私の信じる神様は
私の信じる神様は
審判の時が迫っている、と天使は言った。
恐ろしく長い時間を経て、いよいよ裁かれる時が来たのだ、と。
積み上げられた全ての者の功徳が、一つの手によって、ことごとく裁定されるのだ、と。
その表情は、縋るような畏怖と、成熟した狂愛の入り混じったものだった。
審判の時が迫っている、と悪魔は言った。
恐ろしく長い時を経て、いよいよ奴が顕現するときが来たのだ、と。
全ての者の罪が清算され、一つの手によって、否応なしに選別されるのだ、と。
その表情は、底知れない恐怖と、煮詰まった憎悪の入り混じったものだった。
かくいう自分自身、その時が迫っていることへの自覚はあった。
ただじっとしているだけでも感じる、ひりつく空気が肌を刺す。
抽象しがたい何かが確実に脈動し、その目覚めの時をひたすらに待ち望んでいる。
それが目覚めた時に、一体何が起こるのか?
それを考えるだけで、伝えようのない感情が産声を上げる。
身を悶える天使と、刃を研ぐ悪魔。
それぞれが抱く感情は別々のものでありながら、互いに共通しているのは、
その時が訪れることを心の底から切望していること。
それは自分自身にも、通じることだった。