夢を語るもの

ページ名:夢を語るもの

 

こんばんは、お嬢さん。そんな浮かない顔をして、何をお悩みなのでしょう?ああいえ、口に出さずともよろしい。実際のところ、私は既に全てを知っているのですから!

おおっとそう気味悪がらないで。安心なさってください、私はあなたの味方です。

そろそろお気づきになられましたか?そうここはあなたの夢の中、ここではあなたが王!帝!神だ!ならば私は執事。貴女に仕える誰よりも忠実な従者になりましょう。そして私はあなたにいつまでも夢の続きを見せることができます。

時計うさぎが潜っていった穴の向こうに興味はおありで?私にはそれができます。瞼を開いてベッドを降りて、それから食卓でトーストを齧り付く真っ最中でも。あなたが願うだけをずっと、ずっと。

 

私は決して多くの対価を求めたりしません。悪魔のように魂を求めたり、神のように信仰を求めることだってないのです。求めるのはただ一つだけ、この黒曜石を身に着けてもらうだけで構わないのですよ。

さあ願い事をどうぞ、夢では何もが叶う!なりたいものになることができる!

そんなものない?現状に満足している?なんと謙虚で無欲なお方なのでしょう!貴女にお仕えできて心から光栄です。

しかし嘘だけはよくありませんよ。最初に申しましたね、私は既に何もかもを知っています。

偽ることには意味はありません。それともあなたはあなた自身を欺こうとされているのですか?

それはもう、止めにしましょう。

 

「若い頃の苦労は買ってでもしろ」という言葉をご存知でしょうか?あれを口にするのは常に売る側です。

「傷付いた人は傷付いたぶんだけ優しくなれる」これも同じで、決まって傷付ける人間の言葉です。

大体、それが真実ならばそっちが勝手にそうしていれば何も起きやしないのに、そうは思いませんか?結局のところそれらは加害者が被害者を丸め込むための方便に過ぎません。復讐から逃れたいと、詭弁を弄するクズどもです。

 

復讐はあなたに与えられた権利で、娯楽で、義務です。因果応報の罰を与えることに何の躊躇いがありましょうか?

あいつらには四肢をもぎ、目を潰し、口を縫い、芋虫みたいに地べたを這いずらせるのがお似合いだと思いませんか。

あなたが満足したら、それから踏みつぶしてやればよろしい。なんだってできます、なんだってしていいんです!

 

神は常に乗り越えられない試練ばかりを人間に寄越します。だからこそ人は誰かと寄り添い合わねばならない。そしてその誰かは私で、そして私にとってはあなた。あなたはまだやつらに呪われたままだ、自分はこのような扱いが相応しい彼らの奴隷だと、そう洗脳されている。それでは搾取され続けるだけなんです。

この出会いを以て生まれ変わり呪いを解くんです。今日があなたの第二の人生の始まり、さあハッピーバースデイを歌いましょう!

 


あなたがこれから目を覚ましたら左手に握りしめられたものに口づけを。それが羊皮紙と羽ペンに代る契約同意のサインです。色よいご返事を心待ちにしておりますよ。

 

それでは、良い夢を。

 

 

 

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