ヴァニシング・スターライト

ページ名:ヴァニシング_スターライト

登録日:2019/01/09 (水曜日) 13:19:56
更新日:2024/03/28 Thu 13:31:39NEW!
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『ヴァニシング・スターライト(いづれ滅びゆく星の煌めき)』とは、Sound Horizonがメジャーデビュー10周年記念にポニーキャニオンから2014年10月1日に発売した「Anniversary Maxi」(シングル)である。略称は「ヴァニスタ」・「82☆」。
通常版・初回限定版(DVD付属)・予約限定デラックス版(BD・「Memorial Issue」・楽譜付属)があり、デラックス版には本作関連の資料の他『栄光の移動王国』のMV・楽譜もついている。








以下、内容のネタバレ(及びやや無粋な話)を含みます。







●ストーリー

我々が住む「この世界」と似ているが、どこか微妙に違う似て非なる地平」にある日本。
そこで音楽の道を行く青年「Noël」(ノエル)は、ある日別の地平から来た謎の男Revoに出会い、彼のプロデュースでメジャーデビューすることに。
これは彼がメインボーカルを務めるバンド「VANISHING STARLIGHT(ヴァニシング・スターライト)」のファーストシングル『よだかの星』(発売:BUNNY ONION)を「この世界」に持ち込んだものである。




●曲目

ボーカルは全てNoëlが担当。


1:よだかの星 (作詞・作曲:Noël*1)


ノエルが「グラサン」ことRevoに渡された本『よだかの星』(宮沢賢治)から着想を得て制作した、VANISHING STARLIGHTのデビュー曲。ノエルの歌なのでルビも分かりやすい親切設計である。
ライブでは、Revoが自分の世界にある会社ESPで特注させたノエル専用ギター「Flying Nighthawk」*2をノエルが演奏しており、『Nein』でもこれを携えている。
稲妻動画によるアニメMVが存在する。また2017年のLinked Horizonライブツアー『進撃の軌跡』ではアンコールにRevoがこの曲をカバーした公演があり、同公演のBD特装版に収録されている。


2:Mother (作詞・作曲:Revo)


Sound Horizonのライブ限定曲をVANISHING STARLIGHTがカバーしたもので、今回が初ソフト化となる。サンホラ楽曲なので歌詞が見づらく、一部では半ば図形と化している。
初披露時(女性ボーカル)が2006年の「第一次領土拡大遠征」だったため一説には『Roman』の没曲とも言われており、後半には「屋根裏物語」にも通じる「檻」という意味深な単語が登場している。
ちなみにライブ版ではこの時ノエルはギターをマイクに持ち替えていたのだが、漫画版ではギターを持ったままこの曲を歌っていた。
ライブにてノエルの眼が刹那赤く煌めいていたが、曲中に吸血鬼を連想させる歌詞があることからの単なるライブ演出なのか、あるいはそれ以上の何かなのかは不明。


3:Interview with Noël (作詞・作曲:Revo)
3人のインタビュアーにノエルが語った、「グラサンとの出会い」や「自身の過去」とは…。


なんと15分にも及ぶ大作で、「似て非なる地平」には存在しない、「この世界」限定の楽曲。
なのでノエルがこの曲を知ったらグラサンをぶん殴りかねないとも。
但しノエル自ら曲中で「自分の語りの中にある嘘」を告白しているため、どこまでが彼の真実なのかを図るのはリスナー次第である。
グラサンとの出会いの時には2012年の曲『Theme of the Linked Horizon』(Linked Horizon『ルクセンダルク大紀行』収録)と同じ詞が歌われ、ラストでは何とリアルのイベントの宣伝が行われている(後述)。
只流石に設定や長さ的にノエルがフルで歌うのは無理があったのか、ライブではエンディング時、ノエルとRevoがラスト部分をデュエットするという形で部分披露された。







・薄れかすれた手紙
『Interview with Noël』中に登場した「ノエルが死んだ祖母の遺した箪笥から見つけた手紙」らしき紙で、ケースに秘められた本作の隠し要素。
その解釈はリスナーに委ねられている。



