◆登場キャラクター
斎賀 青利
如月 さき
サバンナキャット
斎賀 青利
[ カントーエリア 某公園 12:10 ]
サバンナキャット
[ 天気のいいお昼時。街中の喧騒からは少し離れたのどかな公園で、猫が昼寝をしている ]
……すぴー……すぴー……。
[ わいわいと球技に賑わう子供たちなど気にする様子もなく、呑気に寝息を立てている ]
斎賀 青利
( よう寝とるなあ )
[ その真横で、端末をいじりながら友人の寝息に耳を傾けて過ごす妙齢の女性が一人居た ]
サバンナキャット
[ 青い空の光を反射して、丸く光る鼻ちょうちん。大きく存在を誇張しては、また恥ずかしそうに縮んでいく ]
ふぴー…………すー……すぴー……。
[ ぱちんっ ]
[ 隣の女性の袖が触れ、突如割れてしまった ]
んう。
[ 目を覚ます ]
斎賀 青利
リアルで鼻ちょうちん膨らますやつ初めて見たわ。
[ 可笑しそうに見下ろしながら、彼女からのモーニングコールが猫耳を撫でた ]
サバンナキャット
ふあ……えぇ?鼻ちょうちんできてた?
[ 起きたばかりの寝ぼけ眼でも、それなりに意識ははっきりしているようだ。ヘラヘラと軽やかな笑みで返す ]
斎賀 青利
うん、写真撮りたいくらいに立派なのが出来とったで?
でもヤメた、シャッター音で起きそうだし。
[ あまり重要に捉えて居なさそうな彼女の顔を一瞥して、抱いた感想を告げる ]
サバンナキャット
えへへ、鼻ちょうちんなんて撮ってどうするのさ。
[ どうやら思っていた以上に滑稽な寝顔だったようだ。小恥ずかしそうに目を背けながらも ]
……でも、そんなに立派なのだったなら、ちょっと見てみたかったかも。
斎賀 青利
はん、だったら次見た時撮影してやるで。
[ 不敵な笑みを浮かべたまま、彼女は再び端末を操作していく ]
サバンナキャット
ふふー、ありがとう。
……ありがとう?
[ 自分の応答に少し可笑しさを感じるが、それすらも春の暖かな日差しに溶け流されてしまう ]
……すーー…………はぁーー…………♪
[ 今日の天気は、本当に気持ちがいい ]
如月 さき
ふふ〜ん♪
今日も良い天気で気持ちいい〜♪
[ 一方、彼女は5つ葉のクローバーが入っている手作りのお守りをカバンにつけて、軽くスキップしている ]
サバンナキャット
…………ふわぁあ…………ふぅ。
[ また、瞼が落ちて来始める。ぼーっと、目の前をはしゃぐ子供たちに蹴られているボールを目で追いかける ]
斎賀 青利
ようやるわなあ。
[ 対照的に無邪気に遊んでいる子供たちを、だるそうな目で見つめる ]
サバンナキャット
……んー。いい天気だしねー。
外ではしゃぐ気持ちもわかるよ。
今はごろごろしたい気分だけど。
[ その眼差しに活気がないことに気付くが、もうそれを見るのは何度目だろうか。彼女は既に、隣人の気だるげなスタンスには慣れていた ]
斎賀 青利
ウチもうあんなに騒いだり走ったり出来へんわ…
サバンナキャット
[ いつもなら友達を一緒にサッカーに誘うだろうが、青利相手にはそうしないのが最早普通だった ]
青利ちゃんがフレンズだったら、違ってたかもね?
斎賀 青利
ははっ、アニマルガールかあ
如月 さき
ん?そこのフレンズさん、なにしてるの〜?
[ サバンナキャットに話しかけるさきちゃん ]
サバンナキャット
んっ…………。
ん?あ、あぁ、私?
[ 意識を温もりの中に飛ばしていたため、突然話しかけられてから対応まで数秒かかった ]
えーと…………おひるねかな!
如月 さき
へーっ、確かにこのいい天気だと眠くなるかも!
あ、私はさき!よろしくね!
サバンナキャット
[ きっと、陽気でふわふわした好奇心で聞いてきたのだろう。特に嫌気もささず、にこにこと答える ]
えっ?うん、さきちゃんね、よろしくね。
[ いきなり名前を告げられ、少し戸惑う ]
まあ、えっと。その……眠くなるよね。
斎賀 青利
[ 友人が幼女に応対する中、ぽちぽちと端末をいじったままだ ]
如月 さき
うんうん!……となりお姉さんはなにしてるの?
