ファイアーエムブレムシリーズ

ページ名:ファイアーエムブレムシリーズ

登録日:2012/06/21 (木) 21:46:16
更新日:2023/11/21 Tue 11:12:07NEW!
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ファイアーエムブレム


てごわいシミュレーション


やり始めたら眠れない



+ 目次-


【概要】


『ファイアーエムブレム』シリーズとは、インテリジェントシステムズが開発し、任天堂より発売されているロールプレイングシミュレーションゲーム(SRPG)のシリーズ。略称はFE。


タイトルが非常に間違われやすいことで有名。
ファイーエムブレムではない。ファイアーエブレムでもない。
SNS等でファイーエブレムなどと記載すれば、即座に『エムブレム警察』がやってくるので要注意。(←のように表記するとこっちになってしまう)
ただし、発音する場合は公式でも「ふぁいーえぶれむ」となるのが初期からの通例。


シリーズファンは「エムブレマー」と称される。
特に、高難易度や厳しい条件下での縛りプレイに挑むものは「Mブレマー」とも。


同じく任天堂の人気作品である『大乱闘スマッシュブラザーズシリーズ』に本作のキャラクターが多数参戦しているので、作品やキャラクターの知名度はそれなりに高い。
プレイしたことない人でも、『ファイアーエムブレムのテーマ』を耳にしたことがあるという人も多いのではないだろうか。



【ストーリー・世界観】


作品によって差異があるが、中世風ファンタジーの世界で巻き起こる戦乱に、一国の王子・公子である主人公とその仲間達が立ち向かっていくというものが基本。


シリーズ通して魔法の概念はあるが、魔法によって利便化された技術やSF的な要素や銃器といったハイテクはまず出てこない、比較的泥臭い大河ドラマの色が強いのも特徴。
エルフやドワーフのようなファンタジーお約束の亜人種も一貫して登場しないが、竜と人の姿を使い分ける種族マムクートがほとんどの作品に登場し、一部の作品では獣に変化する獣人種族も登場する。


物語は一つの大陸を舞台とすることが多く、複数の作品間で同じ大陸を舞台にしているものもあれば、全く異なる大陸・異なる世界観の話である場合もあり、概ね1~2作品という短いスパンで世界観が一新される。
複数作品で共通して登場する大陸は以下のとおり。


+ 複数作品に登場する大陸・地域-

暗黒竜 紋章 アカネイア戦記 (外伝)


  • ユグドラル大陸

聖戦 トラキア


  • エレブ大陸

封印 烈火


  • テリウス大陸

蒼炎 暁


例外として、『覚醒』はアカネイア大陸の遥か未来が舞台とされた上で、覚醒以前に発売された全ての作品と関連性がある。



【シリーズの特徴】



個性付けされたキャラクター


「こ~たえ~など~、どこにも無い~♪」


     出
戦    会
い    い
  仲間


「仲間と一緒にどう戦うか」


FEシリーズの自軍ユニットは、それぞれ固有の名前やキャラ設定を持っている。
これは現代のシミュレーションゲームでは当たり前の要素なのだが、初代FEが登場した頃のシミュレーションゲームにおいて自軍ユニットは将棋やチェスの駒のような扱いであることも多かったため、その駒に“キャラクター性”を持たせた点で本シリーズは画期的だったといえる。


個性豊かな仲間と出会い、自分だけの部隊を作り上げていくのが本シリーズの醍醐味のひとつ。
任天堂発売のゲームにしては珍しく、初期作品からイケメン・美女・ロリショタキャラが満載であり、「萌えゲー」的な側面を持つ。
もちろん、ナイスミドルなおじさんや渋い魅力を持つ宿将も盛りだくさん。
魅力的なキャラクターの多さから、その手の作品が好きなおにいさまおねえさまにはシリーズ初期から人気があった。


後発の作品では特定の組み合わせを戦場で活躍させると支援会話が発生し、キャラクター同士の会話を楽しめる他、支援効果の上昇などのメリットを得られる。
支援会話によるキャラの掘り下げによってプレイヤーは各ユニットの素顔を知ることができ、ドラマ性と愛着が増していく要因にもなっている。


また、一部の作品(聖戦・覚醒・if)ではキャラクター同士の結婚が可能で、両親の性能を一部引き継いだ子供が登場する。
『if』では制約つきではあるものの同性婚も可能となった。



キャラクターの育成・強化


成     
長     喜
      び
 強くなる


「みんなどんどん強くなる」



FEシリーズは、同じIS開発のファミコンウォーズのシステムに「経験値」「武器」等のRPG要素を組み込んだゲーム性が特徴であり、『スーパーロボット大戦』などのSRPGと呼ばれるジャンルを開拓した祖とも言えるタイトルである。


