仮想第25話:ガルナハンの春(中編):第十一幕B

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☆第十一幕:調律者動く(後編)



一方、所変わってガルナハンの一角ではいかにも訳有りげな黒服の一団がある男の到着を待っていた。


「着いたか。」


 黒服の長らしき男が呟いた。彼らが待っていた男は50代前半の初老の男、鼻の端から口の切れ目辺りにまでつながる長く深い老化皺(しわ)が特徴の男である。黒服の面々の放つ無言の圧力に屈する事無く男は黒服に訊(たず)ねた。


「お名前は?」


「カーシー=サー=マッカーシーだ。貴様の名は。」


「ジョン=ドゥ=フェダーラインです。以降お見知りおきをカーシー卿。」


「どうやら本人のようだな、ミスターフェダーライン。こちらへ。」


 そう言うと黒服の男はフェダーラインを路地裏の更に奥へと案内する。



「珍しいですね。普段なら電子通信で連絡するモルゲンレーテ社の方々が、今回はわざわざ迎えを遣(よこ)されるとは。」


 何気の無いフェダーラインの問いに対してカーシーは鼻で笑いながら答える。


「ええ。今回は今までのものとは違って”非常に重要なお話”ですからね。」


「『非常に重要なお話』ですか。面白い言い回しですね。オラクルの足りないパーツの投下地点や核動力の運用方法等、暗号化こそされていましたが見つかっては大変な代物も電子通信で送られていたはずですが?」


「ええ、何せあなたにとってはそんな事などよりもよっぽど『非常に重要なお話』になる事ですからね。」


 そう言ってカーシーと黒服の面々は一斉にどこからか銃を抜きフェダーラインの身体に射線軸を合わせたのである。


「なっ………これは………」


 動揺するフェダーラインに向かってカーシーが鼻で笑いながら喋(しゃべ)る。


「見て分かりませんか。上はあんたももういらないと判断したんですよ。今回の件でのローゼンクロイツ側の仲介者であるシーグリス=マルカはあんたが殺した。だがね、ローゼンクロイツ側の仲介者だけ殺しておけば十分などと考えたのは実はあんただけなんですよ。

いくら仲介者であるシーグリスを殺したといっても、モルゲンレーテ側の仲介者の情報が少なからず流れているのは道理。実際、上はあんたに全権を委任していたのにシーグリスというローゼンクロイツ側の仲介者を知っていたじゃありませんか。その逆の可能性を考え付かないなんて自分に都合の良い理屈が罷(まか)り通るとお思いか?

万が一ローゼンクロイツが検挙された際、奴らの口からあんたの事が出てくる可能性は十分にある。ならば、シーグリスを消したように、同じようにあんたも消しちまえばいい。つまり、この件は手を付けていただけで消される”スペードのクイーン(ハーツと言うゲームにおける最悪のカード。1ゲーム中の半分の失点がこれ一枚に詰まっているという凶札。)”だったって事ですよ。」


 自分の演説に酔うように嬉々として喋るカーシーを睨み付けるフェダーライン。しかし、睨み付けたところでどうなるものでもなく、遂にカーシーはフェダーラインへ向けた銃の銃口を。


「恨むなら我々ではなく、こんな凶札を配ってきた上を恨みなさい。それでは、さようならミスターフェ―――――」


 ヒュッ、ガツッ。銃弾がレンガの壁を刳(く)り貫く音を放つと共にフェダーラインは頭部の左右に赤いものを流しながらぐたりと倒れた。


「???」


 最初、カーシーは事の次第を理解できなかった。自分の使っている銃は多少口径が大きいとはいえ頭蓋骨を2枚撃ち抜けるだけの薬莢を持つものではない。そもそも、カーシーが狙っていたのはフェダーラインの”心臓”であり、”頭部”ではない。カーシーの部下が早まって撃ったのか。そんなはずも無い。何せ、彼らもフェダーラインの心臓を狙うようにカーシーが指示しているからである。

