登録日:2016/06/30 (木) 16:07:40
更新日:2024/01/25 Thu 13:43:43NEW!
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星新一 小説 短編小説 短編 ショートショート sf sf小説 愛の通信 遠距離恋愛 予言 宇宙人
どうして、こんなに女にもてないのだろうな
【概要】
「愛の通信」とは、星新一による短編小説である。
『悪魔のいる天国(新潮文庫)』などにSSとして収録されている。
星新一が大得意とする、宇宙人との交流を題材としたSF小説。
現在のネット恋愛の問題を予言した内容でもあり、星新一の先見性の凄さが見て取れる一品。
【短いあらすじ】
女性運がなく、その現状について悩んでいる男がいた。
だからと言って、その現状に諦めて絶望するほど馬鹿でもなかった。
彼は電波天文学と宇宙言語学を研究しており、『地球の女にもてないのなら宇宙で女性を探そう』という謎の発想に至る。
持ち前の知識を生かし、「どなたか、交際してくださる女性のかたはいませんか」とう電文を宇宙に向けてばらまいたのだった。
その甲斐あって遠い星の女性から返信が届き、晴れて男女は交流を行うのだが……。
【登場人物】
◇男
女性にもてないことをいつも悩んでいる男性で、この作品の主人公。
電波天文学と宇宙言語学という、宇宙に関する分野を研究しておりその方面の知識に優れている。
それが彼の人生観において仇となったようで、このような面白くない研究ばかりに熱中したために、女の口説き方などを記載した本を読んだりという努力をしなかった。
そのため、モテないのも仕方はないらしい。
作中でも、初見の女性の好意的な対応ですぐに愛情を抱いたり、感動でどもりながら喋ったりと女性慣れしていない描写がある。
だが、この事実に絶望して自殺するほど馬鹿でもない(原文ママ)らしく、恋愛観においてもポジティブ精神を見せる。
『宇宙のどこかには美しい女性もいるだろ』という、どこぞの漫画でも読んだかのような発想に至る。
そして、巨大アンテナから宇宙空間にプロポーズの文章を電波に乗せてばら撒くという行動を見せるのだった。
……彼に女性が惹かれないのは、研究に熱中していたからではなく、この斜め上の発想をする性格が原因な気がしないでもない。
確実に努力の方向性を誤っており、無駄に発揮される行動力や知識の使いどころを間違えている。
異性に縁がないからと自殺するほど馬鹿でもないのかもしれないが、間違いなく違う意味でバカである。
電波発信以後は、期待と焦燥に満ちた日々を送ることとなる。
すると、幸運にも宇宙空間に流したプロポーズ文章に対して好意的な返事の電波が送られてきたのだ。
自身の悩みに対する告白にも優しい対応して貰えたことで興奮を覚えた彼は、テレビ映像で自画像を送ってくることを要求。
この時、彼は『いくら心が優しくても緑色の触手でも持つような姿だったらこの愛情を保てるのか』と不安を覚える。
この悩みを抱える中、送られてきた画像も理想の姿だったので……。
◇女性
男が宇宙空間にばら撒いたプロポーズに返信を送ってきた宇宙人の女性。
寂しく悩んでいる方がいると知って、黙っていられなくなり返事を送った。
…作中でのプロポーズ文章は『交際してくれる女性はいませんか(要約)』という、寂しさまで感じるかは微妙な内容だが。
とは言え、宇宙にプロポーズ電波を発信するような奴は確かに寂しい奴と言えなくもない。
上記の通り母性的な感性に溢れており、返事からも謙虚な性格であることも読み取れる。
男の悩み相談にも同情してあげたりと、初見の相手にも優しい対応のできる女性。
外見は地球の女性と似ており、男から見た感想はむしろ地球人より優れた美女らしい。
輝くように白い肌・情感をたたえた目・優しく微笑みかける口元という、女性に求めたい要素全てが揃っている。
ペットとして、ピンク色の犬のような動物を飼っているらしい。
また、彼女の住む惑星は上品な家が揃う街並みであり、文明も優れているようである。
……ここまで読んだあなたは思うでしょ?『なんでこれが項目概要の「ネット恋愛の風刺」という紹介に繋がるんだよ?』と……。
【ストーリーの結末(ネタバレ注意!)】
映像で送られてきた女性の美しい外見を見て、思わず声を詰まらせる男。
彼は感動でどもりながら、テレビでは女性の手にも触れられないと悔し涙を流す。
そんな情けなくも見える彼を、女性は優しく慰めてくれる。
幸いにも、彼女の星は高度な文明を持つのか、高性能の宇宙船を持つらしい。
もし自分の申し出をはしたないと思わないのなら、自分のほうから男の元へ訪問したいと語る。
その申し出に夢じゃないのかと漏らしながらも、歓迎することを決める男。