戦いを経てキャラクターの能力は成長していくが、特に初期の作品では自由に遊べるフリーマップが存在せず、経験値や資金稼ぎを好きなだけ行えるようにはなっていない。
そのため、プレイヤーは限られた戦場と資源でどの仲間をどのように強くするか、悩みながら進んでいくこととなる。


キャラクターには武器を複数持たせられるが、「単純に強い武器をひとつ持っていればよい」というバランスにはなっていない。
本ゲームは武器ごとに相性関係がある(後述)ため強い武器を持っていても相性が悪ければダメージが与えられない他、それぞれの武器に耐久値が設定されており使い込むと壊れてしまうため、たとえば瀕死の敵にトドメをさすなら弱い武器に切り替えた方が強い武器の耐久値を温存できる。


テーマ曲の歌詞でも歌われる「てごわいシミュレーション」の名の通り、『オウガ』シリーズや『FFT』といった一般的なSRPGとは違って、若干敷居が高い。



キャラクターの死亡・消失


「あっ」
     別
会    離

な 「失った仲間とはもう会えない」


「さよなら」



FEシリーズ最大の特徴は、「一度やられたキャラは二度と蘇らない」という点。*1
これがドラマ性やゲーム性に大きく貢献しており、全員を生存させたままパーフェクトクリアを目指す王道のノーデス縛りや、仲間が死んでもそのままプレイを続行するノーリセット縛りプレイなど、様々なプレイスタイルを生み出している。


ただし、現代のFEシリーズは「てごわいシミュレーション」から「アニメファンやライト層にも親しみやすいSRPG」への路線変更が明言されており、最もテコ入れされているのがこの要素でもある。
具体的には、自軍ユニットがやられてしまっても死亡せず次のマップで復活する「カジュアルモード」*2が標準搭載されている他、いつでも自由に遊べる「遭遇戦」でユニットを好きなだけ鍛えることができるなど、攻略の難易度を下げ間口を広くする試みがなされている。


カジュアルモードについては従来のファンから苦言を呈されることもしばしばあり、実際に『新・紋章』発売当時のCMでは、麒麟の川島明と女優の仲里依紗がカジュアルモードの是非について語っており、古参ファンの川島が「一度死んだ仲間が生き返らないのが醍醐味」という趣旨の発言をしている。詳細は該当項目を参照。


一方で、キャラクターの死亡・消失が足枷となり、「他のゲームと比べて物語の幅を狭めている」という指摘もある。
実際、FEシリーズには多数の仲間キャラクターが登場しながらも、メインシナリオ上では主人公とその周辺の一部のキャラクターの会話のみで進行してしまい、死亡する可能性のあるその他大勢の味方キャラクターはストーリーに深く関われない、という事態も珍しくない。


このあたりの匙加減は作品によって様々で、試行錯誤ぶりが伺える。



武器の相性

に強く、に強く、に強い…というジャンケンのような三すくみの武器相性はシリーズ恒例。


これにより、育っていない自軍ユニットでも相性的に得意な敵ユニットを相手取ることで、こちらの被ダメージを押さえつつ敵を撃破することができる。


また、飛行している敵には弓などの飛び道具が特効であったり、重厚な鎧に対しては武器より魔法の方が通りが良いなどの例もある。
ひとつのユニットだけ育てていても相性不利な相手に苦戦してしまうので、さまざまなユニットを満遍なく育てていく必要があるだろう。


なお、作品によっては武器相性が存在しない場合もある。



クラス

戦闘に参加する敵・味方ユニットは『剣士』『盗賊』『アーマーナイト』『ペガサスナイト』などの様々なクラスに就いている。
クラスによって使用可能な武器が異なるほか、上がりやすい能力値もクラスによって決まっている場合がある。


クラスの中には馬に乗っているものや、ペガサスやドラゴンなどに乗って空を飛ぶものも存在する。
騎馬クラスは平地での移動力が高い代わりに、森などでは移動力が下がることが多い。屋内では馬に乗れないケースも。
飛行クラスは地形の影響や障害物を一切無視して自由に移動できる代わりに、「森にいると回避力が上がる」などのフィールド固有の有利効果が受けられない上、弓などの遠距離攻撃で大ダメージを受ける。
他に、盗賊は鍵のかかった扉や宝箱を無条件で開錠可能である(普通はアイテムの鍵を消費して開錠する必要がある)など、固有の能力を持っているクラスも存在する。


