【RP】枯れた鈴蘭の花

ページ名:枯れた鈴蘭の花

◆登場キャラクター
リベ
イズナ
鈴蘭
パルチェ
ルー・ガルー




鈴蘭
[ ゴコクエリア 某山中 22:11 ]
……
[ 静かな、静かな森の中に一人の幼き少女が歩いて居た。何処を目指しているのか、街を目指しているのかはその歩幅からは想像がつかない ]
[ だが、少女が待とう黒い教団の装束。袖を余らせたそれを身につけている時点で、常人なら穏やかなものではないと察しがつくだろう ]
…つぎはぁ、たしか……らいらさん。だっけ。
[ 他の仲間から伝えられたターゲットを思い出すと、光の消えた目はきょろきょろ周りを見渡し始めた ]
ここじゃないのかも……ですねー
[ 芝居がかったような口ぶりでそう呟くと、再び虚ろに歩き始める ]


パルチェ
[ 少し奥の方からバキバキ....!と木々が折れる音が聞こえ始める。段々とこちらへ近付いているようだ ]


鈴蘭
ぴ…っ?
[ その怪音に驚いたのか、周りを警戒し始める ]


パルチェ
[ その内ぬぅ...とおよそ2m超ほどのローブを纏った巨躯が目の前に現れる。 ]
.....
[ 鈴蘭を見下ろし、ローブの裾から手を出す動作をするが... ]
....チッ....どっかの分派か....殺したら面倒そうだ...
[ その声は自分と同じくらいの少女のようだった ]


鈴蘭
ひえっ……だ、だれですかー…??
[ 巨躯と荒々しい口調とは裏腹の幼い少女の声……なんとも名状しがたいものへの鈴蘭の第一印象は「妖怪」で固定されて行った ]


パルチェ
黙れ。貴様のような人間臭を漂わせている者と話しているだけで虫酸が走るわ。
[ 明らかにイラついた様子で罵倒する ]
...その服...みほしだな?その歳で屑共の傀儡とは...ハンッ!誰かの命令でしか動けない人形とは、笑える。オレとは大違いだ。
[ 馬鹿にしたようにせせら笑う ]


鈴蘭
ぅ………
[ 自分だって好きでこんな事をしてるわけじゃない。とも言いたかったが、そんなこと言えるわけがない ]
[ その黒い恐怖に、自身をここまで引きずり落とした連中と姿を重ねたのか、うつむき、震えながら後ずさった ]


パルチェ
ふん...そうやって逃げていろ。
逃げる事しか能がないから、今の現状から逃れられないのだ....!
現状を変える力を望まないからそうやって俯くしかないんだよ。雑魚が....
[ 吐き捨てるように罵る ]


鈴蘭
…………………
[ 連れ去られ、強引に闇に染められた挙句、仲間っぽい妖怪から心底本気で罵られた。そんな理不尽を受けて虚ろで、脆い鈴蘭の精神はすでに傷だらけになりつつあった ]
[ 募る感情が湧き上がっては自身の"無力"にかきけされ、鈴蘭の口を固く閉ざさせた ]
( ……………なんで なんでわたしばっかり… )


パルチェ
だんまりか、それも選択だろうな...貴様は一生ドブ底に沈んだままだがな!
キャハハハ!
[ 面白そうに愉快な笑い声をあげる ]
だが安心しろ。オレの目的が成就したならば貴様ごと人間全て消してやるからな!
キャハハ!キャハハッハハハ!
[ その背の高い妖怪はまるで気が狂ったかのように笑い出す ]
[ その時ローブから尻尾のようなものが見え隠れする ]


鈴蘭
…ぇ
( …しっ、し?しっぽ? )
[ どん底に沈みつつあった精神は、ヒトに有るはずのない部位を視界に捉えたことでぴたりと固まり始める ]
[ 背が高い、黒い、罵る。それまでは妖怪みたいな存在で片付いた ]
[ だが、尻尾という存在は、明らかに目の前の存在が、ヒトではないことを…幼い鈴蘭にも直感させた ]
………っ
[ すぐに、言い知れぬ恐怖が走る ]
[ もしかしたら、本当に妖怪なのかもしれないと、思考と身体が震え始めていった ]


