軌間(ゲージ)

ページ名:軌間_ゲージ_

登録日:2012/11/11(日) 18:39:05
更新日:2023/10/30 Mon 12:14:05NEW!
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鉄道 軌間 線路 標準軌 馬車軌間 新幹線 ゲージ 広軌 狭軌



軌間(Gauge)とは、鉄道路線の線路の幅を示す言葉である。


☆概要


 鉄道車両は、その大半が二本の鉄の線路の上を車輪を回しながら進むと言うのは皆様ご存じだろう。しかし、もしその幅が場所によってまちまちだと、車輪が線路にかみ合わずに外れてしまい、列車が脱線してしまう。そのため、軌間というのは鉄道にとって非常に重要な要素となっている。


 だが、実は軌間には様々な種類が存在する。
 線路の幅を広くすれば車両は安定し、より高速運転が可能になる。それに伴い車両もより大型のものを使う事が出来る。一方で狭くすると車輪がしっかりと線路にかかり、勾配区間でもしっかりと進む事が出来る。建築費も安く、こちらを採用する場合もある。新幹線と在来線の車両の大きさを見れば、その違いが分かるかもしれない。
 また、これらのような利点以外にも、鉄道を持ちこんだ諸外国からのアドバイス、他の国からの乗り入れを防ぐという政治上の都合なども理由となり、世界には数多くの軌間が現れた。その中でも、世界で幅広く使われている軌間1435mm(4フィート8.5インチ)が「標準軌」とされ、それよりも広い場合は「広軌(こうき)」、狭い場合は「狭軌(きょうき)」と呼ばれる。つまり日本は世界的に見ると狭軌の鉄道路線が発達した国なのだ。


 ただ、前述した通り、線路幅が違うと車輪がかみ合わず、列車が走る事が出来ない。そのため、軌間が違う国々で国境を越えた乗り入れというのは非常に苦労を要し、車両をそのまま別の車両に積んだり、車輪を変えたりと様々な対策を取っている。フリーゲージトレインもその一つである。
 また、軌間そのものを変えてしまうという手段もある。後述の1676mm以外にも様々な線路幅が各地に混在するインドでは、現在それら全てを1676mmに統一する工事が進められている。日本でも軽便鉄道が国鉄(JR)と同じ1067mmになったという例は非常に多い。ただ、インドと同様に様々なゲージが混在するオーストラリアは現在もそのまま維持されている。一応大陸横断鉄道などは1435mmで統一されているので問題は無いようだ。
 なお、基本的にフィートやインチなどで定められたためにメートル法で表すとどこかキリが悪い数字が多い



☆主な種類

「◎」印は日本でも採用例がある線路幅。ただしロムニー鉄道やウェスタンリバー鉄道のような遊覧鉄道は除く。


・(3000mm)

かつてナチスドイツが計画していた鉄道網「ブライトスプールバーン」に採用予定だった線路幅。幅も広ければ乗せる車両の大きさも凄まじく、一階と二階が完全に分離されている超巨大客車が縦横無尽に走る予定だったとか。


・2140mm

 上記が実現しなかったため、今の所世界で最も広い線路幅となっている。かつてイギリスなどで採用されていた。線路の広さをとって高速運転でも車両が安定するように目論んだものの、技術の発展で普通の線路幅でも十分高速運転が可能となり、むしろ維持費がかさむなどのマイナス面が多くなってしまい、後述の標準軌(1435mm)になっている。


・1676mm

 通称「インドゲージ」という名の通り、インドで標準的に採用されている線路幅。他にもチリやアルゼンチンなど南米の鉄道網にも採用されている。また、アメリカのサンフランシスコを走る都市鉄道「BART」にも、強風時でも安定した運転ができるという理由でこの線路幅が用いられている。


・1668mm

スペインとポルトガルで採用されている広い幅の軌間。元はスペイン側は1672mm、ポルトガル側は1664mmだったが、相互直通に絡んで調整が行われた。ただしそれ以外のヨーロッパの国への直通はそのままではできないため、タルゴなどの軌間変換車両を用いている。
スペインとポルトガルがこの軌間を採用したのは、陸続きのフランスが鉄道を伝って侵攻してくるのを防ぐためだとか。


・1600mm

メートル法でもキリが良い数字。アイルランドやブラジル、オーストラリアで採用されている。


・1520mm

通称「ロシアゲージ」。その名の通りロシアを始めとする旧共産圏の国々で使われており、車両の共通化も図られている。かつてはサハリン北部にも貨物専用鉄道が存在していたが90年代前半に廃止。その後、現在は本線の規格向上のために後述の1067mmゲージから一気に幅を広げたこの線路幅への切り替え作業が進んでいるようだ。