作品ごとにシステムはまちまちだが、ユニットを使い込んでいくと上級クラスに就くことができる。
基本クラスより成長率の補正や移動力が強力であるため、大幅な戦力増加となることが多い。



【シリーズ一覧】


ゲーム

タイトル発売年ハード備考
ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣1990年FC
ファイアーエムブレム外伝1992年FC
ファイアーエムブレム 紋章の謎1994年SFC
ファイアーエムブレム 聖戦の系譜1996年SFC
BSファイアーエムブレム アカネイア戦記1997年SFCサテラビューで配信された短編
ファイアーエムブレム トラキア7761999年SFC
ファイアーエムブレム 封印の剣2002年GBA
ファイアーエムブレム 烈火の剣2003年GBA
ファイアーエムブレム 聖魔の光石2004年GBA
ファイアーエムブレム 蒼炎の軌跡2005年GC
ファイアーエムブレム 暁の女神2007年Wii
ファイアーエムブレム 新・暗黒竜と光の剣2008年DS『暗黒竜』のリメイク
ファイアーエムブレム 新・紋章の謎〜光と影の英雄2010年DS『紋章』のリメイク
ファイアーエムブレム 覚醒2012年3DS
ファイアーエムブレムif2015年3DS
幻影異聞録♯FE2015年Wii Uアトラス開発のコラボタイトル
ファイアーエムブレム無双2017年Switchコーエーテクモゲームス開発のコラボタイトル
ファイアーエムブレム Echoes もうひとりの英雄王2017年3DS『外伝』のリメイク
ファイアーエムブレム ヒーローズ2017年Android,iOSソーシャルゲーム
ファイアーエムブレム 風花雪月2019年Switchコーエーテクモゲームスとの共同開発
ファイアーエムブレム無双 風花雪月2022年Switch同上
ファイアーエムブレム エンゲージ2023年Switch

ゲーム以外

タイトル発売年ジャンル
ファイアーエムブレム TCG2001年トレーディングカードゲーム
ファイアーエムブレム02015年トレーディングカードゲーム
ファイアーエムブレム 維新大乱2017年エイプリルフール企画

+ 補足説明-

特殊な位置付けの作品

シリーズ作品の中で、『アカネイア戦記』はかなり特殊な位置付け。
かつて「サテラビュー」で放送(配信)されていた短編作品であり、一時は半ば歴史から抹消されていた作品なので、その存在を知らないエムブレマーも多い。
『新・紋章の謎』にリメイクされて収録されているので、現在ではお話に触れること自体は容易。



独自性の強い作品

『外伝』と『聖戦の系譜』、『風花雪月』は「ファイアーエムブレムの皮を被った異色ゲーム」と呼べるほど独自色が強く、クラスチェンジの仕方や武器関連の仕様、マップ構成や機能などが従来作と大幅に異なっている。
とはいえ、いずれもFEファンからはシリーズ作品のひとつとして受け入れられており、「独特の要素が面白くて良い」「独自の要素がゲームの魅力を引き立てている」とプレイヤーからも好意的に見られている。



入手困難な作品

プレミア化しやすいシリーズでもあり、中古でもフルプライスがほとんど。定価の半額以下になる事はかなり少ない。
中でも特にGBA3作と『蒼炎』が高額で取引されている。


『聖魔』までの作品はバーチャルコンソールで全て配信されており、同作は3DSのアンバサ特典でも配信された。
しかし、もともとGCで発売された『蒼炎』、Wiiの『暁』に関しては容量やスペックの問題もあり、移植されるなら専用ソフトとしての再販は避けられないことだろう。



賛否の分かれる作品

長い歴史を持つシリーズの宿命故か、作品ごとに賛否が大きく分かれやすい。
特に批判の槍玉に挙げられがちなのは以下の作品。


  • 『聖魔の光石』
    ややボリューム不足かつ経験者から「ヌルすぎる」と批判されるほど難易度が低め
  • 『暁の女神』
    終盤のゲームバランスとシナリオに難あり*3
  • 『新・暗黒竜』
    新たに追加された生贄(事実上)仕様とキャラグラフィックが不評

『新・紋章』より導入されたカジュアルモード、プレイヤーの分身たる独自ユニットとして登場したマイユニットに関しても、主に古参ファンからの賛否が激しい。


また、『覚醒』以降は従来作品から大きく路線変更され、所謂「キャラ萌え」に比重を置いたライトな作風に変わったこともあり、こちらも古参ファンから批判されることがある。*4
しかし、この路線変更によって新規ファン層の開拓、ひいてはシリーズの存続にも成功したのもまた事実である。
売り上げの低迷からシリーズ打ち切りの最後通牒を突きつけられた状況で、『覚醒』は提示されたノルマの数倍という好セールスを記録し、FEというコンテンツそのものを救った立役者となった。
硬派や古参を自称する層の言うことばかり聞いていてもコンテンツは活性化しないという一例であろう。



