Report of Living Dream

ページ名:Report of Living Dream

 

これらの全ては現在に至るまで観測された事象を統合した結果提唱された「仮説」群です。

新たな観測例によっては更新されたり、あるいは破綻が認められることもこれから多々あるでしょう。

貴方はここに記されたことに囚われる必要はありません。私達は新たな解釈を常に歓迎します。

-藍司優

 

前置き:夢界とダイバーの相関について


夢界について1「意識と夢界」


フロイト・ブレーンワールド(以下夢界)、ダイバー間では主に夢界と呼称される余剰次元は、1882年のドレアム博士の境界面発見をきっかけにダイブ事象などが連鎖的に確認され、1976年にその実在と私達の基底宇宙の直接的なつながりがホフマン博士著の論文である「夢界の実在」によって証明されました。この次元は一般に言うブレーンワールドと同様に、標準模型における素粒子の相互作用はブレーン上(次元世界面)に閉じ込められているものの、ある種の素粒子の組み合わせとも言える神経物質による作用のみが伝搬します。

これにより意識とは単純な化学反応ではなく基底宇宙と夢界の相互作用により生じる現象であることも証明されています。

この発見は魂の実在性を問う宗教などの思想と相反したり、あるいはその逆に思想を生み出すことにも繋がりました。具体的な例を取り上げるのならば、ホフマン博士は通念を否定された宗教テロリズムによって殺害されましたし、死者と有機的に全く同一な肉体と生前に相互作用していた夢界の座標を用意することによって連続した意識としての蘇生が可能であるという考えを元に「保管庫」と呼ばれる宗教組織が誕生したことなどが挙げられるでしょうか。


夢界について2「夢界の法則」


夢界内の物理法則についてですが、観測されている報告だけでも因果律・エントロピー増大・エネルギー保存則・素粒子の相互作用など私達の近代における重要な法則の殆どの破れが確認されています。これらは重篤なパラドクスを引き起こしうるものであるのにも関わらず、一定の秩序が保たれまた座標ごとに切り取った空間ごとで破れのある法則もまばらに異なります。

ここで言う座標とは概して神経物質の相互作用が伝搬する区域ごとであることが殆どであり、そのことから意識の作用によって夢界内で成立する物理法則は左右されているものであると考えられ、また、この作用が最も顕著に見られるのが人間のノンレム睡眠下であり、報告された夢の内容と夢界内に投影された事象が完全に一致するため、私達が見ている夢という生理現象は実際のところは夢界の観測と干渉そのものであると考えられます


夢現領域と修正力について


夢界は基底宇宙と繋がった余剰次元であるために、その境界面の強度を上回るだけの「穿つ作用」が起こされると、孔が開くことがあります。その場合、基底宇宙の我々がよく知る物理法則と夢界の異常な物理法則が地繋ぎで同時に存在することになり、このとき、夢界側の物理法則への上書が生じ、接触孔を中心に拡がるように空間の更新が行われます。

この夢界の法則に上書きされた基底宇宙の空間を夢現領域と呼びます。上書きされた側から再度、次には基底宇宙側の法則への上書きが生じ夢現領域は消失し元の空間へと還元されますが、基底宇宙側の上書きに釣り合うかそれ以上の領域を拡大させるエネルギーが用意されている場合、それが枯渇するまでは夢現領域は維持され続けます。

 

夢現領域状態のときに発生した構造物や改変は、還元された際に正常な物理法則で同様の事象が再現したように置換し観測されます(これを以下修正力と呼称します)。具体的な例を一つ取るのならば、例えば塩水の氾濫がある夢現領域で発生したのならば、還元後の基底宇宙では海水を巻き上げた竜巻や洪水の痕跡が観測されるようになる、など。

修正力の対象はあらゆる物理事象におよぶため、物理的な作用によって存在している記憶も当然その対象になります。このため、原理的には還元された空間では、夢現領域状態での事象は記憶不可能です。

しかしこれは裏を返せば夢現領域が維持されている限り永続的に改変を免れることができるとも言え、事実自身の記憶野など極小規模な範囲にのみ夢現領域を恒久的に生成維持し、夢現領域での体験の記憶を保持する人物の存在が多数確認されており、彼らのことを「改変の認識者」という意味合いでROM(Recognizer of modification)と呼びます。