だが、現実にフェダーラインは脳天を撃ち抜かれてここに倒れ伏している。では、誰が。そんな事をカーシーが考えている内に謎の射手は次弾を放ってきたのであった。


「うっ!―――――」


 ヒュッ、ブジュッ、ガツッ。銃弾が脳味噌を貫通する生々しい奇怪な音と共にカーシーの部下の一人が脳漿(のうしょう)を撒き散らしながら倒れた。ここに至って部下達もこの異常事態にざわめき始める。左右を見回したり、死体となった仲間の姿に唖然としていたりする。そんな中で第三の風切り音がカーシーの右耳に炸裂する。


「がっ!―――――」


 ヒュッ、ブジュッ、ガツッ。カーシーがその耳を裂くような風切り音に反応して右を向くと、カーシーの右隣にいた部下の脳天に風穴が開いていた。当然即死である。子とここに至ってカーシー達は自分達の置かれている状況を明確に理解したのであった。


「くそっ!狙われている!全員、表にまずは逃げろ!」


 カーシーの言葉に部下達は我先にと路地裏から逃げ出そうとする。が。


「んっ!―――――」


 ヒュッ、ブジュッ、ガツッ。表へと逃げようとして先頭を駆けていた者がいきなり横倒れになる。それを隙と見て次鋒の者が先頭の者を飛び越えて表に逃げようとするが。ヒュッ、ブジュッ、ガツッ。同じように足を空にバタつかせながら一つの死体へと変貌する。


「くそっ!野郎、表に逃げようとしている奴を優先的に撃ってきてやがる!」


 部下の一人が叫ぶ。違う。それは相手の罠だ。カーシーには狙いが分かる。人通りの多い表という事実上の狙撃不可能空間に敵を逃がさない為に表に逃げようとする者を積極的に狙撃しているのである。この路地裏という閉鎖空間においてそのルールが判明してしまっては、閉じ込められた者達は動く事すらできなくなる。

確かに、表に逃げようとすれば逃げれる者はいるであろう。いくら早撃ちの狙撃手とはいっても脳天を精密に撃ち抜ける精度を有する狙撃銃を使っている以上はワイアット=ホープ(アメリカ史上最強とされる早撃ち保安官。)のように手でシリンダーを回転させながら流し撃ちできるわけなどないのだから全員が走っていけば、狙撃手はどれだけ急いだとしても3人殺せれば精一杯である。

だが、逆説的にいえば先頭を走る3人は確実に狙撃されるのである。走っていようが止まっていようがこの狙撃手が脳天を撃ち抜ける事は先ほどの2人の犠牲からも明らかである。先頭を走り他の者を救う為に自らの命を投げ出す勇士。その勇士が3人いなければこの死の路地裏を脱出できないのである。

10分でも考慮時間があったならば、彼らの中で全体の生存の為の一部の死の部分を担おうという勇者が登場する事も予想できただろう。だが、狙撃手はそのような余裕を与える事はしなかった。再装填が終わるなり次から次へと引き金を引き、そしてその数だけ頭部に穴の開いた死体を生産していくのであった。


 ヒュッ、ブジュッ、ガツッ。ヒュッ、ブジュッ、ガツッ。銃声のたびにカーシーの部下達は数を減らしてゆき、10発目の銃弾が鳴り響いた時にはその路地裏にいる生者はカーシーを残すのみとなっていた。


「くっ!」


 最早カーシーの思考は決まっていた。今までの狙撃のタイミングから敵の次弾装填までの時間はおおよそ想像できる。その時間は大体4秒。恐らく、2人連続して狙撃した時はあらかじめ装填してあったもう一つの銃を使用したのであろう。ならば答えは一つ。4秒でこの路地裏50mを駆け抜ける。100mを8秒。問題になどならない。まだ人の領域ではないか。カーシーは走り始める。

1.00秒、15mは走った。

2.00秒、30m以上、良いペースだ。

2.50秒、37m、若干遅れた、だがまだ十分。

3.00秒、42m、いける。

3.33秒、44m、後わずか6mだ。

3.66秒、47m、行け、行くんだ。

3.82秒、48m、もう少しだ、もう少しでこの地獄の一丁目から抜け出せる。

3.91秒、49m、見たか狙撃手め、後1mだ、俺の勝利だ、貴様の魔手から逃げ切ったぞ。

3.96秒、49.7m、勝った、俺は勝った、生還できる、この薄暗い世界から、太陽の当たる正しい世界へと、ああ俺は帰ってきた。

そして3.99秒、49.9mのところで風切り音が鳴った。カーシーにその音が聞こえていたかどうかは定かではない。そもそもそんな音が鳴るなどと予想していなかったのだから。だが、カーシーが認識しようとしまいと銃弾は音速を超えたスピードでカーシーの後頭部へと迫り、1枚目の皮膚と頭蓋骨を貫通すると、後ろから前方へ向かって進路にある脳味噌を軒並みぐしゃぐしゃにして突き進み、2枚目の頭蓋骨を皮膚を貫通して、額の真正面からカーシーを突き破り、その生命を絶ったのであった。



