登録日:2016/07/03 (日) 10:29:53
更新日:2024/01/25 Thu 13:44:35NEW!
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漫画 ダーツ 施設 good!アフタヌーン マンガボックス 講談社 エンバンメイズ 迷路の悪魔 田中一行 賭けダーツ 百発百中はボーダーライン→試されるのは折れない精神力 イカレ揃いのプレイヤーたち メインは心理戦
―――アンタが今いる"ここ"―――
―――ここが行き止まりだ―――
エンバンメイズとは田中一行による漫画作品。
元は「good!アフタヌーン」での紙面連載であったが、後に電子書籍の『マンガボックス』に移行。
単行本は全6巻。
◆概要
裏世界でのダーツ勝負と、その最中で暗躍するダーツプレイヤー育成機関である施設の存在を探っていくのが大筋。
主人公を含めて個性豊かなダーツプレイヤーたちが登場するが、本作の大前提として登場するプレイヤーたちは極々一部の例外を除いて、
文字通りの意味で狙った場所に(それもミリ単位の誤差で数千回繰り返そうが)ダーツを必中させる技能を持っている。
故に一般的な当たるか当たらないかみたいなノリではなく、メインとなるのはお互いの精神力の競い合いと、
地下世界特有のバリエーションに富んだ特殊ルールの下で行われる試合の裏の裏まで読み合う心理戦となっている。
加えて行われた試合も全て根底はカウントアップ*1である上、そもそもダーツの基礎知識や用語の解説なども何もないため、「まったくダーツの参考にならないダーツ漫画」と言われることもある。
まああくまでもダーツを通した心理戦・頭脳戦がメインであるので、基礎からの解説は逆にノイズになってしまうのだが。
作風が作風なだけに登場するキャラクターたちは(主人公も含めて)どいつもこいつも頭のネジが何十本も吹っ飛んでるような連中ばかりなのも特徴。
◆主要登場人物
- 『迷路の悪魔』烏丸 徨
本策の主人公。黒スーツに高襟の赤シャツ、白いスカーフでばっちり決めた紳士スタイルのダーツプレイヤー。
が、裏世界の人間らしく残忍な内面を秘めており、他人が迷う姿を見るのが大好きだと公言する通称「迷路の悪魔」
その割に自身は極度の方向音痴で、下手すれば自宅の場所さえわからなくなる始末であるが。
加えて出自の関係で一般常識に疎く、パソコンなどの電子機器をロクに扱えなかったり、カブトムシを1000万円近くするとか思ってたり。
裏ダーツの世界では知る人ぞ知る超有名人であるが、相手を選びすぎて素直に試合を受けてくれない上、「何故か」一度試合をした相手と二度会うことがないため、神谷の様に実在を疑うプレイヤーもいる。
腕前はもちろん作中トップクラス。本作登場プレイヤーに共通する百発百中は当然、何と両手で同時に3本ずつダーツを投げてその全てが同じ場所を射抜くなど最早人外の域にあるレベル。
だがそれ以上に恐ろしいのが「迷路の悪魔」の通称に由来する言葉巧みな心理誘導であり、
数々の特殊ルールと相手の心理や性格を読み解いた上で超高度な揺さぶりをかけていき、相手が気づかぬ間に絶望のどん底へと叩き落す。
試合中に時たま見せる動揺や焦りは9割方相手を油断させるためのブラフであり、
その強固な精神力はダーツの腕前に並んでこれまた作中人物の中でも最上位。
対戦相手が手遅れだと悟った瞬間に言い放つ項目冒頭の一文はキメ台詞にして本作を象徴するワード。
対戦相手には容赦ない一方で、表世界の人間にはそこまで冷徹というわけでもなく、
第一話の依頼人である真琴が我を忘れて激昂した際には、正気に引き戻す言葉をかけるなどといった優しさも持ち合わせている。