コミカライズなど

原作の展開に則ったコミカライズ作品が複数存在する一方、オリジナル展開の多い個性的な漫画作品もある。
たとえば『封印の剣』の外伝作品にあたる『ファイアーエムブレム 覇者の剣』がその一例。


これは2001~2005年まで月刊少年ジャンプに連載されていた漫画作品で、少年漫画らしい王道展開と連載中盤以降の美麗な作画が評価されている。
『封印の剣』には本作の主人公のアルとその仲間の使った武器が登場したり、イベントで本作の再現ステージが配信されたりと、ゲーム本編とのつながりも多い。
また、連載中に『烈火の剣』も発売されたため、そちらに登場した一部のキャラも本作に登場している。



他作品への出演

豊富なキャラ資産のお陰で『大乱闘スマッシュブラザーズ』シリーズや『プロジェクトクロスゾーン2』に多数のキャラクターが登場している。



【主なクラス等の一覧】




【シリーズの「お約束」的要素】


+ ジェイガン-

ジェイガン

ゲーム開始序盤からメンバーにいる「最初から上級職で、かつ馬に乗ったキャラ」。
名前の由来は一作目でそのポジションであった老兵ジェイガンその人から。


初期ステータスが周囲の味方より高めな上、「ぎんのやり」など強力な武器携えているケースも多く、その場合最序盤の敵なら一発で確実に仕留められるほどの圧倒的な攻撃力を持つ。
いわゆるお助けキャラであり、「あの敵をどうしても確実に倒さないといけない」「あの敵からの攻撃を確実に受けてもらわないといけない」という状況下で頼りになる。


一方、最初から上級職なので雑魚を倒しても経験値の入りが悪く、さらに本人の成長力も劣悪で、作品においてはレベルを上げてもまるで成長しないなんてこともよくある。
ジェイガン枠のキャラに頼りすぎると他のキャラの成長がおろそかになるので、経験値のバランスを考えて起用する必要がある。


+ 赤と緑のコンビ-

赤と緑のコンビ

シリーズの伝統として、同じクラス、かつイメージカラーが「[[>マリオ]]と[[>ルイージ]]」という二人組のキャラがしばしば登場する。


ソシアルナイト系の騎士だったり、同じ主君に仕えるライバル関係である場合が多く、二人とも成長率などが優秀で叩き上げユニットとして強く育つケースが多い。
赤がパワー型、緑が命中/回避型に成長しやすいのも大半の作品の共通点。


+ キルソードを持った剣士-

キルソードを持った剣士

FEには「必殺が非常に出やすい」効果を持つキルソードという剣が登場するが、初期状態でキルソードを持って現れる剣士キャラもシリーズのお約束となっている。


キルソードの高い必殺率と、本人の優れたステータス(特に技・速さ)によって基本的に非常に強力なユニットであり、FEの花形。
この手のキャラは主に説得によって味方側に引き入れることになるのも共通している。


+ 最序盤のボス=斧を持った賊-

最序盤のボス=斧を持った賊

初代からの伝統。
主人公側のメイン武器=剣であり、斧を持った敵に対しては相性関係で主人公側が有利であるため、武器相性のチュートリアルも兼ねて導入されているものと思われる。
HPと攻撃力だけ高く技・速さ・守備は控えめなことが多い彼らは、戦闘のセオリーを学ばせる序盤の相手にうってつけなのだ。


大体、序盤で国や町を襲っている悪党で、その場に居合わせた主人公たちに容赦なく倒される。
プレイヤーが斧や斧キャラ=弱いという認識をしやすくなってしまう原因でもある。


+ アンナさん-

アンナさん

基本的に作品が違えば登場人物も世界観も違うというのがFEシリーズであるが、ほぼ全ての作品に共通して登場するのが『アンナさん』という女性キャラクター。


とはいえ、全てアンナさんは同一人物というわけではないようで、作品ごとに見た目や設定を変えて、様々なアンナさんが登場する。
ショップを開いていたりと主人公側のサポート役であることが多いが、作品によっては仲間ユニットとして加入する場合もある。アンナさんと結婚できる作品も存在する。