 カーシー以下黒服が全滅するまでの時間は1分にも満たなかった。だが、もし彼らに時間があったのならば、彼らは今回の事件を引き起こした最重要ポイントに気付く事ができたであろう。

不幸な事に、彼ら黒服は自らが狩猟者から逃走者へと配置換えされた混乱の為に気付いていなかったのであるが、実はこの黒服の死骸が並ぶこの修羅場において生者が一人いたのである。その生者は頭部の左右から赤いものを流して、否赤いもので染められているだけであり、皮膚と皮膚との間にある人にとって最も尊い部位を損なってはいなかったのだ。


「………どうやら、終わりましたか。」


 そう言って死んだふりを解いて立ち上がったのは全てが全て頭部に風穴を開けられた黒服の一人ではなく、一番最初に狙撃されたと思われたフェダーラインその人であった。起き上がるとフェダーラインは胸元から小型の通信機を取り出して誰かと通信を始めた。


「カロライナからチャーリーへ、カロライナからチャーリーへ、応答をお願いします。」


『カロライナへ、こちらチャーリー。敵は全て沈黙させた。狙撃したのは合わせて10人。1人1万アードだから支払いは10万アード。この前の仕事と合わせて未払い分は11万アード、月末までには口座に振り込んどいてくれよ。』


 通信を開くなり金の事に話を振る影の相方にフェダーラインは苦笑を禁じえない。


「全く、口を開くなり金、金、金とは。初めて会った時から変わっていませんね、あなたは。」


『俺の印象が捉えるあんたの像は初めて会った時から滅茶苦茶変わったぜ。最初はしがないおっさんのイメージだったけど、仕事に付き合っていく内に相手が気付かない内に息の根を止めちまう怖いおっさんのイメージに大変身だ。やれやれ、あんたと手を切る時が怖いぜ。』


「おやおや。気付かれてしまいましたか。全く、これではあなたを処分するのが一苦労です。敵を油断させて、寝首を書くのが私のスタイルなのですが、あなたにはそれが通用しそうにありませんからね。」


 無線機越しの声の調子が跳ね上がる。


『おいおいちょっと待て!あんた、俺が手を切ったら早速殺すつもりだったのかよ!』


「ええ。まあ、不本意な別れ方をした相手というのは男にせよ女にせよ大概後々祟ってくるものです。祟りには現世で祟ってもらう前に本来の住処であるあの世に帰っていただくのが私の作法ですからね。」


『おいおい。じゃあ俺は一生あんたの影をやってなきゃなんないのかよ。勘弁してくれよマジで。』


「何もあなたを絶対に殺すといったわけではありませんよ。互いが納得した上での別れなら、私もあなたを私を知る者としてこの世に生かす事に何の不安も感じません。それに、あなたの腕前も復調したようですからね。」


 復調とはシーグリス狙撃の件である。あの件だけ、この男チャーリーは即死させる事ができなかったのである。その後、フェダーラインも警察署内でシーグリスの死体を確認できた為、大事には至らなかったものの、完璧な狙撃を求めるフェダーラインとしては気を揉む点であった。


『復調?勘弁してくれよ。あの女の件は例外だ。心臓が右にくっついているなんて変人、俺は今まで知らなかったんだよ。あの女の心臓が普通に左にくっついていたら即死させていたさ。』