●登場キャラクター

◆Noël from VANISHING STARLIGHT
本作の主人公。
フランス人の父と日本人の母から生まれた日本人(名字は不明)で、後ろで結び左目を隠すように伸びた銀髪に青みがかった瞳をしている。
一人称は「俺」で、メモリアルイシューや『Nein』中の台詞からするにガラの悪い不良気質な性格。
また居酒屋では焼酎を好み、Revoが自分の世界から持ってきたカントリーマアム*3にはまっている。
「Interview with Noël」によると生まれる前に父を失い、祖母に育てられたり親戚中を盥回しにされたりしたらしく、偶然見つけてしまった母(生死不明)の「手紙」が傷となっている。
VANISHING STARLIGHTではボーカル兼ギター担当。ちなみにCDやMVでの衣装はyokoyanデザインのものだそうな。

+ ノエルに関する考察(注:以下はファンの間でささやかれている推論であり、公式ではありません。-

髪色や髪型がどことなく「生まれる前に死んでいく」『Roman』のイヴェールに似ている事、また「薄れかすれた手紙」内にある「双子」という単語や『Nein』の「輪∞廻」に登場する「生まれる前に弟の聴覚障害を代わりに背負い消える事を選んだ胎児」等から、
「ノエルは実は双子で、生まれる前に死んだ兄か姉(ヴァニシング・ツイン)がいたのでは?」「イヴェールはノエルの生まれる前に死んだ兄なのでは?」という仮説が存在しており、その説のせいか小説版2巻ではノエルが「輪∞廻」の様な風景を夢みていた。
また2021年の『絵馬に願ひを!』では、どこかノエルに似た髪型でイヴェールの様に左右で青と紫に染まった立ち姿で描かれる仮面の男「神社関係者」が登場。
キャラ的にはノエルとは別人で同作自体も体験版に近いため謎ばかりなものの、(メタ的には新型コロナウィルス対策として)「声ではなく心で念じて」伝えろと言うため「聴覚障害」との関連性が指摘されている。


他にも「Interview with Noël」では語る過去の中にRevoが実際にかつてインタビューやFC会報で語った内容と同じ部分が存在するが、これも単なる「語りの中にある嘘」なのか、それとも…。


ちなみに2020年のサンホラ「Around15周年」記念としてyokoyanが書き下ろしたイラスト(CDリマスター版の店舗特典やFC限定販売の屏風として製品化)にて

  • 地の上を歩み水面に影を落とす生者:青(生)を象徴するオルタンス、インタビュアー組や『聖戦のイベリア』の流浪の民組、『Elysion』の5人の女性や『Moira』のエレフセウス等作中で明確な死亡描写が無いキャラクター(含む『Marchen』屍人姫の黄泉がえり組や作品後の死の暗示こそあるが明確描写はない『ハロウィンと夜の物語』のレニー)
  • 水面の裏を歩む彼岸の住人:紫(死)を象徴するヴィオレット、『聖戦のイベリア』のシャイターン&ライラ・冥府の王たる『Moira』のタナトス・『ハロウィンと夜の物語』の怪異組、『Elysion』のエルとアビス・『Marchen』のメルヒェン等作中で明確に死亡描写のあるキャラクター
  • 雲の上にたたずむ者(雲の位置で死との距離が分かるとも):『Chronicle 2nd』『少年は剣を…』のクロニカ・イヴェール・遥か空の上を雲で飛ぶ『Moira』の詩女神・『Nein』の便宜上R.E.V.O.&黒猫四姉妹・西洋骨董屋根裏堂店主、便宜上R.E.V.Oが「改竄」した世界における7人の歌姫

に歴代主要キャラが区分される中、なぜかノエルは「雲の上」、それも『Nein』歌姫たちのさらに後ろに表情も見せず存在。これが意味するものは…?


◆Revo
「似て非なる地平」に忽然と姿を現し、Noëlに先へと進むための切っ掛けを与えた「謎の音楽プロデューサー」にしてSound Horizon主宰なグラサン。
黒いロングコートに乗馬服風の衣装・グラサン・ロン毛・指輪・黒マニキュアとアーティストで無かったら奇人の様な姿をしている。
ノエルのメジャーデビュー後、VANISHING STARLIGHTを2014年10月26・27日に渋谷公会堂で行われる『Sound Horizon メジャーデビュー10周年ファンクラブ祝賀祭』のオープニングアクトへと地平線を超えて招いた。
メモリアルイシューではノエルを「ノンたん」と呼ぶ等つかみどころのない性格をしているが、ノエルを見つけたきっかけとして「イヴェールが生まれてくる地平線を見つけるため目を光らせている」「偶然…」(意訳)と意味深な発言をしている。
ちなみにイシューでインタビュアーに「ボーカリストとしてのノエルの魅力」を聞かれた際は妙に口を濁していた。
またイシューの言動からか小説・漫画版では神出鬼没でフリーダムな変人扱いされてしまい、ライブ版『進撃の軌跡』パンフレットのインタビューでその事をぼやいていた。