パルチェ
.....見たな?
[ ピタリと笑うのをやめて、ドスの効いた声で鈴蘭に問う ]


鈴蘭
ひ………っ
[ ぺたりと座り込んでしまう。その目は見開かれて、ぷるぷると瞳孔は震えたまま、パルチェを見つめていた ]


パルチェ
.....
[ ゆっくりと拳を振り上げる。その瞬間ローブがはだけ、爬虫類じみた巨大な“前脚”が現れる ]
オレは人間ではない。獣になったんだ。
[ 前脚を開くと鋭く尖った鉤爪が月明かりに鈍く光る ]
貴様くらいなら、山犬の餌にも足らぬくらいだろう。ククク...ここが山で丁度良かった....!


鈴蘭
ぁ…っっ…
[ 死が迫っている。死が、自分を喰らおうとしている。 ]
[ 鉤爪、まるで恐竜のような異形の手を見た瞬間、鈴蘭は頭を守るように蹲った ]
[ それしか出来ない、毒針で対抗することなど頭から離れきっていた。わたしの人生が終わってしまうのだと、絶望を体感していたのだ ]
や…や………っ!
[ 恐怖から目を背け、息を荒くしていた。ただの囮になった少女に残された術などは無い ]
( やだ…やだ!やだ!やだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだ!! )


ルー・ガルー
…いいや、お前は獣じゃない。ただの化け物だ。
[ 何処からかそんな言葉が聞こえたと思った瞬間、森の奥からその巨大な鉤爪めがけて石が高速で飛んでくる ]


パルチェ
[ ガッ!! ]
ぬぁッ!!
チィッ!オレの邪魔をする者はどいつだぁ...!!
[ 石が飛んできた方向を睨む ]


鈴蘭
( たすけて だれかたすけてよ!!! )
( たすけて…たすけて…! )
[ ばけものに対して怯えきってしまっているのか、唐突に現れた救いには気付かないでいた ]


ルー・ガルー
[ その声の主であるアニマルガールは木々の陰からゆっくり現れ、化け物を睨みつける ]


鈴蘭
( たすけて……っ…? )
[ ようやく、ようやく割り込んできた存在に気づいたのか恐る恐る顔を上げた ]


ルー・ガルー
久しぶりだな…最もあの時は争っただけだが。
[ 顔を上げた鈴蘭に対してフッと笑みを浮かべて一瞥する ]


鈴蘭
………あ…ぇ…
…なん…で……?
[ まだ震えた目で、人狼を見やる ]


ルー・ガルー
…泣いている奴を見殺しにするほど、俺は化け物じゃない…ただそれだけだ。
[ そう言って目の前の化け物に対して敵意を向けて構える ]


パルチェ
邪魔だてをするか...!人間の身体に変わり果てた穢れた愚物共がッ....このオレに....!
....殺すッ!!!
[ 地面をザッザッと2回蹴り、まるで馬が走る時のように素早く跳躍して乱入者に飛びかかる ]


ルー・ガルー
っ…
( …思ったより速いな…っ! )
[ 飛びかかりを横に飛んで回避し、事前に持っていた石を投げつける ]


パルチェ
ハンッ!
[ 巨大な怪手で防御し... ]
ッラァ!!
[ 横へ跳躍した敵に向かってその長い脚を槍のように唸らせながら突く。ローブの隙間から蹄のような物が見える ]


ルー・ガルー
ぐっ…!
[ 咄嗟に腕を交差させてブロックするもそのまま蹴り飛ばされる ]
…っ…まるでキメラだな…っ!
[ そして空中で体勢を立て直し、後ろへ滑りながらも着地する ]


パルチェ
キメラ?それは違うな。貴様ら穢れた者とは違う...!これは聖衣だ、パパが護ろうと頑張ってた動物達!
[ 段々と声が幼くなっていく ]
パパ!見ててね!私頑張るからちゃんと見ててね!悪い人間みんな退治しちゃうんだから!
[ 目は何もない宙を見ている。一目で気が狂っていると分かるだろう ]
...だからまず貴様らから消す....!
[ また突進の構えをとる ]


リベ
......それなら、我々も一応「動物」なんですがね。
[ その時、人狼の背後からもう一人のアニマルガールが現れた ]
( それにしても、異様な身体ですね。 フレンズ...? )