【てごわいシミュレーション】


なぜ『ファイアーエムブレム』が「てごわいシミュレーション」だったのか、その特徴を記載する。
ただし、記事内に再三書かれているように、FEシリーズは途中からライト層向けにゲームバランスが調整されているため、本内容が近年の作品に必ずしも当てはまるわけではない点に留意いただきたい。


+ ロスト関連-

ロスト関連

前述の通り、戦場で倒されたキャラクターは死亡、再起不能となり、以後使用不可能になる。
これは単純にそのキャラクターが使えなくなるだけではなく、

  • 持っていた装備品も一緒に消える場合がある。
  • そのキャラクターにしかできない作戦行動に支障が生じる。
    • そのキャラクターだけが入手できるアイテムが入手できなくなる。
    • そのキャラクターで説得しなければ仲間にならないキャラが自軍に加入しなくなる。

…と言ったゲーム進行に著しく支障が生じる仕組みになっている。


一応、作品によっては蘇生手段もあるが、ものすごい大金または一点物のアイテムが必要だったり、蘇生できるのは終盤だけだったりと、頻繁に利用できるものではない(特に後者になると利用価値もあまり無い)。
更に、作品によっては持っていたアイテムは復活しないので蘇生させたがただの人間になってしまったなんて事も起こりうる。
(物をよく落とすおじいさんや最強幼女とか)


ビギナーに対する敷居を考慮すれば、ロストが発生しないカジュアルモードの導入も決して否定されるものではない。
それに加え、カジュアルモード導入前後の『新・暗黒竜』『新・紋章』に導入された補充兵、『覚醒』以降で実装された追加ユニット(「魔符」など)といった救済措置もあり、開発としても「キャラロストというシリーズの伝統」と「ライト層でも遊びやすいゲームバランス」との間で試行錯誤している様子が伺える。


+ 仲間の加入-

仲間の加入

「でも『FE』って仲間キャラいっぱい居るじゃん。
一人や二人死んだくらい、どうってことないんじゃないの??」
と思う未プレイヤーも居るかもしれないが、この考えは甘いと言わざるを得ない。
特に初期の作品では、その“いっぱい居る仲間キャラ”が全員無条件で、かつ自動的に自軍に加わってくれる事は基本的にかなり少なかったのである。


『FE』の基本的な仲間の加入方法は、

  • 初期メンバー、シナリオ進行による強制加入
  • 村の訪問
  • 特定キャラによる説得

…のいずれか。作品にもよるが、「てごわい」とされている所以は、多くの作品で後者2点が大半を占めているため。


中でも『説得』はかなり骨が折れる作業となる。
説得は、敵または第三勢力として登場したユニットに対し、特定のユニットで近づくと行うことができるのだが、

  1. そもそも、対象のキャラクターを説得できる仲間を出撃させなければ、説得そのものが行えない。
  2. そして、説得するキャラと説得されるキャラの両方が倒されないようにステージを攻略しなければならない。''

という2点が難易度を上げている。


一見簡単そうだが、説得できるキャラを知っていてかつ出撃させなければそもそも説得できないし、説得要員が育っていない場合、雑魚の攻撃であっさり死ぬので説得が困難な場合もある。
基本的に説得要員はノーヒントだが、作品によっては説得キャラが誰かを示唆する台詞や会話が追加されていたり、出撃画面で確認できるようになっていたりする。


また、説得対象は説得するまでは敵であることが多い*5ので、「説得しようと近付いたキャラを攻撃し倒してしまう」とか「他のキャラに戦いを挑んで返り討ち」等という悲喜劇が頻発する。このバカ兄貴め。
「知り合いのユニットには攻撃してこない」なんて設定がされてる事は非常に稀*6
ようやく説得し、仲間に加入したとしても、今度は周囲の敵ユニットから袋叩きにあって死亡…なんて事も起こりうる。


なお、これらはカジュアルモードでも避けられない問題である。
カジュアルモードでは味方ユニットが倒されても死亡扱いにはならないが、そのマップから撤退はしてしまうので、説得要員が倒された場合、説得を諦めるかリセットするしかなくなる。
また「倒されても死亡扱いにならない」というカジュアルモードの仕様が適用されるのは自軍ユニットに限られるため、説得対象の敵キャラが倒されるとやはり死亡してしまい仲間にできなくなる。


さらに、説得で仲間になるキャラでなければ説得できないキャラが居たり、特定のキャラでなければ入手できないアイテムや進出できないステージがあったりetc…


…と、1人の死がその後に続く有力なユニット達やアイテムとの多くの繋がりも同時に断ち切ってしまう危険性が高く、結果として自軍にとって大きな戦力減に繋がってしまうのである。
敵の戦力に追いつくだけの育成すらも無駄になるのが、特に途中参戦の仲間が心細くなる高難易度ほど致命的になる。