◆VANISHING STARLIGHTのメンバー
Revoが自分の世界(現実世界)から連れて来た実力派男性ミュージシャン達
台詞などはないが通常版カバーや『よだかの星』MVでイラスト化されている。


  • JUN-JI

ドラムス担当(元SIAM SHADE)。YUKI共々サンホラ・リンホラの常連サポートメンバーでもある。


  • YUKI

ギター担当。漫画『快感♡フレーズ』キャラを元にしたバンド『Λucifer』出身で、漫画キャラ(快感フレーズの藤堂雪文)を元にした芸名の人がイラスト化されるという不思議な事になった。


  • Leda

ギター担当。過去には『DELUHI』等に所属しており、サンホラ関係ではこの後『Nein』の「愛という名の咎』・『進撃の軌跡』の「自由の代償」に参加している。


  • AKITO

キーボード担当。リアルでは「白井アキト」として活動しており、ちょうどヴァニスタ発売時期にGirls Dead Monsterのmarinaと結婚している。


  • IKUO

ベース担当。リアルではJUN-JIとライブしたこともあり、『仮面ライダー555』挿入歌や『テニスの王子様』主題歌を担当したりもしている。


◆インタビュアー
「Interview with Noël」歌詞カードに登場し、通常版カバーにも描かれた3人の記者たち。
『Sound Horizon メジャーデビュー10周年ファンクラブ祝賀祭』・『Nein』コンサート版の一部回では実写で登場している。



  • 渋川鋭士

『HEAVY EDGE』の取材として現れた金髪ヤンキー系の男性で、「激アツ」が口癖。
ノエルとは友人の様に会話しており、彼からは「鋭士」と呼ばれている。


  • 山口一

『SOUND AROUND』の取材として現れた初老の眼鏡男性で、丁寧な口調でノエルに語り掛けてくる。
ノエルからは「山さん」と呼ばれている。


  • marie*marie

『✝V-ROCK HEAVEN✝』の取材として現れた紫のゴスロリ服な女性。ちなみに読みは「マリィマリィ」。
ノエルの事を「ノエ様」・「ノエノエ」とも呼んでおり、メモリアルイシューではRevoが彼女らしき「毬依」という名を出している。


『Nein』BDの完全受注限定生産コンプリート超デラックス盤に収録されたコンサート版の日替わりエンディング(山さん・鋭士)と千秋楽版『憎しみを花束に変えて』(marie*marie)ではインタビュアーの声をなぜか声優が吹き替えており、
サンホラファンクラブの会報「Salon de Horizon」Vol.38+39に記載されたライブ版のキャスト紹介と合わせると、『Nein』CD版で参加していない堀内賢雄(山口一)・小野大輔(渋川鋭士)・戸松遥(marie*marie)が担当したと思われる。



◆市蔵
曲中に直接登場こそしないがブックレットのスタッフロールやメモリアルイシューラストに登場する、ノエルのマネージャー。
兄がノエル行きつけの居酒屋「市蔵」を営んでおり、妹「美伊奈」・「詩伊奈」もノエルのファンらしい。
ヴァニスタ発売前にサンホラ公式LINEに流れた「似て非なる地平LINE」で各種宣伝を担当し、その後『Nein』にもちょっとだけ登場(CV:梶裕貴)、コンサート版で眼鏡男子だと判明している。
スタッフロールでのフルネームは「Ninosuke Ichizo」で、小説・漫画版では「市蔵仁之助」と漢字表記された。


◆バニオン
BUNNY ONIONのマスコットキャラで、通常版帯や『Sound Horizon メジャーデビュー10周年ファンクラブ祝賀祭』・コンサート版『Nein』に登場したゆるキャラ。
何とその後地平線を超え現実世界のゆるキャラコンテストにも登場している。




●概要

前述したようにサンホラ十周年記念作として発売された本シングルだが、
これまでのサンホラ作品が「架空世界」または「過去の西洋世界」を舞台にしていたのに対し、「架空の現代日本」を舞台にしているという大きな違いがある。
また「Revoがあるバンドをプロデュースする」という本作の設定の前振りは何と2014年の公式エイプリルフールネタや映画版「The Assorted Horizons」エンディングから行われており、
その後公式の「似て非なる地平LINE」宣伝など、「もう一つの世界にある実在のバンド」を強調する演出が多数された。