ルー・ガルー
っと…リベか。
…丁度よかった、ちょっと手伝ってくれねぇか?
[ 化け物から目線を外さず、少し笑みを浮かべて言う ]


リベ
構いませんが...誰なんです? この方は...
[ 怪訝そうな顔でパルチェを見ながら ]


鈴蘭
………っ
[ 唐突に勃発したその戦いを鈴蘭は見て居た。いつのまにか木陰に隠れながら ]
[ この場には恐怖であふれている、見知らぬ存在もやってきた。逃げてしまった方が良いのではと、本能が告げて居た ]


ルー・ガルー
さぁな…だが、俺らの敵であることは確かだな。


パルチェ
チッ...!次から次へと....!
[ ギリリと歯軋りが鳴る ]
...貴様らがパパの愛した動物なものか...!
穢れた人間の形と化した貴様らが....!
貴様らの姿...それは奇跡ではない...呪いだ、すがるものをとり殺す....!
[ 憎悪に満ちた鋭い目つきで睨む ]
「獣の星の会」、そしてオレの目的はこの地球から人類を抹消することだ...!
[ すぐ横の木を握り..... ]
バキバキッ!!


リベ
......人類を?
[ かなり意外そうな顔をした ]
[ 木をへし折った事にではない。『目的はこの地球から人類を抹消すること』という部分にだ ]
...それは無理があると思いますよ...。
[ 言いながらルーの方を見る ]


ルー・ガルー
…確かにな。
[ 苦笑を浮かべながらリベを一瞥する ]


パルチェ
なんとでも言うがいい。だがその姿に生まれた事を後悔するぞ...!
貴様らを根絶やしにする手立てはあるのだから...なぁッ!!
[ へし折った木を2人の方へ槍投げのように投げる ]


リベ
...根絶やしなんて不可能でしょう...っと!
[ スウェーで避ける ]
いくらあなたが強くても、せいぜい島の一部を占拠するのが限界です。
根絶やしなど、一団体でできるほど容易い事ではありません。


ルー・ガルー
よ…っと!
[ その場に屈みこんで避ける ]
先人からの有りがたい言葉だ。
潔く諦めたほうが身のためだと思うぞ?


パルチェ
ほう....!貴様は確か...リベ...だったか?博士から聞いた事がある。
くくく...解放者とその名に謳いながら結局解放出来たのは自分だけ...か。
貴様のように中途で諦める者は最初から何もしない方が良かったんだ、ただ無闇に掻き乱しそのくせ自分が間違ってましたで全て許されようとする....ふん!!
[ 馬鹿にしたように鼻で笑う ]
聞いた時は笑ってしまったよ。アニマルガールは人間とよく似て“愚か”だと....よくもまぁそんな早計で行動出来たものだ。
くくく....!


リベ
私は許されようなどとは思っていません。誰も私を責めないだけです。
...それに、人間は大なり小なり"愚か"でしょう。
...私はこの島のフレンズたちを守るために、かつては動いていました。
あなたが人類滅亡を目指す目的は、パパとやらの愛した動物を守るため、ですか。


パルチェ
そうだ...!穢れた人間共に殺されたパパがオレに遺した命題だ....!
人類を滅ぼし、再び動物達の安寧をもたらす事こそがその解...!
[ 尻尾を細い木に巻きつけまたへし折る。と、同時に手でもう一本木を折り構える ]
フレンズを守るだのなんだの抜かして、結局は傷つけていただけの存在は誰だ?よくもまぁ大層な口振りで説教をかまそうと思ったな....!責めないだと...?呆れかえって何も言えなかっただけじゃないのか?キャハハッハハハ!!!


