処刑台に登るまで_1

ページ名:処刑台に登るまで_1

TOP > ライブラリ > 処刑台に登るまで

処刑台に登るまで - エピローグ

神託世界【ハイネスフィア】。
この世界は偉大なる女神ハイネと、彼女が選んだ乙女【聖女】の祈りによって守られている。

世界のために祈り秩序を守る神の代行者【聖女】は女神ハイネの加護を受けた神聖なる存在。

故に、聖女を騙(かた)るという行為はこの世界への、ひいては女神ハイネを冒涜する許し難い大罪である。

 

これが少女を、かの台の前へと引き摺り出した理由らしい。

 

二本の木の柱に支えられた、遠目からでも浮いた錆が見える斜め状の刃。

その刃は縄で引き上げられ、今すぐにでも少女の首を斬り落とそうと待ち構えている。

 

「このクソガキ、よくも騙しやがったな!!」

 

「なんて娘なの!ハイネ様への冒涜だわ!」

 

「死罪!」 「死罪!」 「死罪!」 「死罪!」

 

民衆が罪人と罵るこの少女は、まだ16歳のあどけなく可憐な少女だった。

薄桃色の髪に真っ白な肌。赤にも青にも紫にも変わる、空の虹を映した七色の瞳。

"神秘的"という言葉を少女の形にしたらこんな姿なのだろう。

 


少女は民衆の罵倒にも表情ひとつ変えることなく、その瞳でまっすぐ──目の前の処刑台を見つめていた。

 

 

 

 


―― 処刑台に登るまで ――

 

←前のページ 戻る 次のページ→

シェアボタン: このページをSNSに投稿するのに便利です。

コメント

返信元返信をやめる

※ 悪質なユーザーの書き込みは制限します。

最新を表示する

NG表示方式

NGID一覧