◎1435mm

通称「標準軌」。欧州、アジア、アメリカ問わず世界各地で幅広く採用されており、日本でも大手私鉄や新幹線を中心に各地で見る事が出来る。詳細は項目参照。


◎1372mm

通称「馬車軌間」「スコッチゲージ」。
現在は世界的に見てもレアな線路幅だが、日本では東京近辺を中心に各地で採用されている。
というのも、日本史上最大級の路線網を持っていた都電が馬車鉄道時代にこの線路幅を採用し、それが受け継がれたために、そこへの乗り入れを考えた私鉄や、都電の電車を譲り受けた他の路面電車がこの軌間を採用したのである。
前述の都電の他に東急世田谷線、函館市電、京王電鉄(井の頭線以外)、そしてそこに乗り入れる都営地下鉄新宿線が代表的な例。
かつては京浜急行電鉄や京成電鉄もこの幅だったが、相互直通などに絡み1435mmの「標準軌」の採用に至った。
京王電鉄も都営新宿線との直通に向けて1435mmに改軌することも検討されたが、莫大な費用と長期工事期間中の輸送力を確保できない(後述の乗り換え工事の様な事が出来ない位乗客数が有った)ことなどから、結果的に都営新宿線をこの軌間で建設することになった。


◎1067mm

通称「サブロク軌間」。
JRのほとんどの在来線や各地の地方私鉄が採用している、日本における標準の線路幅。ただ世界的に見ると狭軌にあたり、高速化や大型化のネックにもなってしまっている。しかし一方で費用が安く勾配に強いという利点もあり、イギリス側が日本にこの狭い軌道を持ちこんだ理由ではないかとも言われている。
他にもインドネシアや台湾、南アフリカ、フィリピン、オーストラリアの南海岸側、ニュージーランドで標準軌間となっている。また、ロシア領のサハリンも日本時代の影響でこの線路幅だが、路線の改良と一緒に現在1520mmゲージへの変更が進められているようだ。


◎1000mm

通称「メートルゲージ」。メートル法でもキリが良い数字。
日本では一部の馬車鉄道や鉱山鉄道、ケーブルカーくらいしか採用例がないマイナーな線路幅だが、世界的に見るとかなり普及しており、タイ、ベトナム、マレーシア、アルプス山脈の多くの登山鉄道、チュニジアやスペインの都市鉄道など各地で見る事が出来る。車輪さえ変えれば日本の車両も簡単に走る事が出来る建築限界のため、タイやマレーシアではJRから移籍した車両が活躍している。


◎914mm

各地の地方路線や登山鉄道での採用が多いが、グアテマラでは標準軌道となっている。日本ではいわゆる「駒吉機関車」が走った九州北部に採用例が目立つが、最後に残ったのは本州の西大寺鉄道だった。ちなみにアメリカのディズニーランドの蒸気鉄道はこの線路幅である。


◎762mm

 通称「ニブロクゲージ」。日本では軽便鉄道、森林鉄道でお馴染みの線路幅。某奴もこれ。また、東京ディズニーランドのウェスタンリバー鉄道にも採用されている。


・760mm

 上記からほんの2mmしか違わない線路幅だが、オーストリアの地方鉄道での採用例が多い。


◎610mm

 サトウキビ列車や工場内の鉄道など産業用の路線で見られるが、それ以外にもインドのダージリン・ヒマラヤ鉄道を始めとする旅客鉄道も多く存在している。


◎508mm

 日本各地の鉱山鉄道でよく見られた線路幅。金属系に多かったようである。


・381mm

 観光用を除けば、世界で最も狭い線路幅。遊園地にありそうな小さな車両たちであるが、今も立派に通勤通学輸送をこなしている。イギリスのロムニー鉄道が代表的な例で、日本では伊豆の虹の郷で一部車両が活躍している。


・追記・修正mm

アニヲタwiki(仮)でよく見られる線路幅。


改軌工事

 線路の幅は上述の通り様々な種類が存在する。それが直通運転をする時や輸送力確保の時などに障害として立ちはだかる。そんな時に行われるのが改軌工事。
 やり方としては、レールを持ち上げて新しい軌間に固定する。手間としては新しく路線を建設するのと変わらず、日本では20年以上行われていない。


 列車を運休せずに改軌工事をやりきった京成電鉄は全線をいくつかの区間に分けて夜間の終電から始発までの間に工事を実施。工事・非工事区間の境目の駅では乗客に乗り換えてもらう方式を採用し、駅間距離の長い区間には仮設の駅を建設した。
 秋田新幹線開業に伴う田沢湖線の改軌工事は全線で列車を長期間運休させた。田沢湖線の乗客はバスで代行輸送させ、秋田から東北新幹線を利用したい乗客には北上線経由での迂回を案内した。この時の様子は水曜どうでしょうサイコロの旅で見ることが出来る。なお秋田から大曲までの奥羽本線区間は複線の片方を改軌しただけなので、工事期間中も列車はほぼ通常通り運行している。



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