化。
ポーリーやロバートに現役復帰への思いを口にするが相手にされないロッキーだが、地元で小さな試合でも出来ればいいと申請を決行。
結果は……健康体と診断されながらも申請は却下されてしまったのだが、スポーツ委員会へのロッキーの熱い訴えに却下は覆されるのだった。
そんな中、何とか金儲けをしたいディクソンのエージェントは現役復帰したロッキーとの試合を画策する。
ディクソンに否定されながらもエキシビションとして試合を進めるエージェント。
一方、ディクソンも自らの師であるトレーナーに、いつか自分の前にも壁が立ち塞がると言葉を掛けられていた。
老境に入って、遂に精肉工場を首になったポーリー、ロッキーの側で働き初めていたリトルマリー親子。
ロッキーが現役復帰して現役チャンピオンと戦うという大事件の中でロバートがロッキーにこれ以上、自分を苦しめないように試合を止めてくれと訴えてくる。
ロバートの言葉にロッキーは自分が苦しいのを他人のせいにするのは卑怯者のすることだ、お前は違う、俺の息子だ、と魂の叫びをぶつける。
……翌日、エイドリアンの墓前に数年ぶりにロバートが姿を見せる。
これが、三つ目の変化。
仕事を辞めたロバートは、先ずはロッキーの側にいさせてと語り、ロバートも戻ってきた今のファミリーで特訓に挑むロッキー。
盟友アポロのトレーナーであり、自分にとっても師の一人であるデュークの言葉に従い、落ちてしまったスピードやバネの替わりに昔懐かしのメガトンパンチを身に付けるべく、過酷なメニューをこなしていくロッキー。
そして、遂に試合の当日がやって来た。
試合前は余裕綽々だったディクソンだったが、いざ試合が始まると予想外に重いロッキーのパンチに驚く。
手数とパンチの的確さでは優っていたディクソンだったが、老いても尚も健在のロッキーのタフネスは崩せず、更に固いガードを崩そうとして不用意に放ったパンチで腰骨を打ってしまい左拳が折れてしまうと、チャンスと思い攻勢に出たロッキーに試合勘までも取り戻されて乱打戦に持ち込まれていく。
エキシビションとは思えぬ死闘を前に観客達は熱狂し、ロッキーの奮闘に冷ややかな目を向けていた解説者達も誤りを認め、掌を返したように“ロッキー劇場”を盛り上げる。
ディクソンは予言されていた通り、最強の挑戦者に地獄の苦しみを味わわされ、ロッキーも重い体を引きずりながら若いチャンピオンに向かい続ける。
そして、最終ラウンド。
ロバートはもう誰もロッキーを笑っていない、ここで止めてもいいと言うが、ロッキーは、かつて世界チャンピオンを前に最後まで立っていることでクズでないことを証明した時のように、今また自分の魂が錆び付いていないことを証明するために世界チャンピオンに喰らい続けていく。
ディクソンもロッキーへの敬意を示し初め、ロッキーもディクソンを讃える。
かつての強敵達との戦いと同じく、追い詰められながらも立ち上がるロッキー。
猛烈な打ち合いとなるがディクソンも譲らず、遂には最終15ラウンド目を迎える、まさかの試合展開に。
結局、両者共に相手を沈めきれないままに試合終了のゴングが鳴り響き、戦っていたロッキーとディクソン、そして雪崩れ込んできた両陣営は両雄の激闘を讃え合い喜びを分かち合う。
さあ、帰ろうぜ!……リングに殺到する観客や両者を讃えるリングアナウンサーの声を無視してファミリーと共に去っていくロッキー。
試合は…何れも極僅差ながら2-1でディクソンの勝利。*3
……最後の戦いを終え、今度こそ戦士であることを降りたロッキーが亡き妻の墓前に今度は人生の前を向いて紅いバラを手向け(「Yo Adrien, we did it」*4)去っていく場面で物語は終わる。
【主な登場人物】
※吹替はソフト版
- ロッキー・バルボア(ロバート・バルボア・シニア)
演:シルヴェスター・スタローン
声:羽佐間道夫
ボクシング史に名を残す伝説のチャンピオンだが、今では経営する亡き妻の名を冠したレストランで名物となっている昔話を語るだけの“昔の有名人”であり、現役時代を知らない世代からは顔は知っているけど敬意は払われない、という程度の扱い。
本人も自覚の無いままに昔の思い出にすがり付き、終わっていくだけの人生を歩んでいたが、現役時代の自分の姿を再現した作り物に情熱を取り戻して困難に向かっていく。
親しい友人は少ないものの、本来は面倒見がよく他人を思いやれる人物で、自らの復帰の過程で側にいる人々も救っていく。
ステップスと共に身寄りのない老犬パンチを引き取り、ステップスが自分への皮肉として付けた名前も受け入れ、老兵同士でトレーニングに励む。
- ロバート・バルボア・ジュニア
演:マイロ・ヴィンティミリア
声:竹若拓磨
ロッキーの最愛の息子だが、いつしか大きすぎる父の影が苦痛になり、庇護を離れて一人で生きていこうとしていた。
