仮想第26話:ガルナハンの春(後編):第十六幕A

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☆第十六幕:奇襲



スレイプニールの艦橋は突然の奇襲報告に慌てふためいていた。


「艦内にコンディションレッド!!ゴランボイ周辺、ならびにメディクス基地周辺に展開する全友軍に第一戦闘体制を発令!CIC(情報管制室)は近郊の全友軍との連絡システムを構築!ハンガーにある機動兵器は全て発進できるようにしろ!」


 スレイプニール艦長ヨアヒム=ラドルが矢継ぎ早に戦闘準備の指示を出してゆく。


「艦長!敵編隊はユーゴーセチア(現グルジア共和国北部にある自治共和国の地域)境を通過!このまま進めば1隊とはは8分後に会敵します!」


「敵はやはりピースガーディアンなのか!」


「バトゥーミ沖にてアークエンジェル級に似た航空巡洋艦が浮上したとの情報を得ています!確認できた機影も含めフリーダムブリンガーでほぼ間違いありません!」


「ならば腹を括るしかあるまい!対空モビルスーツ戦闘用意!ラインハルト(対空ミサイル)装填!イーゲルシュテルン起動!抜かるなよ!」


 そう強気の指示を出し続けるラドルではあったがそれでもやはり内心ではフリーダムブリンガーに恐れを抱いていた。


(一機落とすに際してあれほどの物量を要したフリーダム。それが6機、やはり頼みは精鋭のモビルスーツだが、果たしてどれだけ戦えるか。)




 一方のスレイプニールのハンガーでは機動部隊が発艦準備を整えていた。準備しているのはシンのダスト、大尉とシホのシグナス、ユーコとシェリーのエゼキエル、そして急遽取り揃えた中尉と少尉のダガーコンシューマ、合計7機であり、現在ゴランボイ近郊にて揃えられる最強戦力である。出撃に際して機動部隊の前線指揮官である大尉が全機に向かって通信でブリーフィングをしていた。


『敵は6機、恐らくフリーダムブリンガーだ。3機編隊で2個小隊、内1個小隊がゴランボイに、もう1個はメディクスへと向かっている。メディクスは元が防御用の軍事基地だ。しばらくは持つだろうから、俺達はこっちに来る3機を袋叩きにしてその後にメディクスへの増援に向かう事とする。

俺と中尉と少尉、シンとシェリーとユーコ、そしてシン。以上の3チームで敵の1機を叩く。特にシン、お前には一人で1機を受け持ってもらう事になる。頼むぞ。』


 画面の向こうでシンが頷く。大尉とシン以外の5人も作戦を理解したという合図で頷きを返してきた。


『大尉、カタパルト準備完了しました。いつでも発艦可能です。』


「了解した!こちら大尉、準備完了!発射頼む!」


 急激な横向きの重力が大尉の全身を襲うと共にシグナスは揚力を得るほどの速力を得て空へと飛び立って行く。


『こちら中尉。ダガーコンシューマ中尉機発艦準備完了しました。発射をお願いします。』


『少尉だ!ダガー行くぜ!』


 大尉から遅れて2機のダガーコンシューマが同じくスレイプニールより飛び上がる。2機と大尉のシグナスは編隊を組み1つのチームとなる。


『シホ=ハーネンフース、シグナス出ます!』


『シェリー=マドリガル。エゼキエル、発艦!』


『ユーコ=ゲーベル!エゼキエル行くよー!』


 続いて飛び上がったのは1機のシグナスと2機のエゼキエル、シホ以下の旧紅組三人衆である。


『シン=アスカ!ダスト、行きます!!』


 最後に飛び上がったのはリヴァイブのエース、シン=アスカのダストガンダム。そして、スレイプニールを発った7機の機体は真っ直ぐ敵のいる方向へと向かっていった。






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