『Sound Horizon メジャーデビュー10周年ファンクラブ祝賀祭』のヴァニスタ映像はCD『Nein』の初回限定デラックス版付属BDに収録されており、
その「第九の現実」『Nein』においては、本作の経験を経て成長したノエルの思いも歌われている。
ちなみにその祝賀祭ではラストノエルとRevoがデュエットしているのだが…まあ『Nein』で共演シーンがない事や、『Nein』コンサート版BDでノエル映像とRevo映像をリミックスしても同一音源だったことから察しろ。


サンホラ公式サイトの用語集ではノエルの写真がイヴェールらと同じく「似て非なる人々」のカテゴリに入れられている。



●派生作品


  • 小説『ヴァニシング・スターライト』(全2巻 時田とおる、作画:有坂あこ)

シングルとメモリアルイシューの描写を元に、ノエルの過去と彼の軌跡を綴った小説。
マネージャー市蔵のフル漢字表記や市蔵兄の名前、コンサート版『Nein』ネタやノエルの母への思いの決着等各種補完がされている。


  • 漫画『ヴァニシング・スターライト』(全2巻 有坂あこ)

上記小説のコミカライズ版だが、尺の都合上小説版2巻部分は大幅に省略されている。
また担当した有坂は本作と並行して『Nein』コミカライズ(ノエルパート)も担当していたじゃあなんで『Nein』ノエルはあんなオチになったんですか有坂先生…


  • 小説『Roman 冬の朝と聖なる夜を廻る君の物語』(全2巻 十文字青)

『Roman』の小説版だが、なぜかノエルの過去を探る断章「a piece of Noёl」がもう一つの主軸とされており、
時田版ノエルとは異なる軌跡をたどりながら、グラサンに出会うまでのノエルの物語が綴られている。



●余談

本作の副題である「いづれ滅びゆく星の煌めき」は、同人時代公式サイトで発表されたインスト楽曲から来ている。


只『絵馬に願ひを!』を扱った『Sound Horizon Around 15周年記念祭』の千秋楽プレミアム配信版の前説と配信チケット早期購入特典の音声ドラマに、なんとRevoから依頼を受けた市蔵が登場(他の前説・音声特典キャラは『絵馬』世界の一般人)。
世界間の関係性は依然不明だが、彼の語りや音声特典でのRevoとの会話では、「事務所の経営が厳しい」「リマスター版に未完成デモ音源をシークレットとして仕込んだ(ノエルが知ったら自分達がぶん殴られそう)」(意訳)等、ノエルの身に「何か」があった事を暗喩するような発言が存在。
一方髪型がノエル似の「神社関係者」を見てもRevoから話を聞いていたこともあり普通に対応していたが、一応千秋楽プレミアム配信で本作の話があったとはいえ市蔵が絵馬世界に呼ばれたのは一体…。
ただ市蔵のCVと音声特典でRevoが「最終回の発売日」と発言していたことから見ると、ちょうど同時期に最終回を迎えた『進撃の巨人』合わせのメタネタとも見ることが出来るが、
その後『絵馬に願ひを!』フル版の楽曲『未来の主人公達へ』内で、ラップ曲として十文字青版『Roman』内のノエルの知人「栗木川」が手掛けた楽曲(スペシャルサンクスに十文字氏の名も記載)「サボるなSABOU!」が登場。
『絵馬に願ひを!』コンサート版では楽曲の一つ「月の廻る夜」にて参拝客の中にある声の一つが市蔵とRevoのもの(客として2人が登場)だとされていたという…。

只偶然かも知れないが、『絵馬に願ひを!』はノエルとは逆に右目を隠した黒髪の少女が、ノエル似の髪型をした謎の仮面の男と遭遇する所からスタートしている。





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  • 漫画版マリィのヒロイン感凄い -- 名無しさん (2019-01-09 14:11:44)

#comment

*1 JASRAC公式データベースでもこの表記である。
*2 意味は「空飛ぶ夜鷹」。デザインはRevoがリンホラの『自由の翼』用に発注した「Flying Freiheit」をベースにしている。
*3 小説版では大人の事情からか、チョコチップクッキーとぼかして書かれていた。

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