また、己のプライドを傷つけられるのを相当に嫌うようで、それが長年のビジネスパートナーであろうと変わらない。
嘗て10歳から14歳までの4年間、施設と呼ばれる謎のダーツプレイヤー育成組織に所属していた過去がある。
ダーツの腕前は当時から最高レベルだったが、優等生ゆえに精神的に脆い部分があったようで、
卒業試験での出来事を未だに「自分が迷った証」として引きずっているほど。
その施設の出身者たちと対戦し、自分を苦しめた相手の正体を探るのも彼の目的の一つとなっている。
- 桂木 鈴音
本作におけるヒロインで世界的に有名なピアニスト。
黒髪ロングのスタイル抜群な美女であり、襟の長いセーターなど首下を覆った衣装を着ていることが多い。
その理由として彼女もまた烏丸と同じ施設の出身者で凄腕のダーツプレイヤーだったのだが、
卒業試験の最終課題に烏丸と共に挑み、「2人で1つ、命よりも大切な物を破壊せよ」という指令を受けた際に
将来は歌手として名を馳せたいという夢を捨て、躊躇うことなくダーツで自分の喉を引き裂いている。
それ以来声が出せなくなり、現在はスケッチブックによる筆談でコミニュケートを行っている。
烏丸ほどではないが彼女も一般常識に疎く、あと酒癖が壊滅的に悪い。
ピアニストとして活躍する現在も烏丸と親交があり、度々彼に呼ばれては試合を観戦している。
ダーツの腕前も衰えておらず、烏丸に挑発された際には彼からダーツをふんだくった直後に上空高くに放り投げ、
多数のご馳走が並ぶ雑多なテーブルの一角に置かれたケーキの、その更に上に乗っている一つのイチゴに3本全ての矢を突き刺すなど、
その腕前は烏丸に匹敵するものであろうことを見せつけた。
烏丸の実力を信頼しているからなのか、彼がどのような危機的状況に陥ろうが基本マイペースを貫いており、
精神面もまた烏丸と同様の底の読めなさを持っている。
一度黒幕の策略によって烏丸との試合をセッティングされる。その際の通り名は「歌姫」。
特別ルールの内容が悪趣味な処刑同然だったこともあり、事前の烏丸との取り決めによって意図的にルール違反を犯し、試合自体は実現されなかった。
- 絹守 一馬
「講談組」というヤクザの若頭にして烏丸と長年の付き合いがあるビジネスパートナー。
風呂上りの髪を下ろした姿は超絶的にイケメンである。
ダーツ賭博の胴元のトップとして名が知られており、ルールに従わない客は例え神であろうと屈服させると言い放つ冷徹さも持つ。
とはいえ、普段の物腰は丁寧で笑顔が眩しい紳士であり、ルールをきちんと守り味方である限りは寧ろ頼もしい人物でもある。
が、やはり裏世界の人間というだけあって敵対関係者や取立て相手には一切の容赦はせず、
袋詰めにしてボコボコにした相手に爽やかな笑みでドライヤーがどこかを尋ねたり、
情報を引き出すために目と鼻をテープでギチギチに覆った挙げ句にドライヤーを喉奥に突っ込んだりしている。
一度烏丸に指名されてタッグマッチを行ったこともあるが、ダーツの腕前は素人もいいところ。下記の剛堂とは違い、現実世界の観点でもまったくの素人。
が、その際の特殊ルールの裏を突いて無限にポイントを稼ぎ続けるという荒業を見せるなど、頭のキレと度胸、そして痛みへの耐性には凄まじいものがある。
手元が見えない機械を相手に実に386回も同じ傷口に針を通したその手腕は烏丸とは別ベクトルで異次元の領域。
他、烏丸の相棒として要所要所でサポートを行っている。
- 瀬戸 真悟
烏丸、鈴音が施設に一緒にいた頃に交友のあったダーツプレイヤー。
2人とは違ってダーツの腕前自体はそこそこでずっとBクラスであったが、