ダイブ原理とダイバーの歴史の概要について


夢界と基底宇宙の境界面の孔においては空間が地繋ぎであるがゆえに、前述したような上書きを起こしつつも内容物の流出・流入も同時に発生します。そのため、十分な大きさの孔であれば人体が通過して直接向こう側へ移動することや、向こう側の物品を持ち出すことも可能です。これをダイブと呼びます。

先ほど述べたように孔はエネルギーの付与により修正力を上回る限りは拡大していきます。よって、瞬間的に通過に必要なサイズまで成長させるだけのエネルギーを用意することで、自由にダイブを行えるROMが発生していきました。これが今日でいうダイバーと呼ばれる存在です。

 

意識は夢界と基底宇宙間の相互作用に由来するものであるために、夢界の構造を左右することができましたが、逆説的に夢界の構造を変化させることで意識への影響を与えることもできます。投薬治療など、肉体的なアプローチで緩解しない精神疾患に対してこの手法は多くの場合極めて有効であり、ダイバーは特殊な臨床心理士としての側面を持つようになっていきました。

 

単純な物品の持ち出しだけであっても、(修正力の時間制限があるとは言えど)物理法則を破綻させる最早異能の領域であり、その上で他者への精神操作が容易に可能ですから、非ダイバーから見ればダイバーは大きな脅威になりえます。

ダイブへの理解と技術が進歩するごとにダイバー同士で互いを抑止する動きや、一般社会に夢界に関連する研究を隠匿する流れが高まっていき、最終的に多くのダイバーはお互いを監視するため、いくつかの組織に所属し管理されるようになりました。また、それらに迎合することをよしとせず、利己的な目的のために暴走していく集団も生まれました。

これが近代におけるダイバーとローグダイバーの派閥の始まりです。

 


想像力と「井戸」


ではダイバーの持ち出すエネルギーとはなんでしょうか?実のところ、それはわかっていません。

電磁力や重力、化学結合力に相互作用力などあらゆる力学的エネルギーとしての立ち振る舞いを見せるため、現代においてもいまだ統一的な見解が得られていないのです。ある学者は大統一理論のゲージ群に相当すると提唱していますし、またある学者は既存物理学とは全く違う現象を主観的観測で誤認しているとも言います。

ただ、少なくともこれを引き出せる人物の共通点は幾つかを見出すことができます。一つは架空の事象・論理などを組み立てるのに長けること、もう一つはそれを昇華させる情動を保有すること。つまるところ想像力が豊かであること、そして強い衝動を持つことです。

これらの概念は生ける夢に深く関連する項目であり、以後この論文においてはこの二つの要素を一括したエネルギー容量の概念をここでは「井戸」という比喩表現で仮称します。

 


予知夢と因果律


ダイバーたちがしばしば観測する、未来視の夢。現実の夢界への逆流を時制が曖昧であるために夢界からダイバーが受け取るのが基本原理と推測されてきましたが、必ずしも予知夢が達成されない例が観測される、つまり「未来が書き換わっている」か「予知夢の映像が誤っている」状態が成立していることになり、長らく未解決状態の謎でした。

しかしこれは、ユグドラシルにより分岐された可能性の宇宙の存在が証明されたことにより、「別の可能性の未来が流れ込んでいる」という解釈で説明付けられることになりました。

この解釈における私達の世界は決定論で運航していますが、決定要素に確率が含まれるために完全なラプラスの悪魔の成立は限りなく困難であると思われます。コイントスの出目は既に決まっていても、その全ての原因を突き止めることはできないわけです。

 

本筋:生ける夢とは


生ける夢とは広義には自我を持った夢のことを指します。もっとも、我々が自我の存在を確認できないことには認められませんから、基本的には何等かの方法で意思表示する能力を備えたものであることが前提であり、そのために何等かのアバターを備えます。

それは例えば喋る動物だったり、テレパシーする建築物だったり、機械音声のロボットなんかだったりします。これらの多くには、生ける夢が自己保存するための戦闘能力や中核部となるクオリア(後述)を持たせているため、本体的な扱いを受けることが多く、狭義の生ける夢はここを指します。

夢の内容の多くがそうであるように、狭義における生ける夢の持つ人格や性質はその大抵が、夢の主の記憶や欲求に由来しています。

生ける夢の存在は夢の主の持つ「井戸」によって維持されており、それらが高く維持される限りよりパワフルな存在として振舞えますが、夢の主の衝動や想像という担保を失ったとき定形を保てず溶けて拡散していきます。


用語全般


これを参照のこと。


 

 

 

 

 

 

 

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