村の訪問に関しても、一見簡単そうだが大抵のマップでは村を破壊する盗賊なども出現するので、進軍を急がないと加入チャンスを逃すことになってしまう。


前述のとおりロストしやすいゲーム性で仲間の加入も困難……と、本シリーズの特徴を顧みれば、没個性やアイデンティティの崩壊と呼ばれる補充兵の存在もやむなしとも……。


+ キャラのランダム成長-

キャラのランダム成長

FEにおいては各キャラクターに成長率というものが設定されており、これによって同じクラスのキャラでも成長していくとパラメーターに個性が生まれてくるのだが、ゲーム内において成長率を確認する手段は無いので、育てるキャラを間違えると悲惨な結果に終わるのは初期の作品のお約束。


分かりやすい例では、いわゆるジェイガン枠と呼ばれる「最初期から加入し、しかも上級クラスに着いている老兵」が挙げられる。
彼らは初期ステータスが高いかわりに成長率が低いことが多く、育ててもあまり意味がないユニットなのだ。


後年の作品では成長率の露骨な格差は廃されていたり、クラスチェンジを利用すれば成長率を調整できることがあるので、そこまでの惨事にはなりにくい。


しかし、原則としてレベルがあがったときのパラメータの成長は成長率に応じてランダムに行われるため、絶対的な成長率の持ち主でない限り、たとえ成長率が高いと言われるキャラであろうと、プレイヤーの運が悪いとレベルを上げても全く能力が上がらず悲惨なステータスになってしまう。


この鉄則に対する例外は非常に少なく、今日に至っても固定成長モードについては、色々と特別な『無双』と『ヒーローズ』の基本仕様以外では『蒼炎の軌跡』、『エンゲージ』の隠しモードとしてしか実装されていない。
ガチャゲーである『ヒーローズ』も個体ごとにどのパラメータが得意・不得意であるかを仕込むという形でこれを再現している他、『無双 風花雪月』ですら、兵種変更の成長率変化が再現されたためランダム成長に戻っているとかなりの徹底ぶりである。


余談だがファンの間で、上がったレベルに対しユニットのステータスが想定より低くなってしまう事象を「ヘタれる」と表現される。
また、レベルアップ時のステータス上昇の“ピン!”という効果音にちなんで、2つのステータスが上がれば「2ピン」、3つ上がれば「3ピン」などと言われる。


+ 限りあるアイテムと軍資金-

限りあるアイテムと軍資金

FEシリーズの大半の作品では武器に耐久値が設定されており、使い続ければ壊れて消滅してしまう
どんなに強いキャラでも武器がなければ戦えないし、回復などのサポートもできなくなってしまう。*7
当然、一品ものの強力な武器は気軽に使えないし、弱い武器で倒せる相手に強い武器を用いるのも無駄に耐久値を消耗するだけで非効率になるので、よく考えて武器を持たせる必要がある。
耐久値が存在せず無限に使える武器もごくごく一部あるが、主人公の専用装備であるとか、使えるとしても終盤以降のごく僅かな間のみという制約が付いて回る。
それでいて敵側は耐久値を気にする必要がないので、強力な武器も中盤あたりから遠慮なく使ってくる。


そして、これらの物資を購入するのに必要な資金もまた基本的に有限
入手手段も、村を訪問して何らかの行動を起こしたお礼として貰ったり、宝箱から入手したりなど、プレイヤーが能動的に介入しなければ取得できないものが殆どである。
一応、作品によっては闘技場で稼いだり敵に援軍を呼ばせてゴールドを略奪したりするという手段が取れる場合もある。
が、そういった作品にしても常に金策が行えるようにはなっていないことが多く、金策ができたとしても仲間の死などのリスクがつきまとう。


また、作品によっては後戻りのできない各マップにショップがあり、そのラインナップにバラつきがあるという初見に優しくない仕様となっている。
「欲しい武器があるが、お金がないから今は我慢」→「次のマップでは売ってない」なんて事が頻発する。
また、適当に武器を購入した結果「使えるキャラがいないのに買ってしまった」、「結局使わない武器だらけで輸送隊がパンクした」なんてことも起こりうる。
そのために先を見越した物資確保や資金運用が求められる。


さらに、各キャラが持てるアイテムの上限数も決まっているので「誰に、何を」持たせるのかも考える必要がある。


なおこれらの特徴は初期作品が顕著で、後発の作品では調整されていることも多い。
代表的な救済措置は、いつでも自由に遊べるフリーマップ(遭遇戦)の存在で、好きなときに何度でも挑んでレベル上げと金策を行うことができる。