Aクラスの天才2人とも気兼ねなく接する親友と呼んでいい間柄。
しかし、表には出さないが自分と烏丸たちとの間にある絶対的な差を感じ、自分の未来を悲観する一面もあった。
施設の卒業試験の際Aクラスではなかった所為で、他の多くの生徒たちと同様に毒入りの食事を口にしてしまう。
動揺する烏丸に対して泣きながら「友達だと思ってくれてるならオレのことを見ないでくれ」との言葉を残し、そのまま生死不明となる。
- 剛堂 力
ギャングチーム「KING CONG」のリーダーで、「DEVILS BANK」というダーツバーにてイカサマと詐欺行為を働いているプレイヤー。
筋骨隆々の三つ編み弁髪、ドクロのアクセサリーやタトゥーなど如何にもなチンピラの風貌をしている。
短気で頭が悪い上にプライドも低く、清々しすぎて逆に部下たちから尊敬されてしまうレベル。
ダーツの腕前はリアル世界の観点で見ればそこそこのもの*2であるが、ミリ単位で百発百中がボーダーラインの本作世界では素人も同然なレベル。
相方のリクからも「ゴードーは飽くまでもウサギ用の餌」と言い切られてしまっている。
たまたま自分たちの店に迷い込んだ烏丸にイカサマ勝負を吹っかけるも、それを看破されてしまい敗北。
以降、リクと共に数少ない烏丸の友人とも呼べる間柄となり以降の試合は全て観戦に訪れている。
詐欺師ではあるものの義理堅い一面もあり、烏丸の実力にほれ込んでからは彼のことを兄さんと呼び慕うように。
また、バーそのものの経営は意外と真面目に行っているようで、パエリアのような手の込んだ料理も作れる。
- 柳田 陸
ギャングチームKING CONGの相談役でゴードーの相方。
背が低く、ゴードーとは頭一つ分くらいの差がある。
無口で無愛想な上に理屈っぽく、ゴードーとは対照的に部下たちの多くは彼に苦手意識を持っている。
ゴードーと共に詐欺行為にも一枚噛んでおり、バー備え付けの的に細工を施す実質的な指導役を担う。
ソフトダーツ用の的を穴に蓋をするというやり方で烏丸に外させるも、
たった一回外しただけで烏丸にイカサマを見破られ、刺さったダーツを抜き取る際にダーツの先端をわざと折り、
全く同じ穴に次のダーツを刺しこみ蓋をできなくするという超絶技で破られてしまう。
以降はゴードーと同じように烏丸の試合を観戦しにくるようになる。
ちなみに作中では一度も投げたことがないので、ダーツの腕前についてはまったくの不明。おまけ漫画で本人の方が先に投げられてしまっている
◆個性豊か(すぎる)なダーツプレイヤーたち
- 『冷血』神谷 総一郎
作中における烏丸の記念すべき最初の対戦相手。
はっぴぃファイナンスという企業の社長で賭けダーツの代打ちなども務めている。
しかし性格は外道そのもので、第1話の烏丸の依頼人である美作真琴の父親が借金の返済のために彼に代打ちを頼んだのだが、
代打ち両として1000万を要求した挙句に自殺に追い込み、真琴には払えなければ風俗送りにすると脅迫している。
過去には送迎車が子供を誤って撥ねてしまった際、自身に累の及ばぬよう運転していた部下に「轢き直し」を命じて殺害した挙句、その部下を解雇し自首させるといった所業も躊躇わず行っており、自分以外の人間の命を気にも留めない冷酷さを見せた。
ある病気にかかっており、5時間毎に薬を摂取しないといけない体質だったのだが、
そのことと烏丸との対戦におけるルールの穴を突かれ、
「烏丸が永遠に同点を取り続ける限り外に出られないし薬も補充できない」という局面に追い込まれてしまう。