一流企業のビジネスマンだが、自らの就職をバルボアの名によるものだと口にする等、上司や同僚達から振られる話もロッキーのことであり、うんざりした日々を過ごしていた。
父と顔を合わせたくないがために亡き母の墓参りにも何年も行っていないという有り様であったが、父の本音の言葉を聞いて自分を偽ることを止めようとする。
- ポーリー
演:バート・ヤング
声:富田耕生
口の悪いロッキーの悪友で義兄。
ロッキーの最初の挑戦を最初から見てきた唯一の人間となってしまった。
悪い兄であることを自覚しており、妹エイドリアンを最後まで愛し抜いたロッキーに対しては尊敬すべき義弟であると思うと同時に、劣等感や憎悪や懺悔の気持ちがない交ぜになった複雑な感情を抱いてもいる。
老境に入り、第1作から悪態を吐きながらも働いてきた精肉工場をクビになってしまい荒れた様子を見せていたものの、かつてのようにファミリーとしてロッキーの最後の挑戦を見守り、クビになったにもかかわらずロッキーを以前の様に冷凍庫に導いて冷凍肉サンドバッグを提供する。
- トニー・デューク・エヴァーズ
演:トニー・バートン
声:緒方賢一
ロッキー最大のライバルであり盟友であったアポロ・クリードの専属トレーナーで、話題が先行していたロッキーの力を最初に警戒した人物。
クラバー・ラングに敗れた所をアポロが連れてきて指導したのが最初で、アポロの敵討ちのためにソビエトに向かったロッキーのトレーニングにも同行する等、ミッキー亡き後のロッキーにとってはもう一人のトレーナーである。
- リトルマリー
演:ジェラルディン・ヒューズ
声:高島雅羅
第1作でロッキーに夜遊びを窘められていた不良娘で、そんな彼女も今や40路を越えたくたびれた中年女になっていた。*5
自分の勤める場末のバーを訪れたロッキーに話しかけたことがきっかけでロッキーに世話を焼かれることとなり、自らの辛い経験から素直になれない面もあったものの、息子のステップス共々にやがては今のロッキーを支えるファミリーに迎え入れられていく。
- スパイダー・リコ
演:ペドロ・ラヴェル
声:郷里大輔
第1作の冒頭でロッキーに敗れていた当時の地元のライバルの一人で、友人の少ないロッキーにとっては最も古い顔馴染みの一人。
ロッキーの店の常連となっているが、何かしらの施しも受けていたのか、途中から皿洗いや搬入係を買って出るように。
信仰に目覚めており、現役当時の荒んだ様子は鳴りを潜め、大試合に向かうロッキーに聖書の言葉を読み上げた。
演じているのも当時と同じく元プロボクサーのラヴェルである。
- メイソン・ディクソン
演:アントニオ・ターヴァー
声:竹田雅則
現世界チャンピオンで「秒殺ディクソン」の異名を取る絶対王者。
しかし、その名の様に圧倒的に強いが故に不人気で、人気は最低レベル。
見つけてきた挑戦者も僅かでも食い付けないレベルであるために実力その物にも疑問符を呈されたりと、こっちはこっちで不遇な状況。
あの夜のコンピューター判定の試合結果に不満を持っていたこともあって、ロッキーとの試合を嫌がり、いざ決まってからも過去の人間であるロッキーを侮っていたが、人気を取り戻すために試合を受けることに。
エージェントによって遠ざけられていた師匠のマーティンを再び陣営に加える。
試合ではロッキーの鉄の拳に驚異を感じ、自らのアクシデントもあって、マーティンが予言していた通りの嘗てない程の苦戦に追い込まれることに。
スタローン曰く、80年代の派手なライバルではなく、リアルなボクシングチャンピオンとして設定したキャラクター。
演じたターヴァーは本物のプロボクサーで、世界ライトヘビー級王座に二度就いた実力者。
当時は試合から離れていたが、その後に復帰して現在でも現役……と、本作のロッキーの様に年齢を重ねてもリングに上がっている。
【余談】
- エイドリアン役のタリア・シャイアは本作への出演を熱望したが故人であるとして断られ、幽霊役でもいいからと食い下がったがそれでも受け入れられなかったので、半年間はスタローンと口も聞かなかった。しかし、本作の試写会に招かれてエイドリアンの死が如何に本作の根幹に関わっているのかを理解して和解したとのこと。
- ロバート役は少年時代と同じく、スタローンの実の息子であるセイジを検討されていたがスケジュールの都合で合わず、マイロ・ヴィンティミリアが選ばれた。セイジは2012年に36歳の若さで夭逝している。
- 前述の様に様々な面で本物を使うことを心掛けている本作では、町の人々やスポーツ中継、ボクシング関係者に本物の市民やプロを使っている。本作のライバルとなるディクソン役も、役者にボクシングを仕込むよりはプロボクサーに演技を仕込んだ方が早いと判断したことからターヴァーに白羽の矢が立った。
- 二人の試合前にディクソンに声をかけるのはマイク・タイソン。タイソンからの申し出を受けたスタローンが喜んで出演を快諾した。