+ マップギミック-

マップギミック

FEシリーズはマップギミックも凝っており、これも難易度を上げる要因となっている。


《敵の増援》
敵の増援は基本的に事前情報無しである。
あったとしてもそれを示唆する会話がちらほらあるくらい。
そのため、「あらかた倒し終わったと判断して進軍した結果、嫌な位置から出てきた増援に殺られた」というケースも多々ある。


一応、増援が出現する場所は「城の入口」とか「階段や砦」等といった増援が出現しても不自然ではない所が多いが、中には「マップの端から湧いて出てくる」「特定の場所にワープしてくる」事もある。
こちらのスタート地点付近に現れる事もあり、弱いユニットを放置していると地獄を見る。
挙句''ごく普通の民家からラスボスに匹敵する強さの敵が出現し襲いかかってくる''という恐るべき初見殺しも。


後年の作品では、そんな初見殺しの源である「増援が出現したターンに即行動する」という仕様が難易度ノーマルに限り撤廃されていることが多い。



《索敵マップ》
シリーズ作品には、夜間の戦闘であったり、マップ全体に霧が発生しているなど見通しが悪い状況で戦うこともある。
その場合、自軍ユニットの周囲数マスにいる敵ユニットの情報しか把握できない『索敵マップ』がしばしば登場する。
初登場の『トラキア776』では地形も把握できない深夜仕様。


前述の通り、キャラロストの恐怖が付き纏うこの作品において、どこから敵が来るかわからないという状況は恐怖そのものである。
オマケにこういう状況でも宝を狙ったり村を襲ったりする盗賊が出現するので「待ち」の戦法が許されず、進軍を強要されがちになる。
かと言って迂闊にキャラを進めると、視認範囲外の敵とぶつかって「!」の表示と共に強制的に待機状態にされて取り返しのつかないことになる。


一方、敵はこちらを通常通り把握しており、霧や闇夜の中から的確にこちらを攻撃し、挙句遠距離魔法や状態異常の杖なんかをガンガン使ってくるチート仕様。ずるい。
こちらも「たいまつ」「トーチ」や盗賊で視界を広げる事ができるので、これらを駆使して少しでも攻略の手助けにしよう。



《城内戦/ダンジョン》
城内や遺跡のようなダンジョンなど、屋内の戦闘では単純に進軍するだけではなく、閉まっている扉を開けたり宝を回収したりするのも重要になる。
これは敵側も行ってくるので、宝を狙う敵の盗賊を倒しながら迅速にアイテムを回収したり扉の開錠をする必要がある。


扉の開錠などは基本的に盗賊クラスに就いている仲間ユニットの出番であり、盗賊の護衛も重要なポイントである。
しかし盗賊だけでは攻略が厳しいステージもあり、事前に鍵を購入して他のユニットが開錠を頑張らなければならない事も。
場合によっては敵の盗賊にある程度鍵を開けさせて宝を盗ませ、逃げていくところを襲いかかり力づくで奪い取るなどの作戦も考えられる。


また、一部の作品では屋内での戦闘において騎馬ユニットは下馬して戦う必要があり大きく弱体化するので、盗賊のこともあいまって屋内戦用のメンバーで挑む必要がある。


さらに、ダンジョンや遺跡では罠が設置されていることもあり、迂闊に進軍するとダメージを受けたり罠にハマった挙句、敵に袋叩きに遭うこともあるため、より慎重な進軍が必要になる。
仕掛けの大体は盗賊で解除できる。実用性はともかくとして。


上記のような要素自体は他のSLGにも見られるので、『FE』だけの特徴ではない。
ただし、それらが折り重なることでFEシリーズは絶妙な難易度・ゲームバランスへと昇華されており、プレイヤーの心理に巧みに働きかけてくる。


  • 仲間キャラは全員加入させて誰一人として死なせたくない!
  • ロストのリスクはあっても、好きなキャラクターを育てて戦いたい!
  • 山賊から村を守りたい!お宝もすべて回収したい!