そして負ける権利を烏丸から1億で買って試合を終わらせ、青色吐息で会場の外に辿り着くも、上述の件で恨みを買っていた部下の運転していた車からの追突を受けて重傷を負い、更に過去の意趣返しとして「轢き直し」をされる形で止めを刺されてしまった。
- 『自由人』空山 蒼治
己が自由であることに何よりも固執する異常者。
高額な金で釣った人々を監禁し点滴のみしか摂取できない状態に追い込むと、その不自由に苦しむ様を眺めつつ豪勢な食事を被害者の前で取ったりして自分1人が自由であることに快感を覚えるというイカレきった性格をしている。
(尤も、一定期間で解放し報酬も払っていたりするのだが)
彼の住むマンションは1棟まるごと彼の所有物であり、賭けダーツプレイヤーからは「国内唯一の個人刑務所」と呼ばれている。
烏丸との対戦ではその自由に固執する性格の裏にある「不自由に怯えているだけ」という本質を見抜かれ、
知らぬ間に不自由な選択をする方向に誘導された挙句、点数の全くわからない的を射抜かなくてはいけないという状況に追い込まれて敗北。
後日、絹守によって賭け金の回収のために処理された。
- 『恋人』華原 清六
赤髪アホ毛の優男で多数の女を侍らせている。
烏丸や鈴音がいたのとは別の施設の出身者であり、そのことを餌に烏丸との対戦を申し出る。
施設での経験から愛されるということに何よりも執着しており、
自分を慕う女性たちの前にワインボトルを投げ捨て、僕への愛を示したいならそのボトルをケツに突っ込めなどと涼しい顔して言い放つなど完全な異常者。
(しかも女性たちも女性たちで我先にと一斉にボトルに群がっていたり)
他にも特別視している鈴音の過去を烏丸の挑発に使ったり、女性信者に烏丸を刺し殺させようとしたり、
ダーツの試合でも女性信者を使ってのイカサマを敢行したりなどしている。
ただ、施設にいたころからの性質で、他人から愛されることの裏返しとして目に見えないものに怯えるという本質があり、
試合ではその点を見抜かれた烏丸によって絶対に勝てない状況に追い込まれてしまうも、
ダーツプレイヤーとしての矜持を捨てることはなく、その立場に殉じて壮絶に毒死した。
おまけページでは女性に投げ捨てたワインボトルを突っ込ませる前に飲んどけば良かったと後悔していた。
- 野々口 昇
空山戦で華原と共に観戦に訪れたダーツプレイヤー。通り名は不明。
19歳ながら小学校低学年くらいの背丈で、観戦の際は特別に踏み台が用意された。
語尾がカタカナになるなど特徴の多いキャラクターだったが、出番らしい出番は空山戦の解説役くらいで、
その後の登場は清六戦が終わった直後、何者かとの勝負に敗れたのか遺体を業者に回収される場面だった。
清六と同じ施設出身であることから実力は窺えるが、その腕前を見せることなく業者曰く「しょーもない理由」で最期を遂げてしまった。
- 『写し身』時盾 実&山田ロミオ
黒髪でベスト着用の寡黙時盾と、赤髪パッツンでパーカー着用のお調子者なロミオのタッグプレイヤー。
彼らもまた清六と同じ施設の出身者。
通り名が示すように2人で1人、一心同体を体現するコンビであるが、その執着ぶりは異常を軽く通り越しており、
「互いの経験、情報、更には苦痛すらも共有することで倍速の成長と完璧な共感を得られる」ということを信条としている。
初登場時はロミオが20代の女性と行為を楽しんだ後、直後に時盾が共有のために同じ女性と行為に及ぼうとし、挙句に嫌がる女性を殺害するなんてことをやらかしている。
烏丸&絹守とのタッグマッチの際にも特殊ルールによってロミオが手の甲を負傷した際には、直後に時盾が同じ場所に同程度の傷を負ったりもしている。
当初は自分たち優位に試合を進めていたものの、絹守の逆転劇の開始から一気に追い込まれ、