リベ
...あなたもその「人間」でしょう。
自分だけが特別な存在だと思っているのですか? 違う、あなたはただ孤独であることから逃げようとしているだけです。
自分の事を理解してくれる者などいない、そう思っているのでしょう?
私だってその頃は一人でした。無意識下で、どこかでそう考えていました。
今は良き理解者に会えたから、考え方を変えられたのです。


パルチェ
馬鹿馬鹿しい...貴様は懐柔されただけだよ。貴様のような単細胞なら、「君のことを分かってる」とでも言えばすぐに腹を見せるだろうな!
首輪を繋がれたら気分はどうだ?楽だろう?自分で何も考えなくてもいんだからなぁ!
[ わざとおちょろけた動作で煽る ]


リベ
(ああ、ファントム。
 100人隊を突破して私を説得しようとした時のあなたも、こんな気持ちだったのでしょうね...。)
私は指図など受けていません。自発的にここに来て、あなたを説得しているのです。
あなたこそ、あなたをその身体にした誰かさんに手綱を握られていますよ。あなたが気付いていないだけでしょう。


パルチェ
はぁ....
[ 深いため息をつく ]
おい....いつまで貴様の聴くだけで前頭葉が壊死しそうになる演説を聞かねばならないのだぁ??
いい加減飽きてきたぞ.....はぁ、まぁいい。丁度ダーツもある...それに的が...
[ リベ達の方を向きながら ]
1...2...........“3”......
[ 木に隠れている鈴蘭をカウントする ]


リベ
( 3...? )
[ 鈴蘭の事を知らないリベは眉を顰める ]


鈴蘭
[ びくっ ]
[ 木陰に隠れていた鈴蘭が震えた ]
[ その瞬間、足元の枝が小気味いい音を立てる ]
ぁっ
…!


リベ
( ...! なるほど...そちらが目的でしたか )


ルー・ガルー

( まだ逃げてなかったのか… )


パルチェ
気付くのが遅かったなぁッ!!
[ 太い方の木をリベ達に投げ、細い方を尻尾で真っ直ぐ鈴蘭の方へ凄まじい勢いで投げつける ]
駄目押しにもう一本...!
[ 適当な木を両手でへし折り、スイングの要領で、リベ達が鈴蘭の方へ行けなくなるような位置に投げる ]


鈴蘭
っ!!


ルー・ガルー
ちっ…! ( 拙い…! )
早くそこから逃げろ!!
[ 飛んできた木を横っ跳びでギリギリ回避し、鈴蘭に向けて叫ぶ ]


リベ
ッ...!
[ 飛んできた木を避け、野生解放で妨害で投げられた木を殴ってへし折り、鈴蘭の方に走る ]


鈴蘭
ううっ…!
[ しゃがんだまま動けないでいる ]


ルー・ガルー
くそっ…!うらっ!
[ 体勢を立て直し、鈴蘭の方へ飛んでいく木にめがけて思いっきり石を投げつける ]
[ 砕くまでには至らなかったものの、横からの衝撃で少しスピードが落ちる ]


リベ
はぁぁッ!
[ そして、ギリギリのところで木を殴りつけ、鈴蘭から軌道をずらす ]
[ 木が減速していなかったら間に合わなかっただろう ]
っ......無事ですか?


鈴蘭
ぅぅぅ…っっ…
だれ…だれ…っ??
っっ……
[ ぶるぶると震えたまま、リベを見上げる ]


リベ
名乗るのは後です...!
[ 無事を確認してパルチェの方を見る ]


パルチェ
[ しかしそこには誰もいない。馬の蹄のような足跡が残されているがそれも途中で消えていた ]
[ あの怪物は風のように何処かへ去っていたのだ ]


ルー・ガルー
…逃げられたな…
[ 明らか人間ではない足跡を一瞥し、リベ達の元へ歩いていく ]


鈴蘭
[ ようやく、ようやくヒトならざる幽鬼が去った。座り込んだその場で目を瞑って、心を落ち着かせようとする ]
[ 幼くか細い息が漏れて、首元には冷や汗がつたっていて、明らかにまだ恐慌していることが、分かるだろう ]
はっ はあっ…はぁ…っ
うう……


ルー・ガルー
…大丈夫か?
[ 鈴蘭の前でしゃがみ込み、様子を窺う ]


鈴蘭
[ ひとしきり震えると息を吐く頻度が遅くなり、次第に身体が落ち着きはじめる ]
( ………っ…… )
[ 身体が、心がまともに安堵を感じると、光を失い、濁った目で改めて二人の顔を見た ]
[ 片方は争った人物だと分かったが、もう片方は全然知らないフレンズだ ]


