パークセントラル・シブタニ地区。
一大商店街を擁するここは交通の要所。バスターミナルは勿論、市内バスはシンヤド地区やトヨシマ地区へと北上しては、カワシナ地区を目指して南下し、それぞれ鉄道との大きな結節点を形作っている。
シブタニバスターミナルから三つめのバス停、サクラガヨウ。
区界を二つまたいだここはヨタダニ地区。ここは高層ビルが2,3あるものの、あとは大方小さなアパートだったり20軒ばかりの商店街が並び、振り返れば耕作地帯。奥を見やれば緑が黄金色と調和をなしながら水色の果てに吸い込まれる。
大自然である。
ここに一人の男。…ってか俺のことだよ!
幕原 徹。まあ知ってるかどうか分からないが、俺は人員再配置でサンドスター研究室―トンデモねえエリートの道―でイキってたところを見事に首をはねられた。
というのも。
私はこのパークに―正確にはジャパリグループの上層の決定にー。常々疑問を感じている。
私はパークで働き始めてからほどなくして、「保護」「研究」「支援」の三原則に感涙して、環境保護にサンドスターが使えないかと研究していたら「どのみち持ち出しなんて出来ねえよアホ」って言われて…カッとなって…
後悔することもいっぱいあったけどそれは前のノートでしまいにすると決めたんだ。
というわけで。新生「幕原 徹」をどうかよろしく!
って明るく書く原因になったのは非常に暗いお話しがあったからなんだ。
詳しく書くと首が飛んでしまうので簡潔に。
久しぶりに街として区画整理されていない草原の深みの方が無性に気になったから出かけてみたんだけどさ…
物騒な騒ぎが起きてるのを偶然見てしまったわけさ。
見るからに怪しげな小屋にJPS。
法的機関とADLBと監察は相手にしたくないけど何かが聞こえてくるようですっごく気になった。
白衣着てるからアテにされたんだろうね、外を囲んでる人が
「病人がいるから助けてくれ」って。
色々持ってった。こんなことを書くのもなんだけど、自分はあんまりやたらな実験ができないのでこういう緊急の時にしか臨床試験って出来ないわけよ。
サンドスター系の薬剤をいくつか持って行った。
そこに倒れてたよ。
「エコー」は。コウモリ。黒い外套を深く被り、濃い茶色のセーターが見え隠れしたが…
ありとあらゆる場所から、どこともなく。
サンドスターは輝きを上に移しながら。秒速18Scっていうところだろうか。
光の強さからして大よそ1時間で臨界点の10%の「輝き」を失うペース。
10時間で「人間」と「動物」のリンクが切れてしまう。
ここまで理解できたのだろう。でも後は分からない。とんでもないことを、今では思いつかないほどの何かを考え続けて…
悲鳴で我に返った。
「SKYDEM-SXP-13」。新薬の投与は自分の意識できないところにあった正義…つまりは、私を苦しませ、前を向かせ、生きる最大の理由…のもとで行われた。
出会いはどうであれ、とりあえずは祝福しなければなるまい?
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