サバンナキャット
……。
[ 真顔になる ]
[ 青利がこのようなケースを好んでいないことは、内心把握していた ]
斎賀 青利
[ 青利はちらっと少女を見て、ただ一言だけ口に出した ]
スマホいじり
[ そして、再び目線を端末に戻していく ]
サバンナキャット
( ……やっぱり。 )
[ 幼女に対して塩対応をすることに苛立ちは感じないが、やはり青利は麗らかな春の中でもいつも通りなのだな、と密かに思う ]
斎賀 青利
[ 一体何を見て居るのか、さきの目線からは分からないだろう ]
如月 さき
へーっ……
( なんか怖いお姉さん…… )
斎賀 青利
[ ぽちぽち ]
…………
[ あたりに気まずい空気が流れる ]
サバンナキャット
……。
[ 彼女から目の前の女の子に特に話しかける理由も無ければ、この空気を好んで受け入れる気分でもない ]
( ……なんでかな。なんでこうなっちゃったかな。 )
[ 先程までぽかぽかと昼寝をしていた気持ちよさは、もうどこかに消えてしまっていた ]
如月 さき
……あ、そういえば前に5つ葉のクローバーを拾ってね!
[ なんとか話そうとするさきちゃん ]
サバンナキャット
……!?
( いきなり!? )
斎賀 青利
…。
本物?
[ 静かな声色は変わらず、本物かどうかを訪ねる ]
サバンナキャット
!?
[ ばっ、と青利の方を向く ]
( えっ……青利ちゃんが話に食いついた? )
如月 さき
ええっと……これだよ!
[ お守りの袋の中から押し花にした5つ葉のクローバーを取り出す ]
斎賀 青利
ふんふん。
[ 端末を閉じると、彼女の指からクローバーを摘んでまじまじと見つめる ]
…ほーわ。
ほうほう。
[ くにくにと手触りを確かめるために葉を触っていく ]
この質感、本物やな。
サバンナキャット
…………。
[ いつもとは違う青利の反応に怯えながらも、釣られてそろそろとその5つ葉に顔を寄せる ]
[ 5つ葉と青利の顔に、訝しげな目を交互に向ける ]
斎賀 青利
作りもんやないのは確か、か。
[ そっと、クローバーをさきに差し出す ]
サバンナキャット
……そう…………みたいだね。
( ……青利ちゃんが怖い。 )
如月 さき
なんかね、公園のクローバーが一杯咲いてる所にあったんだ!
四つ葉のクローバーも拾って、今は押し花のしおりとして使ってるの!
斎賀 青利
ふーん、しおり。
良かったやん。
[ ただ、その後に気の利いた一言をかける事はなく、淡々と再び端末をいじり始めた ]
サバンナキャット
………………ほっ。
あっ。
[ 思わず安堵の一息をついてしまった ]
[ そう、青利がクローバーの話題に乗ったことが意外すぎて、彼女は緊張していたのだ ]
[ 5つ葉のクローバーを見つけた。それをしおりにしている。そのどれも一つ一つは、青利が''スマホいじり''を止めてまで対応するほどの話題だとは到底考えられなかった ]
斎賀 青利
[ しかし、青利にとっては5つ葉のクローバーというものは非常に珍しい"命"の一種だった、職業柄、そう言った特殊な産物に目がない青利は、わざわざ触って確認をする程の価値をクローバーに見出して居たのだ ]
……あんなあ。
キミのそれ、ちゃんと本物やから。
本物の突然変異種やで。
おばはんが保証したる。
無くさんようにね。
サバンナキャット
………………っっっぐっ……!!!??
[ ぞぞぞぞぞっっっ ]
[ 全身の毛が震え上がり、口元がひくつく ]
( 青利…………ちゃん…………っ……!!?? )
如月 さき
うん!
[ 元気よく返事する ]
斎賀 青利
( 本当は金積んででもゲットしてサンプルにしたかったけど…まあ、酷やろな、そないな事は )
如月 さき
あ、そういえば
まだフレンズさんの名前聞いてなかった!
なんて言うフレンズさん?
サバンナキャット
………………。
[ あまりのマインドショックに固まって動かない ]
如月 さき
どうしたの?
具合悪いの?