リベ
......あのわからず屋は、もういませんよ。
私は敵ではありません。
[ 優しくそう語りかける ]


ルー・ガルー

[ 目が変わったことに気付き、少し警戒する ]


鈴蘭
……っ…
[ 抱きしめたい。抱きついて、泣きだしてしまいたい ]
[ でも、自分は今、使わなかったとはいえ毒針を持っている。もしそれがバレたらどうなるかは火を見るより明らかだ ]
[ 甘えたい、泣きたい、すがりたい。そんな感情を鈴蘭は押さえ込んだ ]
[ そして、二人から一歩後ずさると、せめてもの礼としてお辞儀を行なった ]
……ありがとう、ですよ


リベ
( ...あっ )
[ その時気付いた。彼女が、みほしっぽい服を着ている事に ]


ルー・ガルー
( …攻撃しなかった…か… )
…どういたしまして。
[ 予想が外れて少し驚くも、フッと笑みを浮かべて返す ]


鈴蘭
……ぅん…
[ それだけ言うと、おろおろとした足取りでその場から離れようとした ]
……ぅぅ…


ルー・ガルー
( …絶好のチャンスに攻撃しなかった…それにあの顔…やっぱりアイツは… )
[ 鈴蘭の背中を見送りつつ、思考を巡らす ]


鈴蘭
[ なんども、なんども振り返って、二人の方を見て…4度目で、鈴蘭はそのまま逃げるように去ってしまった ]


鈴蘭
[ その顔は、今にも泣きそうな表情を作っているように見えた ]


リベ
......彼女は、何者なんですか?


ルー・ガルー
…アイツは「花と常夜の会」っていう分派の一員だ。
…そして、以前俺と敵対したことがある。


リベ
...何をしている人なんですか?


ルー・ガルー
さぁな…敵対したと言っても突然攻撃してきただけだからな…
…だが、おそらくアイツの意志で攻撃してきたわけじゃないみたいだ。
[ 鈴蘭が去っていった方向を見ながら言う ]


リベ
...彼女もまた「首輪付き」ですか...。


ルー・ガルー
ああ…それも強制的に…だな…


リベ
......あのわからず屋も、あの子も、何とかしてあげたいですね...。
[ ため息混じりに ]


ルー・ガルー
……そうだな…。


鈴蘭
────────────────────
…はぁ…はぁ……
[ 逃げ出してしまった。あの二人はきっと、縋り付いてきた手を握ってくれたはずなのに ]
[ 開けた場所にたどり着いて、その場にへたり込んだ ]
[ ほかの信徒が居る気配も感じられない、どこに行ってしまったのか ]
[ 考えと、後悔だけが鈴蘭を支配していた ]
……うう……
……もう…やだ……
やだよ……
……
( 帰りたいよ…… )


イズナ
.........。
[ 木の陰から、それは現れた ]
......どうされましたか?こんな所で。
[ 白い髪、耳、尻尾。そして紅い化粧。それは怪しくもアニマルガールのカタチをしていた ]
( 鬼灯様。二重のお願い事は止めてほしかったような...まぁいいでしょう。 )
[ その来ている服は、みほしの衣装ではあるが、鈴蘭とは違って白い ]


鈴蘭
….…だ、れ…?
[ 少なくとも敵対的な存在ではないと分かると、おそらくアニマルガールであろう存在に名を問うた ]


イズナ
呪術師...いや、イズナ。
いやいや、ただのクダギツネです。
そう、クダギツネ。お化けですよ。
[ "クダギツネのアニマルガール"と、彼女にそう認識させる ]
夜のお散歩をしていたら、誰かの声がしたので。
ところで、何故こんな時間にこんな暗い場所で?迷子ですか?お家は何処だか分かりますか?
[ 強い言葉も、含みのある顔も今は要らない。"お化け"ということを知らせるだけでいい ]


鈴蘭
……っっ…
[ 「お家」。その一言を聞いて、無性に目があつくなっていく ]
うう…うっ…うっ…
[ …俯いた後、抑えるような泣き声が、鈴蘭から漏れ出した ]