「そうですか。では次からは狙撃対象の心臓の位置もお教えしましょう。依頼主としての最低限の礼節が、また一つ増えましたね。」


『そりゃありがたい。実は俺、脳漿が苦手でね。殺すなら頭より胸ってポリシーがあるんだ。』



 と、ここでチャーリーは一呼吸置いてから声色を真剣なものに変えて話を始めた。


『まあ、そんな事はともかくよ。』


「なんですか?急に声色を変えて?」


『この黒服共の事だ。』


「黒服?ああ、彼らですか。彼らがどうかしましたか?」


『どうかしたかじゃねえよ。こいつら、ライヒの手先だろ?』


 フェダーラインは目を見開く。


『あんたが生き残っていて一番迷惑するのはライヒだ。何せ、あんたをモルゲンレーテに送り込んで連中を唆(そそのか)せたのはライヒだからな。連中はモルゲンレーテの狗らしい台詞を言っていたが、俺にはそうは思えないね。この黒服共の飼い主はライヒだ。』


「なるほど。貴方の言う事にも一理あります。ですが、まだ読みが甘いですね。彼らは間違い無く、モルゲンレーテが送り込んだ暗殺者です。ライヒ長官との繋がりは全く無いでしょう。」


 無線の先の声が荒れる。


『何でそんな事が言えるんだよ。確かにモルゲンレーテもあんたを殺す動機があるが、その動機の緊迫度でいったら―――――』


「”だからこそ”ライヒ長官は自らの手を汚さずに、私を殺せるんですよ。」


『はっ?』


 無線の先がぽかんとしているのが目に見える。


「ライヒ長官にとって私が最も危険である、至極正論です。モルゲンレーテも私を危険視している、これも正論。そして、私を殺す動機ならモルゲンレーテよりライヒ長官の方が百倍大きい、これは疑う事も無い正論です。

だからこそ、ライヒ長官は私を暗殺する為に自らの手駒を使わないんですよ。ライヒ長官は別ルートでモルゲンレーテの危機意識を煽ってやれば良い。モルゲンレーテも脛(すね)に瑕(きず)のある身、煽ってやれば私の暗殺に動くというわけです。かくして、ライヒ長官は自分の知らぬところで私を殺せる。自ら殺すよりその方が安全でしょう。

特に、モルゲンレーテが槍玉に上がった時に。何せモルゲンレーテは唯一の生き証人を自分で殺してしまっているんです。責任を擦り付けようにも”あのゲルハルト=ライヒ”が黒幕だでは、『どこかの殺人鬼が夫を殺した』と騒ぎ立てる保険金詐欺の主婦と同レベルですからね。」


『へぇ。自分は何も動かずに何もかもを使役させて事をしちまうとは、あんた以上に怖い奴だぜ。』


「ええ。ライヒ長官はとても恐ろしい人ですよ。あの人が実際に行った事を恐れている人も多いですが、それはあの人の恐ろしさの氷山の一角、いいえそもそもあの人の流儀からすれば汚点に近い部分です。

あの人の真骨頂は自分は表に出ずに自分の目標を遂げてしまう事。気付いてみればあの人の思い通り、いいえ大部分の人にはあの人の存在さえ見えてこないような事を起こしてしまうのがあの人の恐ろしさなのです。人を操り糸で動かすのではなく、人をその人自らの意志で動かす、それがあの人ゲルハルト=ライヒ治安警察省長官なのです。」


『ライヒの恐ろしさは分かったけどよ、じゃああんたは大丈夫なのか?仮にもライヒが狙っていた暗殺が失敗したんだぜ。あのライヒだったら追撃の刺客ぐらい送り込んでくるぜ。』


「そうですね。何せ私は、直々にライヒ長官と会った唯一の実行犯ですからね。モルゲンレーテがしくじったと知れば、明に暗に私を殺しにかかるでしょう。カーシー卿でしたかね、彼が言った通り私は『スペードのクイーン』を引いてしまったのかもしれませんね。」


『おいおい、あんた殺される気か?俺の給料は?』


「殺されるつもりはありませんよ。ただ、下っ端の暗殺者にしては的を射た表現だと感心していたまでです。荷造りを終えたらすぐにこのガルナハンから出ますよ。この時の為にわざわざカスピ海の海中に沈めておいた潜航艇の出番です。いずれこのコーカサスが戦場になる事は明白。そのドサクサに乗じて行方をくらまします。」


 最後にそう言ってフェダーラインは無線を切って、血の海と化した路地裏を後にした。翌日、2人組の男がガルナハンを出発したが、その事に気を止める者は誰一人いなかった。






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