2人で1つ故に痛みを共有し続けた所為で、ロミオが気迫では補え切れないほどに腕を負傷していまい、
更に時盾が精神的に折れてしまったことによって敗北した。
- 『求道者』志道 都
くすんだ茶髪を後ろに纏めた虚ろな眼をしたダーツプレイヤー。後述する皆月司の部下に当たる。
「勝利には苦痛が伴う」というのが彼の信条であり、自身に訪れる苦痛に対して常に喜びを浮かべるという異端者。
現に司に自分が司と同格のプレイヤーである烏丸との勝負に差し出せる対価が無いとした際に、命を賭ける覚悟があるかと首吊り用のロープを出された際は、
自分の命に高値を付けてもらえたと号泣して喜び首を吊るということを平然とやってのけた。
烏丸との試合では当初、余裕綽々でロクに動き出そうともしない烏丸に怒りを覚えながらも淡々と点数を稼いでいたが、
途中から烏丸が両腕三本同時投げという絶技によって点差を一気に縮め始める。
しかし、そんな烏丸の曲芸を恥を受け入れるという苦痛を味わった上で、何と1時間の見よう見まねで三本同時投げを体得するという異常性を見せ付ける。
が、烏丸の張った「999台の的で最後の1台を隠す」という罠に嵌まって敗北する。
烏丸との敗北によって司に見放され、メッセンジャーとして再び烏丸たちの前に姿を現すも、
黒幕の采配によって生き延び、以降は烏丸たちの協力者の一人となった。
全てが終わってからは正式にゴードーのダーツバーの店員に就職。そのおかげでバーには彼の指導を目当てにした女性客が増加した。
- 『純粋』皆月 司
金髪ローポニーの無邪気な笑顔を浮かべた小柄なダーツプレイヤー。
実年齢13歳で常にペロペロキャンディやドーナツなどのお菓子を携帯している。
良い意味でも悪い意味でも見た目相応の子供っぽい無邪気さが表れており、
上述の都への行為に加え、素顔を晒せば消されると語る相手に対し、素顔見たさに自ら殺すという行為をやってのけたりする。
(しかもその相手の素顔をつまらないと吐き捨てた挙げ句に、死体をそのまま放置する)
彼もまた烏丸らとは違う施設の出身者なのだが、卒業試験で多くの生徒たちを蹴落として勝ち上がったことに対し、
実質自分が殺した他の生徒たちを省みることことなく僕は何て強いんだろうと感じたと邪悪な笑みで語っていた。
烏丸との勝負では特別ルールのゲストとして招かれた嘗ての自分たちと同じ施設の生徒たちを、
僕の対戦相手が苦しむからという超個人的な理由で無意味に殺していった上、
烏丸の企みの悉くを読みきって気持ちいいくらいに優勢に試合を進んでいたかに思われたが、
最後の最後で「ゲストの生徒たち全員を味方に付ける」という奇策にまんまと嵌まり逆転の末敗北。
試合後、生き延びたことに涙する施設生徒たちを前に項垂れ、全員見つけて殺してやると錯乱するも、
今までの蛮行に怒りが爆発した烏丸の鉄拳制裁を受けてそのまま崩れ落ちる。
以降の消息は不明だが、黒幕の言葉から察するに彼もまた敗者として処理されたと思われる。
以下、終盤のネタバレを含む。
- 老紳士
- ネネ
物語の全ての黒幕である兄妹。
巨万の富を巡っての対立の解決方法として互いの育てた一流の戦士を競い合わせるという方法のために、多くの施設を建造しては子供たちを拉致監禁し、一流のダーツプレイヤーを育てていった。
老紳士は施設を出た後ピアニストとして名を馳せていた鈴音のスポンサーでもあった。
また、上述したダーツプレイヤーのうち清六はネネの一番の持ち駒であったようで、
烏丸との直接接触時にも名前を呟いているなどその入れ込みようは本物だった様子。
現在は兄妹間の争い自体に興味は無くなっており、ネネは一流が戦う"美しさ"、老紳士は一流が抱える"苦悩"を見ることを目的にするようになった。