イズナ
おやおや、これは参りましたねぇ。
[ 鈴蘭に近付き ]
大丈夫ですか?何処かお怪我なさいましたか?
[ 彼女の手を掴む ]
えー...貴女の名前は、何ですか?
このクダギツネに教えてくださいな。
[ 敢えて依頼先で聞いた名をその本人に聞く ]


鈴蘭
うえっ……あうっっ…あぅっ
えっく…ぐすっ……っっ…
[ いままで堰き止められていた涙の堰が切れ、無遠慮に啜り泣いて、地面に涙の群れを散らす ]
[ もう、もういやだ、もう誰だっていい。たとえ"おばけ"でも ]
[ 藁にもすがる思いで、この時だけ、「鈴蘭」という被せられた仮面を脱いだ ]
ううっ うぇ…うううっ…
はっ…んぐうっ…はる、はる、な…っ
"春菜"……っ
はるなっ…ですっ…


イズナ
"春菜"...善い名前ですね。
可愛らしい貴女によくお似合いです♪
[ 懐からハンカチを取りだし、彼女の目下に残る雫を優しく拭き取る ]
そんな貴女が泣いてるなんて、不幸です。だから笑って欲しいのですよ...ね?
[ 誰も彼もが、"呪術師イズナ"といえば怖い人相で近寄る悪鬼外道と言うだろう ]
[ しかし、そんな顔は何処にもない。まるで別人だ。仮面の下は本当は穏やかなのかもしれない ]


鈴蘭
うっううう…うぁぁぁぁぁぁぁっっっ…!!
[ 何年振りだろう、誰かの暖かい、偽りの無い優しさに触れるのは ]
[ イズナからの慈悲に触れ、抑え込んでいた泣き声が限界を超えた。明確な慟哭に変わる声を出して、春菜はがむしゃらにイズナの身体に抱きついた ]


イズナ
おおっと...ふふ...♪
[ その幼い身体を受け止め、しっかりと抱き締め返す ]
......"私"の昔のお話しですけれど...、
私を飼っていた"ヒト"は、寂しい時は、いつもこうやって私を抱き抱えていたのです。それを今、思い出しました。
[ イズナの過去...それはたった数年前、青い瞳の男の子と共にいた頃のことだ ]
よしよし...たくさんお泣き。
よく笑う為に、よく泣いて下さい...。
[ 誰にも見せない本当の顔と声色で、泣きじゃくる幼女をあやす ]


鈴蘭
うぁぁぁ…!!うああああああああ……!!
[ ぎゅぅぅぅ… ]
かえりたいよ……おうちにかえりたいよ……!
こんなの…もう、やだぁ…っ…!
[ 絶対に離れたく無い。その一心でイズナに抱きついて、思い切り泣いていた ]
[ そのはずみで、先ほど喉を通りかかった願いを、あらいざらい吐露した ]


イズナ
くふふ...。
......少しは落ち着けましたか?
[ 腕を緩め、顔を合わせ ]
あらあら、また拭かないと...♪
[ ハンカチで再び彼女の涙の痕に残る水滴を拭う ]
......そうですか。お家に...。
春菜様。クダギツネはですね、貴女を助けたいと考えています。貴女をご両親の下へ帰してあげたいのです。
[ 心に嘘はない。クダギツネの根幹にあるのは...まぁ、つまりそういうことなのだ ]
本当なら今すぐにでも...でも、助けるのにちょっと時間が掛かっちゃうのです。
ですから、今日の所はお別れしなくてはいけません。まことに心苦しいのですが。
[ 哀しそうに、狐は伝えた ]


鈴蘭
[ ギュゥゥ ]
やだ…やだ…っ
いかないでぇ…っ
[ 分かって居る。でも、どうしてもと身体がイズナから離れようとはしなかった ]
[ 本当の暖かさを持って接してくれる存在が現れたのだ。 このまま見送ってしまったら、2度と会えないような気がしたからだ ]
やだっ…いっちゃやだっ…っ


イズナ
わかっています。離れたくない、ずっとお側にいたい...私も同じ気持ちです。貴女を一人置き去りになど出来ない。
ですが私といると、貴女は狙われてしまう。実は私は"悪いお化け"なのです。
[ 笑った。裏のない笑顔で。同時に、寂しさも映った ]
絶対に戻ります。絶対に...!
貴女を悪い人達から連れ出すのです。
それでも、信じられませんか?
...では、これを...。
[ 懐から取り出したのは、先程のハンカチ ]
これを貴女に。約束ですよ、私は必ず会います。なので、それを大切に持っておいて下さい。
......絶対に離さないで...ね?
[ ハンカチを春菜の手に握らせる ]


