あの時、襲いかかってきた

ページ名:シュウとファントム

 

「おわぁぁ!?」

木の上から男が転げ落ちてきた。

何事かと振り向いたファントムは男を見て呆れたような顔をする。

「...お前、何してるんだ?」

「いっててて...いやぁ、木の上からならフレンズを見つけやすいかと思って登ってたら落っこちちゃって。ハハッ」

「結構な高さよこの木...頼むから目の前でぽっくり逝くとかはやめて」

「大丈夫大丈夫、そんなヤワな男じゃないから」

 

「で、本当のところは何してたのシュウ」

シュウと呼ばれた男は頭を掻きながら言う。

「本当のところ?」

「お前が調査しているのは私。他を探しに行く理由がわからない」

「あれ、ひょっとして俺に離れてほしくない?」

「なんでそうなる...」

「じゃーどうしてそんな事を聞くのかな?」

「気になっただけ。 で、どうして上にいたの」

「簡単だよ、さっきまで寝てたから」

「...木の上で?」

「寝袋を上に縛り付けてただけさ。今日は結構な距離を歩いてきてたから疲れちゃってな」

 

ファントムは、ふーん、と言って森の奥の方を見つめ、それから向き直った。

「この際だから聞いておきたいけど」

「お、何?」

お前本当に人間か?私を簡単に見つけたり、私が野生解放で殴ってもどうやってるのか知らないけど避けるし」

そんなに変か? 単にウマが合うとかその辺ぐらいだと思うけどなぁ

ウマが合った程度で避けられてたまるか

 

シュウは少し困った顔をした。 そしていつものふざけたような笑い顔で言った。

 

「君に襲われたからさ」

「...? お前みたいなチャラいのを襲ったことはない」

「ありゃ、元の動物の記憶とか残ってないのかい? 俺さ、10年くらい前のガキの頃にイギリス行ったことあったんだよ」

「それで?」

「...どこだったかは忘れたけど、獣に襲われてさ、腕が食い千切られるかと思ったよ。 後遺症とかはないんだけど。

 で、地元の医者に診てもらったら、言われたんだよ」

 

「この噛み傷は、“エイリアン・ビッグ・キャット”だってな」

 

「...」

 

「それが君の直接の元になったエイリアン・ビッグ・キャットかはわからない。 でも同じ動物のアニマルガールがいると

 知った時、俺はいてもたってもいられなくなったんだよ。 そっからすごい努力をして、今ここにいるってわけだ」

「『すっごい努力』で相当説明を省いたわね」

「そこまで喋らないとダメか?」

「いや...いい。 とりあえず、そのせいで私、或いはエイリアン・ビッグ・キャットっていう『種』に対して第六感が

 働くようになった、っていうところで合ってる?」

「まーそんな感じだ。 だから俺が変な所から目の前に出てきても理由はあんまりないと思ってくれよ?」

「そういう状況をあんまり想像したくない。 絶対心臓に悪いし」

「ハハハ、そりゃそうか。 ...って、なんだもう夕方か、せっかくだし一緒に寝るかい?」

「断る。 お前に対してそこまで気を許したわけじゃない」

「ありゃま、さいですか...よっと」

 

シュウは落ちてきた木にまた登りだす。

「それじゃーまた明日!」

「...そんなに頻繁には会わないと思うけど」

「そう硬いこと言うなって!」

 

そのままシュウは登り、ファントムは森の中を歩いていく。

 

 

 

 

The place troubled by humans,I do not know what I want to do.

 ...わかってるよシュウ、お前の目的は。私をジロジロ見つめるだけの他の人間とは違う。

 ま、それを果たせるかは知らないけどね」


Tale

シェアボタン: このページをSNSに投稿するのに便利です。

コメント

返信元返信をやめる

※ 悪質なユーザーの書き込みは制限します。

最新を表示する

NG表示方式

NGID一覧