プレイヤーはこういった感情を無意識のうちに刷り込まれ、ちょっとした縛りプレイややり込みプレイへと発展することで、『FE』は「手ごわいシミュレーション」として成立しているのである。


後発の作品では、様々な救済システムやテコ入れによって初心者へのハードルも下がりつつあり、コアな層からは「最近のFEはヌルくなった」、「近年のFEは軟弱だ」という意見も見られる。
とはいえ、様々なキャラが織り成す燃える(萌える)展開、そしてプレイヤー自身の考える理想的なプレイを追求したくなるゲーム性は、『FE』古来からの特徴で、現在でもしっかりと受け継がれている。


ちなみに、より高難度を求めるコアゲーマー向けに、『封印の剣』からは高難易度モードが用意されている。
2周目以降の隠しモードであることが多いので、歯ごたえを求める人は頑張ってみよう。
「手ごわいシミュレーション」の異名は伊達ではないのだ。



【余談】


初代PSで『ティアリングサーガ』という『FE』によく似たゲームが発売されたが、これはFEの産みの親である加賀昭三氏がISを辞めた後、制作したもの。
当初は『エムブレムサーガ』というタイトルを名乗り、FEと関連性を持たせる予定だったが、そのせいで任天堂から著作権侵害で訴えられる事態に。
裁判結果は大雑把に言えば「作者が同じなら似たゲームになるのは当たり前」「けど勝手にシリーズ作品を名乗るのはダメ」という感じ。
そんなわけで既存のFEシリーズ作品との関連性を匂わせる要素は撤廃されつつも、ゲーム性やストーリーの雰囲気などはFEそのもの、という作品として世に出ることとなった。
この件はゲーム界全体でも珍しい裁判事例となり、法曹界でもわりと有名。
ゲームそのものはPSのSRPGとしては屈指の良作でありファンも多いため、開発や容量の関係で削られた要素を加えた完全版を待つ意見は数多い。


2015年末に発売された開発秘話本『メイキング オブ ファイアーエムブレム』でも、加賀氏に関しては話題に登場しても名前は一切出されないなど、未だに一種のタブーになっている。
そんなこんなで現在は、加賀氏の後を継いだ成広通氏が『FE』の産みの親として扱われている。
が、相次ぐ問題発言等からこれに反感を覚える古参ファンも多い。


一方、加賀氏のほうは『TS』発売後の2005年、PS2で『ベルウィックサーガ』という新作SRPG*8を開発・発売したが、こちらは(システム面のオリジナリティが増した結果やマスクデータの多さから)『アンサガ』・『ドラクォ』と並ぶPS2の奇作RPG(SRPG)で、『FE』『TS』以上に人を選ぶゲームとなった。
これを最後に氏は商業作品からは完全に身を退き、個人ブログで時折TSやBSの没設定などを綴った記事を時折書く以外、表立った活動は全く見られなくなる。


が、そんな日々の中で燻っていたクリエイターとしての血が疼いたのか、2015年頃から旧知のスタッフ・有志のボランティア等を募り、『ヴェスタリアサーガ』と題した新シリーズの製作に着手。
こちらはFEのシステムを模倣したゲーム開発ツールである同人ソフト「SRPG Studio」を使っているということもあり、デザイン的に『FE』および『TS』に近い作品である。
第一部は2016年に完成、以降も外伝および続編の製作・配布が続けられている。
なおTSでの裁判沙汰が余程トラウマになっているのか、あくまで非商業の同人ソフトであり募金等を含めた金銭のやり取りは一切行わない旨、また他作品と関連付けて話題に出すことを厳しく禁じる旨を再三に渡って表明している。





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*1 初期の作品では貴重なアイテムとして蘇生手段が登場することもある。
*2 ただし、あくまで「死亡しない」だけで、クリア後の最終評価が存在する作品では敗北回数でしっかり減点される。また、作品の中にはコマンド実行時に結果が記録されるために、戦闘結果を見てからリセットしても記録に残ってしまう物もある。
*3 ヘルシングなどの作品で知られる漫画家・平野耕太が本作を批判したことで知られる。
*4 もっとも、旧作も記号的なキャラ付けやキャラ萌えを意識したやりとりや展開は皆無ではなかった。
*5 近年では中立のキャラ、すなわち「プレイヤーは操作できないが、友軍扱いあるいは主人公・敵勢力のどちらにも属さない第三勢力のキャラ」も存在する。
*6 『封印の剣』でクラリーネに手出ししないルトガーたちぐらい
*7 例外として『外伝』、『if』、『エンゲージ』は武器・魔法の回数制限が撤廃されている。 また『紋章の謎』、『聖戦の系譜』、『トラキア776』、『風花雪月』のように耐久分を使い切ると「壊れた〇〇」になり性能が著しく下がるが使用を続けられる作品もあるし、『風花雪月』では「素手」のスキルを習得すれば武器を使わずに攻撃することも可能。
*8 一応『TS』の続編ということになっているが、実際には世界観もシステムも全く別物である。

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