- 本当に殴り合う方針をとった最後の試合シーンは肉体のキレを考慮して最初に撮影された。スタローンはプロボクサーの本物のパンチの前に幾度も倒れそうになり、ターヴァーもスタローンの年齢に見合わぬパンチに驚いたそうで、ターヴァーは拳をスタローンは足をそれぞれに骨折までしている。
- 試合会場は難航し、考えた末に予告無しに本物のボクシングの試合前に入れることで生の反応を記録させた。スタローンは本当の試合を見にきたファンにブーイングを受けるのではと考えていたが、実際の観客達はスタッフが指示せずともロッキーコールを送り*6、中断しながらとはいえ、生の殴り合いによる撮影に熱狂し、スタンディングオベーションで去っていくロッキーを見送った。
- 音楽は第1作から変わらずビル・コンティで、作中ではディクソンの入場テーマを初めとしてスリー・6・マフィアの楽曲が使われているが、それを更にコンティが編曲してBGMに使ったりしている。
- エンディングはロッキーのテーマ(Gonna Fly Now)が鳴り響く中をフィラデルフィア美術館前の階段を人々が駆け上がり、そして腕を振り上げたりパンチをしたり、思い思いのポーズを決める姿が捉えられている。これも仕込みではなく、スタッフは単にカメラを構えて待って、訪れた人々を撮影しているだけである。階段と、そこを上りきってからのロッキーの真似が長年に渡り観光名物になっているが故のそのままの演出である。また、OPとして第1作でフランク・スタローンが歌ったTake You Backが使用されている。
追記修正は心が若ければいつまでも挑戦できることを示してからお願いします。
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- 5でダダ下がりしてた評価を取り戻した奇跡の同点スリーラン。……と思ったら、次作クリードで代打満塁サヨナラホームランをブッ放すという更なる奇跡がw -- 名無しさん (2019-05-17 14:11:51)
- ↑散々コケにされてきたのに晩年に名作連発するスタローンという奇跡。 -- 名無しさん (2019-05-17 14:16:39)
- 「あじあわせる」じゃなくて「あじわわせる」だぞ -- ☆凛 (2019-05-18 00:49:59)
- ↑2なお、大脱出2 -- 名無しさん (2019-05-18 06:00:56)
- 映画のロッキーと現実の評価移り変わりの変遷がリンクしたのも印象的だよな。公開発表される前は過去の栄光、新作は失笑しかされなかった。けど、結果は素晴らしいものだったな -- 名無しさん (2019-05-18 09:09:06)
- 「世間は父さんの事、笑ってるんだ!道化扱いして、馬鹿にしてる!おかげで僕まで笑われる!それでも平気なの!?…どうなんだよッ!!!」 -- 名無しさん (2023-07-04 13:18:21)
- 「お前が生まれた時だ。この手にお前を乗せて、たかーく持ち上げて、母さんにこう言った」「”この子は世界一の男になる。誰にも負けない立派な人間に育つ”と。お前は期待通りに、育ってくれたよ」 -- 名無しさん (2023-07-04 13:20:22)
- 「毎日成長するお前を楽しみに見ていた。そして独立の時期を迎え、自分の力で歩み始めた。だがその内どっかでお前は、変わっちまった!お前ではなくなった!人に面と向かって馬鹿にされても、平気になり下がった。」「困難にぶつかる度に、自分の不甲斐無さを父さんの、影のせいにした!」 -- 名無しさん (2023-07-04 13:23:30)
- 「だがお前にも分かってるはずだ。世の中はいつもバラ色じゃあない。それなりに厳しく、辛いことも待ってる。気を抜いたらどん底まで落ちて、二度と這い上がれなくなる。それが人生だ!人生はどんなパンチよりも、重くお前を打ちのめす」 -- 名無しさん (2023-07-04 13:25:37)
- 「だがどんなにきついパンチだろうと、どれだけこっぴどく打ちのめされようと、休まず前に進み続けろ!ひたすら苦痛に堪え、前に進むんだ!その先に勝利がある!」「自分の価値を信じるなら迷わず前に進め!決してパンチを恐れるな!」 -- 名無しさん (2023-07-04 13:28:15)
#comment
*2 尚、このCGの動きはスタローンとターヴァーが実際にワイヤーを付けて打ち合ったのを取り込んだもの。
*3 尚、ソフト版の特典映像ではロッキーが勝利するパターンも公開されている。
*4 『ロッキー2』でアポロに勝利した時の台詞のオマージュ。
*5 なお、一作目ぶりの再登場という訳ではなく、前作の未公開シーンで登場している
*6 スタッフ曰く後の試合の何倍も盛り上がってた。
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