鈴蘭
うっ…うんっ…うん…っ
[ イズナからもらったハンカチをとても、とても大切そうに握る ]
やぐそく…うっぅ…ぜったいやくそく、だから…!
[ 涙がまだ溢れて居る、でも、ハンカチで拭いて、一生懸命にイズナの瞳を見つめた ]


イズナ
くふふ...聞き分けがあって大変よろしい。良い子ですね、春菜様♪
[ 手渡すと、最後に彼女の頭に手を乗せ、撫でた ]
これは..."おまじない"です。
貴女を幸せにするための、お化けの掛けたおまじない。
これでクダギツネは、貴女の"友達"です。
...友達...嫌ですか?
[ 優しく春菜の髪を撫でる ]
( 友達、か...。私にしては随分と過ぎた事を言ってしまいましたね。 )
[ 一通り撫で終え、彼女を見つめる ]


鈴蘭
…♪
ううん…やじゃない…
いず…クダキツネさん…っ
[ 今日初めての…否、下手すれば久方ぶりに心の底からの笑顔が、春菜から溢れる ]
[ 自分を助けようといってくれた"ともだち"。自分から孤独を取り除いてくれた、やさしいおばけ ]
[ 春菜はそれが、たまらなく嬉しかったのだ ]
えへへ…っ…♪


イズナ
.........!
[ その笑顔は、イズナの心を揺さぶり、目頭を熱くした ]
善い笑顔です。やはり笑顔ですよ子供は...くふふ♪
(良かった...ようやく笑った。
そうだ。この仕事を続けているのは、このような幸せ溢れる顔を見たかったが故...!)
[ イズナの"見たかった顔"が、その目の前にある。感動のあまり泣いてしまいそうになるくらいに。しかし、泣いた顔を見せるわけにはいかず、彼女に背を向けた ]
では私はこれで...。
ちょっとだけ居なくなるだけですからね。すぐに会えますからね。
......だから、ちょっとだけ...我慢をなさって下さい。
悪い人に惑わされないで。その心をしっかりと保って下さい。
クダギツネが見たいのは、その貴女のお顔なんですから...♪
[ くふふ♪と笑うと、その白いお化けは木の陰に隠れ、そのまま暗い暗い森の中へ消えていった... ]


鈴蘭
……クダキツネさん……
[ 優しくて、まるで、まるで母を思い出すような暖かさをもった白いおばけ ]
[ いままで隔絶され、孤独を覚えていた春菜だが、彼女との出会いで、漸くそれが消えつつあった ]
( …まってる、わたし、まってる…っ )
[ もしかしたら、もしかしたら帰れるのかも知れない、と…闇に侵されていた心に微かな希望が点り始めた ]
[ そのために何をすればいいのか分からない現状ではあったが、それでも、きっと何とかなると、感じ始めていた ]
[ 『逃げることしか能がないから、今の現状から逃れられないのだ』 『現状を変える力を望まないから、そうやって俯くしかない』 ]
[ ふと、あの時妖怪に吐き捨てられた言葉が頭をよぎった ]

[ ぐしぐしと涙を拭いて、頭をしっかりと上げる ]
( どうしたらいいかわかんない。わかんないよ。…でも…待ってたら、来てくれるんだよね…! )
[ 流石にこんな身で、一気に現状を変えるほどの力は持てない。だが、その時がくるまで、しっかりと前を向いている事なら、自分にだってできるはずだ ]
[ それに、もう一人じゃない。助けてくれる存在がいるんだと。それを知った春菜の心には、光が復権の兆しを見せていた ]
…がんばらなくちゃ…!
[ 懐にハンカチをしまい込むと、イズナが去った場所をじっと見据えながら、決意を振り絞った ]
[ その黒い目からは微かにだが濁りが薄れていたが、鏡もない今、春菜がそれを知る由などは無かった ]
[ イズナを信じて、春菜は再び暗がりを歩き出した ]

つづく…?


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