特に老紳士の方はその苦悩こそが枯れた自分の脳に情熱を注ぎ込み、自分を王として居続けさせると邪悪な笑みで語るほど。
老紳士は烏丸とその仲間たちを最終決戦の地へと招き、老紳士お抱えの最強のダーツプレイヤーとの勝負をセッティング。
自分の命すらも賭けの対象としてその勝負を観戦するも、老紳士の方は自分の快楽のためにイカサマを仕込んでおり、まんまと烏丸にそれを見抜かれて挙げ句にネネの妨害を受けて狼狽。
烏丸の勝利後、賭けを有耶無耶にして自棄になり部下に命じて烏丸たちを射殺しようとするも、毒入りダーツの直撃を受けて全身から血を噴き出しながら命乞いを呟きつつも絶命。
ネネの方もまた異常者ではあるものの「勝負の結果は決して捻じ曲げない」とし、外道であろうとも美学は必要という独自論を持っている。
惨めに死に絶えた老紳士を見下しつつも烏丸が勝利したために約束どおりに彼と仲間たちを解放し、施設の全てを解体した。
その際絹守に対して、「子供を監禁するような真似はもうしないが、美しい戦いはこれからも続けて欲しい」と語っている。
- 『羽化』瀬戸 真悟
老紳士が持つ最後の手駒にして最強のダーツプレイヤーの正体。
実は卒業試験の際烏丸や鈴音に食事を分け与えてもらい、自身の食事に仕込まれた猛毒を致死量に至るまで摂取していなかった関係で生き延びていた。
結果、右足が義足になり右目が異常な変色を遂げるも、老紳士が期待をかける程のダーツの腕前を得るに至る。
そのきっかけとなった毒物を入れた小瓶をお守り代わりとして常に首からぶら下げている。
最終決戦の相手として烏丸の前に姿を現し、自分もまた烏丸という自分に惨めさを植え付け続ける呪いから解放されるためにここにいると語る。
自分たちの過去を再現したという理不尽極まりない特別ルールを物ともせずに烏丸との点差を付けていくも、
その素直な人柄が仇となり、老紳士の仕込んだイカサマを見抜けずに烏丸に点差を逆転されて敗北。
その後、老紳士に毒入りダーツを投げつけて実質的に彼を死に追いやった直後、
烏丸を庇う形で老紳士の部下に全身を拳銃で撃たれて倒れ込む。
駆け寄る烏丸に「もう苦しくない、これはオレの花道だ」と語り、
それに対する烏丸の「本当はオレもずっと迷っていた」という言葉に笑みを浮かべつつ絶命した。
追記・修正お願いします。
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▷ コメント欄
- 今思うと、一つの競技かつ全員百発百中って実力で、よく6巻ももったな -- 名無しさん (2022-12-08 08:42:09)
- 黒幕妹が共犯なのにそこはスルーされて、やっつけてくれた良い人扱いは解せなかったな。駆け足エンドの呆気なさは否めないが、話のネタ的には失速する前に終われたし、ギャンブル系の隠れた良作なのは間違いない -- 名無しさん (2023-01-05 14:21:49)
- この作者絶対売れるだろうなとは思ってたけどジャンバクで売れてくれて良かったわ -- 名無しさん (2023-06-13 20:18:39)
- ある意味ジャンケットバンクに出て来てもおかしくないキャラの濃さ -- 名無しさん (2023-09-14 22:17:19)
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*2 烏丸・鈴音双方との対戦で共に1200点に達しているのでプロの世界でも通用するほど
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