斎賀 青利
ああ、この猫はサバンナキャット。
ウチのまあ、知り合い。
サバンナキャット
……え…………はっ。
[ 自分の名が出たことにより、やっと我に返る ]
うん、私はサバンナキャットだよ。
[ 冷や汗をかきまくり、目の焦点もまだおぼつかない猫からは定型文のような挨拶が飛び出る ]
斎賀 青利
……
あれか、鯖猫はん。
キミウチのこととんでもないドライモンスターって思っとったんか。
かなしいわー
[ そうは言うが明らかに棒読みである ]
サバンナキャット
えっ。
いやいやいや……だって。
[ 最後のお気持ち表明が真面目に放たれたものではないと気付き、その先の対応に困る ]
[ そう思われても仕方の無いような言動をしてきたことは、青利もまた自覚しているのだろう ]
斎賀 青利
……。
まあ、またウチに着いて一つ分かった事が増えたやろ。
少なくともな、態々話にノッてお世辞を言うほど嫌なヤツでないってのは主張させて頂く。
サバンナキャット
……今日たまたま機嫌がいいってことでもなく?
斎賀 青利
うん。
ウチはああいうモンも好き。
というか興味が湧くんや。珍しい自然の産物。
サバンナキャット
ふむ。
[ 「珍しい自然の産物」。なるほど、それならば興味を示してもおかしくない……のか? ]
斎賀 青利
随分昔に生物学かじっとったから、クセやな。
[ そういうと、懐かしそうな目つきで空を見上げる ]
サバンナキャット
へー、そうだったんだ!
青利ちゃんに何かプレゼントするようなことがあったら、参考にするよ。
[ 生物学。確かに、それなら希少な生命に興味が湧くのも合点がいく ]
現金渡すわけにもいかないしね。
如月 さき
?
[ 二人の話についていけないさきちゃん ]
サバンナキャット
( 青利ちゃん、たくさん生えてる「クローバー」そのものに興味があったわけじゃなかったんだ。 )
( 珍しい自然の産物……覚えておこう。 )
[ と、 ]
[ 現金を渡す。そんな、聞きようによっては黒塗りめいた発言をいたいけな少女の前でしてしまったことを慌てて悔いる ]
あっ、ごめんごめん、なんでもないよ。
斎賀 青利
( ガキは小銭たくさん渡せば喜ぶんやっけ )
如月 さき
ふーん ( よくわかんないや…… )
サバンナキャット
[ 気まずかった空気から、一時的にとはいえ二人の空気に戻すことができた。が、彼女らを見つめる少女の視線に、それは銃弾の一閃するガラスのように打ち砕かれる ]
……。
( 気まずい。 )
( ……私から何か……言った方がいいのかな…………? )
[ 社交性に富む彼女が、初対面の相手を前にここまで切実に「帰りたい」と願うのは、これが初めてだった ]
如月 さき
おかねとかよくわかんないけど
なんか大事なことをしてるんだね!
さきも大人になったらそうなるのかな?
サバンナキャット
……なるんじゃ……ないかな?
斎賀 青利
…うん。
まあ、金と命は切ってもきれへんモンやからな。
サバンナキャット
そうだね。やっぱりお金なかったら生きていけないし。
[ 少女の前でも気にせずお金について語る青利を見て、むしろ尊敬すら覚える ]
斎賀 青利
金は命より重くできてるからな。
サバンナキャット
うんうん。
前に見たアニメのキャラも、似たようなこと言ってた。
如月 さき
…でも
命がないとお金って使えないんだよね?
サバンナキャット
んー。うん。
[ もう話題の波に乗ってしまったため、お金の話をすることに抵抗はなくなっていた ]
えーと、
命がないとお金が使えないわけだし、
でもお金がないと生きられないから……。
……どっちも大事かな。
如月 さき
よくわかんないや……
これからわかるのかな?
サバンナキャット
( わかんないのかよ!!! )
斎賀 青利
[ 終わりが見えぬ議論に終止符を打つべく、彼女の口が開かれる ]
命を永らえさせるには金がかなり深く関わってくる。
金は命を支えなアカンから重くもなるわけや。
筋肉いっぱいつけて、命を支えるんや、みんな。
だから、合わせてると命より重くなるんや、金ってのは。
決して命が金に劣る話をしてる訳と違うんやわ。
サバンナキャット
……おお……。
[ 改めて、青利の信条を胸に響かせる。今、全部が全部を理解出来たかというと決してそうではないのだが、それでも自分の持つ曖昧でふわふわしたものではないということは再確認できた ]
如月 さき
へー……命とお金って同じくらいなんだね!