男はその日から、足が地につかない日々を送ることとなる。
無重力の宇宙基地にでもいるような気分に陥る。
そして、「地球人の女性どもを見返すことができる」というモテない人間特有の歪んだ思いも抱えていた。
約束の日が訪れ、男は朝早くから身なりを整えて空港で彼女を待ち続ける。
結構な時間が経過したのか、「本当に来るのだろうな」と時計を見ながら呟けかけたその時。
巨大な宇宙船が静かに舞い降りてきて、高性能なだけあって大きいもんだなと感想を抱く。
何はともあれ、ようやく憧れの人に出会う場面となり、その手に触れることができる。
やがてその宇宙船は空港にその雄姿を横たえ、ドアを開いた。
開きかけたドアの陰に何かが見え、男はそれを「彼女はピンク色のオーバーの毛皮を着用してきた」と解釈する。
だが、それはオーバーなどではなく、彼女のペットの犬だった。
男の脳裏にはちらと嫌な予感がかすめ、それはたちまち現実となって眼の前に現れた。
彼の何十倍もあるその麗しの君は、地響きを立てて空港に降り立った。
それは、「あたしをまっていてくださった方は」という意味の声を、辺りに轟かせたのだった。
本当なんです。私は一度でいいから、アニヲタWiki(仮)の項目を編集したい。
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▷ コメント欄
- ブラックなオチを連想させる展開でありながらわりとしょーもないオチ、というのが個人的には好きな一作。「妄想銀行」に近いものがあるかも。 -- 名無しさん (2016-06-30 16:18:33)
- つまりこれは、映像どおりの女性だったけど、メチャクチャ巨大だったと。 -- 名無しさん (2016-06-30 16:21:41)
- 何十倍って事はマクロスのメルトランよりもでかいのか… -- 名無しさん (2016-06-30 17:43:27)
- 確かストーリーランドのアニメになってたはず -- 名無しさん (2016-06-30 19:08:53)
- 超弩級少女4946のファンとしてはこの展開はアリ -- 名無しさん (2016-06-30 19:38:22)
- 通信相手は犬で女性がペットかと思ったら縮尺オチとはw -- 名無しさん (2016-06-30 19:42:09)
- つまりこの女性と結婚したらおっぱいに挟んでくれそう。 -- 名無しさん (2016-06-30 19:51:02)
- 一部マニアには受けそう…あと項目を読んでいるうちに別の話で良かれと思った宇宙人が爆弾すら効かないペットを送ってきて地球が平和になる奴思い出した -- 名無しさん (2016-06-30 20:29:02)
- 最高じゃないか! 巨大美人、何の不満があろうか! ……人間の業って深いなぁ -- 名無しさん (2016-07-01 09:57:56)
- 巨女萌え的には何の問題もなく幸せなキスをしてハッピーエンドになるんだよなぁ・・・ -- 名無しさん (2016-07-01 10:22:11)
- まあ、それ抜きにしてもそんだけ優しくて美しい人なら……と思わんでもない。恋人同士は無理かもしれんが、長々と付き合えたらいいよね -- 名無しさん (2016-07-01 10:59:38)
- 愛の営みは無理かもしれんが、まだ色々と希望はあるよね -- 名無しさん (2016-07-01 14:25:49)
- 自然界にはチョウチンアンコウをはじめとする、メスがオスよりも大きい生物がいくらでもいるわけだし、ありなんじゃね? -- 名無しさん (2016-07-02 00:53:14)
- やはり身の丈にあった女性でないとな…(文字通りに) -- 名無しさん (2016-07-03 01:09:10)
- これ向こうからしても戸惑うだろ、人間視点だと犬ぐらいの小人だったんだぞw -- 名無しさん (2016-07-06 15:48:02)
- 数十倍と言うとウルトラマンたちと人間くらいのサイズ差か。風刺や皮肉と言うには毒が弱いと思うしサイズの差を乗り越えされればラブラブ展開もありそう。 -- 名無しさん (2018-08-26 22:10:10)
- 週刊ストーリーランド 人類最後の男 スズキ リオラが出てくる話であったよね。結末が一緒だし -- 名無しさん (2020-02-05 21:15:32)
- あさりちゃんの作者の描いた「すうぱあかぐや姫」でも似たようなエピソードがある。ヒロインが居候してる家の子が可愛い姿の宇宙のペットを注文したら、そのペットは3階建ての校舎より巨大だった -- 名無しさん (2021-07-05 15:19:25)
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