[ 少しだけわかったらしい ]
斎賀 青利
せやで。
どっちかが欠けたらオシマイ。
もう切ってもきれんトコまでヒトは金と付き合い続けたから、仕方あらへんわ。
金は悪やない。
使い方、付き合い方を間違えるアホがたまに居るだけや。
サバンナキャット
……。
( 今月の食費大丈夫かな。 )
[ お金の使い方を間違えた猫は、実際こうして悩んでいる ]
如月 さき
あれ?サバンナちゃん、顔青くなってるけど
大丈夫?
サバンナキャット
[ お金の話でふと思いついた経済面が、彼女の眉を偲ばせる ]
んっ。大丈夫。……大丈夫。
きっと臨時収入が入るから。
[ 入ることがわかっている収入は臨時収入とは言わない ]
斎賀 青利
まあ、そういうわけや。
"地獄の沙汰も金次第"
懐事情次第で現実は変わる。
現実と地獄は紙一重。
閻魔大王が居ないだけで辛いのは同じやで、人生。
だから将来を生きるんなら、懐事情に困らないような大人になりや。
サバンナキャット
そうだよ。
[ 説得力の塊が、切実に便乗する ]
如月 さき
うん、わかった!
[ 完全に理解はしていないが、少しはわかったようだ ]
サバンナキャット
[ 理解していないことを理解する ]
( ……お金かあ。やっぱり……私も働かないといけないのかな。 )
……。
[ やはり、重い話の後には重い沈黙が待ち受けていた ]
[ 3人とも、何も言わず黙りこくってしまう ]
…………。
[ その静寂を打ち壊したのは、 ]
[ ぐううぅぅううぅ…… ]
[ まだお昼ご飯を食べていない、彼女の腹の音だった ]
あ……。
斎賀 青利
…ぷっ。
如月 さき
あ、サバンナちゃん、お腹なってる!
斎賀 青利
ええ?
今腹鳴らすトコかいな。
クッククッ。
サバンナキャット
し……仕方ないじゃん、まだお昼食べてないんだから。
[ むっとした顔の頬は赤く染まって ]
如月 さき
あ!そういえば!
シャーリィと約束してたんだった!
早く行かないと!
斎賀 青利
ん。ほな、また。
死ぬんやないで、がきんちょ。
[ 手を挙げ淡々と別れを告げると、再び端末に目を戻した ]
如月 さき
うん!じゃあね!
[ かなり急いで走っていく ]
サバンナキャット
あ、じゃーねー……。
[ いきなり話しかけてはいきなり去っていく少女に終始翻弄されていた猫が小さく手を振る頃には、少女の姿は見えなくなっていた ]
…………。
………………っっはあああぁぁぁあ………!
[ 独特の空間によって詰まっていた息を、やっと吐き出せる ]
あー……疲れた!
最近の女の子ってみんなあんな感じなのかな……!
[ まるで中年のような言い草である ]
斎賀 青利
じゃないの。知らんけど。
ウチは数年前の女やからわからん。
サバンナキャット
んーーーーー………………っ…………そっ……かぁーー……っっ。
[ 手を組み、前方に大きく伸びをしながら答える ]
はーーーっ!
……なんか調子狂った!
青利ちゃん、ご飯食べに行こ!!
斎賀 青利
せやな。
[ ぴっと端末を仕舞い込んで、よっこらせと腰を上げる ]
どこ食いに行くん。
サバンナキャット
ん?
んーーーーー……。
ラーメン屋……って言いたいところなんどけど。
[ くるっと振り向いて ]
パスタとか!どう?
斎賀 青利
パスタ。
パスタ。
趣向変えたなあ。まあウチはエエで。
ほな、パスタ食いに行こか。
サバンナキャット
よーし!決まりだね!
いやさ、
けもノートにあげるネタ、ラーメンばっかりでつまんないって言われちゃったから。
[ てくてくとイタリアンのお店に向かって歩き出す。ラーメン屋と違って場所は把握していないため、道順は手の中の端末頼りだ ]
斎賀 青利
あはは、SNSで食ってくつもりも無いのに大変やなあ?
まあエエわ、好みは広げた方が賢いからな。
サバンナキャット
ふふふー♪
…………せやなぁ♪
[ 足取りは軽く、春に明るく照らされた道を、尻尾を揺らしながら歩く ]
[ 途中何回かお腹を鳴らしながら、ほんの少し離れたイタリアンのお店に駆け込んだ ]
[ パスタを味わううちに公園で味わった苦味や驚愕は薄れていき、そこには笑顔だけが残る ]
( なんか、変わった子だったなあ。 )
[ それはある春の一欠片に起きた、クローバーとお金のお話 ]
-fin-
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